2月 イギリス ロンドン
響也「はあ、やっぱ講習の後はここに限る」
時計塔の見えるブティック近く、俺は一人お菓子屋さんへと入る。
キャリー&キャンディ、この地区では子供に大人気のお菓子屋さんだ。今日はとにかく人が多く多種多様な異国のお菓子が並んでいる。
響也「ちょうどこの時期はバレンタインだったな。確か、このイギリスでは男性が女性に物を送る、だったかな?」
一緒に講習を受けている彼女持ちのイギリス学生から聞いたがこの国ではむしろ男性側が愛を伝える側で思えば今のロンドンはカップルで沢山の店が結構あった。そう思いつつ、俺はジェリービーンズを購入するとそれを摘みながら店を見渡す。
響也「郷に入っては郷に従え、この国の習わしに従っても良いかもな。あの三人にちょっとプレゼント買って行くか」
そう思うと俺はプレゼントを探しにブティックの奥に歩を進めた。
その一方
響也のアパート
忍「こ、こんなに溶かしちゃっていいのかな……」
カレン「ぶ、分量は間違ってなハズデス……」
アリス「それにしてもおかしいよね?板チョコ16枚も普通必要?」
カレン「ええっと……」
スマホのレシピを再度見直すカレン。
カレン「ヒッ!!」
アリス「ど、どうしたの……」
カレンはわなわなとしながら告げた。
カレン「このレシピは……一人前じゃなくて8人前のメニューだったみたいデス……」
アリス・忍「え……
ヴェアアアアアアアアアアアアアアア!!」
カレン「ど、どうすればいいデスか!!」
アリス「ちょっとカレン、何作ろうとしてたの!!」
カレン「手軽に作れると聞いてチョコレートフォンデュを作ろうとシマシタ」ジュルリ。
忍「自分が食べたいだけじゃん!!」
アリス「ととととにかく、それが簡単に作れるならやってみよう!!もう今更変更できないし」
忍「もうこうなったら私達も食べる前提で作るしかないね」
カレン「当たって砕けろデス!!」
その頃響也は……
響也「悪いな、プレゼント選び、手伝ってもらっちゃって」
修「いいよ、俺とお前の仲だろうが」
宗「こういう時は頼っていいんだよ」
切「遠慮する必要はない、役に立てて良かったよ」
ビデオ通話で日本にいる仲間たちにプレゼント選びを手伝ってもらった、こういう時には同じ彼女持ちの友達は心強いな。
すると皆の後ろから
綾「やっほー、響也君。元気してる~」
陽子「いよー、元気?」
穂乃花「お久しぶりです。そっちはどうですか?」
響也「なんだ、皆も一緒だったのか?」
陽子「同棲してるのは私達だけじゃないんだよ?」
響也「そうだったな、陽子も大学でようやく荒沢先輩と付き合い始めたんだな」
陽子「まあね、楽しくお付き合いさせてもらってるよ」
切「ああ、毎日幸せだよ」
修「俺も今、綾の実家で生活してるんだ」
宗「僕は東京で穂乃花と暮らしてるよ、最も大学出ると生活がずぼらになるから支えてくれる人がいてホント助かる」
ヒビヤ「リア充満喫してんな、皆」
そう思いつつプレゼントを握り締める。
響也「それじゃあ、俺行くわ」
綾「それじゃあ三人によろしくね」
修「頑張れよ」
穂乃花「それでは、お元気で」
宗「彼女たちと仲良くね」
陽子「それじゃあ、またねー」
切「日本で会ったらよろしく~」
響也「ああ、またな」
通話を終え、俺は階段を上がるとアパートの扉を開けた。
響也「ただいm、ってなんだこれ!!」
家に入るな否や机の上にデカい鍋に入ったチョコレートと大量に並べられたパンやフルーツにお菓子、どう見てもアレだ。
響也「チョコレートフォンデュ、だよな……」
そして部屋の奥から……
そろそろと三人が現れた。
アリス「お帰り、ヒビヤ。見ての通り作り過ぎちゃったよ……」
カレン「8人分ジャストデス、ゴメンナサイ……」
忍「一応私達も食べる前提で作ったから……えっと……」
響也「凄い、素晴らしいよ!!」
三人「ええ!!」
響也「こんなに沢山のチョコレートフォンデュ、夢みたいだ。それに忍とアリスとカレンが作ったのなら美味しいに決まってる。
最高のプレゼントだ、ありがとう!!」
その言葉に嬉しそうな顔をする三人。
忍「作ってよかったね!!」
アリス「うん、良かった!!」
カレン「命拾いシマシタ」
響也「それじゃあ、俺からも」
そう言って紙袋のプレゼントを三人に渡す。
響也「俺から皆への気持ち、受け取ってくれ」
忍「わあ!!」
アリス「すごい!!」
カレン「これ、私達に!!」
忍にはウサギのマスコットぬいぐるみ。
アリスには手袋。
カレンにはメイクケース
どれも日本にいる皆と選んだものだ。
忍「ありがとう!!大切にするよ!!」
アリス「一生の宝モノだよ!!ありがとう!!」
カレン「大事に使いマス!!」
響也「どうもいたしまして♪」
初めての異国の地でのバレンタイン、俺の中では忘れられないバレンタインになった。
響也「それじゃあ、チョコレートフォンデュでパーティーだ!!」
三人「イエーイ!!」
大切な人との時間と贈り物、それは尊くて、長く続いていくのかもしれない。