ウマ娘思いつき短編集   作:やなぎ123

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二人は同室という設定から
こんなことがあったのかな、という妄想怪文書
初のシリアス
読みにくかったらすいません


キングヘイローとハルウララ

 

 

「ウララさん!起きなさいウララさん!

 ターボさんも起きる!!

 アナタ達朝早くに1限目の授業の準備をするのじゃなかったの!?

 だから、前日にとっととテレビを見る前に準備しなさいって言ったのに!

 一緒に心霊番組を見て、怖くなって布団に包まってそのまま寝るから

 準備もなにもできてないじゃない!」

 

「……んん~~~、キングちゃん~~

 …………ターボちゃんが~~起きちゃうから~~……

 お休み~~~………」

 

「~~~~~~~っっっ

 ウララさん!!!!!!!!!!!」

 ターボさん!!!!!!!!!!!」

 

「「うひゃ~~~~~~!!」」

 

 

 

 

「と、いう事があったわ、まったく、ウララさん達には困ったものよ」

「あはは、それは大変だったね」

「大変だったね、じゃないわよ、トレーナー

 あの後、どうにか2人を起こして、着替えと髪形整えて

 それでもギリギリだったから、脇に抱えて教室まで向かったわよ」

「間に合ったのか?」

「このキングが手伝ったのよ!当然間に合わせたわ!

 ……私の方が授業に間に合うか危なかったけど」

「まあ、今日のトレーニングは設備点検の関係で夕方前くらいまで使用できないから

 休憩だと思って、ゆっくりしよう」

「そうね、朝ドタバタして少し疲れたから、そうさせてもらうわ」

 

「そういえば、キングはいつからウララさんとルームメイトになったの」

「そうね、寮に入った時に同室になってからずっと一緒ね」

「5回に1回はウララさんのお世話する話だったり、面白い話だったりネタが尽きないね」

「そうね、もっとキチンとして欲しいわ!

 と言いたいところだけど、それはそれでウララさんらしくないから

 何とも言えないのよね…

 それに、なんだかんだ言ってるけど、そこまで悪い気はしてないのよ」

「キングって、ウララさんには優しいよね、他の子と接し方が少し違うというか」

「あら、そう見える?」

「うん、見える」

「そうね……、私もそう思うわ」

「やっぱり、初めてのルームメイトだから?」

「……それ以上の理由ね」

「それ以上……、その理由を聞いても?」

 

「そうね、キングは過去を振り返らないけど、

今日は気分がいいし思い出なら振り返ってあげてもいいわ」

 

 

 

さっきも言った通り、ウララさんと初めて会ったのは寮の部屋ね

 

最初の印象?

んん~~~~~~

はぁ……

ウララさんには絶っっっ対に言わないでね

約束よ?

 

最初の印象は

なんて能天気な子なんだろう

って思ったわ

 

私がトレセン学園に入学した理由は知ってるわよね

私は必ず一流になる!

何としてもお母様を見返してやる!ってね

あの頃の私はお母様に反抗して家を飛び出したばかりで

余裕なんてなかった、ここに入学した時も必死だったわ

この名前の「キング」にふさわしい活躍をしなきゃいけない!

って、一種の使命感……

いえ、それ以上に脅迫めいた覚悟を持ってこのトレセン学園に一人で入学したわ

だから、あの頃の私は周り全てが敵に見えたわ

…そう、敵、ライバルじゃない、私が倒す敵よ

 

で、自己紹介の後にウララさんに聞いたの

「ウララさんはどうしてトレセン学園に入学したの?」って

そしたらウララさんなんて言ったと思う?

 

「走ると楽しいし、ウマ娘なんだから一度でいいから

 一着を取ってみたいんだ~」

 

ですって

……ふふっ、そうね、いつも言ってるものね

 

今の私なら素直に応援できるけど……

あの時はそうは思わなかった

だって、私、入学試験は1位通過なの

だから1位を取ったことのある私にとって

ウララさんが言った理由に価値を見いだせなかったわ

 

「そう、それは素晴らしいですわね」と

当たり障りのない言葉を送りながら、その後ちょっと意地悪をしちゃったわ

え?キングらしくない?

……言ったでしょ、あの時の私は周り全てが敵に見えたって

ウララさんもそうだったわ

でも、ウララさんになんていったと思う?

「でも、この私は入学試験で1位になりましたの」って

普通そんなこと言われたら、戸惑うか睨まれるか…いい反応ではないと思うわ

で、ウララさんはなんて言ったと思う?

「おお~、すごいね~!

 私も頑張って一位を取るんだ~、応援してね!」

ですって

ふふっ、今と変わらないわよね

 

戸惑うくらいはするかしら?

と思ってたから、私が面喰っちゃったわ

それで、気が抜けちゃって最初の挨拶は終わり

なかなか不思議な子とルームメイトになったけど

正直、私の敵にはなりえないわね、と思ったわ

ま、この私と運よくルームメイトになったのだから

特別にこのキングが一流になるところを間近で見せてあげる!

って、心の中で思っていたわ

……ホンット、今思い出しても優雅じゃないわね、当時の私

これが最初の出会い

あまりいい思い出じゃないわね

 

 

 

 

学園生活が始まっても、ウララさんは、変わらずあの調子だから

なし崩し的にウララさんの、お世話みたいなものをやってたわ

寝坊したり、忘れ物したり、ドジしたり……

私自身も、なれない学園生活とすぐに結果を出したいと思う焦りで

今よりキツイ言い方で怒ったりしたわ

それでもウララさんはどこ吹く風で

そんな私にでも逆に練習に誘ってくれたりもしたわね

ただ、あの頃は適当な理由をつけて断ってたわ

今?まあ、予定が空いていたら付き合うわよ

 

話を戻しましょうか

入学してすぐに、私は段々と調子を落としていったわ

理由はそうね、一言で言えばストレスかしら

トレセン学園に入学する前は

家のメイドや使用人が勉強を教えてくれたり、身の回りの世話をしてくれたりしたけれど

実家から飛び出して初めての寮生活、全て自分でやらなくちゃいけないけれど

なれない家事や勝手の違う部屋で、休まらなかったの

もしかしたらホームシックだったのかもしれないわ

 

さらに、段々とレースで勝てなくなってきたし

勝てても辛勝なレースが増えてきたわ

日々のストレスが溜まって

さらにレースの結果に納得が出来なくて

もっとストレスが溜まっていって

負のスパイラルに陥っていったわ

 

特にレースについて

お母様はもちろん

お母様の指示なのか知らないけど

周りの人もほとんど教えてはくれなかったの

だからレースについては周りの目を盗んで独学で学んだし

走り方はお母様のレースビデオをみて覚えたわ

 

それで、入学試験に1位通過をしたものだから、有頂天になっていたわ

私には才能がある!絶対に一流になれる!

って

だから、調子を落としても

周りに陰口をたたかれても

その思いで何とか踏みとどまっていたの

 

でも、その自信や思いもすぐにへし折られることになったの

スペシャルウィークさんやセイウンスカイさん

グラスワンダーさんにエルコンドルパサーさん

他にも才能だけじゃなくて、日々、努力している子達を目の当たりにして絶望したわ

『上には上がいる』

全員にレースを挑んでみたけれど、結果は惨敗

今考えれば当然よね

あの当時、特に距離適正が分からなかった私は

それぞれ皆さんが出す条件で勝負を挑んでも勝てるわけがないわよね

 

だから、表面上は優雅に

なかなかやるわね!次はリベンジをするわ!

とか言ったけれど、とても歯痒かったわ

みんなに対しても、自分に対しても

……たぶん、察しのいいスカイさんやグラスさんは見抜いていたかもしれないけど

それでも、何度も勝負に付き合ってくれたのは感謝してるわ

 

そのレース以降、それまで以上の努力が必要だと思ったの

勝負で負けないために

もう鬼気迫るくらいがむしゃらにトレーニングをしたわ

そんな私の気持ちを、微塵も察しないウララさんがほぼ毎日

「キングちゃん、今日も走るんだよね?一緒に走らない?」

って、誘われていたの

この私が死ぬ気で努力しているのにこのウマ娘は!邪魔をしないで!!

って、勝手にウララさんに不快感を覚えてしまったわ

 

…レースは楽しかったかですって?

意地悪なことを聞くわね

……楽しいわけがないじゃない

あくまで走ることはレースで勝つための手段って認識だったわ

 

どうやって負けなくなるか……

どうやったら1流になれるか……

キングにふさわしくならないと……

お母様を絶対に見返してやらないと……

どうやったら……

どうしたら……

毎日、早朝に予習をして、学園の授業を受けて

一人でトレーニングして、一人でクールダウンして

部屋に戻って授業とトレーニングの復習をして

休憩なんてしている時間は無駄、そんな時間があるなら

レースに関する専門書でも読まないと

ってね

そんな風に気を張り詰めていたけれど

その生活を一ヶ月くらい続けていた頃だったかしら

体が重いとか、気分が良くないとか

そういうのは慣れてしまっていたの

それが一流になる為の通過点だと本気で思っていたから、我慢できていたの

 

ただ、やっぱりそれが続く筈がないわ

はじけちゃったの

気持ちが

切っ掛けはホントに些細な事よ、

深夜にトレーニングの復習をしているとき、ノドが渇いたの

あっ、ウララさんは当然寝ていたわ

夜9時を過ぎるとあの子、眠くなるんですって

ホント、ウララさんはこういうところは全く変わらないんだから

 

んんっ、話を戻して

冷蔵庫にあるミネラルウォーターを取ろうと取っ手に手を伸ばした時に

チクッ

って指先に小さい針で刺されたような痛みがあったわ

指先を見てみると、小さなささくれが人差し指にできていたの

最初は分からなかったわ、ささくれなんていままで、できたことがなかったもの

だから、ジーッとみていたわ

10秒くらいだったかもしれないし2~3分だったかもしれない

で、ようやくささくれって気が付いたの

 

えっ

 

って、声が出たわね

声が出て、ささくれが出来たと認識した後は、何とも言えない怒りが込み上げてきたわ

 

こんなに血の滲む努力をしているのに

私の体はなんで付いてこないの!

なんで邪魔するの?!!

 

冷蔵庫に八つ当たりして壊さなかっただけでも褒めて欲しいわ

それくらい目の前が真っ赤になって、拳を握りしめていたわ

さすがにこれ以上勉強するのはまずいって思って、一度深呼吸をしたの

少しは落ち着いたと思って

それでもショックが抜けないまま

ふらふらっと、洗面所に向かったの、顔を洗って落ち着こうと思って

で、その時、ふと自分の顔を鏡で見て唖然としたわ

自分の顔が写っているはずなのに、自分の顔じゃないの

……ひどい顔が写っていたわ

目の下のクマ

肌あれ

ぼさぼさの髪

 

人目に付く場所は当然、身だしなみに気を付けていたのだけれどね

鏡の前にいたのは一流を目指す高貴なウマ娘じゃない

 

疲れた顔をしている

キングでも

一流でもない

ただのウマ娘がそこにいたわ

 

その後のことは、あまり覚えていないの

ただ次の日、生まれて初めて授業をサボったことは間違いなく覚えているわ

 

 

 

 

気が付いたら朝だったわ

いつものように朝、トレーニングをするために起きないと、と思って

起きられなかったの

起きよう、早く起きていつものようにトレーニングに行こうと思っていても

まったく体が動かなかったわ

体と心が拒絶していたと思う

それに頭は冴えてきて、焦りが出てきたんだけど

動け!動いて!

って思えば思うほど

吐き気がひどくなって

焦点がブレて

体が縮こまって

布団の中にいるはずなのに寒くなって

ウララさんが私に挨拶をしてくるまで

ずっとこんな考えがぐるぐるぐるぐる頭の中を支配していたわ

 

なんとか

体調がすぐれないから今日は休む

ってウララさんに伝えたわ

「大丈夫?先生には言っておくね!ぐっすり眠ってね」

その言葉をウララさんから聞いた後

眠ったのか気を失ったのかわかんないけれど

気が付いたら夕方だったわね

 

あんな状態になってもお腹は空くのね

重い足取りでその日初めての食事をとったわ

 

味もその後の事も何も思い出せないですけど

 

 

 

 

次の日は多少気分よくはなったけれど

大事を取ってその日も休んだわ

昨日、休んだ分を取り戻そうとして

トレーニングの本を手に取ろうと思ったけれど

気持ちが全くついてこなかったわ

この状態、完全にトラウマみたいになっていたわね

陰鬱な気持ちでベッドに横になって、ボーっとしていたわ

漠然と焦燥感だけはあったけれど

何も考えることは出来なかったわ

 

時間だけが、ただただ過ぎていって、日が落ちてきた頃に

ウララさんが、トレーニングから戻ってきたの

それで、いつも通りの感じで話しかけてきたわ

私を心配してくれていたわ

「大丈夫~?」

って

疲れていると、素直になるのね

心配してくれてありがとう

って、スッと言葉に出たわ

 

 

 

 

二人とも夕食が終わって、落ち着いた頃

ぽつぽつと、他愛のない話をしたわね

今日の練習内容とか、ライスシャワーさんと仲良くなったとか

そこで私がふと、こういったの

昨日今日と、練習ができなかったから、ちょっと落ち着かないの

って言ったら

ウララさん、急に立ち上がってなんて言ったと思う?

 

「じゃあさ、今から一緒に走ろ?

 グルーヴちゃんに見つかると、怒られちゃうんけど

 夜に走るもの楽しいし気持ちがいいんだよ」

それを聞いた時

多分、間抜けな顔をしていたと思うわ

 

 

 

 

「練習する前に、準備運動~」

ウララさんに言われるまま、ついてきて、一緒に準備運動をしたわね

気分は相変わらず意識がボーっとして絶不調な感じだったわ

 

「よーし、準備運動も終わったし一緒に…あ」

 

次の日に知ったのだけれど

その日は夕方までは晴れだったけど、夜に雨が降る予報だったみたい

だから、準備運動が終わったあたりで雨が降ってきたのよ、それも結構強く

 

「うーん、雨が降ってきちゃったね……

 でもでも!雨の中でのレースも楽しいんだよ!」

てっきり引き上げるかと思ったから、苦い顔をしていたと思うわ、そしたら

「じゃあさ、一回だけ!レースしよ?ねっ、一回だけ!」

って、ウララさん言ってきたわ

いつもならトレーニング目的以外で雨の中を走ることは絶対にしないのだけど

次の日のことなんて考えていなかったし、自暴自棄になっていたから

了承したわ、一回だけよ

って

ウララさん、とても嬉しそうに…いえ、嬉しかったんでしょうね

ぴょんぴょん飛び跳ねていたわ

 

あくまで練習だし、夜だったから

ダートコースの800m、第三コーナー手前からスタート

ってレース内容で行うことにしたわ

 

ウララさんは、いつも通り元気の塊のようなテンションだったけれど

逆に私は一日中寝込んでいたから、調子が良いわけない、むしろ絶不調だった

さらにバ場適正は不利だけれども

それでも、ウララさんに負ける気はしなかったわ

…とても失礼な話をしているけど、その時は本当にそう思っていたの

 

二人ともスタート位置につく

「負けないからね~」

って、私に言ってきたけれど、愛想笑いで返したわ

 

ウララさんの合図でスタートを切ったわ

合図と同時に全速力で抜け出してやろうと足に力を入れて…

滑りそうになったわ

雨の日のダートって、あんなにぬかるむのね

 

スタートで出遅れた私とは対照的に

ウララさんは綺麗なスタートを決めていたわ

……自分が合図を出しているから当たり前なんだけどね

で、私がウララさんを追いかける展開になったわ

 

すぐにコーナーに入って、

第4コーナーを抜けるあたりでウララさんを抜きにかかったの

絶不調でもこのキング、差し脚には自信があったわ

だから、コーナーを抜けて、50m走ったあたりでウララさんを抜いたの

これがキングの走りよ!ウララさんとは格が違うのよ!

って、抜いた瞬間に心の中で叫んだわ

 

どう!?キングの走りは!

そう思って、したり顔で、横にいるウララさんの横顔を見たの

 

いつもの笑っているウララさんの顔は無かった

とても一生懸命で、歯を食いしばって、前だけを見て

私…

私じゃない、その先を見ていたの

ゴールしか見ていなかったんじゃないかしら

普段とのギャップに一瞬だけ唖然としてしまったわ

そのせいか、少し末脚が甘くなってしまった

 

今思うと、誰かの走っている真剣な顔をちゃんと見たのは初めてかもしれないわ

今まで見ていないことはないのでしょうけど

周りを見たりするのだって、あくまで位置確認のためだったから

不思議な気持ちを抱いたわ

 

そしてウララさんはその隙を逃さず私を抜き返したの

残り300m切ったあたりでしたかしら、その時

「また負けてしまう」

と脳裏をよぎったわ

目の前が暗くなりそうな時にまた、ウララさんの顔が見えたの

さっきと同じで、私を見ずに前だけを、ゴールだけを見ていたの

その瞬間

「負けたくない……!ウララさんに勝ちたい!」

気力を振り絞って、足を動かしたわ

前に

前に

一歩

また一歩

少しでもウララさんの前に!

必死で足を動かして、動かして

ウララさんに近づき

並び

追い越したの

 

薄暗い照明

雨の音

吐息

心臓の鼓動

ザッと土を蹴り出す音

その瞬間、夜の雨が降っている中なのに

何も聴こえず、何も感じず

夜のレース場なのに

真っ白になった景色

お母様に反発するようになってからは感じたことのなかった感覚

きっと、小さいころ純粋に走ることが楽しくて

そのころ、1位になったときに見たことがあるような気がするわ

 

ただ、その後すぐに足が限界だったんでしょうね

足から力が抜けたように前のめりでコケてしまったわ

 

すぐ後ろにウララさんが居たから、私を追い越したすぐ後

心配して駆けつけてくれたわ

 

さっきまでの真剣な顔じゃなくて、私を心配した顔で

あの瞬間までレースをしていたから肩で息をしているけれど

泥まみれになっている私に、手を差し出してくれたわ

 

その手を受け取る前にウララさんに聞いたの

レースは楽しかったかしら、って

そしたらウララさんは、いつもと同じように

「うん!楽しかったよ!

 今日はギリギリで負けちゃったけど、次は勝ってみせるよ!!」

ですって

 

それを聴いて、なぜかわからないけれど

感極まってしまって、手を取りながらウララさんに抱きついちゃったの

いろんな感情が溢れ出て、きつく抱きしめちゃったし

……少し泣いちゃったわ

まあ、雨だしウララさんの肩で顔を隠していたから

私の涙には気づいてないと思うわ

急に抱きついたものだから

「えっ!キングちゃん大丈夫!?どうしたの?」

って、あたふたしていたわ

今思い出すとちょっと可愛かったわね

 

 

 

 

あの時、ウララさんとのレースで、感じたことは

たとえ誰に何を言われても

たとえどんなに頑張っても結果がでなくても

決して諦めずに前を向き続ける

それはとても…とても気高いものだと知ったわ

走ることが楽しい…

とまでは感じられなかったけれど、なんとなく片鱗には触れた気がするわ

 

次の日は今までとは違う気分だったわね

なんというか、前を向いているって感じ

それまでは、目の前しか見えていなかったし

多分姿勢が少し前のめりで目線がちょっとだけ下に向いてたの

それが背筋を伸ばして、顎を少し上げるだけで、視界が広がったわ

視界だけじゃない、意識もクリアになったような感じ

いままでの焦燥感がなくなって、気持ちも少し楽になったわ

 

ウララさんは

「昨日はありがとうね!また一緒に走ろーね」って

本当にいつもと変わらない感じで言ってきたの

思わずウララさんの頭を撫でながら

こちらこそまたよろしくね

って返したわ

 

だから、この時決意したわ

どんなに苦しくったって

逃げ出したくなったって

キングは決して、首を下げない!

たとえ大敗で敗れても、僅差で敗れても

全てを糧にして必ず一流になって見せる!!

ってね

短い間だったけど、本っっ当にいろんなことがあったわ

 

その後ね、選抜レースであなたと会ったのは

 

 

 

 

ウララさんは本当にすごい方なの

トレーナー、あなたもトレーニング学を学んでいるなら

メンタルの重要性はも・ち・ろ・ん・分かるわよね

この一流のウマ娘たる私も、トレーニングも当然だけど

私生活でも良いメンタルを維持するために色々気を付けているわ

 

でも、どうしても一定以上にメンタルを保つのは出来ないわ

学園生活や休み中のトラブル、トレーニングの失敗で下がる調子

特に「レース」の世界で戦う以上、1人の勝者とそれ以外の敗者が必ず決まる

その結果でその全員のメンタルが変化する…

変化してしまうの

負けてさらに上を目指す子もいれば

悔しがる子、負けるのが怖くなる子、ふてくされる子…

負けた子だけじゃないそれに勝った子も、変化が起こるわ

勝ってうれしい、良かった、ならいいけど

勝ってしまった、とか、周りの反応が悪かったとか

本当にこれは実力なのかと自分を疑ってしまう子など色々あるわね

 

トレーナーも経験あるでしょ?急な仕事や人間関係とか…

それで、調子を上げようとしても、仕事やトラブルが頭に残っていて

下手したら逆に調子を下げて、無理して上げようとしてさらに下がって…

なんていうことがあるくらい

それほど、メンタルっていうのは繊細で波があるの

 

でも、ウララさんはそういったメンタルの波がない

ないっていうのは言い過ぎかもしれないけれど、たとえメンタルが下がったとしても

「走るのが楽しい」

これだけで、メンタルがいつでも絶好調になるのは、本当にすごいことなの

こんな純粋な思いだけでずっとレースに出場している

最下位になっても、負け続けても、他の子に笑われても…

それでもレースに出て走り続ける

もし、私が同じ境遇だったら…ほんのちょっと自信がないわね

 

まあ、それだけでレースに勝てるかと聞かれると、そんな甘い世界じゃない

それでも、私にとって、ウララさんは尊敬に値する方ですわ

 

…そういえば、これはウララさんには秘密の話なのだけれど…

さっきの話の中で、ウララさんが私を心配して戻ってきたって言ったわよね

私がコケた場所はゴール板のすぐ手前

ウララさんが心配をして振り向いた場所は…

ゴール板の向こう側だったの

 

そう、ウララさん

私相手に勝ったの

1位を取ったのよ

 

ウララさんは私が心配で、レースのことを忘れているみたいでしょうし

私も正式なレースで1位を取ってほしいから私も言うつもりはないわ

……言うタイミング逃しちゃったっていうのもあるわね

 

それに、ウララさんにもようやくトレーナーがついて、走りが一目瞭然で良くなってきたわ

トレーナーの指導と正しいトレーニングが合わさったおかげで

ようやくトレセン学園のスタートラインに立ったと思うわ

 

……もし、彼女のメンタルとトレーナーの指導に加えて……

「本気で勝ちたい」

という熱が加わったら………

初めての勝利や重賞レースでの勝利も不可能じゃないわ

 

それに、もしかしたら……

 

有馬記念で優勝

 

なんて出来るかもしれないわね

 

まあ!当然!キングのこの私が

ウララさんであろうと、誰であろうと、どんなレースであろうと、有馬記念だろうと

すべて勝利してみせますわ

 

ふぅ、結構おしゃべりしすぎたかしら

トレーナー?時間は大丈夫かしら

あら、トレーニング設備の点検がさっき終わったようね

さあトレーナー、一流の私にふさわしいトレーニングを行いますわよ!!

 

 

 

 

「キングちゃん……夜一緒に寝ていい?」

「ウララさん……あなた、また心霊番組でも見たのかしら?」

「ん~ん、フクキタルちゃんが

 『今日は誰かと一緒に寝るが吉!逆に一人で寝ると凶です!』

 だって言ってたの」

「まったく……夜に起こさないでよね」

「わーい、ありがと~」

「しょうがないわね……ふふっ」

 

 

 

「……キングちゃん、いつもありがとうね」

「どうしたのよ、急に……」

「ん~、えへへ、なんか言ってみたくなっちゃって」

「もうっ、この子は……

 ……こちらこそ、いつもありがとう」

「にへ~、おあいこだね」

「そうね、おあいこね」

「……ふぁ~~~、キングちゃんおやすみ~」

「ええ、おやすみなさい」

 

「ウララさん、私こそ本当にありがとう

 おやすみなさい」

 

 

 

 

「ウララさん!!!

 起きてください!!!ウララさん!!!!

 起きて私を離して!!

 ウララさん!!!!!

 遅刻しちゃう!遅刻しちゃうから!お願い起きて~~~~~」

 

 

 




・キングヘイローとハルウララは同室
・ハルウララちゃんと下記二人の話、相性がいいのでは?
(「やる気全一は、後の全一」プロゲーマー:ウメハラ
「モチベーションを上げる方法はない」元プロ野球選手:イチロー)

と思って書いてたらこんな長くなってしまった

誤字報告、感想とても感謝しています
この場を借りてお礼申し上げます
つたない文章ですがこれからも書いて行こうと思います
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