俺の個性は『未来視』……ではありません! 作:おれだyp
反省はしているし、後悔もしている。
俺の名前は
個性は『spinning a pen around between the fingers』。
日本語に訳すと『ペン回し』である。
何で日本語で言わないのかって?ははは、聞くな。察しろ。
個性発現当初は驚いたもんだ。個性の発現は小学二年生のとき、授業を受けながら何気なくペン回しをしたら凄い速さで回り出したのだ。マジで驚いた。止まる兆しも見せずに回り続ける鉛筆を目の前にして、俺は困惑した。……もしかしてこれが俺の個性なのか?ってね。
先生も俺のペン回しにも気づくことはなく学校は終わった。発現したてで止め方を知らなかった俺はとりあえず家に帰ってクソババァに見せてみた。ペン回し上手いわね~と褒められたけど、クソババァにとってはこれが個性だとは気づかないらしい。俺も個性だと思いたくなかった。
クソババァの個性は『具現化』。絵に描いた物が飛び出て動き出すというものだ。
クソババァにとっては個性というもは常識を超えた何かだという思いがあったのだろう。だから、クソババァは気づかなかった。これが俺の個性だということを。俺も気づきたくなかった。
クソジジィにも見せてみた。めっちゃ褒められた。ペン回し上手いなぁ!って。クソジジィも気づかなかった。これが俺の個性だということを。あ、クソジジィの個性は四次元ポケットの弱体化版だ。何それチートですか?
小学生では、無個性だと思われていたこともあってイジメが酷かった。
あれだぜ?何故か分からんけどクラスの皆が学校にファブリーズ持って来て俺の机に吹きかけるんだ。ぎゃはは、フデサキ菌は除菌しなきゃな!とか言ってさ。俺思ったんだよ。コイツらバカだって。普通に考えてファブリーズを学校に持ってくるか?机に吹きかけるのだって……除菌、あざっす。今思えばアレはツンデレだったのかもしれないな。
そして中学生になっても個性の発現のことはまだ打ち明けられなくて、ああ……俺イジメられるんだろうな……って思ったら皆めっちゃ優しかった。
何それ、めっちゃ惚れるんだけど。皆個性のことは聞かないでくれて本当に優しかったし、普通の友達として接して来てくれた。お前ら神かよ。めっちゃ善人じゃん。如何に自分が汚い存在だったか気づかされたね。中学生活は楽しかったわー。穢れを知らない時代だよね。彼らがそのまま育ってくれることを祈ろう。
でもまあ……流石に中学が終わりかけているのに自分が皆に隠しごとしているのってなんか嫌な気分になるじゃん?だから俺の個性を伝えたのよ。そしたら、次の日の朝から俺の机の上に山ほどの鉛筆が置いてあったんだ。ああ……やっぱり皆優しいなって思いながらその鉛筆を手に取ったんだ。そして鉛筆をよく見てみたら……合格祈願って書かれてたんだよ。マジ嬉しくて教室で鉛筆抱きながら泣いたもん。一生お前らについていくぜって叫びながら。
全部、いい思い出だ。
そのおかげもあってか……とうとう両親にも伝えることができたんだ。
伝えた個性は『未来視』。
ごめん、嘘ついた。ちょっとね、うん、お父さんの圧が凄かったんだよ。夕飯の最中に何気なく切り出そうとして『あ、そういえば俺の個性が発―――』『個性が!?どうしたんだ!?発現したのか!?』めっちゃ期待の込められた目で見つめられたんだよ。ははっ、親の期待に応えないとなぁと思い、嘘ついた。訂正しようとしたときにはもう手遅れ。お父さんは個性届けを握りしめて家から飛び出していった。いやー、驚いたなぁ。人間って頑張れば壁を突き破れるんだ。
そんなこんなで時は流れ、
俺は雄英の試験会場にいた。
話し飛びすぎだろって思うかもしれないが、俺の記憶にない物は説明できん。なんかお父さんに『お前なら絶対に合格できると信じているからな!』って言われた気がしなくもない。そして俺が『ああ……俺の目には合格する未来が視えている!』って言った気がしなくもなくもある。そして気づいたらここにいた。うん、やばい。受験勉強なんてしてきてないよ。だって家では『お前には未来のテストが視えているからな!勉強なんてしなくていいぞ!』『おう!もちろんだ!』みたいなノリだったんだもん。これはしゃーない。俺は無実だ!
壇上で、黄色いトサカおっさんが何か言っているが俺はそんなくだらないことを聞く気はない。それよりも……隣に座っている女の子をチラッと見る。ふむ、恐らく個性は耳たぶから生えているあのイヤホンだな……。戦闘力は……Aか、それともBがあるかってとこだな。だが大丈夫、俺は貧乳も大好きだ。いつでも俺の胸に飛び込んできてもいいんだぜ?
「…………………」
ほう、無視か。ふはははは、俺に恐れをなしたか。仕方がない、ここは少しだけ俺のチカラの一端を見せつけてやるか。
ギュルルルルルン!
鉛筆が高速で回転する。授業中ずっと個性を使用し続けた成果だ。勢いを増していく。どうよ!俺様の個性は!
「……………何それ、ペン回し?」
「え、あ、はい」
「……………上手いじゃん」
「あ、ありがと、ござまちゅッ!?」
舌噛んだ。てかこの子めちゃ優しくない!?これってもう俺のコト好きになっちゃってるよね!?いやー、困っちゃうなぁ。モテる男は辛いぜ。どうやって断るかが問題なんだよなー。どうやったって傷つけちゃうのは同じだし。
「あ、あの。もうしわけないんですが俺には好きな人が…………」
隣の席には誰もいなかった。え、なして?
「Hey?受験者は別の教室でテスト受けるから移動しろって言ったZE?」
……そうだよね。俺のこと嫌いになって逃げたんじゃないよね、あはははは。……はあ。
テスト終了後。
「ひっ!?」
「おい。アイツ燃え尽きてるぞ。大丈夫なのか?」
「あ、あしたのジョーだ。ジョーがここにいる!」
死んだわ。テストさっぱりよ。名前書いたところで手が止まったわ。住所書くのかよ……知らねぇよ俺ん家の住所なんて……ハッピーガールズホテルって書いちまったよ……もうおしまいだ。それと問題マジで難しかったわ。前期ヒーロービルボード五位のヒーローって誰やねん。スパイダーマンにしてみたけど合ってるかな。
「そこの君!早くバスに乗りたまえ!」
「あ、はい。生きててすみません」
メガネくんに怒られた。やめい、今の俺は脆いぞ。一瞬で崩れ去るからな。なんならそよ風で吹き飛ぶからな、気をつけろよてめぇ。だー、もう、実技で取るしかない。それ以外、俺に生き残れる道筋はない!
バスに乗り、実技会場に向かう。
話すことはない。皆凄い真面目そうな顔してるし、俺の場違い感が凄い。帰りたい。
実技会場に着き、バスから降りる。
………酔った。気持ち悪い。くそっ、雄英め。俺を合格させないつもりだな。だから移動手段にバスを選んだのか。このゲスが!あ、ちょっと待って。今一瞬何かが込み上げてきた。口の中から酸っぱい匂いがするけど、気のせいだ。酔い止めは……持ってるわけないだろうが!落ち着け、落ち着くんだ。まずは深呼吸で身体を休ませ―――
『はい、スタート』
―――――うっぷ!何かが、俺の口の中から、這い上がってくるぅ!?
「は!?嘘だろ!」
「急げ!」
やばい、皆走り出してる。これは完全に出遅れた。マズい、俺の作った昼飯よりもマズい。俺の個性はペン回し。ただでさえ攻撃力がないのにスタートに失敗したら終わりだ。
ちくしょう。クソジジィにどんな顔して会えばいいんだよ。どうせクソジジィのことだからリビングをパーティーみたいにして待ってるんだろうな。
あーあ、終わった終わった。俺は無理でーす。限界でーす。
『お前なら絶対に合格できるって信じてるからな!』
ふと、今朝の会話が思い出される。
いやだから無理なんだって。酔いで足元グラングランするし。立ってるのもキツいし、諦めるわ。
『お前なら絶対に合格できるって信じてるからな!』
しつこいわ!粘着質な男は嫌われるぞ。
『『『『『『お前なら絶対に合格できるって信じてるからな!』』』』』』
増えるなクソジジィ!野郎に応援されても嬉しくないわ!
『お前なら………』
あ?
『絶対に、合格できるって信じてる』
……。
『お前なら………』
「だああああああ!もううるせえなクソジジイ!わかったよ、やればいいんだろ!」
だーもう、こうなったらやけくそだごらあああああ!
俺は、実技会場の門へと走る。
「待ってろや仮装ヴィラン共!全員駆逐してやるぅぅぅぅ!」
俺は、よろめきながらも門をくぐる
「ヒャッハァァァ!血祭に上げてやるぜぇぇ!」
「標的補足、ブッコロス」
「ぐほぁぁぁぁぁ!?」
俺は、仮想ヴィランに吹き飛ばされた。