僕のヒーローアカデミア 《異世界帰りの緑谷出久》   作:青龍の鎧

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3話

3話 『語れ過去。うなれ筋肉!』

 

「さて、少年。もうそろそろ本番である提案を述べさせてもいいかい?」

 

「あっ、すみません。色々と手間をかけさせて……」

 

僕は沈みかけの太陽を見て、これ以上オールマイトに時間を取らせるわけにもいかずに乱暴に僕の顔をゴシゴシと拭き取り、オールマイトの提案を聞くことにした。

 

「オールマイト。それで提案とは……一体?」

 

「あぁ、単刀直入に言わせてもらうが、君なら私の力を受け継ぐに値する!!

 

「……!?」

 

受け継ぐ?

それって……

 

「私の力を君が受け取ってみないかと言う話さ…どばぁっ!!

 

「力って……まさか"個性"!?」

 

僕の推測にオールマイトは血を流しつつ、大きく縦に振り肯定した。

 

「その通り。恐らく君もわたしの"個性"は『ブースト』か『怪力』かと予測していた時はHAHAHAと笑って誤魔化していたが、私の"個性"は聖火の如く引き継がれてきた物なんだ」

 

「引き継がれて……まさかそれを僕に!?」

 

「その通り。個性を譲渡する個性…それが私が受け継がれた個性!冠された名は、ワン・フォー・オール

 

「ワン・フォー…オール」

 

「1人が力を培い、その力を1人へ譲渡。その1人が更に力を培い、また新たな1人へ譲渡。この繰り返しにより、極限まで磨き上げられた、まさに力の結晶!!」

 

す…すごい。

そんな個性が存在するなんて……

 

でも、

 

「どうして、そこまで大層な個性を僕に?」

 

オールマイトがさっき僕に言ってくれた"君は、ヒーローになれる"を僕自身で否定する事はもうしないけど、それ以前に、もっとその個性を受け継ぐに相応しい人は他にもいるはずだと思う。

 

「元々、後継者は探していた。そして、緑谷出久(きみ)になら渡しても良いと思った! あの時、あの場で、誰よりもヒーローだった"無個性"の君に!!そして、さっきの君とのやり取りで私の答えはもう揺らぐ事はなくなった!!」

 

「オールマイト……」

 

「まぁ、全ては君に委ねるつもりだけどね」

 

ここまで言ってもらえて、

僕なんかに大事な秘密までさらしてくれて!

 

……あるか?

ないだろ!?

 

断る理由なんて!!

 

「お願いします」

 

僕は決意を固め、オールマイトにお願いした。

 

「即答。そう言ってくれると思ったぜ」

 

その時、オールマイトは笑っていた。

 

「それじゃあ、少年。また連絡する」

 

そう言ってオールマイトと僕は一旦この話を終えて帰路についたのだった。

 

オールマイト、ありがとう。

本当に……!

 

だからこそ、力を貰う前に……

次に会った時に、僕の全てを話そう。

 

 

 

 

緑谷出久の異世界生活を!!

 

 

 

 

 

そして2日後、僕はオールマイトに呼ばれて海浜公園まで来た。

 

「それじゃあ、まずは……」

「………」

 

オールマイトは僕の顔をじっと見つめ、

 

「君の"秘密"について聞こうか。正直私がそれを聞いていいのかと悩むのだが……」

「いいえ。オールマイトが僕にここまで秘密を話してくれたのに、僕がオールマイトに秘密を話さないなんてナンセンスです」

 

僕がオールマイトから連絡が来た時にどうしても話したい秘密があるとあらかじめ伝えていたので早速話すことにしたのだ。

 

そして僕は一息つけて、

 

「オールマイト。僕は一度、異世界に召喚された事がありました」

 

振り絞るように打ち明けた。

僕はオールマイトの顔をふと見ると……

 

WHAT?と言わんばかりの顔をしていた。

流石のオールマイトも無理はない。

 

「……そう簡単に信じてくれないかもしれません。でも、僕は例え信じてくれなくてもオールマイトに全てを話したいんです。この僕に信じられない秘密を打ち明けてくれたオールマイトには」

 

「……その話を聞くのは私が初めてかい?」

 

「はい。親にはどう話していいかよく分からなくて……」

 

「そうか、確かにこの内容をどう伝えるか、難しい話だ。だが、私ならば信じてくれると信頼してこそ、今の話をするのだろうな」

 

オールマイト……

 

「全てを聞こう。君が異世界で歩いた冒険譚を」

 

そして僕は異世界での冒険と、勇者達と紡いだ絆、魔王軍にもたらされた悲劇、異世界の民達の心の強さ、そして最後の終焉にて、親友が、仲間達が傷つき、師匠と勇者の死を間近で肌で感じ取って……この世界へ帰還した。

 

僕は異世界で歩んだ旅と戦いの日々を全てオールマイトに話したのだった。

そして、少しの静寂を置いて……

 

「緑谷少年。君は、よく頑張った」

 

オールマイトは僕の両手を取った。

オールマイトは目に涙を浮かべていた。

 

その姿に僕も泣きそうだった。

 

「オールマイト……」

 

「そして再度君に謝罪をさせてくれ。君の辛さを知らずにいけしゃあしゃあと……」

 

「オールマイト、それは逆です。あなたの言葉があったからこそ……僕はようやく過去と向き合う事が出来そうなんです」

 

「そうか…」

 

オールマイトは目に溜まった涙を拭い、空を見上げた。

 

「君の師匠、"拳王"の死。彼の生き様はわたしの師匠に似ている。そして"勇者"である彼女は……恐らくきっと、」

 

「オールマイト?」

 

師匠……

確かオールマイトが守れなかったって……

 

一体、何があったんだろう?

 

「さて、君の過去も知れた事だ。いよいよ本題に入ろう。もう二度と後悔しない為に」

 

「……はい!!」

 

オールマイトに過去の事を打ち明けて、後悔は消えないし消すつもりもない。でも心の重りが少し取れた気がする。

 

僕は今度こそ強くなると誓い、オールマイトとの特訓の幕が上がるのだった。

だけどこの特訓は……

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

分かってはいたが、生易しいもんじゃなかった。

僕はオールマイトが座る冷蔵庫を引っ張り指定の場所まで全力で走っていた。

 

「成程、異世界で鍛えられただけの事はある。お陰で乗り心地が最悪だ!!」

 

今回、僕の特訓内容はこの海浜公園に不法投棄されたゴミの撤去だった。

 

(しかし、彼の力は私が想定していた以上!!初めて見た感じは頼りなさそうだったのに……見た目で人を判断してはいけないと改めて思い知らされる)

 

オールマイトは僕の実力を見て、ニヤリと笑っていた。

 

「中々やるじゃないか少年。これなら最低限の身体(うつわ)を私の予想より、そうだな……半年程で完成する事ができる!」

 

身体(うつわ)?」

 

「あぁ、個性を受け入れる為の身体(うつわ)さ。これをキチンと作っておかないと今の君が個性を受け継いだ時、四肢が爆散してしまうんだ!!」

 

「爆散!?四肢が!!!」

 

「それ程までに力を秘めた"個性"なのさ」

 

それ程までに……

でも、オールマイトが所持している個性なんだ。

それぐらいは当然なのかもしれない。

 

「さて、緑谷少年。私が何故このゴミ掃除の特訓を君に求めるか分かるかい?」

 

「一番の目的は、身体作り。もう一つは……」

 

「おっと、少年。一番を身体作りと捉えるのはこれからの君にはナンセンスだ」

 

「ナンセンス…」

 

「最近のヒーローは派手さばかり追い求めている。それに君が所属していたパーティーは主に敵の討伐を優先して旅をしていたんだろう」

 

……確かに、勇者やその仲間達は【魔王討伐】を重視して、村や都市の滞在は最低限にして地味な活動は余りしなかった。

 

僕も魔王の脅威をじっくり聞かされて納得してしまったから。

 

「そもそもだ。ヒーローってのは、本来奉仕活動! 地味だ何だと言われても! そこはブレちゃあいかんのさ…」

 

そうだった。

僕がオールマイトに憧れたのは、沢山の人を助ける姿で……

 

「この区画一帯の水平線を蘇らせる!!そうすれば多くの人達が笑顔でここにくるかもしれない。これが君のヒーローへの第一歩だ!!」

 

異世界の冒険を振り返りすぎるのはよくない。

今度は人々と歩み寄って、強くなるんだ!!

 

 

こうして僕の特訓は本格的に始まったのだった。

 

この特訓は、本当に大変だった。

本課題だけでなく、それを達成する為の【目指せ合格アメリカンドリームプラン(改)】というトレーニングプランの指示に従い、それと並行して受験勉強もしなきゃいけなかったから……かなりキツかった。

 

僕が今まで特訓した中で2番目にキツいモノだった。

1番目は親友のドラゴンに毎日追いかけられるトレーニングだったけど。

 

オールマイトにその思い出を話したら

「君は何か罪を犯したのかい?」と聞かれ、僕は笑顔で「弱い以前にうだうだするのが一番の罪だ」と師匠に宣告されてうだうだ言ったら今度はドラゴンの餌を付けられたと言ったらオールマイトはトゥルーフォーム(痩せ細った姿)に戻ってドン引きしていた。

 

あれは本当に死にそうだった。

 

 

3ヶ月後。

 

 

特訓をする中でオールマイトが僕にオーバーワークをしていないかと僕の様子から問い詰められ、僕は怪我をしない程度にはと答えると厳しい表情をした。

 

「少年。早く強くなりたい気持ちは分かる。だが無理をしたら逆に…」

 

「分かっています。前に異世界で同じ、いやあれよりもオーバーワークをしたら酷い大怪我をしました」

 

「おいおい……まさかドラゴンに追いかけられたってアレか?」

 

「いいえ、それとは別の師匠が僕に与えた真っ当な課題最中でその時に無茶して大怪我をし、師匠に諭されました。多少の怪我ならば取り返しはつくけど、大怪我をしてしまったら人の身体は何処かで脆くなり、弱くなってしまうと……」

 

「それを分かっているのならば、尚更無茶などしたらダメだ!!君は合格したくないのか!?」

 

「したいですよ…でも、それだけじゃダメなんだ…!!例え合格しても、仮にギリギリまでかかって最低限の身体(うつわ)を完成しても、個性を受け継いだら今度はその個性のコントロールをしないといけない」

 

僕は特訓の中でワン・フォー・オールの個性について考えた。

例え最低限の身体を作れたとしても、果たして僕の身体は個性についていけるのだろうか?

 

もし、異世界の特訓がなくてひ弱だった僕だったらと一度分析してみた。それでも僕は入試ギリギリになってでも身体は絶対に完成まで持ち込むだろう。でも、そこからはどうなのか……

 

僕はそこを重点的に考えた結果。

 

「個性の調整が遅ければ遅い程、僕の身体はきっと……沢山の大怪我を負うかもしれないです。入学したら僕より何倍も個性を練り上げている筈の彼等と……」

 

「少年……」

 

「きっとそれについていく為に無茶ばかりやってしまい、最悪、身体のどこかが壊れてまともにヒーロー活動ができなくなるかもしれません」

 

「……君の無茶はやってしまう宣言は遺憾なものだが、つまり君はいち早く個性を受け入れる身体を早くつくる事が自身の大怪我をより確実に回避できると思った訳か」

 

「はい」

 

無論、そこでも身体を壊さないようにしないといけないのは変わり無いけど、それでも最低限の身体の完成はどうしても急ぎたかった。

 

今の僕の異世界で鍛えられた身体ならば、それができるかも知れない可能性を秘めていたから……

 

「自身の痛みや怪我で苦痛の顔で、助けるより……僕はオールマイトみたいな笑顔で、誰かを助けたいから!!あなたみたいな最高のヒーローに、なりたいから!!!」

 

「………」(見据えていたのは、遥か先!!ってか!!しかも自身の身体のこれから起きるかも知れない未来まで!!)

 

オールマイトはマッスルフォームになり、僕を持ち上げて、

 

「この……行動派オタクめ!!そういうの嫌いじゃないよ!!?」

 

と笑顔で言った。

 

「しかし、そこまで見据えられたら…プランの調整は必須だな!オジサン…頑張って君がより安全に、それでも早く強くなれるように頭を振り絞っていくぞ!!HAHAHA!!」

 

「オールマイト……」

 

「だが、緑谷少年。私は君の師匠に一言だけ言いたい事があるのだが…」

 

「……予想は付いてますがどうぞ」

 

 

 

「ドラゴンの好物を緑谷少年に付けさせた張本人がいう事かな?」

 

 

 

至極、その通りだった。

因みにその特訓を終えた後、師匠は彼女(勇者)に叱られて涙目になっていたそうだ。

 

多分師匠の言葉は勇者の受け売りなんだろうなと僕とオールマイトは思っていた。

 

 

そうして………

2ヶ月後の9月。

 

 

オールマイトは、驚愕した。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

オールマイトが指定した区画以外まで、チリ一つゴミが無くなっていたのだから。

 

「1ヶ月も、早く…しかも完成以上の仕上がりだ!!オーマイ、オーマイ……」

 

オールマイトはあまりの衝撃に……

 

「グッネス!!」

 

マッスルフォームに変身する程だった。

オールマイトは倒れそうになった僕を抱き抱え、「おつかれ!」と慰労の言葉をかけてくれた。

 

「オールマイト…!!僕…や、やり遂げました…!!」

 

「ああ、驚かされた!!あまりに予想外でこの姿でも血が吹き出しそうなぐらいさ!!エンターティナーめ!十代って素晴らしい!!」

 

「……へへっ」

 

「だが、これでも入り口の蜃気楼がうっすら見えてきた程度だが、この期間ならば更なるステージへ行く事が出来るだろう!!君が望んでいた"個性"のコントロールも入試までに余裕で間に合うだろうしね!!」

 

僕は自分の腕を見て、様々な感情が抑えられなかった。

 

「なんか、ズルだな…僕は……」

 

「?」

 

「オールマイトにここまでして貰えて…恵まれすぎてる…」

 

オールマイトは僕の様子にHAHAHAと笑っていた。

(緑谷少年。今更何を…自分の頑張りだろーに…)

 

「まだ泣くのは早すぎるぞ少年。寧ろ君にとってはここからが本番なのに…全くその泣き虫は治さないとな!」

 

「はい…みんなからよく言われてます……」

 

(言われてるんかい!全く……)

「さぁ、授与式だ、緑谷出久!」

 

「………はい!」

 

「いい返事!さて、これは受け売りだが、最初から運良く授かったものと認められ譲渡されたものではその本質が違う!」

 

……!

 

「肝に銘じておきな。これは君自身が勝ち取った力だ

 

ここから、僕はコミックもびっくりの現実をその手に掴み…

 

ぷちっ。

 

……ぷちっ?

 

「食え」

 

「へぁ!?」

 

オールマイトは自身の髪の毛一本を僕に渡して食えと言い始めた。

 

「別にDNAを取り込められるなら何でも良いんだけどさ!まぁ、これが手っ取り早くて確実さ」

 

………

 

「オールマイト」

 

「何だい?」

 

オールマイトの眩しい笑顔に、

 

「………ミネラルウォーター、用意してきます」

 

僕は"思ってたのと違いすぎる"という意見は野暮だと思い、ミネラルウォーターを取りに行ったのだった。

 

それが入試まで後、約5ヶ月の事だった。




目指せ合格アメリカンドリームに【改】が付いたのは元々入試直前までに課題を終えられる様に初めは作っていたけど、実際見たら案外早く課題をこなしそうだと驚いて、徹夜で作りました。

その後、オーバーワークの指摘後に緑谷少年とじっくり話し合って調整し、【目指せアメリカンドリーム《序章》】にグレードアップしました。

この作品の異世界設定、色々と変えるべき?

  • 変えるべき!
  • そのままでも大丈夫!
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