僕のヒーローアカデミア 《異世界帰りの緑谷出久》 作:青龍の鎧
「紹介しよう緑谷少年。彼は私の最も仲良しの警察、塚内直正くんだ」
「ハハッ、何だその紹介」
僕とオールマイトは現在、警察署の駐車場にいる。
僕は目が覚めた時にオールマイトがノートを見ていた。
それに驚く僕にその後警察へ行こうと言い出したので真っ青になって慌ててノートについてのちゃんとした説明を繰り返した所、「落ち着きたまえ!!」と肩に手刀を喰らってしまった。
説明は警察署に着いてから話すと言われたので言われるがままに着いてきたけど……
僕はそこである事件の捜査を担当していて、オールマイトの正体を知る数少ない人物、塚内さんと出会い、塚内さんはこの後これから話す内容に深く関わり合いのある人に会う為に行く所だったので、僕達も塚内さんに同行する事になり、そこで話をする事になった。
「オールマイトさん。すみません…例のヘドロ事件のもう一人の容疑者はまだ……」
「あぁ、やはり捕まっていないか……」
ん?
ヘドロ事件……
確かあの運命の日の翌日、朝のニュースで僕はあの時の
「え…ヘドロ事件ってあの?」
「その通り。君が
「あの時は本当にすみませんでした……」
うぅ…
滅茶苦茶ヒーロー達に怒られた記憶がフラッシュバックを……
「まぁまぁ、あの時の件は完全に私の責任だったし、もう終わった……とはいえていないか………」
「え?確かヘドロって
「うぅん……ここから先は捜査情報だから余り一般人の君には話しづらいな。例えオールマイトの後継者だとしてもね」
塚内さんの言う通りだ。
いくら友人のオールマイトの後継者だとしてもまだ学生の僕に捜査情報を話すのはいくらなんでも……
「しかし、まさか私が持っていたペットボトルを…」
「オールマイト?」
オールマイト……
結構ヤンチャな人だ。
「オールマイト。塚内さんが困ってるからいいです。それよりも……」
「話が早くて助かるよ緑谷くん。それでオールマイト、先程の電話で話した事……彼が?」
「あぁ。緑谷少年のお陰で10年前から始まった謎の事件の全貌が明らかになるかもしれないんだ」
「……え?」
10年前から始まった謎の?
「緑谷くん。ここからの今までの捜査情報は君が知らなきゃいけない事を僕は話そうと思う。」
え?
何で!?
「まず一つ目は君は今から話す事件の"被害者"の一人である事」
………!?
「被害者!?」
「その通りだ緑谷少年。君はとある事件の新しい被害者になっていたんだ。私も盲点だったよ」
「一体どういう事ですか?」
僕はいきなりの事実に困惑し、その様子を見た塚内さんがオールマイトに頼み、オールマイトがある一冊の本を僕の目の前に置いた。
「ふむ、緑谷くん。君は物語に"異世界召喚"というワードが主題の小説や漫画、そしてアニメを見た事はあるかな?」
「うーん……僕はリアルのヒーローの活躍を見るのが主な趣味で、ヒーローグッズも買ったりしてます。例えば、」
「まぁ、このヒーロー社会だからね。君の様な人は沢山いるだろうね」
あぁ、オールマイトのグッズを説明する所だったのに……
「今さっき置いた本はその"異世界召喚"に深く関わっていてね、この本の内容にはある日突然、コンビニから買い物を済ませた引き篭もりの少年が目を擦るとその光景が異世界そのものだった。そこからこの本の物語が始まるんだ」
「………僕の時とは違うけど、確かにこれは異世界召喚ですね」
僕の場合は、明確に魔法陣が現れて召喚されたからね。
「僕は大体この本を数冊読んで見たけど、元の世界に戻る方法などこれっぽっちもない主人公が幻影の家族に謝るシーンを見た時、やるせない気持ちになったし作者のツイートを見た時は正に鬼畜だと思ったよ」
「……!」
そうだ。
そもそも僕が元の世界に戻れたのは本当に偶然だった。
もしもその偶然がなかったら…!
「しかもそれを乗り越えても主人公虐めが酷くて酷くて……彼が一体何をしたっていうんだ!せいぜい親に嘘ついて堕落の日々をだね!!」
「塚内くん。がっつりハマっていないかい?」
「……こほん。失礼した」
塚内さん。
完全にこの本にハマってしまったのが僕にも深く伝わった。
「まぁ、これには彼を召喚した犯人はまだ不明だし、他の物語での召喚のケースは色々あるから一概に決めつけは良くないとは思うけど、君のケースの場合は"誘拐"に近い、いいやこれならば間違いなく君や例の子供達を召喚させた彼等は"誘拐罪"に該当する」
誘拐罪……
そうだ、僕はいきなり魔法陣に吸い込まれて……
帰る方法は見当たらないと無責任に言われて……
「言われてみればその通りだ!!」
「飲み込みが早くて助かるよ。まぁ、君の場合は異世界に召喚された時間とこの世界に帰還した時間が近すぎて、君の親も君自身すらも、異世界に無理矢理呼び出されたなんて思わなかっただろうね。まぁ、黙ってこの場から完全に消えてしまったから、家出したのではとオロオロし始めるぐらいのケースはあっただろうけど」
「その日はお母さん、買い物に出掛けていました。そして僕が帰還した時にお母さんも同時刻に家に帰ってきました。少し長かったのは僕の幼馴染のお母さんと長話しをしていたからだって…」
「成程、それなら君が話さない限り気づきようがないな……話さなかったのかい?」
本当はすぐにでも話そうと思っていたけど……
「色々とショックな事があって初めはお母さんに話す余裕がありませんでした」
「初めか…今は?」
「オールマイトと同じく、全て話しました。泡を吹いて倒れそうになったけど……」
僕のお母さん。
オールマイトの個性を引き継いだ後、僕はお母さんに異世界の事と、ついでに僕に個性が目覚めたかもしれないという話をした。
お母さんはこの後衝撃の余り大泣きして……大変だった。
でも、翌日。
「出久。本気でヒーローになるつもりなんだね?」
「うっ、うん……」
「…………頑張れ!出久。今更調子いいと思うけど、これだけ言わせて、今の出久なら、最高のヒーローになれる!お母さん、今度こそ…今度こそ出久がヒーローになる事を応援したい」
「……お母さん!」
「今の出久。超カッコいいよ」
今度は僕が凄まじい程大泣きしてしまい、お母さんも、もらい泣きした。
その後下の階の小池さん家が僕達の涙で雨漏りしてしまったと苦情が来てしまった……
僕はその時の事を思い出し少し苦笑したけど、今は誘拐の件だ。
「君にはすまないが、もうこの件は君だけの問題じゃなくなってきているんだ」
「……10年前から起きた謎の事件、ですか?」
「あぁ、それは【連続神隠し事件】と呼ばれていたが、今後は【異世界召喚・連続誘拐事件】として捜査の方針が変わるだろう」
「異世界召喚・連続誘拐事件!?」
連続誘拐……まさか!
「僕が異世界で出会った僕と同じ境遇の子達は…!!」
「そう。君がノートに書き記した君と同じく召喚された彼等全員、ここでは行方不明としてなった子供達なんだ」
僕は目を見開いた。
まさか彼等全員、僕の世界にいた子供達だったなんて!!
僕は余りの衝撃の事実に言葉も出ずに頭を抱えるしかなかった。
「塚内くん。もう少しオブラートに……彼はただでさえ」
「【拳王】ナグリさんに【勇者】トウカさんの事ですか?」
「塚内くん!!若者の心は傷つきやすいんだぞ!!」
オールマイトはズバズバと進める塚内さんに注意した。
塚内さんは僕の顔を見て、頭を下げた。
「申し訳ありません。しかし、彼等の事も彼への事実確認はしなければなりません。オールマイトも分かっているでしょう?緑谷出久は我々には到底辿り着けない彼等の誘拐先である"異世界"を語れる、もう解決しようも無い壁を撃ち破る事ができる貴重な人だという事を」
「………それは、そうだが」
僕が、この事件の壁を……
「というかですねオールマイト。貴方もこの事件を私と一緒に並行して追っているんですから、ここに来るまでに【勇者】の件のケアは少しだけでもできた筈でしょう?」
「それに関して軽々しく言ったら彼が怒るかもしれないじゃないか…」
「発想が反抗期を恐れる母親だ……」
塚内さんが余りに下手なオールマイトに苦笑しながら突っ込んだけど、
………え?
「それにね、アレを話すのならば決定的な証拠を見せなきゃ彼の心に負担がかかってしまう。現に彼はそれでずっと苦しんで……」
「待ってください」
僕はオールマイトの言葉を遮った。
彼等は一体何を話しているんだ?
【勇者】が、トウカが……死んで無い?
それに……
「塚内さん、オールマイト!!これは一体どういう事ですか!!??」
僕は感情を抑える事ができなかった。
だって彼女が、【勇者】である"トウカ"が……僕達の世界で生きていたなんて!?
「どうか落ち着いてほしい。緑谷くん。まず初めに彼女に対する結論を述べよう。【勇者】と呼ばれた"トウカ"という少女は、元々異世界に居た人物では無い。僕達の世界にいた……"ーーー"という名前が彼女の本名で、君と同じく"異世界召喚"によって連れ去られた少女だったんだ」
「う、う……嘘だわぁぁぁ!!??」
僕が大パニックを起こし、オールマイトがそれをどうにか宥めた。
「塚内くん!!全然落ち着かせる気ないじゃ無いか!?」
塚内さんがやってしまったっていう顔をし、もう一度僕に頭を下げた。
「本当にすみません……緑谷くん。私も色々と衝撃の事実に混乱している最中で、少々言葉の選択を誤ってしまいました」
「少々所ではないぞこれ…緑谷少年。ひとまず落ち着いてくれ、ちゃんと根拠も証拠もあるんだ」
僕はどうにか冷静にとクールダウンをイメージして……
そういえばこの車は、例の誘拐事件の関係者に会う為に!
「まさかこの車は!」
「その通り、緑谷くん。今現在、私の車は彼女が住む屋敷に向かっています。因みに彼女の失踪は去年の12月から1週間程。勿論家族は捜索願を出しました。しかし彼女が家族の目の前に現れた時は【既に瀕死の状態】で、最高峰の病院で手術を行い、彼女は無事に命を拾いました……あっ、オールマイト。僕の鞄に例の写真が…」
トウカが、瀕死の状態で!?
「全く、今日の君はウッカリが多いな……まぁ、私にも責任はあるけどさ。ほらよ、少年。この中に、【白髪の彼女】はいるか?」
「わぁぁぁああ、いたぁぁぁああ!!生きてたぁぁぁぁ!!!!」
僕はバケツを用意して、溢れる涙を車に溜めない様に気をつけて泣いた。
((すごい涙の量…!))
塚内さんとオールマイトは若干僕の涙の量に引きながらも、笑みを浮かべて一息ついた。
「そんな訳で、僕はこれから彼女に失踪期間の事についてまた伺いに行くんだけど、君も行くかい?」
「勿論です!!」
こうして僕達は彼女に会うべく塚内さんの車に乗って彼女がいる場所へ向かったのだった。
トウカ……本当に君は、生きていたんだ!
もし君が生きているのなら。
『私の名前はトウカ。これからよろしくね?出久くん』
生きているのなら…
『出久くん。貴方が居るだけで救われる人は貴方の目の前にいるわ』
生きているのなら!
『お願い……トウヤ兄ぃみたいに、死なないでぇ』
生きているのなら!!
『私は、貴方がいたから、貴方の想いが私に勇気をくれたから、私は勇者になる事ができたんだよ?』
生きて…いるのなら!!!
『大丈夫。君は、最高の…ヒーロー……に…』
(僕は、もう一度…君に会いたい!!)
僕は彼女に対する想いが溢れて涙が止まらなかった。
そんな僕にオールマイトは僕の肩に優しく痩せ細った手を置いてくれた。
トウカ、僕は今から君に会いに行くよ。
僕は彼女のいる場所に着くまで、汗が止まらなかった。
そして、もうすぐ到着する寸前の時だった。
「オールマイト!!
不意に塚内さんが切迫した表情で
「「
「はい。ついさっき、で二人の
「WHAT!?マジかよ塚内くん!!げふぉ…」
そんな…今現在暴れている
「それだけじゃありません。その後奴はある学生に目をつけて呑み込もうとしたけど必死に対抗を続けた学生によると、謎の格好をした"鼠男"にそのペットボトルを渡されたとの証言もあります」
「つまり我々がこれから向かう先で暴れている
必死に抵抗した学生…かっちゃんの事だ。
しかも鼠男はかっちゃんに
「……なんて奴だ」
「緑谷くん。すまないが君には…!」
「分かっています。オールマイト、制限時間は大丈夫ですか?」
「HAHAHA!心配ありがとう、緑谷少年!!時間ならばまだ余裕さ。私は一先ずさきに、言ってくる……GO!!」
「頼みます、オールマイト!」
塚内さんの車はオールマイトが早々に現場へ駆け付けるために道路の端に寄り一時停止し、オールマイトは即座に現場へ向かったのだった。
僕はオールマイトの秘密を知ってから気が気でなかったが……
「大丈夫、オールマイトは全てを救ってくれる。彼が現場にいて、救えなかった命もなく倒せなかった
塚内さんはそう豪語してくれたけど……
『緑谷少年。私もね、お師匠を……』
『この傷は5年前にとある
僕は嫌な想像を首を振って払った。
信じるんだ!
オールマイトの師匠の話は、まだ彼がヒーローになる前の話。
きっとその悔しさがずっとオールマイトの中で忘れなかった、ヒーローになってから…!
それだけじゃない。
そもそも今回の
オールマイトの強さや凄さは僕が子供の頃からずっと動画を見て、そしてオールマイトと初めて会った時にその凄さをこの目で見てきたじゃないか!!
それに制限時間はまだまだ余裕がある。
信じるんだ……オールマイトという僕が憧れたヒーローを!!
「塚内さんの言う通りです。最後に一つ、塚内さんには余計なお世話かもしれないけど気をつけて!!」
「いいや、ありがとう!僕は本当に微弱だが彼の援護をがんばれ…」
「
………え?
それは突然だった。
オールマイトみたいなガタイをした猫男が、僕の腕を掴んでいた。
「……!?お前は!!」
「おい、警察。現場へ行くのだろう。手伝うぜ?」
パァン!
そう言って、男は僕を車の中に突き飛ばして【手を叩いた】。
そして目の前の光景がある屋敷に切り替わり、そこには……
「チュッチュッチュ。ご苦労だったな【ムーブキャット】。距離もあってお前の体力はキツかったろう?」
「ガッハッハ!!お前は今日、何もしていないな?穀潰しで役立たずの【スティールマウス】!」
ムーブキャット!?
スティールマウス!!??
僕は今さっき彼等が呼び合った名前に驚愕した。
こいつらは……!!
その時、
「彼女を離せ!!
塚内さんが拳銃を構えて
そこには身体を真っ赤にしてベロンベロンに酔っているチャッカマンを右手に持った男が、僕と…同じ……ぐらいの中学生…を。
「うぃ〜、さっきオールマイトを見かけたぜぇ?何やら慌てていた様に…ヒック、ヒック!だが、【クオーラル・フレンド】のキャットとマウスにまんまと引っかかりやがった。NO.1も案外搦手が弱えな……うぃ」
「「誰が喧嘩する程仲が良いだコラァァァ!!」」
あぁ、
「おーおー、怖え…怖え…相変わらず【ギフト持ち】は凶暴でよくねえ。ヒックヒック」
「黙れ!!酒を使って数々の人達を無惨に殺した凶悪
本当に、生きていた。
「しかも、さっきの猫男の個性…まさか、数々の女性の!それもモデルやアイドルの下着をありとあらゆる方法で盗み出した【怪盗ムーブ・スティールズ】まで……だが…この姿は一体!?」
ずっと、会いたかった。
「チュッチュッチュ。ご名答、俺たちはかつては世間を騒がす怪盗だった。だがもうとっくにアルコールも俺たちも【さる御方】の部下に過ぎない。今回派手な手段を使ったのは……」
「出久くん!?どうして君がここに!!??」
間違い無く、聞き慣れた声、見慣れた美しい白髪……でも少しだけ赤みが見えている様だけど、彼女の反応で僕は確信した。
「うぃ〜、俺たちの任務が【異世界帰還者】を全て殺せと命令が下されたのさ?なぁ、緑谷出久。そして俺達の部下を散々ぶちのめしてくれた勇者トウカ…いや、轟 凍花!!」
彼女の、本当の名前は…轟 凍花!
そして勇者トウカと呼んだ
僕はコイツらの名前と姿に聞き覚えと見覚えがあった。
コイツらは、【魔王軍】の!!
こうして僕は、死んだと思った筈の彼女との再会。
そして異世界にいる筈の魔王軍の部下との対峙。
これがいつか起きる異世界を揺るがす大事件の始まりの切っ掛けだったと、いつかの未来の僕は思い知る事になる。
だが今の僕には、彼女を今度こそ護る!!それしか頭に無かったのだった。
5話 再会の勇者と異世界からの刺客達
感想欄に見事【勇者】の正体考察をし、見事ドンピシャで当たっていて、本気で驚きました。
正に、名探偵です!
お見事でした!!
この作品の異世界設定、色々と変えるべき?
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変えるべき!
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そのままでも大丈夫!