僕のヒーローアカデミア 《異世界帰りの緑谷出久》   作:青龍の鎧

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7話

人は生まれながらに平等じゃない。

 

私は生まれてからずっと、父親に構ってもらえなかった。

双子として共に生まれた焦凍と、ずっと会えなかった。

 

その理由を私が4歳の時に燈矢兄ぃに聞かされて、自分は焦凍みたいにはなれない失敗作と思い知った現実。

 

 

これが私の最初の挫折。

 

 

だけど、

 

『僕は焦凍。君の…名前は?』

『わ、私は凍花』

 

これが、双子の焦凍との初めての出会い。

焦凍と私は今までの出来事や自分の気持ちを沢山語り合った。

 

『僕は、燈矢にぃ達とずっと遊びたかったし凍花にも会いたかったんだ』

『うん。私も……ても、私達、失敗作だからって……遠ざけられて、私達と焦凍とは……本当に見る世界が違うのかな?』

 

私は燈矢にぃに告げられた現実を受け入れかけていた。

それは、溶けない氷の様に…重く、固く。

 

焦凍は悲しそうな顔をしたけど、

何かを思い出したかの様に私に質問をした。

 

『………そういえば、凍香はどんな"個性"を使えるの?』

『実は、まだ"個性"が出なくて……』

 

私はふと、兄に告げられた事を思い出し、泣きそうになっているのを焦凍は見て、しばらく黙り込んだ後、

 

『凍花。少しだけ、僕が個性を使う所を見てくれない?』

『え…?』

 

焦凍はそう言って小さい氷を生成した。

その後に、焦凍は…

 

『どんな個性も、まずはイメージからだってお父さんが言っていたからさ。凍花も試してみたら?』

 

そう提案してくれた。

 

『でも、私は……』

 

私は生まれてこの方、個性の事は深く考えたくなかった。

 

冬ねぇや夏にぃ、そして燈矢にぃも自然に発生する様になっていたのでその現象が起きていないし、病院にも何回か行ったけど発動する兆しが…とお医者さんに言われたので、自分は"無個性"なんだと思っていた。

 

多分、焦凍は私が"無個性"だっていう事を知らないんだ。

私はお父さんの徹底的な方針の一面を悟ってしまい、気分が暗くなった。

 

でも、焦凍がせっかく提案してくれたから無下にはしたくなかった。

とりあえず私は、頭の中で大好きなお花を浮かべて想像してみた。

 

そう、そのお花は……

 

『お母さん、この花は?』

『これはね、私が大好きな花。昔、あの人が……』

 

そこに、今では信じられないけどお母さんとお父さんと【繋いでくれた花】。

 

私は、お母さんの話を聞いて、その花が大好きになった。

私は、お父さんにも甘えてみたいと初めて思えた。

 

その花をイメージして、

 

私は"氷"でその花を、再現してみせた。

 

少しのボロもなく、私のもてる限りを尽くして完璧に。

 

その時、焦凍は「凄い!凄い!」と嬉しそうに言ってくれた。

私は、焦凍の笑顔と自分の作った花を見て、凍りついていた何かが溶ける感覚を覚え、そこからずっと、焦凍と笑い合った。

 

そんな中、お母さんは私達のやり取りを全て見ていた。

本当は、私と焦凍とは関わってはいけない関係だった。

でも、お母さんは私と焦凍を叱らずに、抱きしめて……泣いていた。

 

それは、お父さんと喧嘩した後にいつも一人で啜り泣いていた、いつもの悲壮の涙じゃなかった。

それは、罪悪感も混じってはいるけど、それ以上に嬉しさが沢山込もった……歓喜の涙だった。

 

私はその後、お母さんと一緒に病院に連れられ、"個性"が発現した事を医者に告げられた。

医者が話していた事は、当時の私には難しかったけど……私の身体と"個性"の相性は焦凍すらも超える程、素晴らしい物だという事実を後に知る事になる。

 

その帰り道、お母さんは私をまた抱きしめて、こう言ってくれた。

 

「凍花。貴方も、なっていいんだよ。焦凍みたいに強くなれなくても、貴方がなりたい"ヒーロー"に……なって………」

 

私はまた泣きそうになったお母さんに釣られて泣いてしまい、お互いに慰めながら家に帰った。

 

そこからの思い出は、楽しかった。

お兄ちゃん達とお姉ちゃんと過ごす以外に新しい日常を見つけたから。

 

お父さんは相変わらず怖くて、それでも今度はお父さんとも話してみたくて、結局、無視された。

 

それでも、お母さんが私を連れて、焦凍と会わせてくれて、焦凍と沢山ヒーローの話をして……個性の練習を少しして、焦凍が私の為にノートを作ってくれて、

 

私は挫折を乗り越えかけた……筈だった。

 

 

しかし、5歳の時……

私と焦凍が密かに会っているのがお父さんにバレてしまった。

お父さんの怒りは凄まじかった。

 

「燈矢から全て聞いた。冷!!貴様はなんて事をしてくれたんだ!?」

 

私は、お母さんを守ろうとお父さんに立ち向かう焦凍の陰で震えながら、炎が漏れかけの怒り狂ったお父さんをずっと見続けていた。

 

きっと、これがキッカケだったのかもしれない。

私は火に対して"恐怖心"を抱き始めのは……

 

ここから、更に不幸は続く。

焦凍の右半分の顔に一生残る火傷が残り、

その原因を作ったお母さんは壊れてしまい、

 

その数日後、燈矢にぃは私の目の前で"炎"に包まれて死んだ。

 

私も燈矢にぃと同じく炎に包まれたが、私の体質と無意識に発動した"個性"により、山火事は想定より早く鎮火し、ほぼ"無傷"の状態で発見され、命に別状はなかった。

 

兄の死以降、私は"炎"に対してトラウマになり、"炎"を見るたびにパニックを引き起こし、泣き喚き、死んだ兄の名前を叫びながら泣いていた。

 

そんな私に冬美ねぇや夏にぃはすぐに駆けつけてくれて……

しかし、それでも私は恐怖が消えずに泣き叫び続けて、個性も漏れてしまって……焦凍が私を抱きしめてくれた時、やっと心が落ち着きみんなに謝り続ける。

 

そんな日常がほぼ毎日だった。

焦凍はそれ以来、私達姉弟と絶対に関わるなとお父さんに言われたが、

 

『俺はもう、二度とお前に家族を傷つけさせない!!俺が家族を、凍花を守るんだ!!凍花を守れない"ヒーロー"なんか、俺は絶対にならない!!』

 

そう断言し、お父さんを黙らせた。

その時の焦凍の気迫は凄まじいものだったと夏にぃは言っていた。

 

その甲斐あって、私達と焦凍は一緒に過ごす様になり、バラバラだった姉弟の壁は徐々になくなっていったし、私は小さい火ぐらいは平静を保てる程に回復した。

 

だけど一方、焦凍が段々お父さんみたいな鋭い目になり始め、私はそれ以上の炎のトラウマを完全解消する兆しが見えずに、それぞれが追い詰められながら、日々を過ごしていた。

 

それはお父さんと私達の確執、溝はさらに深みを増していって……

 

でもある日、お父さんが私に可能性を見出して焦凍とともに訓練をしなさいと言われ、私はお父さんに自分の夢を認めてくれたと喜び、心の何処かで怯える心を殺そうとみんなの反対を押し切り、お父さんとの訓練に必死に耐えて、耐えて、耐えて……

 

そして、

 

『凍花。もう諦めなさい』

 

それは唐突だった。

あの日、燈矢にぃの仏壇のある部屋で言われた。

 

私は目を見開いた。

 

『どうして?』

 

私はお父さんに理由を求めた。

お父さんは、淡々と理由を語った。

 

『俺はお前の可能性に賭け、克服訓練を始めた。だが、最早お前のトラウマは回復訓練で治る物じゃなかった。実際にあれから、まるで変わらなかった。あれ以上の回復の兆しは…起きるどころか悪化しかけている』

 

私はお父さんに突きつけられた事実に反論を言う事ができなかった。

お父さんの言う通り、炎を完全に克服出来ていなかったから…

 

『凍花、全ては俺の責任だ。俺や焦凍すらも越えられる資質を持っているお前を見なかった。本当に…すまなかった』

 

お父さんはそう言って、私に頭を下げた。

私はそんなお父さんの姿を見て、目に涙が浮かんできた。

 

お父さん。

私、頑張るよ?

 

トラウマなんか乗り越える。

乗り越えてみせる。

 

『忘れるんだ。ヒーローへの想いと夢は、全て』

 

みんな私がヒーローになるのを応援してくれた。

 

お母さんも、

冬ねぇも、

夏にぃも、

 

焦凍も、

そして…お父さんも、

 

だから私はなるよ?

 

最高の、

 

『焦凍と冷。そして俺の言った事は、全て忘れろ

 

ヒーロー…に、

 

『凍花。"炎"に怯え何もできないお前は、ヒーローにはなれないし…誰かを助ける事は、出来ないんだ』

 

な……

 

………あ。

 

私はお父さんの一言により、

三人の泣き顔が浮かび上がった。

 

『凍花……全ては俺の、凍花?凍花!!』

 

私は引き止めようとするお父さんを振り切り、靴も履かずに外へ飛び出した。

 

悔しかった。

情けなかった。

許せなかった。

 

だけど、その矛先はお父さんに向けなかった。

何故なら、もっと許せない存在がいたのだから。

 

焦凍と夏にぃは勿論、冬ねぇも心のどこかで全てお父さんのせいだと思っている。

確かに、今こんな酷い状況を作ったのは間違いなくお父さんの執念が起こした物だ。

 

だけど、それを止める事が……私ならできた筈だった。

その思いは、私の"個性"がお父さんにより話を聞いた事で疑念が深まり……お父さんのさっきの言葉で確信に至った。

 

あの日、燈矢にぃが炎に包まれた日。

私が"個性"を使って助けていれば……

 

どうして"個性"を使わなかった?

燈矢にぃの事は本当に大好きだったのに、

何で氷で消す事が……

 

どうして。

どうして。

どうして。

 

あの日、私の心に……

そもそも私はどうして燈矢にぃの元へ?

 

どうして?

どうして?

どうして……

 

『燈矢から聞いたぞ!お前…凍花と焦凍を!!』

 

そうだ。

私はあの日、燈矢にぃにあの事を問い詰める為に山に行って、

それで……

 

『燈矢にぃなんか、大っ嫌い!!』 

 

そうだ。

私は、燈矢にぃに『大嫌い』と罵って、

その瞬間に燈矢にぃは……!!

 

私はそのショックで!!

 

私はその記憶を思い出した瞬間、全ての憎悪を自分に向けた。

私は【自分】が大嫌いになった。

 

 

それが私に起きた、二回目の挫折。

 

 

 

私は自殺を考えた。

天国にいる燈矢にぃに謝りに行くために瀬古杜岳に訪れた。

燈矢にぃが焼け死んだ場所で、自分の"個性"を自身にぶつけて、自身が凍り尽くす事だけを意識して、ただただ、泣いて、謝って、泣いて、泣いて、謝って、泣いて、泣いて、そして……

 

『大丈夫?』

 

私はその一言で、目を覚ました。

私の目の前には、一人の女の子がいた。

 

見知らぬ女の子だった。

私と同年代の……

私はその子に目もくれず、自身の無事を確認して……

 

『ゔぁぁぁぁ……、うぁぁぁぁぁ!!』

 

私は沢山泣いた。

今までの気持ちがはち切れて、泣いた。

 

そんな私に見知らぬ女の子は、驚いたものの……

微笑んで、私を温める様に抱きしめてくれて………

 

そして、私は自身が"異世界召喚"された事を先程の女の子……否、一王国の姫である【ピース】に召喚された経緯とこの国の状況の全てを聞き、彼女の助けを求める目を見て、私は【勇者】として立ち上がった。

 

私はそれからとにかく"個性"を磨き続けた。

奴等の野望を打ち砕く為に、

 

強くなり、

強くなり、

強くなり!!

 

そして……あの運命の日。

私は緑髪の少年と出会った。

 

彼は、私の同郷だと言う事は"オールマイト"の話を聞いて確信した。

私も君と同じ同郷なんだと顔を近づけて言おうとすると、出久くんはいつも顔を真っ赤にして逃げ出した。

 

その時は、嫌われてるのかと泣きそうになったけど、あの時話さなくてよかったと思ったのは後の話である。

 

私は旅の仲間達が集結したとピース姫に告げられ、やっと旅立つ時が来た。

だけど、その旅立ちの日。

 

その仲間候補の一人が、(ヴィラン)……魔王軍の一人に人質に取られたと報告があって、すぐに駆けつけた。

 

だけど、現地へ着いた時、そいつは【炎を使う敵】だった事が判明し、私は顔が真っ青になり震えが止まらなかった。

 

だけど、そこには出久君がいて……

必死に助けを求める目をした少年を助けようとする姿を見て、

 

私の震えは、

 

『アイス・メイク、【弓矢(アーチェリー)】!!』

『アイス・アロー!!』

 

完全に止まった。

私の技は奴の右肩に当たり、その隙を突いて出久くんは少年を助け出した。

奴は怒り狂い、私に襲いかかったが、今の私に怖いものはなかった。

 

それは何故?

きっと、

 

私の目の前にいる出久が、私のなりたい……

 

『アイス・メイク、【(ブレード)】』

 

最高の、勇者だったから。

この時の私は、親友であるピース姫の為、そして誰かの為に命を張れる彼を守りたくて、

 

『氷結剣・アイスカリバァァァーーー!!!』

 

私は、この誓いの必殺技を編み出した。

その後、私はパーティメンバーの反対を押し切って、出久くんを仲間にした。 

彼ならきっと私を超える勇者になれると信じていたから。

彼の勇気が、私みたいにみんなを照らしてくれると確信したから。

 

そして私は、いずれ出久と親友になる先程彼に助けられた【ドラゴンライダー】の少年、"ビクト"。ピース姫に紹介された【賢者】のお姉さんの"ヒール"と【狙撃手】の"ピストル"。

 

そして私が誘った"出久くん"と共に、魔王を打ち倒すべく、修行を兼ねた魔王城への冒険の旅に出発したのだった。

 

だけど、その旅を続ける内に……

私の弱さが露呈して、みんなの足を引っ張って、引っ張って、でもその度に、

 

『君は、最高のヒーロー(勇者)になれる』

 

と出久にいつも言われて、震える身体を殴りつけて…!

 

戦って、戦って、戦って、出久に縋り泣き、戦って、戦って、戦って……

 

そして、魔王との最後の戦い。

仲間の二人が行方知らず、捕らえられた。

そして出久の親友が傷つき、私が意識を失う直前。

 

私の最期を悟り、出久に言いたい事を言いかけた時…

 

出久の顔が、見た事のない形相で泣き、聞いたこともない叫びを上げて、そして…魔王に突貫する姿を見て、

 

 

 

 

私は彼を止めようと、声にもならない声をあげて、手を伸ばそうと、伸ばそうと、伸ばそうと……

でも、視界がぼやけて…。

 

 

 

気づけばその手は、何故かお父さんが……号泣しながらその手を握っていた。

周りに救急車と警察がいて……

その時、私は全てを悟り…涙を流した。

 

 

 

私は、あの時と同じ…何一つ守れなかったのだ。

 

 

これが、わたしの夢を諦める理由……

もう、その決意は揺るがな……「凍花」

 

その時、声がした。

その声は、強い決意の詰まった声。

 

「出……久?」

 

「「緑谷くん!?」」

 

緑谷出久は、再び私の目の前に現れた。

私はさっきの会話を聞かれたと即座に理解し、私は彼をもう見ない様に布団に籠った。

 

「「凍花!」」

 

冬ねぇと夏にぃは布団に籠った私を叱った。

でも私は今の出久の顔を真っ直ぐ見れなかった。

 

私はもう諦めたかったから。

これ以上、誰かに失望されて欲しくなかったから。

これ以上、守れなかったのだ無力を味わいたくなかったから。

 

これ以上……

 

でも、君の顔を見てしまったら!

私は、また部不相応の夢を……!

 

出久は、私を異世界で心が折れた時に励ました優しい声で私のそばに近づいたのを感じた。

そして、震える私に……

 

「ありがとう。ずっと、僕や仲間達を助けてくれて」

 

そう、語りかけた。

私は自然に布団から出てしまい、彼の顔を見てしまった。

 

出久の顔は、優しい笑顔だった。

もうダメだ。

私は完全に彼のペースに呑まれてしまった。

 

私は頬を赤らめつつ彼を見た。

 

「僕は、凍花が炎に対して深いトラウマを持った事。しっかり覚えている」

「うん。その話を聞いた出久は、私に泣いて謝り続けてた」

 

出久の顔が真っ赤になるのを見て少し吹きかけたけど、出久は首を振って気を取り直した。

 

そして、

 

「凍花。僕は君に伝えたい事があるんだ」

 

「出久?」

 

「凍花。僕は君と出会ってからずっと憧れていた」

 

出久はそう私に告げた。

私は出久の伝えたい事に納得できなかった。

 

「憧れ?」

「うん。凍花の優しさに、勇敢さに、強さに憧れていた」

 

……私が?

 

「僕は今まで、二人の眩しい存在を追いかけてた。その内の一人はもちろんオールマイトだけどね。でも、君と出会った事で凍花も僕にとって眩しい存在の内の一人になったんだ」

 

違う。

私は……そんな大層な!

 

「僕は異世界に迷い込んで、完全に独りぼっちになりかけた時、君は僕に手を差し伸べてくれた」

 

「!」

 

私と出久との出会い。

彼はあの時、パニックに陥っていて……最終的に私が抱きしめて落ち着かせたあの出会い。

 

あの後、出久は鼻血を吹き出し倒れてしまった。

あの出会い。

 

「そして君が暴れる敵を倒してビクトを助けてくれて、そして"僕にヒーローになれる"って言ってくれた。その日から凍花は僕の憧れに、"ヒーロー"になったんだ」

 

「出久……」

 

「凍花。僕は君の過去を知っている。だから君にヒーローになれなんて迫らない。僕は君の選択を受け入れる。でも、僕から……君に後一つだけ伝えたい事があるんだ!」

 

「また?」

 

「うん。これが君に伝える"最後のエール"。でも、そのエールは根拠も無いし説得力も……君のトラウマも…」

 

私は変なところで口籠る出久の両肩を掴んで、彼の言葉を聞く準備を整えた。

出久は意を決して、

 

「君は、ヒーローになれる」

 

私にそう伝えた。

私は今まで、泣き続けた後に出久からエールの言葉を貰っていた。

 

それがあったから私は勇者になる事ができた。

でも、今は違う。

 

きっと強くなった出久を見てしまったから。

出久なら私の代わりにと、希望を持って……

 

私は出久を抱きしめて、

 

「ありがとう、ごめんね?」

 

その言葉だけを残した。

出久は私の答えを察したのか泣きそうになったのを、私の答えが揺らがない様にと堪えて、

 

顔を乱暴に拭いて、

 

「うん。僕の方こそ、ごめん…無責任な事、言って」

 

そう言って、病室から出た。

その間、私の心はポッカリと穴が空いた気分になった。

 

夏にぃと冬ねぇはずっと泣いていた。

私は、もう涙は……

 

 

枯れちゃった、かな?

 

 

これが、私の……

 

 

7話『轟 凍花 フラストレーション』

 

 

結局、凍花の心は変わらなかった。

当然だ。

 

あんな過去を知って、

それで心を殺してヒーローになれなんて……

 

余りにもふざけた話だ。

僕が伝えるべき事は伝えた。

 

後は、凍花の………

 

「緑谷少年。大丈夫か?」

 

オールマイトが心配して声をかけた。

僕は大丈夫と笑顔で返したけど……

 

実の所、全く大丈夫じゃなかった。

だって、あの時の彼女は……

 

 

 

 

無理矢理、【夢】を捨てようとしたあの時の僕と、重なって見えたから。

 

その直後、僕は一人の顔に火傷を負っている少年とすれ違ったが…

今の僕はそれどころではなかった。




轟 凍花

雪みたいな白色で長髪の少女。
クールで知的な見た目だが、とても元気で人懐っこくて…出久と同じ、泣き虫。
他人との距離感がとても近くて、なにより素直で優しくて困っている人を見たら率先して助けていたので、小学校と中学校では人気者だった。

人懐っこくて他人との距離感が特に女の子達には近かったので、男の子からは手を出さずに微笑ましく見守ろうというスタンスで凍花と女の子達のやり取りを見ていた。
その結果。凍花は意図せずに、百合ハーレムを作ってしまったのだ。(当の本人は自覚なし)だけど、その女の子達は彼女の夢を応援する為に本人に告白せずにしまって置いたとの事だ。

《個性》温度操作【コキュートス】

氷結系の個性で最強の火力を持つ個性。
この個性には様々な可能性を秘めており、【炎】を氷漬けにしてそのまま消火したり、想像力を働かせて【氷】を生成したら本物とほぼ同じ性能と見た目を持つ物が出来たりと、氷に関する事ならなんでも出来てしまう凄まじい"個性"。

その力は、エンデヴァーの【ヘルフレイム】はもちろん。轟焦凍の【半焼半冷】と並び立つ事が出来る程。

弱点は二つあり、
一つが自身の身体が個性を使う度に凍ってしまう事なのだが、凍花はそんな凍傷すらも今まで一度も負っておらず、炎は出さずとも凍傷を防ぐ事ができるほどの熱を自動的に出せる事が判明した。

二つ目は、使った氷を消すのに時間がかかってしまう事。
だけど彼女が氷にがっつり触れたらすぐに溶けてしまったとの報告があった。
恐らく、先程の自動熱によるものかもしれない。

それにより彼女は、氷をすぐに作れたり溶かしたりする事ができる温度操作が出来る事が判明した。
だが、氷の威力があまりに凄いので温度操作という名前だけでは…と言う声が恐らく出てエンデヴァーの地獄の炎に擬えて【コキュートス】という個性名になる可能性が高い。

だがそれは本人にとってはどうでもいい話だ。

因みに氷は溶けたら勿論水になるので個性が発現してからはおねしょの回数が増えて、中学2年生になるまで治らなかった。

この作品の異世界設定、色々と変えるべき?

  • 変えるべき!
  • そのままでも大丈夫!
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