オーク力士ですが、なにか?   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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13 さまよーう

 地龍四体から命からがら逃げ切り、下層の大空洞をさ迷う。

 壁すら見失って、自分が今どこに居るのがさっぱりわからなくなった。

 記録のスキルによる脳内マッピングも、現在地がわからず、目印すらない場所を歩いてるせいで役に立たない。

 早く見覚えのある目印でも見つけて、前に覚えたマップに戻らなければ。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『記録LV1』が『記録LV2』になりました》

 

 ……使えなくなった途端にレベルアップするとは皮肉なもんだな。

 おのれ地龍。

 

 

 

 

 

 それからかなり長い事、代わり映えのしない場所を歩き続けた。

 本当に、かなり長い事……。

 長すぎて、鑑定のレベルが二つも上がるくらいには長い旅路だった。

 そして恐ろしい事に、過去系ではなく現在進行形だ。

 気分転換と修行を兼ねて、相撲の稽古に似たハードなトレーニングで自分を鍛えたながら進んでいるが、ここまで変化がないと、その内発狂しそうで怖い。

 

 ちなみに、進化した鑑定の性能はこんな感じだった。

 

『オークジェネラル LV20

 ステータス とても強い』

 

 アバウト。

 とてつもなくアバウト。

 いや、とても強いと言われるのは嬉しいんだが、もう少し正確な数値とか出せなかったのかと。

 

 しかし、今回ばかりは鑑定のレベルもそれなりに上がってきた事もあって、使える機能も追加された。

 なんと、自分のHP、MP、SPというステータスが見られるようになったのだ。

 

 例によって正確な数値はわからなかったが、緑の『HPバー』、青の『MPバー』、黄色と赤の『SPバー』という形で、大まかなHPMPSPの残量が把握できるようになった。

 なんか黄色のSPバー以外、変動するタイミングがおかしいけどな……。

 HPバーとか、かなりダメージ食らってからじゃないと減り始めないのだ。

 バグってるのか、それとも何か事情があるのか。

 一応、黄色のSPバーだけは正しく動いてるから、何かしらの事情があるんだと思いたい。

 ここまで頑張って育ててきたのにバグったとかいう可能性は考えたくない。

 

 その唯一正常に変動してる黄色のSPバーは、息切れするくらい激しく動いたら減り、少し息を整えれば高速で回復していった。

 モ◯ハンのスタミナゲージみたいな感じだ。

 自分がどれだけの間連続で動けるのかがわかるから、かなり重宝している。

 

 ……しかし、鑑定がそんな使える感じに進化する程の時間が経ったというのに、この遭難生活が一向に終わらない事にはかなりの危機感を感じるな。

 猛烈に、同じ所をぐるぐる回ってるんじゃないかという嫌な予感がする。

 途中から倒した魔物の食えなかった骨なんかを放置して、とてもバイオレンスなヘンゼルとグレーテルをやってるが、その内最初に倒した魔物の骨が見えてきそうで怖い。

 

 唯一の救いは、ヘンゼルとグレーテルができるくらいに獲物となる魔物と遭遇したおかげで、食料に困らなかった事だな。

 倒しまくったおかげで『魔物の殺戮者』なる称号を獲得し、ついでにレベルも随分と上がった。

 現在のレベルは、鑑定にも表示されている通り20。

 実はこのレベルで次の進化ができるんじゃないかと予想していたんだが、当てが外れた。

 

 今の種族がオークジェネラルである以上、この上にオークキングなりオークロードなりがありそうな気がしてるんだがなぁ。

 まあ、地道にレベルを上げていって確かめるしかないか。

 できれば進化する頃には迷宮の出口とまでは言わないから、この無限牢獄だけでも脱出していたい。

 

 とか思っていたら気配感知に反応あり。

 次の獲物を見つけた。

 ん?

 こいつは……

 

『オークキング LV20 ステータスの鑑定に失敗しました』

 

 おお!

 やっぱりオークキングは存在したんだ!

 体格も俺より一回り大きいし、間違いなく俺の上位種だろう。

 

 だが、今はそれよりも大切な事がある。

 目の前の存在はオークキング、つまり俺の同族だ。

 そして、オークが群れを作る魔物であるという事は、生まれた直後の経験が保証している。

 

 つまり、このオークキングは味方にできる可能性があるという事だ!

 味方にできたのなら、この無限牢獄から脱出する方法も教えてくれるかもしれない!

 それに、いい加減一人ぼっちは寂しい!

 豚でもいいから仲間が欲しい!

 

 さあ、友よ!

 俺をお前の仲間に入れてく……

 

「ブォオオオオオオオ!!!」

 

 あ……。

 オークキングが他の魔物と同じように俺を威嚇し、手に持った骨をそのまま使ったような棍棒で殴りかかってきた。

 どうやら、オークは自分の群れ以外の同族を仲間とは認めてくれない種族らしい。

 

 殺しにきた以上、容赦はできない。

 俺はいつものぶちかましでオークキングを沈めた。

 いくら上位種とはいえ、地龍ともそれなりに渡り合えた俺には到底及ばなかったらしい。

 せいぜい、グレータータラテクトより少し上といったところだろう。

 くっ!

 お前とは友達になれると思ったのに!

 

《条件を満たしました。称号『血縁喰ライ』を獲得しました》

《称号『血縁喰ライ』の効果により、スキル『禁忌LV1』『外道魔法LV1』を獲得しました》

 

 倒したからには食わないと勿体ないと思って食ったら、何やらとてつもなく猟奇的な称号を獲得してしまった。

 ついでに、豚肉は結構美味くて、とても複雑な気持ちになった。

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