力士カンストさせた後も色々と試したが、やはりアナウンスはスキル名を一言一句違わず念じなければ答えてくれないらしく、取れたスキルは『鉄壁』『危険感知』『無臭』『状態異常耐性』だけだった。
これでも良い方だろう。
問題は、自分のステータスがわからないので、これがどれくらいの効果を及ぼしてくれているのかもわからない事だが。
ワンチャン鑑定のレベルが上がればわかるようになるかもしれないと思ったが、さすがにそれは博打どころの騒ぎじゃないので思い留まった。
鑑定のやらかしっぷりを見てると、力士と違って賭ける気にもならんわ。
一縷の望みにかけて鑑定はこれからも積極的に使っていって熟練度でのレベルアップを目指すとして。
あとは俺の生命線である隠密系統と感知系統のスキルを、力士を強化した時と同じ要領でレベルアップさせておいた。
それでもスキルポイントはまだまだ余ってるが、これ以上のポイント消費は有用なスキルが見つからないので保留。
スキル一覧とかが切実に欲しい。
せっかくのポイントも、使い道がわからないんじゃ宝の持ち腐れだ。
さて、スキルポイント使うのに時間かけてたせいで、またちょっと腹が減ってきた。
また狩りに行くか。
そう思った瞬間、背後に何者かの気配と身の危険を感じた。
気配感知と危険感知が仕事をしてくれてる。
そのおかげで背後からの奇襲を回避し、ダメージなしの状態で不意討ちをしてきた相手と対峙する事ができた。
『蛙』
今回の襲撃犯は、またしても蛙。
こいつら大繁殖でもしてるのか、この数日で結構狩ったのに、次から次へと現れる。
というか、そこそこ高レベルの隠密系スキルを持つ俺の後ろを取るとは。
やはり図体がデカいと、いくらスキルがあっても、かくれんぼは苦手なままという訳か。
だが、こいつが現れた事自体はちょうどいい。
前までの俺と何が変わったのか、この一戦で試させてもらおう。
俺は蛙と向かい合い、地面に手をついてから、一気に体を起こして突進した。
はっけよい!
前回と同じく、俺の全力のぶちかましが蛙に直撃する。
だが、前回と違って蛙はこの一撃だけで体を爆散させてしまった。
……は?
なんだ今の威力は?
ぶちかましの威力が前回とは比べ物にならなかった。
まるで紙の壁にぶつかったかのような手応えのなさで蛙を葬ってしまった。
……俺の体、強くなりすぎじゃないか?
思い当たる理由なんて、力士のスキルがカンストした事しかない。
マジか。
力士ここまで凄いスキルだったのか。
やはり力士こそが最強なのだ!
ちょっとテンション上がりつつ、爆散してしまった蛙の亡骸を食べる。
相変わらずの不味さで、テンションはあえなく元に戻った。
いや、それにしてもこのパワーは素晴らしい。
今ならあの巨大蜘蛛……は無理にしても、あれより一回り小さかった蜘蛛くらいならギリギリぶん投げられるんじゃないかとすら思う。
まあ、投げるだけで、トドメを刺す前に反撃で殺されると思うが。
その時、再び気配感知に反応あり。
かなりデカい気配が近くに居る。
目を凝らしてそいつを探し、そして見つけた。
『蜘蛛』
そいつは我がトラウマである蜘蛛だった。
だが、前に見た二体よりも更に小さい。
多分、下位種とかそんな感じなんだろう。
それでも、身長2メートルの俺よりデカいのはなんなんだと思うが。
《熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定LV1』が『鑑定LV2』になりました》
お、ここでようやく鑑定のレベルアップか。
地道にコツコツ使い続けて、ようやくレベル2。
力士とかを課金感覚で育てた経験としては、スキルレベルが高くなればなる程、レベルアップに必要な熟練度も上がっていくんだろうし、先が思いやられる。
だが、ここはレベルアップした鑑定に少しだけ期待して、蜘蛛を再鑑定してみよう。
『タラテクト』
おお、種族名がわかった。
……だからなんだ?
どうやら、実用化までの道は遠いらしい。
そして、鑑定してる内に向こうも俺に気づいたらしく、一気に突進してきた。
俺もまた地面に手をつき、突撃の準備を整える。
……いつまでもトラウマに悩まされてる訳にもいかない。
ただの勘だが、今の俺の身体能力なら、目の前のこいつくらいやってやれない事はない気がする。
ならば逃げない。
力士の誇りにかけて、正々堂々真っ向勝負で相手をしてやる。
さあ、いざ。
はっけよい!