迷宮無しの魔術の破壊者   作:C₆H₁₂O₆

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FGO年末特番で放送される事件簿ですが……予告映像見てビビりました。
魔術的な方法でエルメロイⅡ世からウェイバーにしてたら、公式からの供給(ガチな設定)受ける所でした。


古美術商殺人事件 その4

 絹を裂くような悲鳴に、コナンはとっさに携帯電話を取り出した。誰かに電話をかけているようだ。

「蘭姉ちゃんとウェイバーさんはこの門見張ってて。やっと繋がった…おじさん、家から悲鳴が聞こえたけど何があったの?」

『コナンか…今どこにいる?』

 電話越しから聞こえる声には緊張が含まれていた。声の主は毛利小五郎だろう。

「2時間くらい前から家の前で待ってたよ」

『分かった。救急車と警察を呼んでくれ…殺人事件だ』

 

 

 二〇分もしないうちにパトカー(Panda car)が数台到着した。コナンは警察官の到着と同時に邸宅の中に入って行った。

「ちょっ…コナン君!?」

 ウェイバーが注意しようとしたが、一瞬で姿を消した。日本だろうがイギリスだろうが事件の捜査は警察の仕事だ。小学生が事件現場に入るのは、いくら名探偵だと言っても良いはずがない。

 警察官は母屋から分かれた、離れと呼ばれる建物に集まっていた。コナンの小さな姿は、制服の紺色の中で目立っていた。

「コナン君、早く毛利探偵と合流して帰ろ────」

 息を呑んだ。そこには殺人事件と呼ぶにはあまりに派手な死体があった。多少の死体や命のやり取りには慣れているつもりだったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()には中々出会えないだろう。

 

「殺人事件と聞いて来てみれば…また君かね毛利君」

「いや~ 名探偵の傍に事件有り、とでも言いますか…ですが警部殿、今回は別件でこちらに来てましてですね」

 壁や天井にまで刀傷の残る室内では、茶色のコートとソフト帽を身に着けた恰幅の良い人物と、青いスーツ姿のオールバックにちょび髭が目立つ痩せ型の人物が親しげに話していた。後者はウェイバーが探していた人物、毛利小五郎だ。

「しかし酷いもんですな…死因は刀による刺殺でしょうが、ここまで部屋が荒れてるとなると激しく抵抗して一戦交えたんでしょうな」

「そうだろうな…しかし今時日本刀とはな。被害者も和装だし、時代劇か何かみたいだ」

 ウェイバーは搬送される死体を避けながら、離れの傍にいた蘭に尋ねた。

「あの警察の人、毛利探偵と親しいんですか?」

「目暮警部ですか? 父は元々警察官で、その時の上司だったんです」

 警察に協力的な人物がいると言うのは、事件を解決する上で大きな手助けになるだろう。毛利小五郎が名探偵と言われるのも、そうした地道な人脈によるものなのだろうか。

「あれれ~、おかしいぞ?」

 ウェイバーが思いを巡らしていると、外にまでコナンの素っ頓狂な声が聞こえた。

「コラ! 事件現場に入って来るなって言っただろ! 蘭、コナンを預かっとけ」

 次いで毛利探偵の怒鳴り声。コナンの首根っこを掴み、こちらに向かって来た。

「この外国人は誰だ? コナンの知り合いか?」

「そうだよ、阿笠博士に少し滞在してるウェイバーさんって言うんだ。ウェイバーさん、この人が有名な毛利小五郎だよ」

 持ち上げられた猫みたいな姿勢のコナンからの紹介に、ウェイバーは苦笑いしか出来なかった。

 

「それで、何がおかしかったの、コナン君?」

 離れからつまみ出されたコナンに、蘭が尋ねた。

「刀の持ち手が逆だったんだよ…壁に掛かっている写真だと右手を前にして刀を握っていたのに、鑑識の人に見せてもらった写真だと左手を前にして握ってたんだ。それに、いくら刀を持った人が斬り合ったとしても、天井にまで傷が付くのかな?」

「コナン君も一生懸命考えてくれるんだね…でも、もう帰りましょ? ウェイバーさんも待たせてるし」

 コナンと蘭の会話は日本語で行われていたが、礼装による翻訳でウェイバーにも正しく伝わっていた。こんな短時間で事件の状況を把握し違和感を発見しているのは、やはり並大抵の事ではない。

 

 一方、毛利探偵と目暮氏は、自身が何故ここに来たかを明かしていた。

「浮気調査?」

「はい…殺害された小角伝衛門(こすみ でんえもん)氏から妻、沙織(さおり)氏に対する浮気調査の依頼を受けまして。それで昼過ぎに結果を報告しに伺いまして、話の途中で伝衛門氏が二時間くらい離席して、お手伝いさんの悲鳴が聞こえたらあの惨状だった、と言う訳です」

「浮気に関しての結果はどうだったんだ? 事件に関わる情報かもしれん」

 毛利探偵は笑みを浮かべた。

「バッチリ掴みましたよ警部殿。伝衛門氏の主治医である久波幾野(ひさなみ いくの)氏と関係を持っていました…怨恨や関係がバレた結果、というセンもあり得ますね」

「よし、とりあえず奥さんに話を聞こう。その主治医にも連絡を取って来てもらえ」

 鑑識作業や現場の写真を撮影する警察官でごった返す離れに、外で警備に当たっていた警察官が駆け足で入ってきた。

「目暮警部…小角氏に用件があるという人が二人も来ていますが」

 目暮氏は更なる来訪者に顔を顰めた。

 

「何か分かった事があるなら、毛利探偵に伝えた方が良いと思うんだが」

 手を引く蘭に抗うコナンにウェイバーは尋ねる。

「ウェイバーさん…僕まだ小学生だよ? マトモに取り合ってくれないよ」

「そうですよ、それに新一(しんいち)みたいになっても困りますし」

 蘭もまた否定的な態度だ。

「その…シンイチってどなたですか?」

工藤新一(くどう しんいち)って言う有名な高校生探偵です。数か月前に事件を追うって言って姿を消しちゃって、たまに戻ってくるんですけど…コナン君にはそんな推理バカになって欲しくは無いんですよ」

 言ってる事とは裏腹に、その表情は懐かしさやどこか寂しさを含んでいるようにウェイバーには思えた。

「誰か来たよ!」

「あ、コナン君!」

 警察官に連れられて離れに入る三人の男に、コナンが蘭を振り切って近づく。

 

「警部、お連れしました。医師の久波さんと───」

「彫刻、俺の彫刻は無事なんだろうな!」

 警察官の紹介を待たず、離れに突入する男がいた。ボサボサの髪に無精髭、服装からも粗雑な印象が拭えない。離れの入口で呆然としていたのは、医師と紹介された眼鏡をかけた優しげな雰囲気の男性と、鋭い目つきとしなやかに鍛えられた体つきの男性だった。

 コナンは後者の男性の手を握ると、言い放った。

「おじさん…居合、やってるよね?」




来年のPUや福袋はどうなるんでしょうか(数時間後には明らかになりますが)
と言うか事件簿アニメでどんなネタ使って若返るのか気になってそれどころじゃないですね。

それではよいお年をお迎えください。
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