デジモンバトルユニバース -バディリンカーズ-   作:地水

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 やってまいりました第2弾中編。
今回の敵役は第1弾でも出てきた謎の勢力。



――ついに悪魔の牙が動き出す。


Romance Victory:中編

 東京都近郊・某所。

とっくの昔に廃れたボーリング場。そこには大勢の少年少女が屯していた。

仲間と駄弁ったり、持ち込んだゲーム機で遊んだり、転寝したりと思い思いに過ごしていた。

 

「まーたお前負けたのかよ! チェックメイターズの天才様に!」

 

「うるせぇ! だいたい強すぎるんだよアイツ!? ウッドプッシャーってなんだよ!?」

 

「ハハッ、それは考えなしって意味だよ!」

 

「ちげぇねぇ!お前はバカだからなぁ!」

 

「「「ギャハハハハ!」」」

 

とあるチームに挑んだ話で馬鹿笑いを上げるメンバー達。

そこへ、一人の人物がボーリング場へと現れた。

その人物が姿を現れことにより、その場にいた少年少女は表情が気が引き締まる。

鋭い眼つきが特徴的なその短い黒髪のその男――『洋城 バンスケ』は口を開いた。

 

「どうやら元気しているようだな。お前ら」

 

「「「バンスケさん!」」」

 

「大方頭数は揃ってるようだな……単刀直入に言う。備えろ、やってくるぞ」

 

バンスケから言われた言葉を聞いて、ハッとした表情を浮かべる一同。

鋭い眼光から見えてくるその真剣さを伺えた少年少女は先程まで談笑していた様子は何処へやら、まるで兵士の如く真面目に聞いている。

彼らの様子の変化を特に気を止める様子もなく、話を続けていく。

 

「先の秋葉原にて蛮勇な同胞がハンター達によって打ち倒された。アイツらは無謀だった」

 

「「「……」」」

 

「お前達は、俺達は無謀を勇気と吐き間違える奴らと違う。故に、俺達を掴まえに来るであろう連中を返り討ちにする!」

 

バンスケは自身の握る手を高らかに突き掲げた。

彼の激励を聞いた少年少女は狂喜の声を上げて、同じく握った手を突き上げた。

この場にいる一同が一丸となって【自分達を捕まえに来るディーハンターを倒す】という目的で動き始める。

出迎えの準備をし始める一同をバンスケは背を向けると、ボーリング場を後にしようとする。

その背中には切り裂いた爪のようなデザインEの文字が刻まれた皮のジャケットを羽織っていた。

 

その名はE-FANG(イーファング)

 

EATER(食らう)EVIL()END(終わり)を内包する闘争終わらぬチームの総称である。

 

 

 

~~~~

 

 

 

東京・新宿。

人々が賑わいを見せるその場所にヨウトとエリヤはやってきた。

傍らにはコロナモンとルナモンがしがみ着いており、興味津々に周囲を見渡していた。

 

『新宿、久しぶりに来たなぁ!』

 

『そっか、ヨウトはこういうところに興味がないものね』

 

「悪かったな。お洒落に無頓着で」

 

ルナモンが口にした茶化しにムッとした表情に変わるヨウト。

不機嫌そうな彼の様子にエリヤはニヤリと笑うと、彼の手を掴み指を絡めた。

そして悪戯ような笑みを向けて口を開く。

 

「じゃあさ、ちょっとだけでもデートでもしてみる?」

 

「それは……あとにしろ。頼まれ事済んでからにしろ」

 

「あれ、デートはしてくれるんだ? ヨウトくーん」

 

「うるせぇ……」

 

小馬鹿にしたような笑みを浮かべるエリヤを見て、ヨウトはそっぽを向いた。

その耳は若干真っ赤になっていたようにも見えた気がしたが、一瞬だけのことだったのでエリヤ自身は気にも止めることもなく、笑みを絶やさずにしていた。

そんな二人の独特なやりとりを二体のバディデジモン達は呆れた表情を浮かべていた。

 

『おいおい、二人ともなぁ……』

 

『とっくの昔にお互いの気持ちを通じ合っているくせに』

 

片や恥ずかしがるヨウト、片や面白がるエリヤ。

自分達の相棒であるリンカー達の複雑で単純な人間の感情にバディデジモン達は大変そうだなと思いながらも、長年相棒を務めているため諦めた様子で付き合うことにした。

 

少しだけ、もう少しだけこの日常を楽しんでいたかった。

なんも変哲もない、普通の男の子と女の子の時間を過ごしたかった。

今となっては些細な幸せとなった夢のような時間……。

 

 

だがその時間は、デジヴァイスに入った連絡によって共に唐突に終えた。

 

 

立体映像として写し出されたのは、新宿区内に示されたとある座標。

それは新宿の地下に位置する場所であり、そこにイーファングが根城にしているアジトがあるとメッセージにて書かれていた。

場所はココからすぐ近くだ。だがエリヤは少し残念そうに俯いた。

 

「……そっか、意外と近くだったんだね」

 

束の間の甘い時間が終わった事に少し寂しい表情を浮かべるエリヤ……その彼女の様子に、ヨウトは彼女へ言い聞かせるようにポツリと呟いた。

 

「デートはいつでもできる。また新宿に行こう」

 

「……! そうだね! 新宿だけじゃない、お台場や秋葉原だって行きたいよ!」

 

「フッ、いつもの人食ったような性格に戻ったな」

 

「ええっ、何よーそんな言い方ないじゃない!」

 

ニヤリと笑うヨウトに抗議をするエリヤ。

二人は傍らで暖かい目をしている相棒達を連れて、示された場所へと向かっていく。

 

 

 

~~~~

 

 

数十分後、新宿の地下鉄の駅へとやってきたヨウト達一同。

今は多くのデジモン達を交えた人々が電車を待つ光景が広がる中、そこでジェイの姿を見つける。

彼は口を開かずにこっちだと言わんばかりに手招きをしており、二人はそれに従って駆け寄る。

合流した一同は先程送られた場所へと人気がない場所へと向かうことになった。

 

「ジェイさん、さっき送られてきた場所って奴らのアジトですよね」

 

「ああ。あいつらは今は使われてない廃れた地下鉄の駅を根城に使っているんだ。独自のルートを使ってな」

 

「ふぅん、まるで土竜(モグラ)みたいね。いや、恐竜デジモン使ってるから、あながち繋がりあるかも」

 

「エリヤ、キミが冗談言えるくらいなら俺の背中を任せても大丈夫だな」

 

ヨウトとエリヤの様子を見て、ジェイは安心したような笑顔を浮かべる。

3人と2体は使っていない地下鉄の通路へ入っていき、アジトがある方向へと進んでいく進んでいく。

遠くの方から電車の音が聞こえながら、一同は向かう。

 

やがて辿り着いたのは、新宿区内に存在する使われてない廃駅。

本来ならば人気のないはずのその場所なのだが、そこに人影がいくつもあった。

ヨウト達と同い年くらいのイーファングの構成員と思われる少年少女と、彼らに付き従う恐竜型のデジモン達の姿があり、殺気立つような警戒している様子だった。

まるで既に敵が来ることを察知してるかのような対応にジェイは訝しんだ。

 

「既に待ち構えているだと……? だが情報が漏れているとは思えないし、誰かが先読みしたのか?」

 

「どうするんだ?」

 

「一旦ココから離れますか?」

 

「……いや、ここは俺が派手に暴れまわって陽動する。お前達は先に行け」

 

撤退するという案を退け、自ら陽動役を引き受けるとジェイは告げた。

ヨウトはエリヤの方へ顔を向けると、互いに頷く。

二人の様子を見てに穏やかな笑みを浮かべた後、ジェイは自分の赤いデジヴァイスリンクスを構え、一歩踏み出した。

 

「フリーズ、ディーハンターだ!」

 

「ッッ!? 来たぞ、ハンター達だ!」

 

ディーハンターであるジェイの登場により、引き締まった表情を露にするディーファング構成員達。

彼らは傍らにいた恐竜型のデジモン達に呼び掛けた。

 

「目にモン見せてやれ、タスクモン!」

 

「ぶっ倒すぞ、アロモン!」

 

「ぶちかませ、モノクロモン!」

 

「切り裂け、ステゴモン!」

 

「やったれ、パラサウモン!」

 

『『『グォオオオオオオ!!』』』

 

一斉に獣じみた咆哮を上げる恐竜型デジモン達。

シンプルな力技が得意なデジモンが多く、数で圧されては間違いなく苦戦するだろう。

だがジェイは焦る様子も見せず、余裕の態度を崩さない。

 

「さてと、ココの適任者は」

 

『ジェイ、俺が行こう。愚か者どもに少し灸を据えてやる』

 

「わかったよ。―――リロード、バアルモン!」

 

ジェイのデジヴァイスリンクスから放たれた光から飛び出てきたのは、一体の人型のデジモン。

護符で作られた白いマントに青いターバン、金色の髪に真紅の瞳。何より目を引くのは異形に長い片腕。

【気高き王】とも呼ばれるその魔人型デジモン・バアルモンは手に持った赤い打神鞭を構え、デジモン達を従えるイーファングへ言い放つ。

 

『知恵足らぬ愚か者共、手加減してやるから全力で掛かってこい』

 

「たった一人で生意気な! いけぇ!!」

 

『『『グォオオオオオオ!!』』』

 

バアルモン目掛けて一斉に襲い掛かる恐竜型デジモン達。

多勢に無勢などなんのその、バアルモンは静かに腰を低くするような構えをとり、そして地面を蹴り上げた。

 

一方その頃、ジェイとバアルモンが大立ち回りを繰り広げているであろう頃。

イーファングのアジトへの潜入が成功したヨウトとエリヤは向かってくる刺客を蹴散らしているところであった。

 

「コロナモン!」

 

『食らいな! コロナフレイム!』

 

「ルナモン!」

 

『行くわよ! ティアーシュート!』

 

コロナモンが放った火炎弾"コロナフレイム"とルナモンが放った水の球"ティアーシュート"が、イーファングの構成員であるエレキモンや黒いウィルス種のアグモンといったデジモン達を撃破しながら進んでいく。

やがて辿り着いたのは大きく広い空間……そこには2つの人影があった。

三白眼とニヤリと笑う口元が印象的なその茶髪の少年はヨウト達の姿を見て、笑い声を上げた。

 

「へへっ、お前達か? 幹部さん達が言っていたハンター達は?」

 

「ハンター……ディーハンターのことか。まあ合ってるぜ」

 

「そう言うことなら、オレ達が相手になってやるぜ……そう、このオレ、イーファング一の特攻(ブッコミ)隊長であるカクデンがなぁ!」

 

高らかに名乗り上げた少年・カクデン。

彼の傍らには二体の恐竜型デジモンがゆっくりと自身の姿を露にした。

片や三本の角を生やしたトリケラトプスを思わせるデジモン・トリケラモン。

片や赤い体表に大きな一本を持った巨大な鎧竜を思わせるデジモン・ヴァーミリモン。

彼らは鼻息を荒くしながら、敵であるヨウト達を見据えていた。

 

「出番だ、トリケラモン!ヴァーミリモン!天下のイーファング次期幹部候補として、ココは死守させてもらう!」

 

『『グォオオオオオ!!』』

 

唸り声を上げてヨウト達へと突進を仕掛けようとするトリケラモンとヴァーミリモン。

二体の恐竜型デジモンが迫ろうとする中、ヨウトとエリヤは思いっきり叫んだ。

 

「コロナモン!」

 

「ルナモン!」

 

「「進化だ!」」

 

ヨウトとエリヤ、二人がそれぞれ構えたデジヴァイスから光が放たれる。

それは、鳴り響いた電子音声と共に二人のバディデジモンの姿を変えていく。

 

【EVOLUTION UP】

 

『いくぜ、――コロナモン・進化!』

 

『了解、――ルナモン・進化!』

 

デジヴァイスから発せられた光を受けてコロナモンとルナモン、二体のデジモンは全く異なる姿へと変化していく。

 

コロナモンは翼と立派な鬣を生やした四足歩行の赤い獅子のような姿へと。

 

ルナモンは両手にグローブを纏った仮面を被った二足歩行の兎のような姿へと。

 

人間とは全く異なる変貌であり、デジモンしか持ってない固有の能力『進化』をしていく二体のデジモン。

そして進化によるそれぞれの変化を終えた後、二体は今の自分の名前を高らかに名乗り上げた。

 

 

『エボルアップ、ファイラモン!』

 

 

『エボルアップ、レキスモン!』

 

 

コロナモンが進化したデジモン・ファイラモンと、ルナモンが変身したレキスモン。

成長期から成熟期の姿へと変わった彼ら二体は、迫りくるトリケラモンとヴァーミリモンへ目掛けて走り出す。

そして欲望のまま貪り尽くす悪しき牙の尖兵を打ち倒すべく迎え撃った。

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