デジモンバトルユニバース -バディリンカーズ-   作:地水

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 衝動的にデジモン作品を書きたくなったので、ひさしぶりに投稿。

今回はヨウトとエリヤのお話。


短編:何気ないとある日のデート 池袋編

 人間たちが住む現実世界とデータ生命体"デジモン"が住む異世界『デジタルワールド』を繋ぐ(ゲート)が出来て早20年。

当世の子供たちをはじめとした人々がデジモンとパートナーとなり、共生関係となった新世代。

今では人間とデジモンが共に暮らすことが当たり前になった。

 

だがしかし、いつの時代も事件と災いは起きるもの。

 

人が、デジモンが、誰しもが心がある限り、争いは起きる。

だが悲しむことはない、争いによる不幸をよく思ってない者は必ずいる。

そしてその中には戦いを以て戦いを終わらせようと立ち上がる者がいた。

 

 

その名は、『バディリンカー』。

デジモンを相棒として絆を結び、戦いに赴く者たちをそう呼ぶ。

 

 

 

――だが。

そんなバディリンカー達もいつも無敵ではなく、普段は人の子だ。

これはそんなバディリンカー達の何気ない一幕である。

 

 

 

~~~~

 

 

 

 池袋。

そこは東京の名所の一つである観光街……昔はアニメ・漫画・ラノベといったサブカルの聖地は秋葉原と言われていた時期もあったが、今ではこの池袋もかつての秋葉原のように充実したアニメショップや関連ストアが並び、サブカルファンやオタク達を『聖地』として注目させていた。

 

そんな池袋に足を踏み入れたのはとある男女の二人組だった。

 

「なぁ、エリヤ。ココでいいのか?」

 

「うん、今回はココがいいの」

 

片方は乱獅子ヨウト、片や如月エリヤ。

チームロムルスの主力である二人は休日を使ってこの池袋へとやってきていたのであった。

その目的は……説明するより先に、エリヤがヨウトの腕に絡みついている様子から目に見て明らかであった。

 

「おい、くっつきすぎじゃないか?」

 

「なによぉ、恥ずかしがることないじゃん」

 

ぐいぐいと自身の体を押し付けてくるエリヤと、肌に伝わる女性特有の柔らかさにドギマギするヨウト。

普段から同じ屋根の下で生活していても、やはり攻められると男は弱いというもの。

若干顔を赤らめている様子にエリヤは笑う。

 

「じゃあ、向かいましょうか。エスコートよろしくね」

 

「腕くっつけているこの状態でか?」

 

蠱惑的な笑みを浮かべるエリヤに、渋々腕に絡まれたままヨウトは観念した。

ニヤニヤとしながら嬉しさと楽しさを隠し切れない美少女の相棒を傍に、多くの人々とデジモン達が人混みを成している所をかき分けていく。

 

 

まず最初に二人が赴いたのは、とあるアニメ作品の展示会ステージだった。

作品名は【刀剣神域】、剣を用いて戦う少年少女の物語を描いたSFファンタジーのライトノベル原作のアニメ作品であり、初放送から10年以上経った今でも根強いファンが生まれ続ける大人気の作品だ。

今回展示されているのは、設定資料や絵コンテといった製作過程で生まれた代物で、ファンと思われる観覧客達が長蛇の列を作り出していた。

 

「めっちゃ並んでるなコレ。ファンの方々か?」

 

ヨウトは礼儀良く並んでいる観客達の光景を見ながら、自分達も一番後ろから並ぶ。

すぐさま展示スペースにやってくると、そこには劇中にて登場人物が使っていた刀剣の武器の実物模型(レプニカ)が飾られており、10代くらいの若い少年少女やデジモン達が目を輝かせて見ていた。

作品のファンなのかな、と思いながらチラリと隣にいるエリヤの方を見ると、――武器を目にして目を輝かせている彼女の姿があった。

まるで憧れのヒーローにあったかのようなリアクションを浮かべ、武器の名称を嬉しそうに早口で述べた。

 

「ねぇねぇヨウト、これアヴァローズだよ! ヒロインのエリカが第1部で使っていたレイピアだよ!」

 

目の前にある薔薇のように赤いレイピアの模型を見て、子供のようにはしゃぐエリヤ。

ヨウトの記憶が正しければ、刀剣神域のヒロイン・天宮エリカが使っていた細剣"アヴァローズ"であり、一番人気の高い第一部でヒロインを象徴する武器として有名……のはずだ。

どちらかと言えばスポーツや武道といった体を動かす方が得意かつ大好きで、アニメ・映画鑑賞や文学といった文化的な趣味に関してヨウトは少々疎かった。

 

「ハハハ……で、あれって確か」

 

「ブレイザルバーだよ、主人公のケントが同じく第1部使っていた愛剣だよ」

 

それに対してエリヤは読み込んだスラスラとその武器の設定を説明する。

――エリヤ曰く、作品の看板キャラである鳴坂ケントが使っている黒い柄に真っ白い刀身を有するその剣"ブレイザルバー"、その満月のように輝く刃で数々の危機を断ち切ってきたのは有名なエピソード……だという。

実際に二人で最新の現行シリーズまで目を通したことはあるが、ヨウトはエリヤほどしっかりと読み込んでいないためにざっくりとした雰囲気しかわからなかった。

逆に言えば、エリヤは自分より原作小説やアニメをしっかりと読み込んでいるのだ。

その熱量は凄まじく、実物模型の展示スペースを過ぎ去った後に設定資料集のスペースを通ると、目にした途端に腕を絡ませているヨウトごと引っ張って急いで近づいた。

 

「わぁ、これ、第9話の『碧眼の魔人』の絵コンテだよ! 凄い情報量!」

 

「わかった、わーったから腕引っ張るな。つか力強いなぁ!?」

 

「あっ、こっちは第11話の『夕闇の少女』のマナちゃんの映像! めっちゃかわいい!」

 

「エリヤ、エリヤさん、そう引っ張られると肩痛いから外してくれ」

 

エリヤに腕を掴まれたままヨウトは成す術なく引き連れられてしまう。

このスペースに展示されている実物の絵コンテや、まだ着色されてない映像といった製作段階の代物がガラス越しに展示されている。

そのガラスに食い込まんという勢いで食い見るエリヤに掴まれたままヨウトは腕を引っ張られていた。

好きな物にはとことんのめりこむ、という彼女の一面に何処か嫌いには慣れないと思いつつも、抵抗することもせずに刀剣神域の世界に夢中になるエリヤに引きずられていく。

 

登場人物たちの等身大パネルのスペース、過去に行われたイベント時の写真の展示場、そして過去の名場面映像の数々……。

やがて出口に辿り着いて刀剣神域の展示場を抜けたヨウトとエリヤの二人は一緒に一息ついた。

 

「「ふぅ……」」

 

「楽しかったか? エリヤ」

 

「うん、とっても! 特にケンエリのグッズがこんなにも豊潤で!」

 

やっと休息ができて安堵するヨウトと、推しカップリングのグッズを手に入れて嬉しそうに喜ぶエリヤ。

曰く、物語の中で永遠の愛を誓い合った主人公とヒロインがとても尊い、だそうだ。

何はともあれ、自分にとっての恋人(ヒロイン)が嬉しそうな様子を見て、ヨウトは楽しんだ回はあったと思った。

 

 

 

~~~~

 

 

 

その後、国内最大級のアニメショップ・アニエイトで限定グッズを買ったり、街中で行われていた大人気漫画のスタンプイベントに参加したり……時間は過ぎ去ってあっという間に昼食時間。

ヨウトとエリヤはどこかで休憩できるところじゃないかと、うろついていた。

手に持った荷物を抱えながらエリヤは近くを見回す。

 

「なんか美味しそうなところ何処かにないかな」

 

「さーてな、池袋は大抵の所回ってるしな……後他に行ってないところとなると、何処かあったっけ?」

 

「うーん、思い出せない……ん?」

 

ヨウトと共に何処か穴場の美味しい飯屋がないかと探していると、エリヤの嗅覚に香ばしい焼いた肉の匂いが届く。

気になって行ってみると、そこは池袋に存在する池袋南公園であり、そこで見つけたのはとあるデジモン達が営んでいる大型のフードトラックだった。

車内ではハンバーガー型のハンチング帽を被った妖精のような成長期のデジモン・バーガモンとエビバーガモンの二体が調理場にて慣れた手つきでハンバーガーを作っている様子が伺えた。

 

『ビーフバーガー、及びエビバーガー、できました!』

 

出来上がったいくつものハンバーガーをジュースやポテトと共に一緒に乗せて、従業員と思われる唐揚げのような姿をした幼年期デジモン・とりからボールモンが数体がかりで器用に運び、お客さんの元へと運ぶ。

どうやらデジモン達が営んでいるハンバーガーショップのようであり、キッチンカーのすぐ近くで食べているお客たちが商品であるハンバーガーを食べる姿を見て、ヨウトとエリヤの二人は胃袋が刺激された。

 

「う、美味そう」

 

「今日はここにしよう、うん、そうしよう」

 

互いに有無を言わさず、二人はバーガモン達のフードトラックへと赴く。

すぐさま自分達の注文の番が来て、ハンバーガーを作りながらバーガモンとエビバーガモンが出迎えた。

 

『『いらっしゃいませー! ご注文をどーぞ!』』

 

バーガモン達の元気な声を浴びた後、二人は車体に備え付けられてあるメニュー一覧を見た。

メニューには『チキンバーガー』、『アボカドバーガー』、『オニオンバーガー』、『ピザバーガー』といった様々なメニューが書かれていた。

個人的には『焼きソーバーガー』や『ガブモンバーガー』といったハンバーガーメニューもあったが……とりあえず目についた『キューバサンドバーガー』を頼むことにした。

 

「このキューバサンドのセットを二つ……あ、いや四つお願いします」

 

『『キューバサンドバーガーのセット、承りましたー!』』

 

 

閑話休題

 

 

『『お待たせしましたー! キューバサンドセットですー!』』

 

 

ヨウトとエリヤの前に差し出されたのは、分厚い豚肉を茶色く焼かれたバンズに挟み込まれたハンバーガーがメインとしたジュースとフライドポテト付きの代物。

キューバサンドバーガーの方は酸味の利いたピクルスと熱によってとろけたチーズが食欲がそそぎ、フライドポテトは素材そのままを生かすために皮付きのジャガイモをカットして熱々に油で揚げたモノだ。

どちらも美味しさは確実に保証されていると直感で実感した。

 

「う、美味そう」

 

ヨウトがそうポツリと呟いた後、二人は近くに立てられたパラソルテーブルに座ると、そこでデジヴァイスリンクスを取り出して席へと向ける。

 

「お昼ご飯だよ、ルナモン」

 

エリヤの言葉と共に、二人のデジヴァイスリンクスから出てきたのは相棒であるコロナモンとルナモン。

彼らは空いていた席に座ると、目の前に置かれたキューバサンドバーガーを見て目を輝かせた。

 

『うぉぉー! ハンバーガーだ! 美味しそう!』

 

『見たこともないハンバーガーだわ!』

 

コロナモンはその肉厚な所に喜び、ルナモンは新しい料理のハンバーガーにはしゃぐ。

どちらも嬉しそうな様子を見て、ヨウトとエリヤは互いに笑みを綻ばせた。

全員が椅子に座って席に着いた後、手を合わせて頂くことにした。

 

「「頂きます」」

 

『『いただきまーす!』』

 

四人は両手でハンバーガーを持ち、そして一斉に口へと運ぶ。

バンズごと肉にかぶりつくと、自分達の口内に広がる肉汁と特製ソースの味が合わさり、一同の目が見開いた。

チーズ、レタス、ピクルスといった食材も合わさってハンバーガー特有の味わいが四人の心を高鳴らせた。

『美味い』と声を漏らしながら余りの美味しさに舌鼓を打つコロナモンとルナモン達。その光景を見ながらヨウトはエリヤに話しかけた。

 

「このハンバーガー、中々いいな」

 

「うん、毎日食べたい……ってのは、強欲かしら」

 

「ハハハッ、かもな」

 

「こういう御馳走は、たまに食べるのがありがたみがあっていいのよね」

 

口角を上げて笑うヨウトの姿を見て、エリヤも釣られてニコリと笑みを浮かべる。

他愛無い話をしながら二人と二体、合わせて4人の束の間の昼下がりは下がっていく。

 

 

これは、彼らバディリンカー達の何気ない日常の一幕である。

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