昨年から放映されているデジモンビートブレイカーズや、デジモンストーリー最新作のために熱意が続くうちに新しい話書きますわよ。
その日、赤坂カズマはデジモン達に追われていた。
前にもこんなことがあったのだろうが、それはそれとして。
場所はとある街はずれの郊外にて、カズマの隣では相棒であるコカブテリモンが羽根を広げて飛んでおり、二人とも命辛々必死に走っている最中だ。
「うわああああああ!!」
『またこの展開か!? 前にもなかったかこのシチュエ―ション!?』
「そんな事言ってる場合かよコカブテリモン!? このままだと、死ぬ! 死んじゃう!!」
全速力で足を動かして逃げているカズマとコカブテリモン……彼ら二人の背後には、何体もの恐竜型デジモンが迫っていた。
『『『『『ギャオオオオン!』』』』』
緑色の体躯に両肩から角が生えたデジモン・タスクモンの群れがカズマらに目掛けて突進を仕掛けている。
相手は成熟期のデジモン、人間の足で逃げ切るには到底及ぶことはできない差がある。しかも今回は複数体いるため、コカブテリモンが一体相手するには分が悪すぎた。
少しでも逃げ切るチャンスを逃さんと走り続けるカズマだが、それもいつまで持つか分からない。
「ぬおおおお! 足漕ぎゼンカーイ!」
『にげろおおおぉぉぉぉ!!』
タスクモンたちから必死に逃げるカズマとコカブテリモン……だが、迫りくるタスクモン達が目の前を走るカズマ達を狙う。
その背中にある鋭い角を向けて、タスクモンは突進を仕掛けてくる。
常人離れした逃走力があるならともかく、カズマとコカブテリモンは一般人と普通の成長期デジモン。
このままでは逃れる術がないまま、タスクモンたちによって血祭に上げられてしまう。
そんなカズマとコカブテリモンの二人が逃げていると、自分達のことを叫ぶ大きな声が届いた。
「おーい、そこの二人! 伏せてくれ!」
その言葉がカズマ達の耳に届いた後、コカブテリモンが咄嗟にカズマへ突っ込んで地面に伏せた。
その直後、飛んできたのは巨大な熱量を含んだ火球……どこからか放たれたであろうその火球はタスクモンたちに直撃し、何体かのタスクモン達は蹴散らされた。
いきなり逆転した光景を背にコカブテリモンは地面に突っ伏したカズマを助ける。
『大丈夫か、カズマ』
「ええっ、一体だれが?」
カズマが恐る恐る頭を上げて見てみれば、そこには1人の人間と1体のデジモンがそこに立っていた。
ゴーグルをかけている印象的な赤毛の少年——乱獅子ヨウトと、暖色を基調とした獅子のようなデジモン・コロナモンの二人……彼らはカズマの傍によると、前方にいるタスクモン達へ向けて啖呵を切っていた。
「おうおう、デカい図体でよってたかって弱い者いじめなんて見過ごしておけないぜ!」
『オレ達が相手になってやるぜ!』
ヨウトとコロナモンの二人はそれぞれそう叫ぶと、その瞬間、ヨウトの手に握るデジヴァイスリンクスとコロナモンが光り輝く。
それと同時にヨウトはデジヴァイスリンクスを構えて思いっきり叫ぶ。
「いくぜ、コロナモン!」
『おう! コロナモン、進化!』
デジヴァイスリンクスの光と呼応するように、コロナモンの姿が変わっていく。
『エボルアップ、ファイラモン!』
成長期のコロナモンから成熟期デジモンであるフレアモンへ進化すると、タスクモンたちへ向かっていく。
タスクモン達は向かってくるフレアモンへ自身の腕を突き出して攻撃する"パンツァーナックル"をお見舞いしてくる。
だがフレアモンはタスクモン達が繰り出した必殺の拳を見切って避けると、そのまま懐に飛び込んでこぶしを握り締める。
しまったといわんばかりにタスクモンらが見開いた瞬間、フレアモンの必殺の一撃が叩き込まれる。
『紅・獅子之舞!』
炎を纏わせた蹴りによる連続攻撃"紅・獅子之舞"がタスクモン達へと炸裂。太陽のごとく熱く凄まじい蹴りの乱舞にタスクモン達は軽く吹っ飛ばされてしまう。
その大きな巨体を空中へと舞い上げてしまい、そのまま弧を描いて地面へとたたきつけられてしまうタスクモン達。
だがしかし、そこへばら撒かれるものがあった。いくつもの綺麗な水の泡だ。
まるでシャボン玉のような外見をしたそれはタスクモン達へ軽く当たると、急に強い眠気が襲ってくる。
『フフッ、ムーンナイトボムの効果は効いているようね』
余裕そうな声と共に、近くの高所の建物から降りてくるのは一体の成熟期のデジモンとリンカーである彼女。
レキスモンと如月エリヤはゆっくりと地面に着地すると、眠気によって弱っていくタスクモンたちを見て呟いた。
『Good-Night、タスクモンズ』
「次目覚めるときは、もうちょっと落ち着ける場所でね」
二人の口にした言葉を最後に暴れていたタスクモン達の意識は落ち、深い眠りについた。
何とかタスクモン達の暴走を鎮静化させたヨウトとエリヤ、フレアモンとレキスモンの4人によって事態は収拾した。
――彼らこそがあの噂に名高い『チームロムルス』。いつぞや出会ったチームイズモと同じく強い実力を秘めた強豪チームだ。
「う、うへぇ……助かった」
『流石はチームロムルスのツートップだな。たった二人で十数体のタスクモン達を纏めてなんとかするなんて』
安堵により地面へとへたりこむカズマと、ヨウト達に感心するコカブテリモン。
……もとより、BLSランクCのバディリンカーであるカズマとコカブテリモンは、自分達より上のランクであるチームロムルスの二人が付き添いで調査任務に当たっていた。
タスクモン達との命がけの追い掛けっこに疲れた二人……そんな二人を見て、話しかけてきたのはヨウトだった。
「助かったよ、カズマさん。アナタとコカブテリモンが引き付けてくれたから作戦を立てられる時間ができた」
「えっ、そうなのかい?」
自分たちの行動で助かったというヨウトの言葉を聞いて驚くカズマ。
どうやら自分たちの活躍で彼ら二人の助けになっているのならば、幸いなことだ。
そう思いながらカズマは起き上がって立ち上がって、ヨウトとエリヤ達チームロムルスに深々と頭を下げた。
「こちらこそ、未熟なオレ達を助けてくれてありがとう!」
深々と頭を下げるカズマにヨウトは少し申し訳なさそうに苦笑して戸惑う。
二人のそんな様子を見て、エリヤは悪戯じみた笑顔を浮かべる。
「フフッ、いいわね。私も誇らしいわね」
「急にどうした。そんな自慢気な顔をして」
「いやぁなんというか、私のパートナーが褒められるってのが嬉しくてね」
にんまりと笑った顔を浮かべるエリヤを見て、ヨウトはジト目で見つめる。
二人にとってはいつものやり取りを間近で見ていたコカブテリモンは不思議そうに疑問符を浮かべる。
『アレはどういうことなのだ?』
『あー、エリヤのアレは……』
コカブテリモンはすぐそばにいるであろうファイラモン達に伺うと、ファイラモンはどう答えたらいいか迷う仕草をした。
そこへ、レキスモンがグイッと自身の顔を近づけてコカブテリモンへ呟く。
『アレ以上ツッコむとエリヤの惚気タイムになるから、変に関わらない方がいいわよ』
まるで慣れたといわんばかりのジト目で自身のリンカーを見ながらレキスモンはコカブテリモンにそう語ると、自身の姿をレキスモンから成長期のルナモンへと戻っていく。
ファイラモンも同じくコロナモンへ戻ると、ルナモンと共にヨウトとエリヤらの元へ駆け寄っていく。
立派なロムルスのチームメンバーを見て、カズマは心の中で思う。
(くぅ、オレくらいの年だけどすごいぜ! チームロムルス!)
(オレもいつかコカブテリモンと一緒に成長して、それで進化させてやりたいぜ!)
赤坂カズマ、齢16歳。
コカブテリモンと共に、次なる成長へ辿り着くのはいつになるだろうか?
それはまた、こことは別の話にて語られることになるかもしれない。
Special thanks
・赤坂一真/花凜様