デジモンバトルユニバース -バディリンカーズ-   作:地水

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 続いてしまった、中編。
デジモンと人間が共存する世界にて、巻き起こるのはどんな事件か。


―――邪なる神の企みを斬るのは黒く焼かれた竜の刃


鐵激闘伝:中編

 東京近郊。

森林公園に辿り着いたダンは、そこでとある人物と待ち合わせをしていた。

そこにやってきたのは緑の髪の上に大き目のゴーグルをかけた一人の少年。

ダンはその少年を見つけると、気軽な感じで声をかけた。

 

「やぁ、調子はどうかな? ミスターガッチさん」

 

「ばっちりだよ、ダン君。君の推測でそれらしいのは見つかったよ」

 

そう言いながら、ゴーグルの少年……『ミスターガッチ』は手にしていたタブレットPCを差し出しす。

ダンが覗き込むと、そこに映し出されていたのは被害者として報道された子供と彼らを連れ去る人影の光景。

人影の方は何処か人間というよりはデジモンの姿に似ている……ダンは疑問に思ったことを告げる。

 

「コイツは? デジモンか?」

 

「事件当日、監視カメラに映し出されていたものだよ。子供たちが最後に目撃されたとき、これらが現れていたんだ」

 

「……特徴からして、水かきと魚顔? どことなくハンギョモンに似ているが」

 

「だとしても、何故こんなに黒い(・・・・・)?」

 

ダンは疑問に思ったのは、ハンギョモンに似た黒い人影の姿。

連れ去られた時間的にも関わらず、子供たちを連れ去ったソレはまるで絵具で塗りつぶしたかのように姿が黒かった。

その異質さにミスターガッチと共に眉を顰め、少し思考を巡らせる。

そして、辿り着いた答えを口に呟いた。

 

「こいつら、もしやデジモンの形をした何かじゃないか?」

 

「えっ、どういうことだい?」

 

「行きすがら話すよ……もしかしたら、この行方不明事件は結構ヤバいかもしれないってこと」

 

そう言いながら、ダンはミスターガッチと共に、公園から別の場所へ向かう。

自らが導き出した答えに一抹の不安を抱えながら、別行動の仲間の元へと合流しに。

 

 

~~~~~

 

 

東京、お台場。

青い海が広がる海洋公園へ足を踏み入れたクロトとミコト。

二人は行方不明になった子供の一人が最後に目撃された場所に足を踏み入れた。

クロトは自分たち以外に周囲を見回す。

 

「ここが、最後の子供がいなくなった場所か。ミコト、どうだ? 何か感じるか?」

 

「……微かですが、妙な邪気が残ってる。何処かにまだ痕跡があるかも」

 

「なら、少し探してみるか」

 

気を研ぎ澄ませながら周囲を探ってくれたミコトと、彼女の言葉を信じて周囲を探し始めるクロト。

この場所も警察の手が入り込んで調べつくした後だが、それでも自分達が見つけられる『何か』があると信じて探っていく。

やがて、二人はあるものを見つける……それは、時空の歪みだ。

まるでゲームやアニメなどによくある虚空に浮かぶ孔で、その向こう側には灰色の海の光景が広がっていた。

クロトとミコトは驚きの声を上げる。

 

「「見つけた!」」

 

「だが、これって……」

 

「……ッ! 気を付けてクロト君……凄い邪気が、満ちている」

 

歪みの向こうから漂う邪気を感じ取り、ミコトは眉を顰めクロトに思わず抱き着いた。

あまりの邪気の濃さに気分が悪くなったのだとクロトは悟った。

ひとまず彼女の気分を優れさせるために一旦この場から離れようとする……だがそこへ、つんざくような悲鳴が聞こえてきた。

 

「―――うわあああああああ!!!?」

 

「悲鳴!? あの歪みの向こうからだ!」

 

「ま、待って! まさかあそこへ飛び込む気!?」

 

「放っておけないだろ。ミコトはここから離れて、ダンと合流してくれ」

 

クロトは戸惑うミコトにそう言い聞かせると、彼女に軽いハグをお見舞いして、その後は時空の歪みへ走り出し、そのまま大きくジャンプ。

そのまま時空のひずみへと飛び込み、姿を消した。

 

「……クロト君」

 

一人残されたミコトはクロトに触れられた所を優しく手で添えながら、彼に言われた通りダン達と合流を待つことにした。

 

 

~~~~

 

 

その頃、灰色の海が広がる異世界。

そこに黒い影達に追いかけられる一人の少年と一匹の小さな爬虫類のデジモンがいた。

 

「くっそぉ!こいつらどうなってるんだ!」

 

『レイジ、こいつらいくら倒してもまた出てくるよ!』

 

「諦めるなアグモン! きっと打開策はある!」

 

ボサボサの長髪とゴーグルが特徴の少年・志士神レイジと、彼の相棒である黄色い爬虫類型のデジモン・アグモン。

二人は後方から追いかけてくる黒い人影から必死に逃げていた。

子供ながら運動部でやりこんだ足の速さと、アグモンが放つ口からの火の球・"ベビーフレイム"で何とか牽制をしているものの、いまだに追手の勢いが消えることがない。

 

「くっそ、あいつらいつまで追いかけてくるんだ!?」

 

『あいつら、攻撃が全然効いてない!』

 

「少しは痛がれっての!」

 

レイジとアグモンは逃げる足を速める。

自分達は行方不明になった友達を助けるために、ここまで来たんだ。

簡単に諦めてたまるか……そう思った矢先、逃げていた先に広がっていた光景に驚く。

そこに広がるのは、数十人にも及ぶほどの黒い影。

後ろから迫る黒い影と合わせて、逃げ場を失ったとレイジ達は知ることになった。

 

「か、囲まれた!?」

 

『絶体絶命のピンチ!』

 

レイジとアグモンが目の前に迫る危機に一瞬気を取られる。

その瞬間を狙って、黒い影は襲い掛かった。

絶体絶命的な状況……それでも諦めたくないレイジは敵から視線を外さなかった。

その時、第三者の声が聞こえてきた。

 

 

「ディーサモン、ガルルモン!」

 

【SUMMON THE DEGIMON】

 

 

電子音声と共に、青と白の風が吹きすさぶ。

凄まじい風圧と共に、黒い影へと近づき、その牙と爪を以て蹴散らしていく。

その場にいる全ての黒い影を蹴散らすと、レイジたちの目の前に姿を現したのは一体のデジモン。

白い身体に青い模様が入った何処か狼を思わせる四足歩行型のデジモン・ガルルモン。

だが、本来のガルルモンとは違い、向こうの景色が透けて見えるほどの半透明のボディが特徴的だった。

ガルルモンは敵が蹴散らしたのを見届けると、空気に溶けるかのように消えていった。

それを見て、レイジはあるものに辿り着いて呟く。

 

「デジメモリアの召喚体デジモンか」

 

「よく知ってるな。デジメモリアの事を」

 

レイジが振り向くと、そこに立っていたのは自分より年上の少年。

その少年……もとい、クロトはレイジに近づき、しゃがんで同じ目線にした後彼に訊ねた。

 

「君がレイジ君か。君を助けに来た」

 

「えっ、オレを?」

 

『おにーさん。何者なの?』

 

「そうだ、こっちから名乗らないと。オレは志士神レイジ、こっちは相棒のアグモンだ」

 

『アグモンだよ、よろしく』

 

「オレは藤原クロトだ。よろしく」

 

クロトは手を差し出して握手を求め、レイジはそれに答えるように握り返した。

その後、別の場所へと映したクロトがここまでの経緯を話すと、レイジは納得した表情を浮かべた。

 

「つまりクロトさんは俺を探しにここに来たってことか」

 

「ああ、そうだよ。君の事をアイラちゃんは心配しているからね」

 

「……わかってる。今俺がしていることは決して褒められることじゃないってことぐらい。だけどどうしても放っておけなかったんだ」

 

「行方不明になった友達をかい?」

 

クロトの訊ねにレイジは静かに頷く。

二人は海が一望できる崖へとたどり着くと、そこに広がっていたのは灰色の海と、その近くの岩礁にはいくつもの幾何学模様の柱が聳え立っていた。

その柱に縛られているのは……十数人にも及ぶ子供達の姿。

 

「ほら、あそこ!」

 

「あれって、行方不明になった子供達!」

 

『俺とレイジは助けに行こうとしたけど、あの影が邪魔して泣く泣く一時撤退したんだ』

 

アグモンの説明の通り、柱の周囲には黒い影が徘徊していた。

きっと今のままでは先程のレイジ達みたいに取り囲まれてしまう……そう思ったクロトは懐にあったカード型アイテム・デジメモリアを取り出す。

先程使ったガルルモンのデジメモリアの他に、"デッカードラモン"や"メタリフェクワガーモン"といった複数のデジメモリアが手元にあった。

どれを使おうかと思考していると、レイジが一枚のデジメモリアに目を止める。

 

「ねぇ、こいつ使えるんじゃないか?」

 

「コイツか……よし、使ってみるか!」

 

レイジの示したデジメモリアを手にすると、手にしていたスマートフォンと酷似した外見を持つ漆黒の機械・『デジヴァイスリンクス』を構える。

そして、画面にデジメモリアを翳して、前方へ突き出した。

 

「ディーサモン、ガルダモン!」

 

【SUMMON THE DEGIMON】

 

クロトの言葉と共に電子音声が鳴り響き、空中にとある召喚体デジモンが出現した。

赤い羽毛と大きな翼を持った姿をした鳥人型デジモン・ガルダモン。

クロト・レイジ・アグモンの3人は咄嗟にガルダモンの足にしがみ付くと、ガルダモンは翼を大きく羽ばたかせながら飛んでいく。

向かうは岩礁に建てられた柱に縛り付けられている子供達……黒い影は襲撃者に気付くと取り押さえられる飛びかかるも、ガルダモンの羽ばたく風圧に負け、軽々と吹き飛ばされてしまう。

何とか柱の元へとたどり着いた一同は子供達の元へ近寄る。

 

「子供たちは……無事だな、よかった」

 

「待ってろよ皆、俺が、俺達が今助けてやるからな」

 

レイジは子供達を開放しようと縛っている綱を解こうとする。

行方不明の子供を連れて戻れば、後は事件解決……そう考えていたレイジへ、何かの気配を感じ取ったアグモンが叫んだ。

 

『……! レイジ! ヤバいぞ! 来る! 何かが来る!』

 

「「……!?」」

 

その言葉が聞こえた直後、海に巨大な水柱が打ちあがった。

暗い海の底から這い出てきたのは、―――天を見上げるほどの巨大な身体を持った、一体の怪物。

背中から生えた蝙蝠を模した翼、タコの模した頭部、首には数珠。

その禍々しい姿にレイジは目を見開いてくぎ付けになった。

 

「なんだよ、ありゃ……!」

 

『■■■■■■ッッッ!!!』

 

その禍々しい怪物はゆっくりと、ゆっくりと、足を進めながら陸上へ向かってくる。

レイジはその恐ろしい光景を見て、心の内が恐怖に支配されていく。

まさか、コイツが子供たちを……?

今回の行方不明事件の真実が目の前にいる怪物のせいだと気づき、次は自分の番だと気づく。

何とかしなければと頭ではわかっていながらも、手足は震え動かない。

恐怖で動けなくなっていると気づいたレイジは、歯を食いしばった。

―――だが、その恐怖を一刀両断するかの如く、希望に満ちた声が聞こえてきた。

 

「はっ、子供達を取り戻しに来たってところか。ならばアイツを倒せばいいのかな」

 

「く、クロトさん?」

 

「レイジ君。そういや紹介してなかったね。オレの相棒をね」

 

クロトは一歩足を踏み出し、迫りくる巨大な怪物へ向けてデジヴァイスリンクスを突き出す。

深呼吸をしながら整えると、勢いよく叫んだ。

 

 

「出陣だ、ガイオウモン!!」

 

 

その言葉と共にデジヴァイスリンクスの画面が眩い閃光が辺りを包む。

次に出現したのは、大地から噴き出す赤い炎。

まるで色を失った世界を斬り出して噴き出した鮮血のように炎の柱が噴き出す中、そこから漆黒の魔人が現れた。

漆黒に染まった和風の鎧、二本の角が生えた竜にも似た鉄の仮面、手には二振りの曲刀を携えてある。

鎧武者の竜人というべきそのデジモン――『ガイオウモン』は、堂々した面持ちで姿を現すと、愛刀・菊燐を目の前へ構えた。

 

『ようやく、出番か。クロト』

 

「ああ、今回の相手はお気に召すかな?」

 

『フン……』

 

クロトの言葉を聞いて、ガイオウモンは目の前に迫りくる邪なる怪物を一瞥する。

そして少しの間観察したのち、突如菊燐を大きく振るった。

一閃、灰色の海が斬られ、モーセの如く道ができた。

怪物はなすすべなく海の底だった場所へと叩きつけられしまう。

ガイオウモンは手応えを確かめた後、口を開いた。

 

『なるほど、今まで神や悪魔を断ち切ってみせたが、邪神というのはまだだったな』

 

『■■■■■■ッッッ!!!』

 

『ようやくその気になったか、―――面白い、斬ってみるか!』

 

よもや自分を倒すかもしれない(・・・・・・・・・・・)敵に危機感を覚えた怪物は背中の翼を広げ、襲い掛かろうとする。

それに対して、ガイオウモンは鋼鉄のマスクに覆われた顔の下で歓喜の声を上げながら地面を蹴り上げる。

 

『さぁ、いざいざ、戦場に押して参らん!』

 

『■■■■■■ッッッ!!!』

 

迫りくる黒き刃の武人を見て、怪物は三又槍を構え、相対する。

 

二刀流の竜人型デジモン・ガイオウモン。

冒涜なる邪神型デジモン・ダゴモン。

 

二体のデジモンがぶつかり合い、激突する。

その余波で海が裂け、大地は砕け、空は荒れる。

陰鬱とした雰囲気だった灰色の海は今や紅蓮の地獄を巻き起こす戦場と化した。

 

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