デジモンバトルユニバース -バディリンカーズ-   作:地水

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飛加藤忍者伝:中編

 

 デジモンを悪用する極道組織の一斉取り締まりからの翌日の事。

 

東京湾・臨海副都心の沖合いに建設されているその巨大な建物"ディーハンター日本総本部"……そこではデジモン事件やデジモンを悪用する犯罪に対処するべく様々な人材が通っていた。

デジモンの生態に詳しいデジモン生態学者、公的機関に対応する交渉官、そしてデジモン事件に対処する実行部隊。

デジモンと共に生活する様になった新時代、人類以外の知的生命体である彼らとの間に起こる様々な事態を対処するべく、あらゆるエキスパートが集まるこの場所にダンは足を運んでいた。

 

「此処には何度も来ているけど、まるで特撮ヒーローの基地みたいだな」

 

『みたい、というよりは基地そのものだな。その場合は我らデジモンが人々を脅かす怪獣になるのか』

 

「冗談もそこまでにしておけ、ファルコモン。空想特撮はTVか映画のような画面の中だけの専売特許だ」

 

デジヴァイスの中に呟くファルコモンに対し、ダンは眉を顰めて注意する。

 

確かに約20年前、空想の存在かと思われていた怪獣(デジモン)が現実に出現するようになった。

強靭な肉体に加えて人間と変わらぬ知性、そして心を持つ彼らはある意味人間の脅威でもある。

デジタルワールドという遠い世界からやってきた異邦人(エイリアン)は時として悪意ある人間達と手を組み、そして人間のように憎しみや悲しみといった負の感情を蓄え、さらなる悲劇を生み出す。

……そういった事件を真正面から受け止め、禍根なく対処するために、ディーハンターが設立されたのだ。

 

基地の外の海面で水棲型デジモンであるドルフィモンやデプスモン、サブマリモンらが戦闘演習をする光景にダンは窓越しに眺めながらとある部屋へと向かった。

そこは建物内に司令室……TVの特撮作品でよくある怪獣に対して隊員達が作戦会議をするような万能的な部屋に、ダンはやってきた。

部屋の中では何人かのディーハンターのメンバーがいて、そこには先日行動を共にしたジェイの姿もあった。

 

「よぉ、ダン。予定どおりの到着だな。何か飲み物でもどうだ?」

 

「言葉だけ大丈夫です、ジェイさん。それと……」

 

「こうして直接顔を合わせるのはお久しぶりね。ダン君」

 

ジェイが立っている場所のすぐそばに設けられた最新鋭のPC端末を操作する一人の若い女性。

白いリボンと長く伸ばした金髪と緑の瞳が特徴的な可愛らしさと美しさを兼ね備えている彼女は猫の刺繍が入った独特なライダースーツを身に纏っていた。

ダンにとって良く見知ったその人――『エヴァ』は笑顔で快く出迎えてくれた。

 

「お久しぶりですエヴァさん、ジェイさんと仲良くやっていますか」

 

「おいダン、なんてことを聞くんだよ。クロトのヤツじゃあるまいし……」

 

「ふふっ、大丈夫。ジェイは優しいから」

 

ダンの口にした冗談にジェイは頬を引きづり、エヴァはいったんジェイの方を見た後に優しく微笑んだ。

どうやら関係は良好そうで、何処かの剣豪をように鈍感ではなさそうだ。

そんな軽いやり取りをしていると、奥の席から咳払いをしてくる音が聞こえる。

 

「ごほん、そろそろいいか?」

 

あっ、と振り向けばそこには厳格そうな雰囲気の男がいた。

短く整えた黒い髪、サングラスの奥から覗かせる鋭い目元という硬派な印象を与えている。

ディーハンター捜査官を取り合纏める隊長でもあるロングコートその男――『篭島レンタロウ』は低い声で口を開く。

 

「諸君、先日の犯罪組織の違法取引現場の検挙ご苦労であった。早速だが加藤ダン、君の報告書は読ませてもらった」

 

「事のあらましは書いた通りです。ただ武威蛇組と取引していた相手については取り逃がしましたが」

 

「それはこっちが追跡中だ。問題ない。それより君の交戦した取引相手の男……ウィルス種のメタルグレイモンを操るこの男についてデータベースで調べてみた」

 

レンタロウの言葉と共に、壁に備え付けられていた大型モニターに情報が映し出される。

そこには射場と名乗ったあの男が映った映像も映っていた。

その映し出された情報をダンが目にして、エヴァが読み上げていく。

 

「射場クランディウス。海外でテロ活動をしていた犯罪者で近年はデジモン事件に加担しています」

 

「この日本に取引へとやってきたのもデジモン事件を一端として我々は睨んでいる」

 

レンタロウは視線をモニターからダンへと移し、追跡をしている射場についての現状の説明をする。

 

「射場は今、東京都のどこかに潜伏している。そして近いうちにすぐ動くと思われる」

 

「その理由は?」

 

「ヤツが武威蛇組との取引で手に入れようとしていたデジメモリアについてだが、構成員から証言でもう一つ手に入れようとしていたものがあった」

 

ダンに理由を聞かれてレンタロウは静かな口調でそう返すと、次の情報がモニターに映し出される。

映し出されたのはアンドロモン、メガドラモン、メタルティラノモンのデジメモリア。

取引で見かけたこの三枚のデジメモリアについて、エヴァが新しい情報を口にした。

 

「最初デジメモリアの要求された時、3枚ではなく4枚のデジメモリアだった所を、最後に残る1枚は手に入れる手段がなく、先程の3枚のデジメモリアで交渉成立した。と言っております」

 

「エヴァさん、残るその1枚ってのは……」

 

「射場から要求された最後のデジメモリア1枚はメタルマメモン。腕のエネルギー砲から繰り出される射撃によって多大な攻撃力を誇るデジモンのデジメモリアです」

 

エヴァがPC端末を操作すると、先程の3枚のデジメモリアの他に新しいデジメモリア……メタルマメモンのデジメモリアが追加される。

合計4枚のデジメモリアが提示され、これらが射場の狙っているものだとダンは理解する。

そしてメタルマメモンのデジメモリアの所在について、エヴァは新しい情報を出した。

 

「現在日本で所有者はたった一人です。スカーレット・エンタープライスの副CEO兼秘書の赤峰美織。彼女がメタルマメモンのデジメモリアを持ってます」

 

「スカーレット・エンタープライス……確か、ここ10年で急成長を遂げた大企業ですよね。なんでそんなところにメタルマメモンのデジメモリアが?」

 

「今回は彼女に接触して、狙われている事を伝えてほしい。可能なら射場に奪われる前に我々ディーハンターがメタルマメモンのデジメモリアを回収しておきたい。ジェイとダン、頼んだ」

 

ダンは仮にも企業の秘書がそんなデジメモリアを持ってる事に疑問を持ち、レンタロウは名前を呼んだ二人に命令を告げた。

ジェイとダンは快く了承した……そんなところでジェイはダンに対してとある気になった事を訊ねる。

 

「そういやあの三枚のデジメモリアは回収できたのか? ケースは撃ち落としたんだろ?」

 

「いや、回収したケースの中にはもうデジメモリア三枚はなかった。俺と交戦する前に既に抜き取られていたんだと思います」

 

「抜け目がない、ってところか。こりゃ案外手こずるかもしれない」

 

ダンとジェイは互いに見合わせながら、今回巡り合った案件が一筋縄ではいかない事を感じる。

やがて必要な情報を伝え終わると、レンタロウが立ち上がってダンを含めたバディリンカー達に号令する。

 

「ではハンターズ、D-Go(ディー・ゴー)!」

 

「「D,I,G(了解)!」」

 

「承った」

 

ディーハンターのジェイとエヴァは胸元に握り拳を構えた敬礼を行い、ダンは親指を立てて答える。

彼らディーハンターと共に行動することが多いダンにとっての任務が再び始まる。

あくまでチームイズモのバディリンカーではなく、ディーハンターの外部協力者・凄腕の忍者として。

 

 

~~~~

 

 

 1時間後。

ダンはジェイと共にとある超高層ビル"ディーキョウヒルズ"の前へとやってきた。

ランドマークタワーに分類されるそれは赤を主体とした装飾が目立津子の場所は商業施設、オフィス、文化、インターナショナルといった多様な都市機能が充実しており、地上の入り口では多くの人々やデジモン達といった住民が行き交っている。

いわばデジモンと生きる人々達の実験都市といえよう。

そんな高層ビルを管理しているのは、件の巨大企業であるスカーレット・エンタープライスだという。

 

「随分とまぁ大きくて高いだなぁ」

 

「こうもデカいところに住んでるのか。調べるのも簡単じゃないですね」

 

「アポイントメントはこっちで取ってある。早速社長宅へ向かおう」

 

忍としての観点からディーキョウヒルズの外観を見てダンは苦笑し、ジェイは事前の打ち合わせで許可を取った事を教えながら、二人はディーキョウヒルズの入口を通って入る。

暫くしてエレベーター経由でスカーレット・エンタープライスのオフィス階へ辿り着く。そこでは一つの階一帯が会社全体となっており、人間・デジモン問わずの社員達が忙しなく働いていた。

あまりの忙殺っぷりにジェイとダンの二人は驚いていると、そこへ話しかける人物がいた。

 

「どうかなさいましたか?」

 

二人に話しかけてきたのは、紺色の背広姿に真紅色のネクタイが印象的な美丈夫。

恐らく道で振り向けば十人ともイケメンか男前と答えるであろうその美貌のその男にジェイは要件をくちにした。

 

「どうも、ディーハンターの者です。少しお話があって事前にアポを取っているんですが」

 

「ああ、お話は伺っております。この私、伴藤が自らが赤峰の所までご案内しましょう」

 

「伴藤って……もしかして」

 

自ら案内を申し出た男・伴藤の名を聞いて、ダンは何処かで聞き覚えがあると考え込む。

すると丁度そこへ、伴藤の元へ一体人の社員デジモンであるトイアグモンがやってきた。

 

「伴藤CEO、よろしいのですか!?」

 

「構いませんよ。二度手間はよろしくありませんし、あなた方は業務に戻ってください」

 

「そこまで言うのならCEO、お任せします」

 

ぺこりと頭を下げて去っていくトイアグモンと、業務に戻っていくトイアグモンを微笑んで見送る伴藤という声を見て、ダンはある事を思い至った。

スカーレット・エンタープライスの代表CEO・伴藤快……10年前に起業したこの企業をまとめ上げた人物であり、デジモンと人間の共存を目指している事を公言している人格者でもある。

そんな大物とここで巡り合うとは忍であるダンですら予想すらしてみかったのだ。

 

「あなたがあの伴藤さんで……」

 

「フフッ、立ち話もなんですし例の社宅へお招きしましょう」

 

驚いている様子のダンに対して伴藤は笑みを絶やさず答えると、自分の社宅へと案内を始める。

人が人なら惚れそうなその蠱惑的な笑顔を目の当たりにして、ダンとジェイは互いに目を合わせた後、彼に案内されることになった。

 

 

 

その様子を、一人の清掃員が静かに眺めていた。

清掃員は口元を三日月の形に歪ませて、帽子を目深に被りながら何処かへと去っていった。

 

 

 

~~~~

 

 

 

場所は移り、ディーキョウヒルズ最上階に存在する社宅。

高級マンションとさほど変わりはない内装で、ジェイとダンは廊下通りながらリビングへと案内される。

 

「お邪魔します」

 

「ところでココが社宅といいますが、赤峰さんと一緒に住んでいるのですか?」

 

「そうですね。赤峰とは共にパートナー関係と差し支えない仲とでも言っていいでしょう……おっとぉ」

 

ガチャリ、と扉を開けた途端、伴藤は天井が異様に高いリビングを見て眉を顰めた。

一体なんだ、と思って見てみると、そこには女性物のスーツが散乱していた。

ヒールタイプのビジネスの靴、タイツ、スカート、上着、そして皺の付いた白いシャツ。

社宅用のソファには女性の細い生足が投げ出される形で見えており、伴藤は気まずそうに待つように手で合図を示すと、一人だけでリビングに入る。

そしてソファに寝ている女性を赤峰と呼んで話しかけた。

 

「赤峰さん、起きてください。お時間ですよ」

 

「んー……うっさいわね。もうちょっと寝かしなさいよ」

 

「お客様がお見えですので、せめてお召し物を整えてください。ディーハンターの人が既にそこまで見えてますよ」

 

「そんなの、待たせておけばいいで……すぅ」

 

「二度寝ですか、仕方がない……私の正体は彼女の自己紹介の時に改めて明かすつもりだったんですが」

 

美織の寝息が聞こえ、伴藤は溜息をつくと……右手を掲げ、フィンガースナップの構えを取る。

一体何なのか、と扉の前で待つダン達は首を傾げていると、伴藤は指を鳴らして一言呟いた。

 

 

『――ナイトレイド』

 

 

その瞬間、伴藤の身体が蝙蝠として分裂、周囲へと多く飛び立った。

分裂した蝙蝠の何体かはダンとジェイの視界を覆い、まるで木枯しのように蝙蝠の渦巻く中、美織が情けなく叫ぶ悲鳴が聞こえてくる。

 

「ちょっ、やめなさい、ばっ、ばんどうっっ!!!」

 

『恨むのでしたらだらしなくしていたアナタを恨んでください、美織。ワーカーホリックは体と私生活の毒ですよ』

 

「仕方じゃないじゃないの! ここ最近は総理大臣とかデジタルワールドのお偉いさんに呼び出されていたんだから!!」

 

『だからほどほど休みなさいと言ってるじゃないですか。あと寝るなら寝間着に着替えなさい。ブラとパンツ姿で寝ていたら風邪引きますよ』

 

「ちょっ、どこ触ってるの!?」

 

『何年来あなたのバディやってると思ってるんですか。ほら、新しいスーツ一式持ってきたので着替えますよ』

 

蝙蝠によって視界に覆われているため一体何が起こっているか分からないが、ジェイとダンは何故か子供を叱る母親ような光景を思い描いた。

耳を鳴るような蝙蝠の鳴き声と羽ばたく音が響く中、身支度が終わるまで待っていた。

 

 

閑話休題

 

 

リビングのソファーに座ったダン達の前には、スカートタイプの白いスーツに着替えた銀髪に淡い水色の瞳の女性……『赤峰美織(アカミネ・ミオリ)』が咳ばらいをしながら立っていた。

綺麗な顔立ちの彼女は先程の痴態を恥ずかしそうにしながら、謝罪するように頭を下げる。

 

「もうしわけなかったわ。あんな粗相を見せてしまって」

 

「いえ、お構いなく……しかし、驚きました。伴藤さんが……」

 

ジェイはチラリとミオリの隣に立つ伴藤……否、伴藤を名乗っていた存在の姿を見た。

軍服にも似た意匠を身に纏い、長い金髪と目元を蝙蝠を模した仮面で覆っている青白い顔。

人間の伴藤の面影を残しつつも、光る突起物のようなマントを羽織ったその姿はデジモンそのもの。

吸血鬼のようなデジモン『ヴァンデモン』は優しそうな笑みを向けて頭を下げた。

 

『そう、私がこのスカーレット・エンタープライス現CEOを務めている伴藤快(バンドウ・カイ)ことヴァンデモン。以後お見知りおきを、ディーハンターの皆さん』

 

「ヴァンデモン……確か美織さんのバディデジモンとして登録されているっていうは事前情報で知っていましたが」

 

『ええ、ディーハンターにはそう申告しております。ただ私がCEOという立場としてデジモンが働いていることに驚きましたか?』

 

強面な見た目に反して丁寧な口調で喋るヴァンデモンにダンは内心少し驚いていた。

 

――というのも、今から約25年くらい前、東京某所で起きたとあるデジモンが起こした事件があった。

それはデジタルワールドからの侵略目的でやって来たデジモンであり、配下のデジモンと共に人間世界を支配しようとしたという。

その主犯格のデジモンこそが、完全体のデジモン・ヴァンデモンという。

 

とある作家が描いた有名な小説の影響もあって世間体ではヴァンデモンは怖いデジモンとして知られており、実質ヴァンデモンの生態はそういう怖い一面も記されていた。

だが、今目の前にいるヴァンデモンはダン達が知るものとはどこか違うと感じている。

 

「まあ、正直度肝を抜かれましたが」

 

『いいですね、初手でインパクトを与えるのは実業家としてこの上ない手ごたえです』

 

「そこまでにしておきなさいヴァンデモン。で、今回の要件はなんだったからしら?」

 

ジロリとヴァンデモンにきつい視線を向けた後、ミオリはジェイとダンを一瞥する。

その瞳には懐疑的な視線を向けており、ジェイは苦笑しながら説明した。

 

「あなたの持っているデジメモリア……メタルマメモンのデジメモリアが狙われています」

 

「……ハァ!? 私のメタルマメモンが!? なんでっ、一体誰によ!!」

 

「落ち着いてください。犯人はあなたの持ってるデジメモリアを狙っているのは確かなんです」

 

「誰よその下手人は! 言いなさい! 私とヴァンデモンで返り討ちにしてやるんだから!」

 

説明をしているジェイに掴みかからん勢いで迫るミオリ。

先程の綺麗な顔が嘘のように怒りの表情を見せている彼女のありようにダンは訊ねた。

 

「な、なんでそこまでメタルマメモンに拘って……」

 

「可愛いマメモンコレクションを欠けるわけにはいかないわよ!」

 

「マ、マメモンコレクションって……」

 

『ダンさん、こういう事です』

 

ミオリが叫んだ理由を聞いて顔をしかめっ面に変えたダンへヴァンデモンは小さな声で呟く。

そして近くに置かれた本棚に近づきとある本を押すと、『カチッ』と音が鳴って、本棚自体が裏返った。

裏返った本棚だった仕掛けの裏には、いくつもの小さな額縁があり、そこにはデジメモリアが入っていた。

自分達の目的であるメタルマメモンのデジメモリア……それ以外にもマメモン代表格であるマメモン、その近縁種であるサンダーボールモンやキャッチマメモン、さらには究極体であるバンチョーマメモンなど、マメモン系のデジメモリアばかり。

その光景を見て、ダンはある事を察した。

 

「まさかミオリ副社長って……」

 

『マメモンのようなデジモンに目がないのですよ』

 

「とりあえず、悪そうな人間じゃないってのはわかりましたよ」

 

ダンは未だにジェイへと食らいつこうとするミオリを横目に、彼女がそこまでメタルマメモンのデジメモリアに拘る理由が少し納得した。

そりゃ自分が汗水かいて集めたコレクションを渡すわけにはいかないようだ。

この様子ではディーハンターにいったん預かる、という手段もとれなさそうだ。そう思ったダンはどうするべきか悩もうとした……その時だった。

 

 

――ディーキョウヒルズ全体に轟音が響いたのは。

悪意ある鋼鉄の魔の手が、すぐそこまで迫っていた。

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