ヒロアカ転生人格変貌   作:七瀬一五

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 主人公の容姿
 実験で白髪になり、また肌も病的なほど白い。身長は180cmとかなり高いが可変可能。体重もよく変わるが基本的にとても軽い。眼の色は血のように赤く、ギラギラしている。
 簡単に言うと、ヘルシングのアーカードのロリ形態を成長させて白髪にした感じです。



平穏の破壊の仕方

 名前を決めた彼女は、自身の欲望を満たすために動き出す。

 助走をし、勢いよく屋上から地上に向けて落下する。それと同時に個性を発動させ、自身の肉体を変貌させる。

 

 背中から赤黒い肉と骨でできた異形の翼が生え、眼が青く染まり、深海のような不気味な雰囲気を醸し出していた。

 降り立ったのは大通りの交差点の中心。

 

「あれ何?」「ヒーローか?」「いや(ヴィラン)だろ」「誰かヒーロー呼んで」「通行の邪魔だよ」「勘弁してくれよ、さっさと帰りたいのに……」

 

 突然現れた彼女に特に驚いた様子もなく、面倒くさそうな様相の市民たち。今の時間帯は夜なこともあって酔っぱらいやチンピラが迷惑行為をすることも少なくない。また、都心なだけあってヒーローも多く巡回している。

 そのため、彼らには不審者に対する危機感がとても薄かった。それが、市民たちの運命を決めるとも知らずに……

 

 彼女はこれから殺す人間に名乗りをあげるべきか少し迷ったが、殺す人間には名乗るべきだと考えた。

 

(わたし)の名は移動虐殺部隊(アインザッツグルッペン)。突然だが諸君には死んでもらう」

 

 言うが早いか腕を変化させる。形作られたのは異形の刃。細く長い刀身を持ち、背の部分は脈動する肉で覆われた冒涜的な幅広の刀。

 

「さあ、地獄を始めよう」

 

 その言葉を皮切りに、彼女はその刃を音速を優に超える速度で振るった。技術などない、ただ速度に合わせて刀身も一緒に伸ばしただけだ。

 

「あ、え?」

 

 気づいた時には彼らは死んでいた。届くはずのない攻撃によって。女、子供、老人の区別なく平等に、されど無慈悲に彼らの命は呆気なく終わりを迎えた。

 彼らは彼女が武器を取り出した時点で逃げるべきだった。皮肉なことに、ヒーローによって守られている安全が、市民たちにとっては当たり前のことになり、危険に対して盲目的になっていたのだ。

 

 喧騒は止み、交差点は墓地のように静まりかえり、誰も動くことができなかった。まるで時間が止まってしまったかのような空間で、一人の女性がある男性の亡骸を抱えている。

 

「……なんで?なんで血が……出てるの?」

 

 恐らくは彼女にとって彼は親しい存在だったのだろう。彼の身体は胸から下がなく、困惑の表情のまま歪に死んでいる。ショックが大きすぎたのだろう。彼女は半ば正気を失ってしまった。

 

「いや!いや!いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 女性の叫び声により止まっていた時間が動き出す。

 

「に、逃げろー!」「落ち着け皆!」「お父さん!お父さん!」「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」「誰か、俺の腕を知らないか?」「どけ!邪魔だ」「押すんじゃねぇ!」「冷静になれよ!」「ねぇ!誰かお母さんを助けてよ!」「もう駄目だ……」「誰かヒーロー呼んで!」「あぁ……どうして……」

 

 逃げるもの。死体に駆け寄る者。絶望する者。他者を助けようとする者。この記録を残そうとする者。死に損なった者。

 さっきまでの平穏は消え、一瞬でこの場所は地獄と化した。

 

「さて、第二段階を始めよう」

 

 愉快そうにこの光景を眺めるアインザッツは、次の個性を発動させる。別に彼女は殺すのが目的ではない。騒ぎを多くし、対処しようとするヒーローと戦い、自身の個性がどれくらいのものかを試すためである。

 

「部隊起動。個性脈動。指揮官は(わたし)に設定。対象は人間。移動虐殺部隊(アインザッツグルッペン)発動」

 

 意味不明な単語を呟くと彼女の身体から赤黒い霧が現れ、周囲に広がってゆく。霧は死体に絡み付き、その肉体を作り変えていく。

 バラバラになった死体は無理やり元の形に戻り、身体のほとんどが黒く焼き焦げたような色の人外となってゆく。それと反対に筋肉は固く強靭になり、鋼鉄のような肉体に変わる。死体の改造が終わると立ち上がり、黒い制服を纏い、軍帽を被り、自身の隊長に敬礼を行った。

 総勢34名の精鋭が誕生した瞬間である。

 

「ふはははは!やはり自分の部隊とは良いものだ」

 

 彼女が今使った能力は、複数の個性によって誕生した特殊なものである。『死体を武器にする個性』『死体をくっつける個性』『死体を生き返らせる個性』『集団に命令を出す個性』『死体の服を変える個性』という五つの能力が合わさったことにより『移動虐殺部隊(アインザッツグルッペン)』という死体を自分の軍隊にして使役するという凶悪な個性が生まれたのだ。

 

「……あぁ、やっぱりこれは夢よ。だって彼は死んだはずでしょ?なのに、なんで怪物になってるの?」

 

 ほとんどの民衆は逃げたが、最初に叫んだ女性は地面に力なく座っているだけだった。すでに彼女の眼は虚ろになり、まとも精神は保っていない。

 

 そんな者には目もくれず、アインザッツは次の指示を兵隊に伝達する。

 

「殺せ。有象無象の区別なく、無慈悲に、冷徹に、眼前にいる人間を殺し尽くせ。女も、老人も、子供も殺せ。命ある者を平等に、不平等に殺せ」

 

 彼らは無言で敬礼をし、行動に移る。強化された肉体と生来よりの個性を使い、虐殺を始める。

 当然女性は真っ先に殺された。幸か不幸か、彼女は彼によって首を貫かれ、痛みを感じる暇もなく命を断たれた。

 

「さあ、虐殺の時間だ」

 

 本当の絶望が始まる。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 アインザッツは狂っている。いや、正確には狂ってしまったと言うべきか。しかし、元は善人だとしても彼女がやっていることは最悪の行為だ。民間人をヒーローを釣るためだけに殺し、個性の実験のために死者すらも冒涜している。

 

「うーむ、殺し過ぎも良くないな。『ゲンサク』に支障があるかもしれんしなぁ」

 

 彼女に前世の記憶はほぼない。人格の変貌に伴い、記憶の大部分は失われ、残っているのは断片的なものだけである。

 

「新聞を見たところ今は『ゲンサク』の十年前……主人公たちはまだ五歳くらいになるのか。間違って殺さないように指示しなければな」

 

 けれど、前世の名残なのかもしれないが彼女は見たいと思ったのだ。少年が英雄へと至る最高の物語を。

 

「しかし、自分の軍を持っているというのは気分が良い。そうは思わないか?エンデヴァー」

 

 焼け落ちた顔を気にせずに話し続けるアインザッツ。その正面に立つのは紅蓮の炎を纏う一人の男。

 

「言っていろ!この(ヴィラン)風情が!」

 

 オールマイトに次ぐ実力と実績を持ち、炎系統最強クラスの『ヘルフレイム』という個性を保有する最高のヒーロー。そんな人間が彼女の道を阻んでいた。

 

「男なら一度は夢見るものだろう?あと、(わたし)の名前はアインザッツグルッペンだ。気軽にアインザッツと呼んでくれ」

 

 そう言っている間に、彼女の肉体はまるで逆再生のように治っていく。数秒後、そこには無傷の彼女がいた。

 

「(死体を操ることに加え、超再生。更に目撃者の証言によると飛行能力、肉体の変化まで可能とは…厄介極まりない個性だ)」

 

 冷静に(ヴィラン)を観察するエンデヴァー。彼らが居る場所は瓦礫の山の上。元々の場所は高層ビル群であったが、彼女によって見るも無残な場所と化していた。

 

 『移動虐殺部隊(アインザッツグルッペン)』。そう名乗る彼女が現れてから既に五時間が経過していた。死傷者、行方不明者、合わせて八万人以上。また、彼女の個性によって死んだヒーローが敵に回るという最悪の光景が生み出されていた。しかも、死んでいても個性を使ってくるため、生半可な強さのヒーローでは敵を増やすだけという状況に陥っていた。

 

 しかし、エンデヴァーが来たことによって事態は大きく変わる。彼の個性は身体中から炎を噴出し、敵を焼き払うことができるものだ。つまり、死体相手に手加減など必要もなく、アインザッツの集めた兵士の約9割を僅か1時間で殲滅し尽くしたのだ。

 

「やはりトップヒーローの力は凄まじいな。我が軍総勢6万5728名の内5万9156名の兵士が焼失。残る6572名は他のヒーローによって処理が進んでいる。ここに呼べる兵はいない」

 

 喋りながら思い切り地面を踏みつけ、瓦礫を空中に浮かす。それを強化した拳で殴り、大砲のような勢いでエンデヴァーに向けて放つ。

 

「ふん!」

 

 会話中の不意打ち。それに動じることなく冷静に対処するエンデヴァー。前方に炎を噴出させ、瓦礫から勢いを奪い、更に火力を上げ、マグマのようにドロドロに溶かした。

 

「流石はNo.2。判断が早い」

「抜かせ。貴様が本気を出していないことぐらい猿でもわかるわ!」

「…別に本気を出していない訳ではないのだがな」

 

 まぁ、一通り自分の個性の使い方は理解したし、(わたし)もそろそろ本気を出そう。

 

「死ぬなよ?エンデヴァー。貴様が死ぬとゲンサクとやらに支障が出るらしいからな」

 

 彼女にとってはただの確認の言葉であったが、エンデヴァーはそれを挑発だと受け取った。

 

「俺を舐めるなよ。(ヴィラン)

 

 そう言うと同時。アインザッツは両腕を刀に変貌させ、弾丸のようなスピードで彼の懐に迫る。

 対するエンデヴァーは全身に纏う炎をいっそう強く燃やし、彼女の攻撃に合わせて拳を振り抜いた。

 

赫灼熱拳(かくしゃくねっけん)ジェットバーン!」

 

 紅蓮に燃える拳は、いとも簡単に彼女の肉体を貫く。串刺しにしたアインザッツを戦闘不能にするため、更に火力を上げようとするが脇腹に強い痛みを感じ体勢が崩れる。

 

「ぬぅ!」

 

 その隙を彼女が見逃すはずもなく、自分の首を両腕の刀で切り落とし、串刺しから脱出した。頭部が地面に落ちる前に再生が終わり、体勢が崩れたままのエンデヴァーに攻撃をしかける。

 しかし、心臓を刀身が貫く瞬間、両足から炎を噴出し、彼はアインザッツから距離を取った。

 

「(どうやら俺は相手を見誤っていたらしい)」

 

 脇腹に目を向けると、そこには刀でつけられたと思われる真っ直ぐな傷口があった。あまりにも切れ味が良かったのか、エンデヴァーは自分が傷を負ったことに少しの間、気づいていなかった。

 あの時、エンデヴァーが彼女の腹を貫く瞬間、刀身を人間の認識速度以上のスピードで伸ばしたのだ。

 

「ならば、近づかなければいいだけのこと!」

 

 即座にそう判断したエンデヴァーは、右腕に炎を集め、拳を握る。彼がNo.2ヒーローとして恐れられているのは、この冷静な思考もあるのだろう。

 

「(いくらか動揺を与えられると思ったのだがな……)」

 

 (わたし)とて、最初からエンデヴァーを倒せるとは思っていない。今の(わたし)と彼が正面から戦った場合、十中八九彼が勝つだろう。例え(わたし)に十万の兵がいたと仮定しても、まず無理だろう。それぐらいの力の差がある。

 まぁ、それに気づいたのはエンデヴァーと戦ってからなんだがね。というか個性と肉体が凄いだけで、(わたし)自身に戦闘経験とかゼロだしな。

 

 そんなわけで、(わたし)はこれから逃げようと思う。おっと、卑怯とは言うまい。ぶっちゃけ(わたし)もゲンサクとやらに関わってみたいからな。ここで死ぬ訳にはいかんのだ。

 

「フレイムバーン!」

 

 エンデヴァーによって放たれた螺旋の炎。それを利用するため、翼を背中に展開し、炎によって生まれた上昇気流で一気に空へと羽ばたいた。

 

「なっ!逃げる気かアインザッツ!」

 

 エンデヴァーには彼女の行動が全く理解できなかった。突然都心に現れ、民衆を虐殺し、彼と少し戦うと、いきなり逃走を始めた。意味がわからない。そもそも最初から逃げる気だったら、エンデヴァーが彼の兵士を殲滅し始めた時点で逃走をするべきだった。わざわざ自分の顔を晒し、彼を挑発する意味も全くない。

 

「その通りだエンデヴァー!今の私では貴様に勝つのは無理なようだからな」

 

 上空に浮遊するアインザッツが清々しいまで敗北宣言をし、翼を広げようとしたその瞬間。

 

「ん?何だあれ」

 

 彼女以外はいないはずの空中。そこから遥かに離れた場所に黒い点を見つけた。いや、よく見ると金色の髪のようなものとよく目立つ赤色の人型が見える。

 金と赤、そんな分かりやすいカラーをした人間はたった一人しかいない。

 

「がふッ!?」

 

 そのヒーローを認識した瞬間、(わたし)は一瞬でビルにめり込んだかと思えば、そのままの勢いのまま突き抜け、廃墟同然の民家に激突した。

 

「まさかこの場面で奴が出てくるとは…」

 

 いや、こんな状況だからこそ来たのだろう。

 だからそ彼は、()()()()()と呼ばれるのだろう。

 

 存在そのものが(ヴィラン)犯罪の抑止力と言われる生きる伝説。

 あらゆる悪に打ち勝つナチュラルボーンヒーロー。

 

(ヴィラン)よ」

 

 眼前に降り立った怪物。

 前髪を角のように二本立て、オールバックにした金色の髪。白黒逆転した鷹のように鋭い眼差し。まるで(いわお)のような身体をした筋骨隆々の大男。

 

「私が来た」

 

 その名はオールマイト。

 日本のヒーローの頂点に立つNo.1である。

 




 オール・フォー・ワンから押し付けられた個性の能力の欠点一覧。

『死体を武器にする個性』
欠点:武器の強度は死体に依存するため脆い。
『死体をくっつける個性』
欠点:くっつけるだけであり元の状態に戻すわけではないため使い道がない。血管や骨などを無視してくっつけるため、死体の改造にも全く役に立たない。
『死体を生き返らせる個性』
欠点:死体のまま生き返らせるため、生前の記憶はなく、勝手に動く。腐ることはないが、それだけしかメリットがない。
『集団に命令を出す個性』
欠点:知性のある生物には効かず、知性がなく、生きる意思などが全くない生物のみに作用する。つまり、ほぼ無理である。
『死体の服を変える個性』
欠点:死体の服を自身が好きだと思うものに変える。尚、変えるだけなので戻ることはない。ついでに、自分の好きな服に変えるため、喪服などに変えることができない。
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