ヒロアカ転生人格変貌   作:七瀬一五

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 ありおりはべりいまぽかりさん誤字報告ありがとうございます。

 ちなみに、ヒロアカ世界の力関係はこんな感じです。
全盛期オールマイト>=全盛期オール・フォー・ワン>>>>>エンデヴァー>>主人公>その他

……全盛期のオールマイトとオール・フォー・ワンが強すぎる。


ヒーローアカデミア
雄英高校入学試験


 国立雄英高等学校。

 オールマイト、エンデヴァー、ベストジーニストと言ったトップヒーローの多くが在籍していたという国内最高峰の高校である。また、豊富な設備を揃えており、ヒーロー科以外の学科も高い倍率を誇っている。

 

「ここが雄英か」 

 

 校門の前に立ち、そんなことを呟く長身の少女がいる。

 そんな彼女はとても目立っていた。

 死人のような白い肌に血のように赤い眼。どこまでも黒い髪に180はあろうかという身長。吸血鬼を思わせるような容姿をした彼女はとある中学校の制服を着ている。

 

響香(きょうか)は……まだ来ていないようだな」

 

 だが、その制服が致命的なほど似合っていなかった。しかも、彼女は美人という部類に入るため、より一層悪目立ちしていた。

 

 そんな彼女を遠くから見ている人物がいる。

 

「だから校門前で待つのは嫌だったんだよ……」

 

 耳たぶがプラグになっている小柄な少女だ。軽く紫がかった黒髪に三白眼を持つ彼女は、げんなりとした顔をしている。

 長身の彼女と同じ制服を着ていることから、恐らくは同級生なのだろう。

 

「はぁ……仕方ないか」

 

 少女は意を決して、校門前で待つ彼女の元へと足を動かした。彼女に近づくにつれ、耳郎に注がれる視線も多くなってゆくが、慣れたように歩く。

 

「おはよう響香」

「…おはよう刹那(せつな)……あの、頼むから制服以外の服を着てくんない?入試は別に私服でもいいって書いてあったじゃん」

「いやほら一応入試だし、あの中学にも恩義はあるからな」

「…問題児が言っても説得力ないぞ」

 

 かつて虐殺者と呼ばれた彼女は、友人と雄英高校の入学試験に挑もうとしていた。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 夜神刹那(やがみせつな)。それが今の()の名だ。

 10年前、私は自らの死体に血液として入り込み、自身を瀕死の状態のように見せた。ただ、あの時オールマイトに語ったことは私からの本心だ。それだけは変わらない。

 その後、なんとか液体から戻った私は裏社会で仕事をし、戸籍を作り、学校へと入学した。身長の方は不変的変貌改造(シュテルクスト)で色々と削ったがな。

 

 そこで会ったのが響香である。耳が変だとイジメられていた彼女を助けたら、それ以降一緒にいるようになった。いつの間にか友達になっていたが、それもまた運命なのだろう。

 

 そして、私にはもう前世の記憶はない。微かに残っていた記憶はノートに記しておいた。そのおかげで、この世界の大筋の流れはわかっている。

 

「今日は俺のライヴにようこそ!!!エヴィバディセイヘイ!!!」

 

 そんなことを思い返していると、やけにデカイ声が耳に響いた。首にスピーカーのような物をつけている賑やかな男が壇上に上がり、説明が始まった。

 

「入試要項通り!リスナーにはこの後!10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!!」

 

 スクリーンに映し出されるのは、AからGまでの7つの市街地。改めて考えても凄まじいな……この学校の予算。

 

「持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!」

 

 机の上を見ると、Aと書かれた紙が置かれていた。右に座っている響香の紙には、Bと書かれている。

 どうやら同じ学校の人間とは協力できないようだ。

 

 その後も説明は続き、途中に真面目そうな眼鏡の少年が質問をしたが、特段気にするようなものでもなかった。要約すると、目についたロボを破壊すればポイントが入り、そのポイントで合否を決めるとのこと。

 人間相手より余程楽だ。

 

「じゃあ、ウチはこっちの試験会場だから」

「そうか。では、健闘を祈る」

「はいはい。頑張りますよ……」

「響香からは私に対して祈ってくれないのか?」

「いや、あんた滅茶苦茶強いじゃん」

 

 彼女とは会場が違うので途中で別れ、私はA会場へと向かった。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 スタートラインには既に多くの人がおり、皆ストレッチや精神統一などをして集中力を高めていた。だが、ある人物のせいで会場のほとんどの人間が動きを止めてしまった。

 実技試験ではジャージなどの動きやすい服装で来るのがほとんどだというのに、彼女は白い軍服を着ていたからだ。

 

「やはり、この格好の方がしっくりくるな」

 

 軍服。

 この世界では個性の発展とともに軍隊は衰退していき、軍の象徴である軍服は骨董品のような扱いになっていた。

 十年前までは。

 『都市喰らいの夜』の首謀者であるアインザッツは黒い軍服、しかも悪名高いナチスの制服を着ていた。そのため黒い軍服は『虐殺』を、逆に白い軍服は『守護』を表すようになった。

 

 (しかし目立つな。実技は服装自由だと言っていた気がしたのだがな……)

 

 ただ、彼らも雄英を受験しに来た猛者たちだ。すぐに頭を切り替え、開始の合図を待つことに専念し始めた。

 

『ハイスタートー!』

 

 彼女が来たその数分後、実技試験は唐突に開始された。戸惑う受験者。

 

「始めないのか?」

 

 そんな彼らに、夜神は言葉を投げかけた。その声によって一人二人と駆け出し、気づけばスタートラインには彼女だけが残っていた。

 

 今の私の行動に特段意味はない。ただ、あのままだと後悔しそうな人間が多くなりそうだなと思っただけだ。

 

「それに、正々堂々が一番だからな」

 

 彼女はそう呟き、個性を発動させる。

 10年前は使っていなかった不変的変貌改造(シュテルクスト)の能力の一つ。『自らの肉体のあらゆる物質への変貌』を別の個性として登録した。

 

機械励起(きかいれいき)

 

 その言葉を発した瞬間、彼女の肉体が機械へと変貌する。

 両手両足は黒金の装甲で覆われ、指先はナイフのように鋭く変わってゆく。背中からは黒い鋼の翼が作り上げられ、血は電流へと変貌した。

 

「ふぅ、慣れたとは言え少しピリピリするな」

 

 血液を電流に変えたことにより、周囲に電撃が振り撒かれる。スタート地点にはいくつもの亀裂が作られたが、彼女は気にすることなく地面を踏み込み、飛翔した。

 空高く飛び上がった夜神は、市街地の中心に辿り着くと、自身の周囲に赤黒い霧を出現させた。やがて霧は形を変え、無数の黒い刀が形作られる。切っ先は市街地で暴れる『仮想(ヴィラン)』へと向け、空中に固定された。

 

「照準よし。角度よし」

 

 かと思えば、突然振動を始めた。刀は彼女の血によって作られ、構造すらも自由自在だ。

 この刀の名は『電磁式射出専用刀』つまり、電磁加速砲(レールガン)で発射する弾丸の変わりのようなものである。そして、その速度は音速を優に越える。

 

「発射」

 

 空気を焦がすほどのスピードで射出された刀が、一斉にロボへと着弾する。その瞬間、とてつもない轟音と衝撃波が受験者たちを襲い、訓練場は静まり返った。

 

「ん?思ったよりも脆いな……」

 

 刀のスピードは時速200kmにも達し、彼女の放った攻撃は、蟻に弾丸を撃ち込むような過剰なものであった。その結果、ロボは一瞬で残骸と化し、近くにいた人間の鼓膜は破れ、衝撃で気絶したのだ。

 

「お?まだ動いているヤツがいるじゃないか」

 

 彼女の視線の先にいるのは0P(ヴィラン)。ところ狭しと暴れているお邪魔ギミックであるが、夜神の攻撃により左アームは配線が剥き出しの状態になっていた。しかし、プログラムに従い、目の前の標的に向かって歩みを進める。

 

「やはり的はデカい方がいいな」

 

 そう言うと、彼女は自身の両腕を合わせた。すると、腕同士が組み合わさり、巨大な銃身と変わってゆく。

 それは夜神の身長よりも長く、赤い血管のような線が浮かんでおり、異質な存在感を放っていた。

 

「小さいのは狙いにくい」

 

 形状はスナイパーライフルに近いが、スコープはない。彼女の眼そのものが照準機の役割を担っているからだ。

 

「周りの人間まで殺しかねないからな」

 

 銃口がロボの顔部分へと向き、彼女の血肉から作られた弾丸が装填され、攻撃の準備が整った。

 

「穿て」

 

 その言葉と同時に、銃身から弾丸が発射された。

 スナイパーライフルは衝撃で自壊し、夜神自身も後方に吹っ飛んだ。

 放たれた弾丸は槍のように鋭く、標的に当たった瞬間、顔から胴体までを一瞬で貫いた。そして、ロボはゆっくりと地面に倒れ、爆発した。

 

「……今度から地面に固定して使うか」

 

 0P(ヴィラン)を鉄屑にした彼女だが、衝撃を考えていなかったため、衝撃で機械部分がスクラップのようになっていた。そのため、翼が壊れた夜神は地面に打ちつけられ、気だるげそうに転がっていた。

 

『終了~!!!!』

 

 私が空を見ていると、試験終了の号令が聞こえてきた。だが、動くのが面倒だったのでしばらく寝ていた。

 

「はぁ……締まらないなぁ」

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 数日後。

 我が家で夜ご飯の準備をしていると、台所に()()()()()が走ってきた。

 

「刹那さん!お手紙きたよ!」

 

 どうやら私宛の手紙が届いたらしい。

 手紙を持ってきたことを誉めて欲しいのか、頭をこちらに突き出している。

 

「ん?ホントだ。ありがとう壊理(えり)

「えへへ」

 

 料理の腕を止め、壊理の頭を撫でてあげる。そうすると嬉しそうに笑い、居間に戻っていった。

 

 差出人は雄英高校。

 この前の試験の結果が出たのだろう。正直に言って苦情を入れられてもおかしくないことを私はやった。慰謝料の請求書が届いても驚きはせぬぞ。

 

「開けてみるか」

 

 中には小型の投影機が一つ入っていた。机に置いて起動させると、画面いっぱいにオールマイトの顔が映し出される。

 どうやら慰謝料は払わなくてよさそうだ。

 

『私が投影された!!』

「やはりオールマイトか」

 

 驚きはない。

 何せ、この年に教師になるとノートに書いてあったからである。されど、確かな歓喜はある。

 

『ん?なぜ私がこの画面に映っているかって?それは私が雄英に勤めることになったからなんだ』

 

 知っているさ。

 私の頭からは既に消えているが、記録が教えてくれる。

 

『さて、後がつかえてるので簡潔に言おう!合格おめでとう夜神少女!』

「ふむ」

 

 やはり自分では合格とわかっていても、人に言われると安心する物だな。

 

『筆記、実技、共にトップクラスの成績だったが、周りへの被害は気をつけてくれ!』

 

 それは弁解のしようもないな。

 大規模な練習場などなく、存外に気が昂っていたのだ。ヒーローを目指すのだから、コンパクトな武装にしなければな。

 

『改めて、ようこそ夜神少女。雄英(ここ)が君のヒーローアカデミアだ!』

「『僕のヒーローアカデミア』か」

 

 ここまで10年かかった。

 前世の記憶はできる限り残したが、既に原作(せかい)は変貌している。収束はされているが、確かな歪みを私は作った。

 

「刹那さん。ご飯まだ?」

「もうすぐ出来るから少し待っていてくれ」

「わかったー」

 

 4月からは新しい学校生活が始まる。

 終わりの始まりであり、物語の歯車が動き出す時。夢は現実に、前世(げんじつ)は泡沫へと消えた。

 

「響香は受かったかな」

 

 その言葉に呼応するように、夜神の携帯メッセージが届いた。送り主は響香であり、彼女も雄英に受かったようである。当然の如く夜神が受かっていると信じており、遅れて『おめでとう』と送られてきた。

 彼女も返すように祝福の言葉を送るた、携帯を閉じて静かに笑った。

 

「やはり響香が喜んでると私も嬉しいな」

 

 夜神はそんなことを呟くと、夕食のカレーを食卓へ運んだ。

 そして、いつものように壊理と一緒に食事をした。穏やかな会話と暖かい料理。普段通りのカレーはいつもより美味しかった。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

《雄英高校会議室》

 

「実技総合結果出ました」

 

 スクリーンに映し出されたのは、雄英入学者の実技成績だ。

 毎年、試験の後は教員が集まって合格者についての人格面や戦闘能力などを話し合い、クラスもついでに決める。

 

「今回は100P越えが三人もいるのか」

「えぇ、特に一位の夜神刹那は160Pという圧倒的な成績を残しています」

「広域制圧能力だけでなく、あの0Pを倒すほどの火力。彼女がヒーロー側で良かったよ」

「思わずYEAR!って言っちゃったからなー」

「ただ……」 

「他の受験者への被害がな……」

 

 雄英高校の実技試験は、事前に誓約書を書かないと受けられないようになっている。そのため、受験者が怪我をしたとしても訴えられることはない。

 

「確かに治療は雄英(ウチ)から出るが、それにしたって多すぎる」

「鼓膜破裂九割、擦り傷八割、骨折五割、軽いPTSD二割。実際問題、彼女以外は全員負傷者だな」

 

 なお、軽いPTSD患者は皆一様に『鋼の堕天使が来る』と怯えているらしい。

 

「その点、2位の彼と3位の彼女はとても優秀だ。特に2位の緑谷出久は咄嗟の判断が素晴らしい」

「いやいや、3位の爆豪勝己も負けてない。ポイントこそ二人に劣るが、最後まで鈍ることなく派手な個性で迎撃し続けた」

「そうだな。どちらかと言うと2位と3位が強すぎた」

 

 緑谷はレスキューポイント60と(ヴィラン)ポイント83、合わせて143P。爆豪はレスキューポイント30(本人は自覚なし)と(ヴィラン)ポイント72、合わせて102P。

 

「個性『機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)』。この名前自分で考えたのかね?」

「まぁ、白い軍服を着てるぐらいだし、あれは男女関係なくかかる不治の病だからな」

「オールマイトはどう思いますか?」

「………」

「オールマイト?」

「おっと、すまないな。…変なことを言うんだが、夜神少女の顔をどこかで見た気がしてね」

「ヒーローやってると結構な頻度でそういうことがありますよね」

「そうそう。この前も熱心なファンを知り合いと間違えてしまってね。おかげで大騒ぎになったよ」

「おーい話が脱線してるぞ。そろそろクラス決めをしたいんだがいいか?」

 

 クラス決め。

 生徒たちにとっても、教師にとっても重要である事柄。かなりの確率で揉めることが多い。

 

「では、上位三名は俺のクラスで受け持っていいですか」

「珍しいなイレイザー。お前が自分からそんなことを言うのは」

「理由を聞かせて貰っていいかな?」

「あいつらは既にプロレベルの力を持っている。だが、まだ足りない。特に夜神は他人のことをまるで考えてない。だったら、近い実力を持っている人間の『壁』になってもらう方が合理的だ。それに、夜神にとっても大きな成長になると考えている」

「なるほど…君の考えはわかった。では、他の生徒のクラス分けを決めようか。まず…」

 

 その後、特に揉めるようなこともなく、順調にクラス分けは決まった。

 原作通りのクラスに、とは言っても夜神がAクラスに入るので若干の違いが出てしまった。ただ、クラスの人数が21人になっただけである。

 

 世界は変わらない。

 




公的書類

名前:夜神刹那
性別:女性
個性:『機械仕掛けの神』
能力:自身の肉体を機械に変貌させる。
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