本名:アインザッツ・グルッペン
個性:
性格:尊大で自信家。
大切な物:ノート、響花、壊理。
今日から私は高校生となる。
新しい制服に腕を通し、スカートを履き、軍服を羽織る。最後に軍帽を被り、準備完了。
「
「うん!とっても似合ってる」
「はは、そうだろう」
娘(のような存在)である彼女に自身の制服姿を見せ、満足そうに笑う夜神。ちなみに、軍服を着ていいかどうかはちゃんと雄英高校に電話をして確認をしている。
「昼食は冷蔵庫に置いてあるから温めてたべるんだぞ」
「はい」
「治崎が来たら夜に来いと伝えておいてくれ」
「わかった」
「じゃあ、行ってくる」
「いってらっしゃい!気を付けてね」
家から駅まで歩いて約10分。そこから電車に乗って15分ほどで
ちなみに彼女が軍服で学校に行くことを響香は知らない。
「やあ響香。おはよう」
「あぁ刹那おは……」
夜神の制服姿を見た耳郎は言葉を失っていた。入学式なのだから今日ぐらいはまともな格好をするのだと思っていたが、現実は非情である
「なんだい?」
「…いや、制服よく似合ってるね」
「だろう!頑張って作ったからな。響香もどうだい?」
「ウチはいいかな」
耳郎響香は夜神刹那とは長い付き合いになる。そのため、ある程度のことは流せるようになっていた。
「響香の制服もよく似合ってるな」
「そ、そうかな。なんか変じゃない?」
「大丈夫だ。ちゃんと響香は可愛いぞ」
「ありがと…」
だがしかし、夜神からの褒め言葉には弱い。
「雄英のご飯が美味しいと聞いたが本当だろうか」
「普通気になるの授業とかじゃない?」
「ご飯は大事なのだ」
「まあ、確かに」
響香との会話を楽しんでいると、バスが目的地に着いたらしく停車した。雄英高校前というアナウンスが春っぽい音楽と共に流れてくる。話すという行為は時間を忘れさせてくれる良いものだと夜神は思った。
バス停から雄英の大きな校門をくぐり、校内に入る。少し歩くと、これまた大きいサイズの『1ーA』と書かれた教室の扉が見えてきた。
「教室の扉もデカイね」
「ふむ。アメリカンサイズということか」
「なんか違くない?」
新しいクラス。私は既に知っているため新鮮味に欠けるが、夜神刹那という存在にどう反応するかは非情に楽しみだ。
「よし、入るか」
「うん」
「ちなみに、私は教室に入ったらカッコ良く挨拶するつもりだ。後から入る響香は少々入りづらいかもしれないが、そこは頑張ってくれ」
「えっ、ちょ」
音が鳴るぐらいにドアを引き、クラスにいる人間の視線を自分に集める。そして、ゆっくりと歩いて教卓の前に立った。
「諸君!おはよう。私の名前は夜神刹那。これから一年間様々な困難に直面すると思うが、よろしく」
私が自己紹介をし終えると、教室の中はやけに静かになっていた。
「俺は
と思っていたら私に負けないくらいのインパクトで返した人間がいた。
「それはすまなかったな。今度から気を付けることにするよ。あと、軍服は許可をちゃんともらっているぞ」
「そうだったのか。早とちりして申し訳ない。そちらの女子生徒は?」
「あっ、ウチは耳郎響香です。刹那が変なことしてすいません。こいついつもこんな感じなんですよ」
「はは、褒めるな。照れる」
「褒めてない」
ファーストコンタクトは成功したので、ゲンサク通りのクラスになっているか教室を見回す。既にほとんどの席は埋まっているらしく、私と響香が最後だったらしい。
「(緑谷出久と爆豪勝己は…)」
あの二人はゲンサクの進行に必要らしいからな。ないとは思うが、もし死んでいたら困る。私ではオール・フォー・ワンには勝てないからな。
「(あぁ、いたいた)」
目当ての人間はすぐ見つかった。
だが、少々印象というか雰囲気が違っていた。
爆豪勝己が女になっていることは知っていたが、緑谷出久との距離がなんだか近い。そして、彼はそれに対して全く気にしておらず、普通に
「(……ゲンサクこんなんだったっけ?)」
ゲンサクのある程度の流れはノートに記されてるとは言え、性別以外で間違っている所を思い出せない。
とりあえず挨拶でもしてみようと思い近づこうとした時、後ろから何か気配を感じた。
「お友達ごっこしたいなら
声のする方向を向いてみれば、寝袋を着たまま立っている芋虫のような人間がいた。ボサボサとした髪に不眠症のような眼をしているが、不審者ではない。
「ここは、ヒーロー科だぞ」
だがしかし、格好があまりにもホームレス。夜神以外の人間は突然の浮浪者の出現に呆然としていた。
「担任の相澤消太だ。よろしくね。早速だが、
そして有無を言わさず生徒に指示。オリエンテーションはどうやらないらしい。言うだけ言って、相澤は教室を出て行った。残されたのは静かになった生徒たちのみ。
「これが雄英高校…なんか色々ビックリだね。気後れしそうになるよ」
「とか言って、ヒーローオタクのテメーは内心ワクワクしてんだろ?」
静寂の中で口を開けたのは緑谷出久。ネガティブなことを喋っているが、長い付き合いの爆豪には普通に心を見抜かれていた。
「うん。驚きもあるけど、僕らが何をするのかという方が正直かなり楽しみだ」
「だと思ったよ。んじゃ、行こうぜ」
「あぁ」
そんな感じで、最初に教室を出たのは彼女と彼だった。次いで、他の生徒も近くの人と軽く会話などをしながらを教室を出ていっている。
そして、最後に残ったのは耳郎と夜神だけとなった。
「(ふむ。担任はゲンサクと変わらず、起きる事象も変わっていない。では、私が忘れているだけで緑谷出久は元からこんな感じだったのだろうな)」
夜神は情報の擦り合わせを行い、ゲンサク通りに進んでいるかを確認していた。
「刹那、行くよ」
「(爆豪も実物を見たら、ゲンサクでも女性だった気もしてきたしな)」
ただ、若干適当である。これは、彼女の精神年齢が見た目よりかなり幼いためだ。
夜神がこの世に生を受けて約十年。色々と経験をして成長していると自分では思っているが、精神は全く成長していない。
「(ゲンサク通りだな。ヨシ!)」
「おーい刹那、行くよー」
「おっと、了解だ。すまんな、待たせて」
「大丈夫。それよりも、いきなり外だなんてビックリだよね」
精神が一度完璧に壊されているという影響もあるが、なまじ知識があるおかげで子供っぽいとは思われていない。
「確かにな。しかし、オリエンテーションがないということは私の自己紹介は正解だったな」
「…それはなんか違くね?」
そして、当然ながら本人は気づいていない。
◇◆◇◆◇◆◇
「「「個性把握テストォ!?」」」
グラウンドに集合した生徒たちに告げられたのは、初日とは思えない内容だった。
「そうだ。ヒーローになるなら、入学式やらそんな悠長な行事をやってる時間はない」
確かに、この世界においてヒーローに求められる役割はゲンサクよりも大きい。今彼らに求められているのは、市民が戦わなくて良いほどの抑止力になることだ。
そのため、ヒーローを志す者たちはゲンサクよりも覚悟が強い。このシーンでは麗日が行事関係について質問するのだが、彼女もまたヒーローを目指す重さを知っている。
故に、ヒーローになるのなら当たり前か、と納得している。
「(知っていたが…やっぱりやりたいな入学式。こう翼とか生やしながら登壇して、鮮烈に皆の記憶に残りたい)」
「(クソ!登壇する時なら女子のスカートが下から見れたというのに…!そのため入学式だろぉ!?)」
…まぁ、一部の人間は物語の結末が見たいという理由で入ったり、ヒーローになればモテるだろうという考えの者もいる。だが、不純も極めれば純粋というわけで、要は信念があれば良いのだ。
「不満のある人間もいるようだが、雄英は自由な校風が売り文句。そして、それは"先生側"もまた然り」
信念や執念のない人間は、必ず脱落する。
「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座対前屈。中学の頃からやってるだろ?『個性』禁止の体力テスト」
「(あれか…かなり面倒だったな)」
私の身体は、ほぼ『個性』で作ってるから全力を出すことができない。そのせいで、小中学の体力テストは酷い結果だった。
「国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けている。合理的じゃない。まぁ、文部科学省の怠慢だな」
そう言い終わると、相澤先生は私に手招きをしてきた。そういえば、入試一位は私なのだからこうなるのか。
「夜神、中学の時ソフトボール投げ何mだった」
「10mだ」
「…小学生の時の記録じゃないぞ」
「そっちは4mだ」
相澤先生が信じられない生き物を見るかのような目をしていた。初対面のクラスメイトも、驚きとも呆れとも取れるような顔をしている。
「…そうか。じゃあ、『個性』を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい」
だが、夜神はその目が驚きに変わる瞬間が楽しみでやる気が上がってきた。その記憶にしっかりと自身を刻み込んでやろうという傲慢な感情を元に彼女は笑う。
「了解」
ボールを受け取った夜神は、それを射出するための最適な機構を思考する。
「演算完了。『
彼女の呼び声と共に、全身が金属音を立てながら変形してゆく。下半身は射出機構支えるために頑丈に重く変化し、背中からは安定性を高めるためにクモの脚を模した機構が現れた。それが終わると、ボールを持ったままの両腕を合わせ、巨大な銃身を生成してゆく。
「(入試時よりも強度向上…ボールの耐久限界を計算…適切な電力量…飛距離を倍にするためにボールのコーティングを実行…)」
夜神が今生成しているのは、入試時にも使っていた電磁式加速砲、通称レールガンである。ただ、前回とはサイズが違う。入試時は空中に浮いていたため、ある程度の大きさで妥協する必要があった。
「(目標設定…計算終了…構築終了…)」
しかし、今回は違う。
制限時間もなく、妨害の心配もない。夜神は見せられる力の限界まで使用し、実に一分以上の時間をかけてボール投げの装置を構築した。
「ボール投げ…だよな?」
出来上がった物を見て、誰かが疑問の声をあげた。
なぜならば、そこにあったのはボール投げを想定して作ったようにはまるで見えない無骨な兵器だった。
砲身は夜神の背丈を遥かに上回る11mであり、校庭にそれがあるのは酷く目立っていた。
「相澤先生、これより私はボール投げを行う。衝撃によって鼓膜が破れる危険性があるため、皆に指示をお願いしたい」
「だろうな。…この場にいる全員、自分の耳を塞いで姿勢を低くしろ。しっかり踏ん張っておかないと最悪意識がトぶぞ」
そう言うと、懐から耳栓を取り出して装着した。
「照準固定。発射まで、あと5秒」
それを見た生徒たちは、迅速に指示に従った。俗に言う対ショック姿勢をとる生徒たちを横目に見ながら、夜神は力を込める。
砲身に赤黒い閃光が迸り、周囲の人間が重圧を感じるほどの機械音が響く。
「
兵器の名を呟くと彼女の赤い眼が一瞬だけ光り、
「撃て」
轟音と共にに射出されたそれは、周囲に衝撃波を放ちながら一直線に標的へ目指す。何人かの生徒は吹き飛ばされかけ、その音は雄英高校の周辺一帯に響いた。
ミサイルよりも速く、音よりも加速したボールはものの数秒で空の彼方へと消えた。
「夜神刹那、記録《無限》」
「「「無限!?」」」
出された記録に生徒たちの驚きの声が上がる。
「ふはははは!凄いだろう私の力は!最高速度はマッハ667、目標着弾地点は月!あぁ、素晴らしき
それに合わせて自慢気に話す夜神。
こんな記録を初っぱなから見せられれば、普通は萎縮してしまう。だが、彼女の笑ってしまうぐらいの態度のおかげで、生徒たちは逆にやる気が出てきた。
「無限ってマジかよ!」
「なんだこれ!すげー
もちろん、夜神が親しみすい(?)言動を取らずとも萎縮しない人間もそれなりにいる。
「かっちゃん、これが雄英なんだね」
ワン・フォー・オールの継承者。
「ビビってんのか?デク」
爆破使いのニトロ少女。
「あいつが入試一位の…」
半冷半熱のヒリつく少年。
彼らの思惑は違えど、全員が夜神を越えられるという自信がある。今は無理でも、必ず自分が勝つという確信。それを彼らは持っている。
「(先の映像では知っていたが、『個性』の出力が桁外れに強い。本人が『機械の神』と名付けたのもうなずける)」
そして、そんな彼らを見ながら相澤は思考する。
「(だが、夜神からはヒーローになりたいという意思をまるで感じない。キッカケさえあれば
相澤の考えは正しい。
実際問題、彼女は歴史に残る虐殺を引き起こした凶悪犯罪者である。しかも、雄英に入った理由はゲンサクを間近で見たいという私的な理由だ。
「(厄介な生徒だ)」
夜神を要注意人物だと改めて認識し、相澤は次なる指示を出すために生徒たちに目を向けた。
「はい注目。今見た通り、君たちには個性を使っての体力テストを行ってもらう」
その言葉に浮き足立つ生徒たち。
それもそのはず、学校での個性使用は原則禁止。公共の場での使用も法律により禁止されている。とは言っても、被害さえ出さなければ使ったとしても簡単な注意だけだ。
「面白そうだと思ったか?」
自由に個性を使える機会を楽しみだと思わない生徒はいない。
「ヒーローになる為の三年間。そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?」
だが、彼らの目の前にいるのは通算除籍指導回数154回にのぼる雄英屈指の厳しさを誇る相澤消太だ。
「よし、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう」
「「「はああああ!?」」」
いきなりの宣言に動揺する生徒たち。
当然の話だが、もし除籍になれば彼らは雄英生徒ではなくなる。一年、あるいは数年必死になって勉学に励み、入学したいうのに担任の一存でそれら全てが水の泡と化す。恐ろしいことだ。
「生徒の
そして、これは相澤の優しさでもある。
いくら生徒たちがヒーローになるための覚悟を持っていたとしても、実力が伴わなければ意味はない。いわば、これはふるい落としなのだ。
「ようこそこれが…」
しかし、そんなことは生徒には関係ない。
「雄英高校ヒーロー科だ」
故に、彼らにとって最初の試練が始まる。
【
名前の意味はドイツ語で雷鳴。
演出用の超長距離砲であり、貫通力に優れている。最高速度はマッハ667。人の知覚できるスピードではないが、なぜかオールマイトに当たる気がしない。
尚、一発撃っただけで砲身内部は融解し、二発目が撃てた場合は砲身が真っ二つに折れる。