超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス【凍結】 作:燐2
――――――力があればどんなことも出来ると信じていた。
そう、姉の姿を見てそう思った。
記憶の中で輝くその姿は、人間形態でも女神形態でも色あせることはなかった。神々しく思うほどに黒き軌跡を描く美しい剣劇がモンスター共を有象無象と言わんばかりの無双するその背中を何度も見て負ける姿なんて予想すらしない。あの空でさえ、総合的能力のみで評価するならばノワールが一番と断言した程だ。
しかし、現実は儚く打ち砕かれる。
誰よりも尊敬して、誰よりも信頼している姉は囚われ、自分と同じ女神候補生だけが救われた。
理由は簡潔、自身が貧弱だったから。
弱かったから見下され手加減され、そして本来の力を使い切ることなく圧倒的差でねじ伏せられ敗北したからこそまだ余裕があり、回復が速かった。しかし、戦いという土台に自分たちとあの女神の様な姿をした女神モドキは同じ位置に立っていないのだ。そして無力な事に追い打ちを掛けるように世界は当然のように敗者である女神ではなく、勝者であるマジェコンヌを信仰し始めていた。
「………痛ッ」
「こんな所で走るな!!痛邪魔だろうが!!」
教会から抜け出し、場所も分からないまま走っていると人混みの中で人に当たった。
まだ体中が痛い、冷静になって体中を見ると包帯が至る所に巻かれていた。面を上げると顔を真っ赤にしながら怒る男性はユニを見ると忌々しく舌を打つ。
「ちっ、怪我人か。ガキは家に帰って寝てろ」
「…私は、…女神……候補生……」
「あぁ!?」
青筋を浮かべて怒鳴る声にビクッと肩を触らして唾を吐く様に舌を打ち男性は去っていく。
川の様に流れる人の中に親が注意する声が聞こえる。その方向へ向くと子供がゲーム機を持ちながら歩いていた。それがマジェコンである事が分かり、体に力が入り立ち上がり少年に声を掛ける。
「……あなた……それ、マジェコン…でしょ」
「ん?お姉ちゃんだれ?」
「それはダメな物なの、捨てないと……ダメなのよ!」
「えー、これさえあれば好きなゲームをダウンロードしまくりじゃん。これをくれるマジェコンヌはもっとサイコー!学校じゃみんなそう言っているよ?」
「だから……!」
再び親の声に子供がびくっと背が伸びる。怪訝な顔でユニを見て鼻で笑う。
「おねえちゃんもしかして女神信仰者?ダメだよお父ちゃんもお母ちゃんも女神は終わったって言ってるもん、みんなが楽しめるマジェコンヌこそがゲイムギョウ界の神様ってみんな言ってるよ?じゃあね」
流行に遅れてしまった可哀そうな人を見る様な目で子供は、ユニの前から親元目指して人混みの中へ消えた。
「こんな所で立ってないで早く行ってくれない?通行の邪魔なんだけど」
子供の残した言葉が未だに理解できなく呆然としている化粧の臭いが濃い女性が睨みユニの前に立つ。その女性の持つ無駄に装飾された鞄の中にもマジェコンが見えた。
口から何か訴えたかったが、何も出来ず地面を見ながらその場から離れる。何も見たくも聞きたくもなかった。
「……どうして、いきなり出てきた神をみんな信仰するのよ……」
当てもなく歩いて辿りついた先は人気のない公園だった。
ベンチに腰を落して、無気力な声で訴える。勿論誰も答える者はない。
未だに世間の統一権を持っている教会だからこそ、面だってマジェコンは浸透していないと思っていたが状況は深刻だった。あれから何人か子供や大人に声を掛けたが、ほどんど者が既に女神に対して希望を抱いていない。楽して娯楽を楽しませてくれるマジェコンヌこそがゲイムギョウ界の神だと謳っている者もあの子供と同じように訴える者やマジェコンをお勧めしてくるものさえいたのだ。
「なにがマジェコンよ。なにがマジェコンヌよ。犯罪神よ?どうして誰も疑わないの……?」
その名の通り、犯罪の神。
どうしてそんな存在が人の利益になる事をしているのか。
間違っている事をして罪悪感は沸かないのか。
今まで信仰してきた人に答えるために女神に対してどうしてそんなに冷たくなれるのか。
女神候補生として誰よりも女神と近くに居たからこそ、女神の苦労や努力を誰よりも見て理解しているから人間の無神経が理解できない者があった。
「お姉ちゃんはあんなに頑張っていたのに、国の発展のどれだけ真面目に考えてきたと思っているのよ…!」
「……仕方ないよ」
「何が仕方ないのよ!」
「……人は見えない未来より、身近な明日のことを優先するから……艱苦するぐらいなら、安楽を選ぶから」
「それは好き勝手よ!おねえちゃんがどれだけ心血を注いできたと思っているの!!」
「……努力に伴う正当な報酬なんて…ない。それが世界単位であるのなら……なおさら」
「だからって――――――!」
そこで漸く疑問が浮かんだ。自分は一体だれと話していると。
ベンチに腰を下ろし、地面に向かって叫んでいたユニは表を上げて自身の隣に視線を移したそこには少女が座っていた。ルウィーの双子の女神候補生と比べると少し大人びて見えたが、それでも一桁も満たさない幼い少女。
歪みなく流れる様な背中に届くくらいのロングストレート。髪色は色素を失ったような雪の様に白銀色であり、その容姿は人形のように感情が薄かったが、壁画で描かれるような神秘的な少女だった。服装はユニにとって雲の様な例外の存在である空と同じ格好で髪色同様な白色のコートを身を隠すように羽織っている。彼女の幼くもどこか貫禄ある容姿と服装と合わさって、まるで儚い幻想のような印象を受ける人物だった。
「はい…冷たいよ」
「え、あ、……ありがとう」
近くに合ったであろう自動販売機から買ってきたのだろうか、布の手袋を着けた少女の手には二つのグレープジュースの缶が握られており、その一つをユニに差し出す。一瞬、自分より幼い少女からの贈り物に年上としてのプライドが揺さぶられるが、かといって断る事も悪いと混ざりながら結局、戸惑いながらそれを受け取った。
まだ昼時の熱い陽光と共に握られる間の冷たさかが心地よかった。
カチッと缶詰が外され、澄んだ瞳は遠い水平線を見るような視線でトクントクンと小さく呑み始める少女に不思議と先ほどまで燃え滾っていた怒りは鎮火され、預けられた猫のように静かになったユニも同じようにジュースを飲み始めた。グレープの甘酸っぱい味が口いっぱいに広がり、ひんやりとした冷たさが火照っていた体を冷やしていく。半分になるまで一気に飲み干して口から離すと、こちらに視線を向けている幼い双眸がユニの表情を伺う様に映していた。
「落ち着いた…?」
「えぇ、ごめんなさい。怒鳴り散らして」
「そう良かった。……お節介じゃなかったら、聞いていいかな?……貴方の胸の中にあるもの」
見た目は自分より小さな少女なのだ。だが、年下に見えず雰囲気と口調が一致していないように感じた。一番近い人物と言えばプラネテューヌの教祖のようで、外形は変わらず長い時間を生きている様な感じだった。
少しの躊躇の後、少しずつ語り始めた。
先ほどのこともあり、自身が女神であることは伏せたが、教会の関係者という形で女神達が囚われ、付いて行って無様に倒され、捕まって、仲間に救出されたが、女神を重んじる人は少なってしまい、別の希望に縋ったが結果は圧倒的な力の前にまた敗北したこと。
「……悔しいけど。女神のシェアの低下は教会によってなんとか食い止められているかもしれないけど、いつ限界が来るのか……お姉ちゃん、ならきっと挽回できるような凄い策が作れたかもしれないけど、私じゃ……」
「それで、あなたは…なにをしたいの?」
「……えっ」
同情なく人形の如き無表情な瞳で真っ直ぐユニを見つめた。
「貴方は、お姉さんから始まっている。お姉さんなら……お姉さんなら……お姉さんから、それがずっと頭を巡って、自分を信じていない……そんな印象を受ける」
金槌で頭を叩かれているような衝撃は響いた。
「……まるで、逃げているよう、お姉さんに逃げて「黙って!!!」……」
それ以上言うな。そう言わんばかりに自分でも驚く程の音量で叫んだ。
少女はベンチから立ち上がり、ユニの隣ではなく前に移動にする。
「……頼っちゃダメなの?私はまだお姉ちゃんみたいに……強くない」
「諦められる事は、幸福って私は言われた……。貴方はここで諦めて幸福?」
その言葉に拳に力が入る。
ふざけるな。
穢されていく世界を見ながら、諦める?
お姉ちゃんの世界を良くしようとその背中を見てきた自分が諦める?
まだ諦めていない人達がいるのに女神候補生の自分が先に諦める?
「そんなこと、そんなことは絶対にあっちゃいけない……!」
「だったら、どうするの?」
言われる無くてもと言わんばかりに気持ちを切り替えるようにジュースを豪快に飲み干して、凛々しい表情へと変え、立ち上がった。
「ありがとう、少しだけ前が……見えてきた気がする」
少女は薄らと口を細くして、同じようにジュースを飲みほした。
「私はユニ、実はラステイションの女神候補生なのよ」
「私は
一瞬、零崎の性に紅夜の姿が思い浮かんだが、ユニは直ぐに偶然だと決めた。
何故なら紅夜に家族が肉親はいない。それを知っているからだ。
「まだ諦めるのは速すぎるから、もう少し私は足掻いて見せるわ。ありがとう励ましてくれて」
「私は……凄くないよ。それは元々、貴方が持つ
「そう……それじゃ私は行くわ。少し頼りない友達が首を長くして待っているだろうから。だから少しだけ待っていてね必ずこの世界を救って見せるから――――――女神として」
心に付着した物が綺麗に取り除かれ体が軽かった。
深く未来を考えすぎていたかもしれない。だからこそ、溝に嵌ってしまい身動きが出来なかった。助かる手はあるのに、どこに捕まればいいのか焦って分からなかった。
簡単な事だった。
女神でありユニである。
ユニであり女神である。
たったそれだけで前に進むだけの価値はあった。
誰からの信仰や祈りを気にする前に自ら行動することこそが大切だと知ったからだ。
「またね。今度会ったらお礼をさせて」
「光栄の極み、貴方の様な女神様に会えて、また機会があれば」
二人は離れ、消えていく。
前にただ進んだユニの背中を見ながら、改めて神を名乗るにしては不思議な存在だと思いながら空亡は青い空を眺めた。その澄んだ瞳は今にでも泣いてしまいそうで、あの仲間の元へ帰っていた女神を羨ましいと思いながら、水面に雫が落ちたような小さな小さな声で、世界に問い掛けた。
「空さん、父さん……どこにいるの……?」
遂に登場、オリキャラの一人であり癒しのロリキャラ空亡ちゃん!一番好きなキャラで一番動かしやすいけど絶対に戦闘に介入させちゃダメ。ICBM並の地雷原と考えてほしい。
この頃、神という立ち位置を考える為に聖書をネットで見ています。
難しいけど、深いよね。っで、最近嵌った女神転生をプレイしながら2chのまとめで再び女神転生ネタを見ながら色々と考え中。今の所はレイスはカオス、空はロウ、空亡ちゃんはニュートラル……的な立ち位置で考えています。(※作者はまだ女神転生ついてにわかレベルです)
それでは、物語を作るためにとにかく漢字と哲学的なことを勉強していきたいです。オススメのサイトがあれば紹介してください。気に入れば即この小説に突っ込みます!