超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス【凍結】   作:燐2

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天性

 声が聞こえる。それは憎しみの声だったり、哀しみの声だったり、苦しみの声だったり。それは、世界に満ちる負の声。ブラッディハードという負を総括する怪物の王の供物であり背負う物―――――そういう物だと教えられた。分かってる理解はしてるし、納得もしている。

 だけど、今日は今日だけは、この瞬間だけは、ただの自己満足でこの力を存分に振るわせてもらう。

 目の前の怨敵は全ての元凶、ピエロのように深く笑みを浮かべる体型や顔も寸分狂わず一緒の存在、しかしそれは鏡に映る存在ではない。嘗て世界を滅亡させる狂った理想を愚直なまでに押し進め、誰もが彼の様に狂い、結果的に世界を崩壊させてきた邪神の様な存在が形を変えて、信念を変えて、存在を変えて、この世界にいるのだ。絶対に逃してはいけない、ここでケリをつけなければならない。

 それが、俺の過去であっても、それがもしかしての未来の俺であっても、いまここにいる現在の俺は、奴を否定し続けなければならない!

 

「―――――オララァァァァ!!!」

 

 ネガティブエネルギーで構成させた二つの銃剣を最速の速さで斬りつける。一撃目を剣の腹を拳で軌道をずらされ、続く二撃目は体を少し逸らしただけで躱されたが、斬撃の勢いに体を乗せて回転させ、空気を貫く脚撃が確実に奴の腹部を捉えたように見えたが、体を捻る事で微かにずらされた!

 

「――――――ニィ」

 

 奴は笑う。紅夜(オリジナル)は笑う。邪神は笑う。

 背中を舐める様な寒気に腰部の棒状のスラスターを前方に稼働させて奴の追撃を回避する為に広範囲に吹かしながら距離を取り―――――二丁の銃剣から放たれるエネルギー弾をばら撒く。

 

「【名状しがたい邪悪なる皇太子。砂塵と鮮血と共に狂い踊り、惨劇の宴をここに開く】」

『!?邪神の魔力探知、来るよ。風の邪神ハスターだ!!』

「はぁ!?」

 

 デペアの危険信号を伝えるより先に、展開した弾幕の中を掻い潜る気配は俺の背後に。

 

「―――――【霊刃天成・禍風(アームズコネクト・ハスター)】」

 

 闇を纏った黄金の色をした紅夜(オリジナル)がいた。反射神経に最速で斬りつけるがそれを上回る速さで衝撃。既に俺の体は宙に浮いていた。殴られたと知覚したのは、吹き飛ぶ俺を先回りして、とてもイイ笑顔をしている紅夜(オリジナル)だった。

 速かった。女神の中で最速だと言われているベールより遥かに速い。殴る素振りも見えないのに、既に体中を陥没させる勢いの重い拳撃が叩き込まれていた。既に口の中から血の味しかなく、意識が吹き飛ぶような、嵐のような激しさの中で、無造作に銃剣を振るうがまるで雲を斬るような感触。

 

「な、なめるなッ!」

 

 紅翼を薄く刃物のような形状にして周囲に展開する。流石の奴もこの状態では接近戦できないと安心した瞬間、デペアが警報鳴らした直後に下から閃光の様な一撃が打ち出された。一切の防御行動していなかった故の強烈な一撃に、意識が真っ黒に―――――

 

「紅夜ッッ!!」

 

 誰かの呼ぶ声に思考より先に体が反応して、銃剣を振るっていた。目の前の気配は霧の様に消え、ステージに立っていた。殴られ過ぎた所為か、視界が真っ赤になっている俺もステージに降りて構える。ちっ、両足が早くも震えてやがる。

 

「だ、大丈夫だよ。まだまだ戦える。それよりお前らも行けるか?」

「………うん、行ける」

 

 そりゃ助かると左右に立った。ネプギアとユニに笑みを零す。さて、あの速さにどうやって対抗したらいいかと思った矢先に奴のコートと髪色が変化して、元の速さに変わった。

 

「ふぅ、やっぱり長時間は無理か」

 

 小走りして疲れた様に紅夜(オリジナル)は呟いた。――――アレは長時間できないのか、だとしたら今がチャンス!!

 

「ネプギア、ユニッ!!」

「「はい/オーケーよッ!!」」

 

 伝えなくても、同感だったのか女神化しているネプギアと俺は真っ先に突っ込み、ユニは後方支援に回った。紅夜(オリジナル)は微かに記憶がある。確か―――『死界魔境法(ネクロノミコン・ディザスター)』と呼ばれる魔導書が何もない所から現れ、開かれると白い大剣と黒い大剣が姿を現して、俺とネプギアの剣撃を受け止める。まるで鋼の壁を相手にしているように押しても押しても奴は動かせない!

 

「ちょっと弱くなったな。ネガティブエネルギーの使い方がまるでなってない。少し前のお前の方がマシだったぞ?――――あぁ、アレは()だったか」

「……どういう意味ですか?」

「ネプギア耳を貸すな。後でちゃんと説明するから!!」

Enchant(エンチェント)!!』

 

 背後から感じられる強烈なシェアエネジーに俺とネプギアは素早く上空に避難する。同時に膨大な砲撃が地面を抉り、巻き付くような氷と炎が周囲を巻き込みながらステージを破壊して、更に蒸発と氷結を繰り返しながら彼方まで届き周囲の環境を変えてしまうだろう程の巨大な爆発を引き起こした。

 

「………嘘っ」

「……直撃じゃなかった(チッ)……日本一さん」

「「兄貴/上司ッ!!」」

 

 撃った本人は自然災害級の破壊力に唖然として、恐らく協力した空亡は舌を打ち、取り巻き二人は声を上げると、大きく抉るステージにぽっかりと空いた穴から所々燃えたり凍ったりしている紅夜(オリジナル)が肩で息をしながら姿を現した。

 

「あ、あぶねぇ。流石にアレを直撃していたら肉片も残らなかったぞ……。って、くうちゃん!さっきから妙に静かだと思ったら、ずっと力を貯めていやがったな!!」

「……さすが父さん、ゴキブリも弟子入りするほどの生命力」

「おい、コ……ゴブッ!!!」

 

 抗議の声を出そうとする紅夜(オリジナル)の顔に日本一の流星のように飛び蹴りが突き刺さった。

 

「………ふんっ!」

「うわぁっ、とと……全力だったんだけどな……」

 

 ビル三階くらいから飛び蹴りして平気な顔をしている日本一も可笑しいが、それを喰らって顔だけで受け止めて、顔だけで弾く紅夜(オリジナル)………化物だな。

 

「兄貴、大丈夫か!?」

「平気……と言いたいが、やべぇな。会議の時間に遅れそうだ」

「……へぇ?仕事だと付いてきたんでしゅか……」

「あ、それ嘘だから」

「ちゅーーー!!!こんないつ巻き込まれても可笑しくない人外離れのバトルに連れてくるなんて重要なお仕事だと思ったら、ただの気まぐれちゅか!!!」

「何時もの事だろう。ワレチュー、兄貴は凄いことやってドヤ顔したがる。自己主張の強い人なんだから。かき氷を奢ってくれた時点でこれぐらいは覚悟しないと」

「チュー!!!どこで人生間違ったでチューか。どこでロードしないといけないでちゅか!」

 

 頭を抱えるネズミ(?)は世界が終ったような絶叫に思わず隣のネプギアと共に敵であったことを忘れて同情する。それにしても、あの不良っぽい服装をしている女性は覚悟完了しているなァ。

 

「それじゃそろそろ帰るか。未成熟で未完成で未発達だけど、今はこれくらいが後々の愉しみが期待できそうだし」

「おい、待て!!」

 

 黒い大剣と白い大剣を消して、『死界魔境法(ネクロノミコン・ディザスター)』を持つと同時に、鼻が曲がる様な酷い刺激を伴った悪臭がする青臭い煙が広がる。

 

「ワレチュー、リンダ。鼻と目を瞑っておけよ」

「う、……はーい」

「ちょっと待てチュ!またあの犬っぽい生き物を出すでちゅか!?」

「すげぇなー。あれ見えSAN値減ってないんだ?」

『あれはティンダロスの猟犬!?全員伏せて!!あと目を防いで!狙われたら別世界にも時間を超えても追いかけてくる面倒な奴だから!!』

 

 デペアの尋常じゃない声に全員が目を防いだ。あとは紅夜(オリジナル)の声と――――この上なく恐ろしい者の気配がした。粘膜質がある物が零れ落ち、それを踏みつぶす様な不愉快な音がした。全身が悲鳴を上げる。なんかよく分からないけどヤバイ、ヤバイヤバイ!!

 

「――――っと!?」

 

 ドンっ、とまるで爆発物でも落ちたような衝撃と音に思わず目を空けると、一瞬化物のような姿が大きく腹部を横に殴られたような姿勢からまるでガラス細工のようにバラバラになり、その残滓は最初から無かったように砂となって消えていく。その様子に紅夜(オリジナル)は忌々しそうに舌を打ち、されどその表情は歓喜に満ちて声を上げる。

 

「はははは、お前ならゲイムギョウ界で一番高い場所にいればゲイムギョウ界全域狙撃するなんて容易【ドンっ!】うほっ!?やげぇ、調子乗っていたら脳天ぶち抜かれる!!」

 

 ワレチューとリンダと呼ばれた一匹と一人を抱え込み、青白い霧の中に消えていく。直ぐに下半身が消え、上半身が消え、顔だけが残された瞬間、こちらを見て紅夜(オリジナル)は叫んだ。

 

「次行くならリーンボックスに行け!こっちは身内が暴走気味でルウィーは消えても可笑しくねェからな!お前等にはまだ死んでもらっても困るからな!忠告したからな、忘れるなよ!!」

 

 と、最後に手を鳴らす音が瞬間にその場所が大きく爆発した。あいつの言う事が正しければプラネテューヌのそれもプラネタワーの屋上で狙撃している事になる。……色々突っ込みたいが、あいつは紅夜(オリジナル)以上の理不尽の塊みたいな奴だから細かい事は考えないでおこう。

 

「お前らは無事」

 

 か、と言いかける前に立ち上がった胸に衝撃、なんだと見下ろすとコンパが泣きついていた。

 

「私達が知っているこぅさんががえっできたでずう!」

「……ただいま」

 

 色々言葉が浮かんだが安心させる為に頭に手を置く。瞳に涙を浮かべるアイエフは小さく良かったと呟いている。

 

「まるで別人のようですの」

「王道的な燃える展開だね!」

「えっと、日本一さんにがすとさんだったか。迷惑かけた、申し訳ない」

 

 全くですのとため息を吐くがすとさん(俺より見た目が遥かに幼いが)にもう一度頭を下げて、活力に満ちている笑みを作りこちらに親指だけ突き出して拳を作って向けている日本一。思い出せば思い出す程、彼女達には迷惑を掛けた。ただ、感謝してもたりない。後日なんらかの形で再度お礼しなければ。

 

「……お前らにも迷惑かけたな。アイエフ、コンパ、ネプギア、ユニ」

「全くよ。こっちはアンタのお蔭で空は死にかけるわ、ネプギアも傷を負ったんだから……それでも……帰ってきてくれて、ありがとう」

「自分でどうにかしたんですね……本当に凄いですねお兄ちゃん」

「……バカ」

 

 アイエフは腕を組んで文句を呟くが最後に呟く声には隠しきれない喜びがあった。ネプギアはキラキラとした目でこちらを見てくる。……ちょっと恥ずかしい。そしてユニ、反論できる要所がありません本当に穴が合ったら入りたい気分です。

 

「さてと、後でこれからの方針を考えるとして……まずはゲイムキャラ確保だ。ネプギア、ユニ」

「はい、任せてください」

「ふん、あとでたっぷり話したい事があるからね。覚悟しておきなさい」

 

 そう言い残して、先ほど紅夜(オリジナル)が封印を解除していただろうゲイムキャラがセットされた祭壇のような場所に二人が歩き出す。周囲は先ほどの戦いでクレーターだらけ

だが、奇跡の業と思える程に一発も当っていなかった。もしかして、あの鎖になんらかの加護があったかもしれない。

 

「ゲイムキャラさん実は――――」

 

 因みにゲイムキャラの交渉は直ぐに終わった。

 ……まぁ、邪神の如き実力と掴み切れない禍々しさを目前で縛られながら見せられ、その一片も味わったゲイムキャラは快く力の一部を貸してくれた。むしろ涙混じりの声で早くなんとかしてくれと懇願された程だった。  

 

 

 

 

 




………Fate/GO今更だけど、孔明が超強化されたんだよな。
………1〇万使ってキャス狐の宝具5レべまで上げたのに……泣きたくなってきた。

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