超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス【凍結】   作:燐2

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ノーマルルート。『神の世界』
女神


 

 空を仰げば気持ちよさそうに飛ぶ鳥たちが目に入った。この蒼穹の空の向こうの先に目指す者はどこにあるだろうなんて、ロマンチスト思考するほどの余裕が出来た俺は、その場で含み笑いをしてしまう。

 

 数日前までは空はずっと黒かった。人の目からすればただの青空も、俺にとって人から無意識に溢れる負のオーラが空を浸食するように漂って、ひたすら嫌悪感を抱いていた。それが今は人と同じものを見える様になっている。

 

「………いないな」

 

 ふと寂しくなった左手を見た。なんだかんだ誰よりも付き合いがないデペアはこの場にはいない。否、元に戻ったと言ってもいい。今の俺の体はオリジナル、零崎 紅夜によってモンスターの生まれの地である冥獄界で作られた特注品、罪遺物という十六の世界分の世界そのものを邪殺するほどの負を溜めこんでいる肉体ではなく、人が当たり前に抱くような、ありふれたしかし厳選された限りなく白に近い純粋な負によって構成されているので、昔は近くの人々から呪詛のように聞こえていた負の声も、神経を研ぎすまなければ聞けないレベルだ。

 

 かと言って、俺の力―――――ブラッディハードとしての機能は全く衰えていない。

 導く様に俺の相手してくれたオリジナルの零崎 紅夜。現実を伝えながら答えを共に考えてくれた異母姉弟の零崎 空亡。そして――――何が合っても諦めなかった女神達の力のお蔭で、俺は俺だけの次世代の力(ネクストフォーム)を手に入れた。

 女神と人間のハーフ故に狂い堕ちた邪剣浸食(エクリプス)のアブネス、女神の為に結果的に世界を滅ぼす因子になってしまった塵塚怪王(ベルセルク)のアイン・アル、その他の悲劇と憎悪のブラッディハードとは全く異なる想い、守れなった未練や成し遂げられなかった後悔、善も悪もなく進歩し続ける悍ましく輝く人の純粋なる欲望の力を意思を借りて至る純血光刃(ライジング)の力で、女神と共に災厄を撃ち滅ぼした。

 

『ゲイムギョウ界に遍く生を受けし皆さん』

 

「ん、始まったか」

 

 足を進めていると聞きなれたいつもの凛々しき声だ。空を見上げると宙に投影されたディスプレイに彼女達が映っていた。

 『革新なる紫の大地プラネテューヌ』その守護女神であるネプテューヌ。

 『重厚なる黒の大地ラステイション』その守護女神であるノワール。

 『夢見る白の大地ルウィー』その守護女神であるブラン。

 『雄大なる緑の大地リーンボックス』その守護女神であるベール。

 そして彼女達と共に紅い絨毯を歩く女神の候補生であるネプギア、ユニ、ロムちゃんとラムちゃんがいた。

 

「こんにちは」

 

「おーす。体の調子はどうだ?」

 

『へーい、久しぶり~』

 

「………ちっ」

 

「こんにちは、……ね、「空亡でいい」…空亡ちゃんと兄貴この体は最高だな。デペアも元の主人に戻れて機嫌がよさそうだな。あと「呼ばないでください、殺しますわよ」あっはい」

 

 感想で言えば棘の鎖を脱げたと言ってもいい、俺のオリジナル――――色々とややこしいからみんなレイスと呼んでいるが俺にとって、こいつがいなければ生まれていない。だとしたら父親と言ってもいいが、本人が「お前みたいな可愛げ皆無の息子いらん、一億歩譲って弟」ということで兄貴と呼ばせてもらっている。問題は兄貴の従者であり、兄貴に対して狂気の愛を向けて俺に対して殺意全開のティシフォネさんだが、目を合わせないようにしよう。合わして瞬間、首が飛びそうだ。

 さてと、と俺は腰を下げて兄貴が押している車椅子に頑丈に固定されている金髪の光がない死体の様な目をした人物と目を合わせようとするが、何も映らない虚無色だ。

 

『共に降り注いだ忌むべき犯罪組織からの魔の手からの解放、そして大地に傷跡を残した大いなる災いから私達は共に協力し、その脅威を退け、今ここに皆さんの前にいます』

 

「……空、お前の祈りはちゃんと女神に届いているからな」

 

 ブラッディハードの上位互換。ゲイムギョウ界全ての負の集合体である最悪の女神(・・・・・)『ディスペア・ザ・ハード』。彼女はゲイムギョウ界全ての始まり、そして誰も知りえはしない始原の女神(・・・・・)『レインボハート』が人々の邪悪な意志に汚染され、押し込められ、狂い狂い果て語りを開いた史上最悪の敵だった。

 

 彼女の狙いは世界の再臨。

 この世界は間違っている。

 誰もが不平等に、誰もが苦しく生きている。

 だから救おう、この世界の根本から間違えていると、だから世界の全てを滅ぼし新たなに無敵の生命と完璧な秩序、完全なる人生を作り出そう。

 だから、涙を流しながら苦痛に耐え――――なにより自分の創造する未来に希望に溢れた顔で俺達と戦った。

 

 生きる事を放棄した未来を実現してはいけない。その想いでネプテューヌ達はネクストフォームに至り、同じようにネプギア達も四人の力を一つにすることで、女神同士の融合という女神というシステムを一から作り出した空でさえ『あり得ない』と驚愕するほどの奇跡を起こした。

 

 まぁ、俺も含め総勢六人のネクストフォームに至った無敵集団に慢心していたわけではなかったが揺るがない勝利が抱いていたが、空が敵に回って大変だった。だってあいつ、俺はともかく女神のいままでの全てを見ているから、ラスボスに繋がれて記憶と経験を憑依させて、こっちの戦い方とか癖とか全部筒抜け状態だったんだ。

 そして人に裏切れ、魂の底まで凌辱されたレインボハートの女神としての散り際の一言が今まで空のゲイムギョウ界に抱く思いを正気を留めていた。

 何度も女神の希望に満ちたあるいは絶望に満ちた最後を見届け、心から好きになった相手がもう一度現れる事を信じて、何度も何度も身を削りながらやり直しを繰り返して、その結末は自分のした事が全て無駄だったという残酷な真実。

 

 空がゲイムギョウ界に抱いていた本当の思い。

 ずっと壊したかった。復讐したかった。漠然と生きるだけの人間に。

 都合が悪ければ簡単に女神を捨て去った人間に。

 過去の女神を想い出すことなく新しい女神に蠅のように集まる人間に。

 レインボハートが願った理想に近づければ近づく程に、人も女神も同じことを繰り返す機械になる。

 

 

 争いは無く、誰もが幸福に、誰もが不幸にならない。故に完璧な世界に感情も信仰も知性もいらない。

 だけど、それはもう、立って息をして同じことを繰り返す生きている死体(リビングデッド)と同じ。

 

 

『ありがとう、私達がここにいられるのはいついかなる時も私達を信じてくれた皆様のおかげです』

 

 それを心の底から痛感させられた空の想像を絶する痛みだったんだろう。狂ってしまうのも分かる気がする。この題名に今は俺達が向き合わなければならないが、答えなんてないかもしれないとみんな笑った。俺も笑うしかない。

 

「――――本当に真面目な奴だよこいつは」

 

 兄貴がそういって頬に掛かった髪を掬って耳元に掛ける。その瞳には親愛と優しが含まれていた。……今更だが、こいつのお蔭でマジェコンに仕掛けられていた恐るべき機能を封じる事が出来たんだよな。正確にはロムちゃんとラムちゃんが空亡ちゃんに色んなゲームを見せたり、プレイしたりさせて、偶然にマジェコンに触れる機会があって神格関係に恐ろしい程に敏感だった空亡ちゃんが何かおかしいと調べ、発覚して、その頃マジェコンの製造責任者であった兄貴が黒幕だと勘違いした空亡ちゃんが完全にぶち切れて、殴り込んで発覚したんだよな。

 因みにマジェコンの人間をモンスターに変える機能なんだが、本来『ディスペア・ザ・ハード』しか操作できないのだが、元々この体、魂だけの兄貴が冥獄界に来る前に封印状態で力を蓄えていた『ディスペア・ザ・ハード』に喰われて、喰い返して、逆に占領しようとしたら肉体の一部と共に吐きだされたという経緯がある。

 つまり、兄貴はゲイムギョウ界の負を相手を簡単に圧倒したという、とんでもない奴だ。

 

『そして謝罪を。私達はゲイムギョウ界をより良い物にという思いで信仰自由化を皆様の意見もなく決定し、実行しました。その原因で皆様に多大な混迷を齎したこと、深くお詫び申し上げます』

 

「空は大丈夫なのか?」

 

「もう何十億……気の遠くなる時間を狂気と正気と共にゲイムギョウ界に執着してきたんだ。その願いが託された相手であるレインボハートによって壊されたこいつのメンタルダメージを測りきれないだろう。……だからゲイムギョウ界に関する全ての記憶を破壊してもらうさ。空の本体(・・・・)に」

 

「……そうか」

 

 空の本体については深くは知らない。ただ、人が自分の名前を呼ばれたら反応するように、その強大する存在は見ただけで魂こと存在を破壊するはた迷惑な存在故にそれに耐えられる物でなければ詳しいこと話せないと言う、別次元の問題だったのでこのことは俺達の間は深追いは禁止ということになっている。

 

『これから迎える未来には、数々の問題があるでしょう。恐るべき人をモンスターに変えてしまうマジェコンの回収、未だ癒えぬ傷ついた街の復興、これからも向き合わなければならないモンスターの存在……』

 

「……いい顔ですね」

 

「あぁ、そうだな初めて会ったそういう形だからそういう物であろうとする作り物みたいな顔じゃねェ、いい女の顔になったなぁ」

 

「我が愛しき恋しきご主人様?それは――――」

 

「ま、俺はお前のほうがいいけどな。ハハハハッハ」

 

 そういって何気に地雷回避する兄貴。ちょっとでも選択ミスったら神の上位存在として君臨するティシフォネさん、ネプテューヌ達を殺戮しに行くんだろうな。……うん、やっぱりおかしいよな色々と。

 空亡ちゃんも針金のような細い目で顔を紅潮させて妄想の海を泳ぎ始めるティシフォネを見つめる。ド畜生な父親とキ〇ガイなお姉さんをもって大変ですね。

 

「分かって、くれますか(´;ω;`)ブワッ」

 

「ああ、正直最初っから自重なかったら俺達女神側数日で敗北してたし」

 

『かといって、それやったら破壊神がぶち切れてやり返して、レインボハートの掌で二人とも見事に踊らされていたね』

 

 あの二人が好き勝手したら星の知性生命体なんてあっという間に滅びるよ。マジで。

 聞くには、間接的にあの二人の所為で空亡ちゃんの世界は色んな異世界から侵略受けて毎日戦争中、日刊世界崩壊危機らしい。死んでも行きたくない。

 

『――――その一つ一つに私達は全力で取り組み、そして輝かしい未来の為に前進みと思っています』

 

「あ、そろそろ終わりそうだぞー。ってお前等なに励ましあっての?デキてんの?」

 

「「……………」」

 

 空亡ちゃんと間違いなく思考が一致した。こいつ後で一発殴ると。

 視線を場面に映すと、女神全員が同じ場所に集まって手を繋いでいた。

 

 その光景に涙が出そうになった、ブラッディハードの宿命は今だ消えなくとも、遠い未来にいつかネプテューヌ達か、ネプギア達か、それとも新しい世代の女神と戦わなければならないとしても、今ここに俺はあいつと出会って本当に感謝している。

 

『『『『――――大地に、空に、そしてゲイムギョウ界全ての生命に幸福があらんことを!』』』』

 

「――――幸福あらんことを」

 

 例え立場や別の場所でも、俺達は同じ夢を見れる――――これ以上に幸せなことはない。

 




因みにネプテューヌ達がネクストフォームになった場合は。
ネプテューヌ→概念切断。
ノワール→未来予知。
ベール→加速していけばいくほど、その分の停滞を相手に押し付ける。
ブラン→空間操作。
ネプギア&ユニ&ロム&ラム→瞬間移動&分身。
紅夜→相手のエネルギー技を吸収して自身の力を上乗せして返す。

という、チートになります。
因みにこれは二話あるので、もう一話あります。
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