超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス【凍結】   作:燐2

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女神Ⅱ

 

 プラネタワーで開かれた小さなパーティー。先ほどのマジェコンヌという脅威を打ち破った祝祭とは違う二次会みたいなものだ。

 

「――――やっと来た。待ちくたびれたよこうちゃん!」

 

「あぁ、待たせてすまんな」

 

 と言いながら、予定時間より三十分早く来たつもりなんだが。と思いながら手を引っ張るネプテューヌについていくと、既に片づけられた会場に大きなテーブル一つを中心にこの事件の真相を知る関係者が集まっていた。

 四女神とその候補生、教祖たちに、アイエフやコンパ、日本一、ガスト、兄貴や空亡ちゃん等々。全員集合している。

 

「はい、お兄ちゃん」

 

「ありがとう、ネプギア」

 

 ネプギアに渡されたジュースの入ったグラスを受けとり、ネプテューヌを代表に全員がグラスを掲げた。

 

「えー、ゴホンゴホン。本日は大変お日柄もよく――――」

 

 ネプテューヌらしいネタ混じりの挨拶が始まった。みんなこんなキャラだとは知っているので誰も突っ込まない。というより疲れている。深夜のもう日付も変わっている時刻だ。

 ブランの両方に立っているロムちゃんやラムちゃんはこくりこくりと今にでも眠りそうだし、ユニやネプギアも眠そうに眼を手で擦っている。

 ノワールは真面目に聞いているが突っ込む気力なし、ブランは右から左と無関心状態、ベールは目を閉じて感傷に浸っているように見えるが寝てる。その他も同じように眠そうだ。なのに、ネプテューヌは元気な声で今まで起きたことを面白おかしく語っている。

 

「そこに私の次元一閃が炸裂!ぐわぁ~やられたぁ~と倒れる悪の幹部!」

 

 いや、あれ直撃すれば死ぬから。防御不能の概念切断攻撃はチートだろう。ふとテーブルの向こうで懐かしそうに眼を細める兄貴。ネクストフォームの四女神相手にマジック・ザ・ハードの最終調整の為の時間稼ぎという偉業を成し遂げている。ノワールの未来予知と同等の気の遠くなる戦闘経験と少しでも可能性があるのなら迷いなく実行する覚悟に、ベールやブランの神格技能(ハード・モジュール)を攻略して、立つことすら可笑しい程にボロボロになりながらも恐ろしいほどの万遍の笑みは、巡ってきた修羅場の違いを見せつけられた。

 

 ……まぁ、そんな兄貴にマジック・ザ・ハードが焦って自身の神格技能(ハード・モジュール)が未完成状態で戦線に突入してくれたおかげで勝てたんだが。

 

「ラスボスは私達の遠いご先祖で、空はそっちに協力するし。うん、本当に……色々合った」

 

 正直な所、それは空亡ちゃんと兄貴が居なかったらゲームオーバーだったな。彼らが居なかったら、ゲイムギョウ界と冥獄界を衝突させられてこの世界は完全に崩壊されていた。

 冥獄界から無限に溢れ出したモンスターを見た時は終わった。と思ったが、空亡ちゃんが冷静に兄貴に声を掛けて

 

『父さん、この世界の人類全員の記憶を弄れます?』

 

『はぁ?舐めんなお前の父親を誰だと思ってやがる?』

 

 そうですかと言い返して、何事かと思ったら空亡ちゃんが契約しているデウス以外の全てのモンスターを召喚した。数では当然空亡ちゃんが呼びだした軍勢が負けていたよ?だけど質は天と地ほど変わっていた。数百メートルを超えるような怪物としか言いようのない龍、獣、蟲が放った極光はこの星ごと粉砕してしまうと焦るほどの破壊力だった。空亡ちゃん曰く手加減はしてると言い放つ、デウスを召喚して悠々と四大陸に押し寄せるモンスター達を開かれた冥獄界の扉に押し込んでいる様は、異世界の住人怖いという認識を植え付けられた。その後、兄貴が空も使っている生命繊維とかいう糸の様な寄生虫を使って、ゲイムギョウ界の人類全ての記憶を弄った。レベルが違う、というか一桁クラスが最高のステータスのゲームにステータスが八桁以上のキャラの蹂躙を見た。……その後、空が持っている時間操作する道具を兄貴が使って、空亡ちゃんが行った破壊の進軍の傷跡が違和感ないように修復する様は頭おかしくなりそうになったが。

 

「……頭、痛くなった」

 

 俺と同じように思い出したネプテューヌが頭を抱えて呟いた。空亡と兄貴以外の全員がその場で激しく頷いた。

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「貴方は悪くないわよ。むしろアレなかったら今頃ゲイムギョウ界破滅していたし……」

 

「は、はいです。むしろこっちは感謝しないといけない立場です……」

 

「やろうと思えば女神も洗脳できるぜ。いやここは人類全員を操作してシェアを盾に嫌々女神達を木偶人形の様に面白おかしくするのもいいな」

 

 空気の悪さに空亡ちゃんは深く頭を下げた。そして外道兄貴、お前は少し黙ってろな?その一言で俺も含めて反射的に女神化&冥獄神化して他全員が武器を抜いたけど。

 

「はははは、冗談だよ。冗談」

 

「お前の冗談は軽く流せるレベルじゃないんだよ。それにお前は私達に仇と言う名目でそれをすることが出来るからね」

 

 日本一の鋭い言葉に兄貴から笑みが消えて目を細める。俺達が犯罪組織マジェコンヌを壊滅したそのトップである四天王を倒したも当然俺達だし、それにマジック・ザ・ハード、彼女の散り際の一言は妄信の類ではなく、兄貴に対する恋する乙女だった。

 兄貴が一体どういう風に四天王たちと付き合っていたのかは知らない。だけど、それでも、兄貴の言動は彼らとの生活を本当に楽しそうだったと物語っていた。だから、俺達は憎まれる側である筈であるが、兄貴は少しだけ寂しそうの表情をして笑って返した。

 

「お前達は勝者、俺は敗北者だ。……確かにお前らに復讐してこの気分を晴らすのもいい……が、知ってのとおり俺には絶対厳守の優先順位がある。その頂点である空はお前らの死を望まない。なら、俺は敗残兵のままだ。それでいい」

 

 というか、何でこの場に俺を呼んだ?と愚痴りながらグラスに口を付ける兄貴。俺達は目を合わせる。結論はやっぱり空の様な思想も感情すらも別次元の存在ということだ。空も俺達に言っていた通りに気にしないようにする。

 

『真に同感しようと思えば同じ存在、近い存在になるしかない。その過程で自分の大切な者を失うかもしれない。僕を理解するのに、そんな代償いらないでしょ?僕にそれだけの価値は君達にはないから』と空も口酸っぱく言っていたし。

 

「……おっと、時間だ。そろそろ”あいつ”に会ないといけない。くうちゃん、後は頼んだぞー」

 

「いってらっしゃい父さん、先生をお願い」

 

 任せろーと言い返し、その場全員が動作すら見切れず兄貴は消える。不穏な空気に空亡ちゃんは、両手を叩き背筋を伸びるような渇いた音を響かせた。

 

「父さんは人でも神でもない別存在なので、軽く受け流すぐらいがちょうどいいです。……きっとそれが父さんも嬉しいです。それに今日の祝祭は一時のお別れ会なんですよね?だったら私達ではなく、主役の紅夜さんの話を聞きたいです」

 

 と、全員の視線がこちらに変わる。ふぅ、と空亡ちゃんに内心感謝しながら汗が流れる。俺自身そこまでコミニュケーションが高いという訳じゃない。そして、言おうとしたこととか全部ネプテューヌが喋ってしまったのが痛い。

 

「あー、えーと、……そうだな、これお別れ会、か」

 

「また、会えるわよ」

 

「あ、ああ。あの時とは違う。好きな時に俺はこちらに帰ってこれる。モンスター全てを制御するのはすまん無理だ。だから少しずつギョウカイ墓場を通じて排出させてもらう。その結果、罪のない人が傷ついてしまうかもしれない」

 

 はいと女神達は頷いた。あの数年前の時と同じように、俺は全ての負を操作することでゲイムギョウ界に一切モンスターは溢れないようにした。結果は失敗、むしろ人を守ろうとした冥獄神として矛盾した考えにディスペア・ザ・ハードに目を付けられ、無理な過剰を持たされて幾度も暴走して迷惑を掛けた。

 そして今回の事件で、遂に国家秘密であるブラッディハードの存在がばれた。これから人々の記憶の中では俺は負の寄り心として、いついかなる時も俺を憎み続けるだろう。それが一番楽だから。

 

「……俺は一生、人々から畏怖され続ける存在になった。この世界に俺が住めるような場所はない。けど居場所はある。俺の事を知ってくれているお前達がいるから、俺は安心して地獄に墜ちれる」

 

「これからも理不尽なことがいっぱい起こるだろう。その中には俺が原因になる件も多々あるかもしれない。女神と冥獄神は衝突しなければならないその関係は、俺達であっても変わらない、変わっちゃいけない」

 

 人とは混沌の生き者だ。光と闇を持つ人だ。

 不条理で理不尽で、不確実で不平等で、だからこそ叔父の様に、親の様に、兄の様に、姉の様に、導くための神。人の未来を守るための神格であり、同時に人の未来を見定め裁く事ができるのが俺達。

 

「例え、俺達が人によって望まれずに生み出された物で合っても、人と世界の未来を守る物であるように、俺達の関係は変わらない」

 

 ――――――あぁ、だからこそ。

 

「俺達の行いが新しく生まれる命に夢を持てるように、憎しみや悲しみ、未練や怒りは俺が背負ってやる。喜びや楽しみをネプテューヌ、お前達が分かち合ってくれ」

 

 女神達が頷く。その眼は俺の憧れた女神そのものだった。

 永遠に届かなくなった女神の様になりたいという夢、だけどその夢は誰かが拾ってくれるその切欠を造れる存在に俺はなれた。そのことを誇りに思いたい。

 

「………例え、違う場所であっても例え空を見てていても――――――俺達の夢はいつも繋がっているから」

 

 この星空の下。俺達はまた違う道を歩くだろう。

 この選択は、互いに険しい荒谷の道。

 けれども目指す、遥か理想郷の黎明の光があることを信じて、次にこの胸にある輝きを託せるようにして、誰もが知らない【未知なる未来】に巡る希望と絶望を想像しながら、俺達は、また一歩前に踏み出した。

 

 

 




 
……登場人物多すぎて全員話させようとしたらパンクしたため、こんな風になった。
ノーマルエンドだと、辛い想いするのはイストワールとレイスと空ぐらい。

次はいよいよトゥルーエンド!……これは正直一話で終るかな?
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