超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス【凍結】 作:燐2
ネプギア達一同はイストワールによって教えられたこの状況を妥協できる可能性を持つ存在。秩序と循環を司る存在、ゲイムキャラに力を貸してもらう為にバーチャフォレストに訪れていた。
機械的なステージを絡むように伸びている巨大な蔦が特徴的で、元は大樹の中に潜むダンジョンを攻略するために造られたこのダンジョンは街から近く、守護女神の機能が近い理由もあって比較的に弱いモンスターが集まる初心者レベルのダンジョンだ。
そして今、この地に足を踏み入れた女神候補生二人とアイエフ、コンパは苦戦しながらもモンスターを倒していた。
「こ、なんでモンスターがこんなに強いの…!?」
「昔ここに来た時はそんなに苦戦したこと無かったのに!」
最初は問題なく進んでいた四人であったが、奥地と呼ばれる一段落レベルの高い領域に進んだ途端、モンスターの強さが一気に変わった。まるで別格となったように。
疲労を隠せない様子で荒い息を整えようとしている二人にアイエフは消滅していくモンスターを指さした。
「ネプギア、ユニ。こいつ等は【汚染化】したモンスターよ」
「【汚染化】…?」
「えっと、いーすんさんによるとシェアが低い地域は冥獄界の影響によって内包していた負が解放されて一時的にモンスターさんが凶暴化して物凄く強くなる事って説明していたです」
「レベルアップといえば分かりやすいかしら」
逆に言えば【汚染化】されているモンスターこそが最も力を持っている姿であり、人の負の念がむき出しになっている危険極まりない災害の種だ。ネプギアとユニは居なかった時間の中でそんなことまで起きている事に、この場所は街から徒歩でも行ける程に近い場所であるのに驚愕を受ける。
「シェアが低くなるとこんな現象が……」
「世間はマジェコンヌに信仰していればこの現象が引き込むって思っているけど、実際は酷くなる一方よ。全く信仰する相手が間違っているっての…!」
足元に転がっていた小石を乱暴に蹴るアイエフをなだめようとするコンパ。もっと力があれば、そんな甘い幻想が頭に何度も廻る。
候補生でも、女神なのに、何も出来なった。あまりに無力だった自分が原因で生じてしまった現実がここにあった。
悔しさに握りしめた拳が白くなっていくのを拾い上げる者がいた。
ネプギアの手を優しく包み込んだ温かみ、面を上げると天使のように微笑むコンパがいた。
「きっと、大丈夫ですよ」
「でも、私は……」
「ねぷねぷだって、色んな失敗をしたです。そんな時に何度も泣いて直ぐに立ち上がって頑張ったんです。必要なのは後悔じゃなくて直ぐにそれをバネにして立ち上がる事です。だから大丈夫です。まだゲイムギョウ界は終わっていないです」
「……ありがとう、ございます…ッ」
温かい言葉に涙線が緩くなる。ネプギアだけじゃなく、ユニもそっぽを向きながら震える声で感謝の言葉を口にしていた。
「ごめんなさいね。重い所はいつも貴方達が背負う羽目になるから……」
「心配しなくてもいいわよ。--えぇ、いつも雲みたいに掴めない空をぎゃふんと言わせるチャンスよ。私の華麗な銃撃で直ぐにマジェコンヌを撃ち抜いてあげるわ!」
「……まだ終わりじゃない。うん、まだ私達は頑張れるんだ……!ありがとうございますアイエフさん、コンパさん!」
昔を思い出して一息ついた。あの鬼畜外道人でなしの空から悪魔のような微笑みの鍛練。
正確に冷酷に相手のレベルを計算した上で、限界の少し先まで肉体的にも精神的にも追い詰める。慈悲も容赦もない訓練に四女神が何度阿鼻叫喚したか、更に肉体的に不死身属性がある紅夜は更に酷いものであり、そのあまりに激しい流血沙汰に抗議(物理)、反論(物理)の争いの果てに空が折れイージーモード(女神達にとってはルナテイックモード)に移ったのは懐かしい記憶の一つだ。因みにルウィーの女神候補生は特例として無しだったことに全員がそれぐらいの常識は合ったのかと安心したのは言うまでもない。
「よし、それじゃ頑張るです。エイエイオーです!」
「私達に出来ることなら何でも言ってね。これでも、ネプ子達の背中を守るぐらいには鍛えたんだから」
「はい!皆さんよろしくお願いします!!ユニちゃんも力を貸して!」
「……本当にしょうがないわね。ネプギアだけだとめそめそしているだけだし、手伝ってあげるわよ」
女神の重い枷を除けば二人は若い少女。頼りになる仲間を引き連れて歩き出す。何も掴めていない。解決するだけの力もない。だけど、諦めず折れずに進めば何かを掴めることを信じて。彼女たちはただ道行く道を進んだ。
彼女達が歩み、その道はかつて敵同士だった女神の大陸の為に自国のゲイムキャラの力を借りるためにやってきた一人の女神が進んだ道だった。
◇
「兄貴、ボロボロだけど大丈夫か?」
「ブレイブが止めないと最後までやっていたかもな。トリックは性格的に止めないと思うし、マジックだったら喧嘩両成敗で俺とジャッジ両方ぶっ飛ばされていたと思うぜ。はぁ、全く……このブラッディ企業の行く末どう思うよリンダ?」
同時刻、ネプギア達より先に歩む二人の姿。一人はネズミの耳の形をした物がついているフードが特徴的なコートを羽織っている少女だった。コートのボタンは全て外れており、その下には下着のみで、長いブーツと黒い長ズボンの姿は年相応の少女の服装ではなかった。悪く言えば路地裏で集まる不良の一人と思われても可笑しくはない。
見た目で判断するのなら絶対に近づきたくないその少女より更に異様な存在感を放つ者。全身が黒一色で統一されている。深いフードから見える影も、陽光によって伸びる影も、その姿も全てが光の届かない、闇夜を被ったコートで全身を隠している。その姿は世界を浸食するかの如き闇のようだ。
「それにしても四天王を相手に出来る兄貴は本当にすげぇよな。確か四女神も兄貴だけで倒したんだろう?」
「そうは言ってもなぁ…、あの土地だと女神達の力は弱るし、あいつら戦いだけに集中していなかった。だから簡単に付け入る隙って奴があるんだ」
「兄貴、謙虚なのはいいけどよ。マジェコンヌの幹部としてもうちょっとびしっと!決めてもらわないと部下に示しがつかねぇよ?」
マジェコンヌ四天王は象徴として語られる事が多いのに対して、レイスの場合は実際に人と接したり、部下に指令やメンタルケア、更には料理までこなす。本人は飯が上手ければ、効率が上がると大枚はたいて作り出した本部の食堂は、いつも賑やかで夜でさえ会議や酒盛りなので明かりが消えることはないのだ。
例えるなら四天王は社長でレイスは部長という立場だろう。常に無理難題を押し付けられ自室で頭を抱える姿をコーヒーを頼まれ持ってきたリンダはよく見ていた。
「それだよ。なんで俺はいつの間にかマジェコンヌの幹部になってんの?俺はあくまで雇われの身でマジェコンヌに入ったんだが……」
「え、マジック様はあいつは私だけの部下だ。って言ってたぜ」
「……あんにゃ野郎、雇用契約書をあいつの顔面に叩きつけてやろうか……」
実際そんなものはないのだが、報告の度にジャッジとエンカウントして襲われる(生命的な意味で)この職場は酷いと意気消沈した声で呟く。そんな上司に怒られ沈むサラリーマンのように猫背の寂しい背中をリンダと呼ばれた少女の勢いよく加速された平手がバンっと叩かれ甲高い音を立てた。
「やめてくれよ。兄貴がいなくなったら私らみたいな社会不適合者の集まる場所が無くなっちまう」
「自分でそれを言うか…?お前、両親はいないみたいだけど、一人で生きていくだけのお金あるだろう?」
はははと笑って返して無理無理と手を横に振るった。
「私のクソババァは薬の中毒死、クソジジィは死んだあとで知ったんだけど人身販売者だっただぜ?どう見ても、世間は私を狂った親から生まれた狂った娘って見えるんだろうな。だから、金がいくらあっても到底生きていけぇねよ。ゴロツキの中でしか腐った精魂の中でしか、生きていけないんだよ」
「まぁ、否定はしないけどさ。お前の歳だとセーラー服とか着てさ、白馬に乗った王子様に憧れる年ごろだぞ。もうちょっと夢見ようぜ。それか、教会とかで実績でも積めれば幾らかマシになると思うけど?」
良くも悪くも歪んだ娘だと黒コート姿のレイスはそう思っていた。恐ろしい現実を夢もなく放り込まれ、それでも生きる意志がある少女。必要ならば泥を啜っても、雑草を喰らう事も抵抗は一切ないだろう。
「女神が気に入らない。あんな私より年下のような奴が女神だとか。大人はそれを崇めろ信仰しろ---は、バカじゃねェかあいつ等。そんなことを思ってしまって、それを吐いてしまう私に表の世界では生きていけない。人間は女神を信仰するそんな当たり前のことが出来ないんだからな」
生まれる世界が違えば―――――そんな甘い幻想を思い浮かんでしまいリンダの頭に手を置いて乱暴に撫でた。手入れしていない薄い黄緑をした色の髪がレイスの手の中で踊った。リンダは恥ずかしそうに上目使いでレイスを見つめた。
「……兄貴は私を子ども扱いするんだな」
「俺の方が歳上だからな。ま、お前の言い分も理解できる。ぶっちゃけ俺も女神は好かん。あれは綺麗であるために造られた物だからなぁ。美しい女であっても善い女じゃねぇ、いつかは誰もが飽きるぜ。まるで流行したアイドルが突然消える様にな」
「ぷぷ、面白い例えだな流石兄貴!」
「そうだろう?ま、リンダ。お前はまだ若いんだから出来る事を増やしてくれ喧嘩だけじゃ世界は何も答えてくれないぞ」
「その本音は?」
「早く優秀に育ってくれぇ、上司四人。策略とか簒奪とか作戦とか得意かもしれないが個々の存在が違いすぎてまとめ切れない。あいつ等もそれを理解できているからまだマシだけどーーーだからって俺に押し付けるか!?」
例えば、エンカウントするごとに襲ってくる戦闘狂脳筋。
例えば、ロリコンが褒め言葉だという一桁以上はババァだと言い放つ作戦立案者。
例えば、性格的に女神側についても可笑しくない見た目はロボットアニメの主人公機の優しき正義の剣士。
例えば、詰めが甘いアップルパイ大好きマジェコンヌ側の女神。
個性が強すぎる故に連携することかまずない。どうして部下を任せられる重要な立場にされたか頭を悩ませた。そんな苦悩する姿にリンダは笑みを浮かべて作り拳から親指だけを突き上げてレイスに向ける。
「この星に産まれた時から運命だった!」
「信じたくない真実。今から引き籠りたい」
「と言いながら、私達の面倒を見てくれる。これが私得の男のツンデレ」
なんだよそれーとレイスとぼやきながら頭を掻きながら何気ない雑談をしながら、目的地にたどり着いた所でその足が止まった。
「漸く、目標の者だぜ」
『ッ、どうしてこの場所が!!』
狼狽える女性の声。開けた場所の中央に神々しく置かれた祭壇の上に置かれたディスクが鈍く光る。
「ゲイムキャラさん、お前の物語はここで終わってしまった!―――――ってね」
「兄貴。ここはゲイムキャラを見た者はこれ以降いなかった……とか」
「いやいや、第三部完ッ!ご愛読ありがとうございました!!じゃねぇ?」
『!?転移出来ない……結界!?いや、これは!!』
「来るもの拒まず、出るもの拒む、後は俺の指定した対象を時空間を切り取って封じ込める
レイスが手を上げた。まるで空に飛びった白鳥の羽の様に
真面な人でなら持つ方が潰されてしまうほどのサイズを軽々しく肩に担ぎ、リンダと共に中指を逆らうように天に向ける。
「残念。
その瞬間に振り落されたのは処刑者が繰り出す断罪の一撃だった。
仕事忙しいです。
出来るだけ更新できるように頑張りますが、少なくても今週の土日は難しいかも……(調子が良かったら明日更新出来るかも…)
あと、下っ端と有名(?)なリンダですが、こちらでは原作と違って色々と語っています。そこら辺の伏線モドキは未知なる魔神にもありましたけど、このリンダはマジェコンヌ側のヒロインの一人として色々頑張ってもらう予定です。まぁ、人間なので出来ること限られてくるけど。(マジェコンヌ側を書くのが楽しすぎて、女神側を書くのが辛すぎる当分シリアス続き……)
質問、誤字脱字などありましたら感想でよろしくお願いします!