Muvluv 生命の源の申し子   作:ユニコーン

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大変遅くなり申し訳ありません!

なんとか更新しました!

それでは、どうぞ!


第十二話

夕呼side

 

 

 

 

 社から聞いた二人の今日の予定に興味を持ってピアティフと社を連れて昨日のグラウンドにやって来たら、何やら面白い会話が聞こえて来たわ。

 精密検査では二人の身体能力は細胞単位で全てが一般衛士の2倍以上のスペックだとしか知らないし、あの時は門番が門番だったから二人の実力を知る事が出来る。

 あたしにとっては渡りに船だわ。

 

 

「…二人の実力を知らない」

 

「彩峰! 中佐に向かってなんて口の聞き方を!!」

 

「でも事実」

 

「彩峰っ、貴様!!」

 

「まぁまぁまぁまぁ」

 

 

 さっそく彩峰がお得意の上官への挑発を仕掛けたようね。

 彩峰の態度に腹を据えた榊とまりもが噛み付くけど、挑発された黒崎が間に入った。

 …彩峰の父親は帝国軍中将の『彩峰 萩閣』

 数年前に行われた光州作戦の際、国連の指揮の元、ソ連軍と米軍、国連軍はBETAの殲滅、大東亜連合は現地の住民の救助活動をしていた。

 しかし、避難を拒む現地の民が多くて救助が予定通り進まず、あのままでは民にまで被害が及ぶと判断した中将は、持ち場を放棄して民の救助活動に入った。

 結果、民は助かったものの、国連の指揮を放棄した挙句に多くの衛士を危険に晒し、中将が抜けた部隊からBETAに突破され、司令部が壊滅した。

 各国は自分達の兵を危険に晒した事に憤り、彩峰中将を国連への引渡しを帝国に要請した。

 しかし、そうなれば日本軍部が反発するのは目に見えている上に我々日本、第四計画推進派の進行の妨げになるのが必至。

 それを恐れた日本帝国はその責任を全て彩峰中将に押し付けて敵前逃亡の罪で処刑とすることで、難を凌いだと世間は言うけど…実際がそうなっているのだから何とも言えない。

 しかし、それは表向きの公表であり真実は違う。

 処刑前日、榊総理が獄中にいる彩峰中将に土下座し、日本と世界の未来を泣きながら説いた。

 彩峰中将は榊総理を責めず、笑顔で榊総理に未来を託して処刑された…

 その娘である彩峰自身が力を欲し、撤退を断固拒否するのは父が敵前逃亡という不名誉で処刑されたのが関係しているのか、または命令違反をしたとしても、それをカバー出来るだけの力があればいいと思っているのかわからない。

 どの道、父の死後から彩峰は今まで以上に一人で行動し、それが災いしてB分隊だけがチームワークが上手く行かず、前回の総戦技評価演習はA分隊は合格しB分隊は落ちた。

 …まったく気にしない訳ではないわ、でもあたしが世話を焼く義理はないし、それはまりもの仕事だもの。

 

 

「さて、格闘戦で抜きん出ているのは彩峰と御剣だな。よし、二人纏めて掛かってきな。制限時間は5分、方法は問わないぞ?」

 

『『っ!?』』

 

「加えて、俺は一切手を出さないから存分に打ち込んで来い」

 

「お、恐れながら中佐っ!」

 

「ん?」

 

 黒崎が提示した内容は、分隊の中で近接戦闘でもっとも秀でている二人に対して侮辱とも言えるハンデだった。

 実際、黒崎はズボンのポケットに両手を突っ込んでいるから本気で言ってるんでしょうね。

 そのことにまりもが待ったを掛けた。

 あからさまに舐められたハンデを付けられた彩峰は気に入らないのか、目を細くして黒崎を見ている。

 

 

「中佐の腕がどれほどお強いのか私は存じ上げませんが、こいつらの実力は私が知っています! それで中佐の身に何か有ったら――――」

 

「カッカッカ、心配はいらんさ。こいつら程度の錬度じゃあ、俺に傷一つ付けるどころか触れることすらできんさ」

 

 

「「―――(ムッ)(カチンッ)(アワアワッ)」」

 

 

 黒崎の奴、笑いながらさも当然の如く言うなんて、たいした自信ね。

 逆に挑発された二人はもろ触発されて手に力が入ってるわ。

 榊も『こいつら』の中に自分が入っていることから黒崎を睨んでるし、珠瀬はさらに空気が危うくなったとアワアワと慌てていた。

 まりもも自分の教え子が弱いと、あからさまに言われて顔を顰めているけど、珠瀬を見て社は大丈夫かと思い、ふと隣を見ると平然としていた。

 …本当に社も変わったわね。あいつらが来る前までは気まずい雰囲気を察しただけであたしの後ろに隠れていたのに。

 

 

「…中佐、恐れ入りますが我々が訓練兵だからとはいえ、些か甘く見過ぎではおられませぬか?」

 

「…ムカつく」

 

 

 彩峰と御剣は完璧に火を点けられた見たいね。

 御剣は彩峰程じゃないけど不機嫌な顔をして、いつの間に手にしたのか木刀を強く握っていた。

 加えて、殺気が何処からか幾つか…黒崎と白銀ならもう気付いているはずなのに行動しないってことは、その『前』の世界で既に誰かを知っているからかしら?

 白銀なんてこの現状を見て苦笑いしてるだけだしね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――安心しろ、人間相手に遅れを取る様な人生は送ってはいねぇさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『!?』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何…このあたしが今の言葉を聞いてプレッシャーを感じた…?

 なんてプレッシャー…発した本人は不敵な笑みを浮かべて言葉を発しただけなのにこれ程とは…

 さっきまで平然としていた霞があたしの後ろに隠れて裾を握って顔を覗かせ、まりも(・・・)が思わずあたし達を庇うように身構えた。

 まりもがここまで動いたんだから、それほど強かった様ね…

 

 

「………」

 

 

 一方の彩峰と御剣は額に汗を掻き、息を荒くして黒崎を見据えていた。

 御剣は木刀を正面に構えているけど、切っ先が震えて定まっていない。

 挑発された時は只怒りを滲ませていただけだけど、今は怒りを捨てて目の前の()に警戒している、といった感じかしら。

 …かくいうあたしも、今のだけで結構来てるんだけど。

 

 

「どうした、掛かってきな? ああピアティフ中尉、5分きっかり測ってくれな?」

 

「…えっあ、は、はいッ!」

 

 

 ある程度の修羅場をあたしと潜り抜けてきたピアティフが意識を飛ばしていた…あれだけの言葉でここまで人を押さえつける事が出来るなんて、やはりあの時の力とスペックは間違いじゃないわ。

 なるほど、これが異世界でインベーダーって化物と戦って来た戦士の言葉の重みなのね。

 

 

「…いくっ!」

 

「あ、彩峰っ!?」

 

 

 まりもの静止を振り切って彩峰が先に動いた。

 黒崎は彩峰に直ぐに懐に入られたにも関わらず、身動き一つしない。

 いや、口の角が上に上がっていた。

 

 

「(()った!―――っ!?)」

 

 

 

 

 

 しかし、振りかぶった拳の先に黒崎は居なかった。

 

 

「(き、消えた…)」

 

「(ど、どこにッ)」

 

「見え見えの攻撃だったぞ?」

 

「「!?」」

 

 

 視界から消えた本人の声が別の所から聞こえた。

 彩峰は当然だが、その場を動かなかった御剣も黒崎がどう動いたのか唐突過ぎて見えていなかった。

 彩峰の一撃が決まった様に見えたが、黒崎がブレた様に見えたと思えばいつの間にか御剣の後ろに(・・・)居たのだ。

 

 

「次は見える様に動こうか」

 

「くっ!」

 

 

 さらに挑発する様に黒崎は言い、御剣は直ぐさま右足を軸にして半円を描くように木刀を一閃するが、また黒崎がそこに居なかった。

 しかし、夕呼達は見えた。

 黒崎はただ、振るわれた木刀の刃と同じ方向に後ろ向きで動いてただけだ。

 その証拠に二人の足元には、御剣の向いている場所から奇麗に半円が描かれていた。

 

 

「―――ぁぁぁあッ!」

 

「不意打ちならもっとスマートにやれ」

 

 

 驚愕のあまり固まっている御剣の後ろで余裕扱いてる黒崎に、ハッと我に返った彩峰は直ぐに黒崎の背後に飛び掛り、右ストレートを繰り出すが黒崎は上半身を捻って簡単に避けた。

 空ぶった彩峰の拳の先には木刀の切っ先が。

 それに気付いた御剣がすぐさま木刀を引いて構え直し、黒崎に正面から切り掛かった。

 だがそれも一歩下がりながら上半身を軽く後ろに逸らすだけで回避される。

 そこにまた復活した彩峰が追い討ちをかけて頭を狙うが首を左に傾けるだけで避けられた。

 

 

「(当たらない…!?)」

 

「(何故だ…何故当たらぬ!?)」

 

 

 二人の猛攻をポケットに手を突っ込んだまま黒崎は避けていく、時にはその場で跳躍し、時には一回転し、時にはヒラヒラと落ちて行く紙の様に、全て焦ることなく余裕で避けていく。

 

 

「(荒々しい攻撃だ…御剣は何かの流派を心得ている様に見えるが、今は焦ってそれが生かされていないようだ)」

 

 

 御剣の繰り出す乱れ突きを黒崎は最小限の動きで避ける。

 それにより、見ている方は御剣の攻撃は黒崎を避けているかの様に錯覚する。

 御剣の動きが止まった直後に彩峰が横から攻撃を仕掛けた。

 黒崎が半歩下がることによって避けられるが、彩峰は食らいつく様にデンプシーと繰り出す。

 4回目を繰り出すと、黒崎はその場を跳躍して彩峰と御剣の中央に立った。

 

 

「(彩峰は我流なのはわかった。でも単独行動ばかり取っていた彩峰は二対一という場面では力が生かされていないな…)」

 

「(な、何なのだこの男はッ、これだけ動いているのに息一つ乱さないだとッ!? このまま振り回される訳には行かぬッ、これで勝負にッ!!)」

 

「…ッ!」

 

 

 黒崎の後ろから彩峰が殴り掛かるも、上半身を右に少しだけ捻るようにして避け、勢いを殺せない彩峰はたたらを踏む。

 

「さて、そろそろ時間だな。(…己の技量に過信していたな。こいつらの過去に何があったのかは知らんが、そのちっぽけな過信が何時の時代も命取りになる。ここで力の差を見せ付けて、訓練により積極的にさせる為に叩き潰そう)」

 

 

 彩峰は体勢を整えて構え直し、御剣もその横で木刀を構え直し、息を整えていた。

 少しの間、場は緊迫した空気を張り詰めていた。

 その時、白銀が足元にあった拳大の石を拾い上げた。

 何をするのかと見ると、白銀は拾った石を少し離れた壁に向かって軽く投げた。

 

 

―――カッ!

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「ぁぁぁぁぁあッ!!」

 

 

 壁にぶつかった音と同時に二人は最後の勝負に出て黒崎に左右から迫った。

 二人の一撃が黒崎に当たろうとした時―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前達の負けだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒崎は二人の前から又消え、一撃を放ち終えた二人の背後に立ち、手刀を両者の首に添えた状態で佇んでいた。

 二人は目を見開いて固まっていた。

 当然といえば当然でしょうね、

 ピアティフが時間を確認すれば5分を過ぎていた。

 ピアティフのタイムアップの指示とともに試合が終わり、あたしは周りを見ると榊は信じられないモノを見た様に固まっていたわ。

 本人は彩峰と自分は犬猿の仲だと納得しているけど、それと同時に彩峰の実力は認めている。

 格闘戦(・・・)で彩峰に勝てるのはまりもだけだという程の実力だと。

 でも今はどうかしら?

 彩峰の猛攻を意図もたやすく避け、御剣ももっとも得意とする剣術を駆使しても一つも掠りはしない。

 更には二人同時に相手をしているのに息一つ乱さないときた。

 珠瀬は何が起こったのかチンプンカンプンな表情ね。

 頭にいくつもの?マーク付けてる感じだし。

 まりもも榊程じゃないけど、信じられない様な表情で黒崎を見ていた。

 いくらまりもでも二人相手に無傷ではいられないし、何よりあそこまで隙のない避け方は先ず出来ない。

 二人の実力を知るまりもは一対一ならまだしも、まさか二対一で、それも二人が得意とする方法でいったのにも関わらず避けきった…あたしもまさか二人が一太刀も浴びせれないとは思わなかったわ。

 

 

 

 

 

彩峰side

 

 

 

 

 昨日に続いて今日も中佐二人がやってきた。

 私達の何処に興味を持ったのか知らないけど、昨日、突然私達の教官になると言い出した。

 上官だからといって無能な奴から教わることなんかない。

 …父さんはその性で殺された。

 その思いを表に出したのに、中佐は笑っていた。

 それに、私の思ってる事をさも当然の様に言ったら少し離れたところに移動して逆に挑発された。

 舐めているのにムカついて直ぐに終わらせてやろうとしたら、今まで感じた事のないぐらいの重いプレッシャーに動きを止められた。

 あんなの、軍曹と手合いをしても感じられない程のプレッシャーは初めてだった。

 呑まれる訳にはいかない…その思いで噛み付いたらあっさりと避けられた。

 わからない…フェイントを混ぜても全部バレてた。

 …不服だけど、御剣と協力して御剣が行けば私が行くの繰り返しをしていたのに、中佐はポケットに両手を入れたまま軽がると避けてた。

 私に、何が足りないの…?

 

 

 

 

???side

 

 

 

 

 突然この基地に姿を現した二人の謎の男。

 その二人が突然冥夜様を含む分隊を自分達の試験隊にしたいと言った。

 他の者ならいざしらず、冥夜様に危害を加える可能性のある輩を野放しには出来ない。

 しかし、まだ決定的な判断材料が無い為に情報を得る事にした次の日、冥夜様の居られる207分隊が野外で訓練をしている所にまたあの男共が現れた。

 そしてあろうことか、その内の一人が冥夜様を挑発してきたのだ。

 他の者達はいざ知らず、冥夜様を侮辱する事は万死に値する…私は気付かぬ内に控えの三人とともに殺気を出していたが、あの男が何かを話した瞬間、恐ろしいまでの圧力を浴びせられた。

 斯衛で、赤の服を纏うこの私が…臆した?

 たかが一人の、見ず知らずの男に?

 そして一人の訓練兵の動きを皮切りに戦いが始まったが…一方的だった。

 冥夜様が焦っていたとはいえ、無現鬼道流剣を会得した冥夜様と格闘訓練で主席の訓練兵相手に、あの男…まったく本気を出していない。

 

 

「あの男…いったい何者だ…」

 

 

 直ぐに情報省に調べさせねば、あの男と見ていただけの男が冥夜様に何を企んで近付いたのか、良からぬことの為に近付いたのならば即刻排除せねば…ッ!

 

 

 

 

武side

 

 

 

 

 さてさて、賢治に軽く釣られて見事に引っ掛かっちゃった二人は困惑しているご様子だ。

 それもそうだよなぁ…自分のもっとも得意とする方法で、それに二対一で自分達の攻撃が掠りもしなかったんだからな。

 

 

「ば…バカなッ」

 

「………」

 

 

 あ~らら、二人ともorzの状態だよ。

 俺が前にいた時も見たことないのに、賢治…ちとやりすぎじゃね?

 

 

「さて、俺の実力は分かってくれたかな? 彩峰訓練兵?」

 

「くっ!」

 

 

 そんな親の仇の様な顔で賢治を見ても…はぁ。

 

 

「そういう訳で、これからは俺と白銀がお前達の教官になる。座学は今まで通り神宮寺軍曹が引き続き担当されるが、一限だけ追加をすることにした。これは俺達が担当する」

 

『『『!?』』』

 

「主に格闘訓練をする。今まで同じ訓練ばかりでお前達も退屈だっただろう? だがこれからはお前達に合った訓練方法を教えて行く。安心しろ彩峰、俺達の訓練を続けていけば今の俺の動きは出来るようになるさ」

 

「!?」

 

「勿論、毎回組み手は組むから日に日に強くなっていくさ。これからよろしくな!」

 

 

 賢治め、勝手に座学を組み込んじゃっていいのかよ?

 夕呼先生を見るとニヤリッとしていたから…いいのかな?

 さて、賢治の言うとおりなら明日から早速忙しくなるな!

 

 

 

 

 

 でも賢治が戦術機の方に行くから必然的に俺も行く事になるんだよな…

 あ、でも冥夜達が座学してる時にするのか。

 どれぐらい時間掛かるんだろうか?

 

 




さて、私ことユニコーンは某印刷会社にパートで雇ってもらっているのですが、現在繁忙期に入りました。
それにより、PCに触れる時間が一気に削られてしまいました…
さらには辻堂さんの純愛ロードをするのに執筆時間がさらに削られて…申し訳ありません!

だって、ヒロイン全員ヤンキーなんてめったにない上に辻堂さんに一目惚れ!
やるしかないじゃないですか!!

え? 言い訳にならない? …すみません(´;ω;`)
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