Muvluv 生命の源の申し子   作:ユニコーン

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早めの更新です!

それだは、どうぞ!


第二十四話

―――リフレッシュルーム

 

 

 

 

 ここ、横浜基地のリフレッシュルームは基地にいる面々の憩いの場でもある。

 食堂でもリラックスしているが、リフレッシュルームはソファーや自販機等があり、観賞植物も僅かながらあるので日々神経を使っている面々にとっては憩いの場である。

 

 

「ったく、何で俺達がBETAに備えてビクビクしなきゃなんねえんだよ。どうせここまで来やしねぇって」

 

「はっ、BETAが上陸したら帝国軍が率先して動くんだしよぉ」

 

「ちげぇねぇ、ははははっ」

 

 

 しかし、そのリフレッシュルームの一角に衛士として好ましくない発言をする二人の中尉がいた。

 周りには整備班と衛士がいるが、彼等は二人よりも階級が低い為何も言えず、それを盾に相手二人は言いたい放題だ。

 周りはこの二人を目にする度に思っている。

 何故こうも粗相が悪く、戦場でも大して成績を残すことの無い衛士が中尉にまで昇格出来て自分達は昇格されないのかと。

 

 

 

 ―――ドォォーーーーーーンッ!

 

 

 

「きゃぁッ!?」

 

「うぉぁッ!?」

 

「な、何だ!?」

 

 

 不愉快な空気が流れている時に、何の前触れも無く二人がいる場所のの壁が突然爆発した。

 けただましいサイレンが基地に鳴り響くと共に爆発箇所の近くに居た者達は巻き添えを喰らうが、そこは軍にいる者として直ぐに避難した。

 皆がテロか何かかと口々に言うが、爆煙の中に人影が写った。

 

 

 ―――何処ニ行ッタァ…黒崎ィ…白銀ェ…

 

 

『『『ひぃぃぃぃぃぃ!!?』』』

 

 

 モクモクと立ち込める爆煙の中から現れたその影の正体は、香月副司令だった。

 香月副司令は口から白い煙を吐きながら地の底から這い出るような声で二人の名を呼ぶ。

 X字にマシンガンのマガジンを装着し、両手には銃口の下に銃剣を取り付けた『ステアー HC』の改造銃を持っていた。

 

 

「ななななななな、何だ何だ何だ何だ!?」

 

「おい、何で副司令があんなの装備してんだよ!?」

 

「知るかよんなこと!」

 

 

 香月副司令の事を少しだけ耳にしている者達で共通なのは、頭のキレと運動が反比例する事ぐらいだ。

 別に音痴という訳ではないのだが、いかんせん腕力と脚力が今の時代では無いに等しい為、平均女性のレベルではこの時代では運動が出来ない方に部類されている。

 がしかし、今彼女が身に付けている数のマガジンをX字に巻きつけているだけでも重量は結構なものだ。

 この姿を見て今までの彼女の認識を改める必要があるだろう。

 

 

 ―――ギンッ!

 

 

「アイツ等ヲ何処ニ隠シタァァァ!?」

 

「ひぃィィィィ!? し、知りません知りません!自分は何も隠して無いですー!!」

 

 

 更にはギラギラと目を猛禽類以上に鋭くし、銃剣を近くにいた衛士の顎に突き付けて二人を何処に隠したと脅す始末。

 今脅されているのは丁度粗相の悪い衛士二人の内の一人で、普段から上司に対しても態度が芳しくない不良衛士だが、恐怖のあまり顔を青くして汗を滝の様に流しながら必死で知らないことをアピールする。

 縦社会の中で当然厳しい上官もいるが、ここまで恐ろしい上官はまずいないだろう。

 

 

「コフー…コフー…アイツラァ…」

 

 

 人間がしてはいけない息遣いをしてしまっている香月副司令から周りは恐る恐る離れて行くが、未だ銃剣を突き付けられている不良衛士は一歩も動けないでいた。

 

 

 ―――ゴトゴト…

 

 ―――キュピーーンッ!

 

 

「ソコカァァァ!!」

 

 

 ―――ドドドドドドドドドドッ!

 

 

「うわぁぁッ!?」

 

「きゃぁぁッ!」

 

 

 ―――ボゴォォーーンッ!

 

 

「ぶぉ!?」

 

「んが!?」

 

 

 香月副司令はもはや人間とは言い表せない形相にまでなり辺りを見渡すと、突然天井に向かって『ステアー HC改』をぶっ放しながら叫んだ。

 周りにいる面々は頭を抑えて床に蹲り、自分の身を守る。

 放たれた銃弾は天井に形を形成して行き、その上にある重みに耐え切れなくなった天井は軋み音がして直ぐに崩れ落ち、黒崎と白銀が一緒に落ちてきた。

 

 

「見ィィ付ケタァァァーーーー!」

 

 

 ―――ドドドドドドドドドドッ!

 

 

「「うぅぅぉうぉうぉうぉうぉうぉ!?」」

 

 

 マガジンを神業の如く一瞬で装填し、『ステアー HC改』を戸惑うことなく二人に向かってぶっ放す香月副司令。

 その弾丸を全て紙一重で避けていく二人。

 避けられた弾丸は壁にめり込むか兆弾して周りにいる者達に迫り、周りは兆弾を紙一重で避けるが、避け終えたその格好はとても愉快な格好になった。

 

 

「逃ィゲェルゥナァァクルァァァァーーーーー!!」

 

 

 ―――ズガガガガガガガッ!

 

 

「「あぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!?」」

 

 

 もはや人間が発するとは思えない奇声を上げながら二人に向かって乱射する香月副司令。

 二人は全力で逃げ、二人を銃を撃ちながら走って追いかける香月副司令。

 三人がいなくなったリフレッシュルームは恐怖の渦が無くなり、全員が力なく崩れ落ちる。

 そして、香月副司令にずっと銃口を突きつけられて脅された不良衛士は失禁と涙と鼻水を流し、恐怖に飲まれた顔をしていた。

 後にこの不良衛士達二人は心を入れ替え、自分の身は自分で守る為に訓練に励むようになったという…

 

 

 

 

賢治side

 

 

 

 

 あぁ~…昨日は久しぶりに殺されるかと思ったぜ。

 霞ちゃんを食堂に置いて隣の天井裏に気配消して隠れてたってのにまさか見つかるとは…くそ、運動駄目って武から聞いてたのに明らかに運動スキルいいだろあれ。

 足なんか速いこと速いこと、日に日に速くなって行ってる。

 あんだけ暴れる元気があるなら今からでも鬼軍曹に転職できるんじゃねぇか博士。

 いや寧ろ切り込み隊長ならぬお庭番集の殺し屋になれるな、うん。

 

 

「何か言ったかしら?」

 

「いえ、何も…」

 

 

 怖ぇ、思ってる事まで読まれそうだぜ…

 

 

「ったく…まぁいいわ。それてピアティフからだけど、昨日着いた吹雪と既に配備されてる吹雪のOSとCPUの換装は今朝終わったわよ」

 

 

 おお、OSの換装は直ぐに終わるにしてもCPUは型を合わせないと換装出来んのに…ここの整備班はやる事早いなぁおい。

 

 

「まったく、アンタはOS以外にCPUまで作り上げるなんてね。どこまで範囲広いのよ」

 

「伊達や酔狂であの世界で生きちゃいねぇよ」

 

「お前は俺よりもずっと前からあの空間にいたもんな」

 

 

 あの空間にいたら時間という概念がないからな。

 しかし、CPU作るのに結構な金と時間を掛けちまった。

 流石に再生利用のでは作れないところが多過ぎるし部品も足りないから、新品の材料で作ったんで一番金が掛かってるのがCPUだ。

 よし、OSとCPUの換装が済んでるなら後はヴァルキリーズに実際に乗って使ってもらおうか

 武が最高の部隊だと豪語するんだから、直ぐに適応するだろう。

 

 

「んじゃヴァルキリーズを集めといてくれ」

 

「はいはい」

 

 

 

 

武side ハンガー

 

 

 

 

「ちょっと! 何でアタシ達の機体が吹雪になってんのよ!?」

 

 

 わ~ぉ、先生がヴァルキリーズにハンガーに来るように命令してから一緒に来て見たら、国連カラーの吹雪がヴァルキリーズの不知火の所に置かれているから全員がびっくりしているよ。

 中にはハンガーを間違えたかと入り口まで確認しに行ってるのも居るし。

 

 

「お~、揃ってるなぁ」

 

「「中佐!?」」

 

 

 ―――ザッ!

 

 

 はぁ、何か…前回の上官の方に敬礼をされるのって、慣れないな…

 

 

「ちょっとアンタ! アタシの不知火は何処にやったのよぉぉーーー!?」

 

「ちょちょちょちょッ!? 先輩やめて下さい! こちらの方は黒崎中佐ですよ!」

 

「水月落ち着いて!」

 

 

 …でもよかった、約一名だけ前と変わらない人がいた。

 速瀬中尉が案の定突っかかって来たけど…そっか、速瀬中尉はあの時気絶してたから俺達のことは話でしか知らないから仕方ないか。

 でもまぁ、速瀬中尉はやっぱり、こうやって元気に突っかかってこないとね。

 羽交い絞めにして抑えてるのは涼宮中尉だけど…頑張れ、涼宮中尉。

 

 

「ああ、お前か。俺の声を忘れたのか?」

 

「―――声? ………ああッアンタはぁー!!」

 

「水月止まって~~!」

 

 

 賢治の声に気付いた速瀬中尉は顔を赤くしてまた暴れだした…がんばれ~、涼宮中尉~。

 そして賢治、これ以上煽るなって。

 何で猫じゃらしを中尉の鼻の前でチラつかせてんだよ。

 どっから持って来たんだそれ?

 それと中尉、猫じゃらしに噛み付こうとしないで下さい。

 涼宮中尉の顔が真っ赤になってるじゃないですか。

 

 

「まぁ、今お前達の不知火はあの時武…こいつな。武が乗っていた不知火改に改造するから、それまでの間は吹雪を使って新型OSの完熟をしてもらおうか」

 

『『『えッ!?』』』

 

「改造って…あの不知火に?」

 

「え、あれって…専用機じゃないの…?」

 

「専用機ならあれよりも上のを造ってるぞ。アレは試作機だ。正規運用機は今からお前達と一緒に作っていく」

 

「あれが専用機じゃないって…」

 

 

 ヴァルキリーズの誰もが賢治の発言に目を見開いて驚いている。

 うん、普通ならその反応になるよね。

 あれだけでも普通に武御雷に通用するもん。

 

 

「でもちょっと待って、今新型OSって言ったわよね?」

 

「ああ、名付けて『XM3・γ』だ」

 

「さあさあ、アンタ達には新しいOSの『XM3・γ』のデータを取る為に呼んだんだから、つべこべ言わずにさっさと乗りなさい」

 

「「了解!」」

 

「新型のOSだって」

 

「どんなんだろうね?」

 

 

 先生が指示を出した後出口に向かったので、俺達も付いて行った。

 ヴァルキリーズは敬礼をした後、新型OSについて話しながら更衣室に向かった。

 俺達の行き先は管制室だろうけど…あれ、まりもちゃんは何処行った?

 今日はあいつらの座学は休みだからまりもちゃんも一緒に来ると思ってたのに…

 

 

 

 

賢治side 管制塔

 

 

 

 

『見た目は確かにちょっと太った感じの吹雪なんだけど…』

 

『何処が変わったんですか? 管制ユニット自体はそんなに変わっていないのですが…』

 

 

 管制室に移ってヴァルキリーズと通信をすると、吹雪に乗ったヴァルキリーズは管制ユニットの中で吹雪の何が変わったのか口々に言っていた。

 そりゃまぁ、CPUを積むために管制ユニットがちと狭くなったのと、外見は腰周りが太くなったってぐらいだ。

 まだ稼動部分とかをまだ弄ってないし、ユニット自体もノータッチだから大した変化なんてないさ。

 

 

 

『やってみなければわからん。各機、出るぞ』

 

 

 それぞれが思っている疑問を口にしているが、伊隅の号令で全員が戦術機の操作に移った。

 さぁ、どうなるかな?

 

 

『んなッ!?』

 

 

 

 ―――ドォーンッ!

 

 

 

 入り口手前で止まっていた伊隅機が入り口の端っこに衝突して体勢を崩して横転しそうになった。

 それを先駆けに他の戦術機もどんどん躓いたりして体制を崩していく。

 

 

『操作がッ全く違うッ!?』

 

『はぇ~~ッ!?』

 

 

 カッカッカ、お~お~じゃんじゃん転んでる転んでる。

 全員が操作方法を分からずテンヤワンヤしてるわい。

 

 

「まりもちゃんはどうだい?」

 

『まりもちゃん言わないで下さい!』

 

 

 まりもちゃんは顔を赤くしてガァーッと言わんばかりに叫んだ。

 な~んだよ、極秘通信で話してんだから別にいいじゃんよこれぐらい、ケチ」

 

 

『ケチで結構です! ッぐ!?』

 

 

 あら、いつの間にか声に出てた。

 まりもちゃんは今日、207B分隊の座学は休みなので一緒にOSのデータ取りに協力して貰った。

 ヴァルキリーズとは反対の廃墟で撃震改に乗って何とか転ばずにいるが、操縦に四苦八苦してるなぁ。

 俺の整理したOSでシミュレーションしていたみたいだけど、今はその経験が全く利かないOSだからやり難いのはまぁ、当たり前だろう。

 だが、まりもちゃんがここまでムキになるのは戦術機が言う通りに、思い通りに動かないからだろう。

 今までは機体に振り回されていたが、これからは人間が戦術機を振り回すんだ。

 もっとも、XM3の後は各々専用のOSを配るつもりだがな。

 

 

「今吹雪に搭載されているOSは、今までのOSより融通を利かせたOSだ。今までの操作とは勝手が違うのは当たり前だが、丸々変わったってわけじゃない。ただ操作方法がデリケートになっただけだ」

 

「確かにそうね。今まで歩く為にはただペダルを踏めば直進、後進と、予め決められている動作での動きだったけど、これからは一つの大まかな動作を登録してコマンド入力で反映される。戦闘時のレパートリーが一気に増えるわね」

 

「そのコマンド入力を知らないから、最初は大変だろうなぁ、ヴァルキリーズ…」

 

 

 だが俺が作ったCPUには容量を大きくしたメモリーも一緒に搭載しているから、直ぐにパイロット…おっと、衛士だった。

 衛士の癖を記憶してCPUが瞬時に処理をする。

 使えば使うほど進化するOSとCPU、メモリーの大盤振る舞いだから上達するのも早い。

 しかしあいつら、あまりにも苦戦していて歩く事すらままならないか。

 仕方ない、ここは一つアドバイスをしてやるか。

 

 

「お前達、いつまでそんなことで躓いてるんだ。思い浮かべろ、お前達は普段、どうやって歩行している?」

 

『『『!?』』』

 

「一度その場で立ち止まり、目を瞑って普段の歩き方をイメージしろ。そうすれば機体は手足の様に動かせれる様になる。何の為の網膜投影だ? 目を開けば自分は機体になっているんだぞ?」

 

『『『………』』』

 

 

 俺の指示に誰も反発せず、指示通りにその場に機体を立ち止まらせて全員が目を瞑る。

 数秒後、全員がバラバラに目をゆっくりと開き、一機がゆっくりと一歩踏み出し、他の機体も次々と一歩目を踏み出していく。

 そしてゆっくりではあるが、人間と同じ歩きを彷彿させるようにはなっていった。 

 

 

「大分動けるようになっていってるな」

 

 

 流石は武が言うだけある。

 僅か10分で若干不安定では有るが、歩行が出来るようになっていた。

 

 

「よし、次は演習場を今から送るルート通りに歩行しろ。何、上手くいかなくても問題はない。お前達のデータを模索して徐々にOSを改善していくから焦る必要はない」

 

『了解、ですッ』

 

『ぬぬぬッ!』

 

「まりもちゃんにもデータを送ります。その廃墟の中を指定のルートで歩行して下さい」

 

『了解、しました!』

 

 

 おお、全員様になって来たじゃねぇか。

 今じゃ歩くスピードが遅い機体でも最初の2倍は早くなったぜ。

 飲み込みが早いなぁヴァルキリーズは。

 まりもちゃんの場合は廃墟という足場の悪い所を初っ端からさせられてるけど、危うい様子も無い。

 

 

『あは、全然動きが違う~♪ 操縦に慣れたらこっちの方が動きやすいわ♪』

 

 

 ヴァルキリーズでは速瀬が一番飲み込みが早いな。

 もう走る事が出来る様になるとは…

 まあ、言われて直ぐに反映出来る人間はいないが、抗わず素直に受け入れれば、そんなに時間は掛からない筈だ。

 その証拠にヴァルキリーズの面々は最初とは段違いに操縦が上手くなっている。

 それに吹雪は不知火の劣化版だから吹雪で取れたデータは不知火に直ぐにバックアップ出来るから、不知火の改造は急ピッチでやる必要はないだろう。

 

 

 ―――ズルゥッ!

 

 

『んなッ!?』

 

 

 おい、どこに滑る箇所があった?

 平地な上に雨も降ってないから地面が濡れてるわけでもあるまいに…

 

 

『こんのッ!』

 

 

 ―――ゴォォーー!!

 

 

『え?』

 

「「「は?」」」

 

 

 ―――ドォーーンッ!

 

 

『ムガァッ!?』

 

『先輩ぃーーーー!?』

 

『速瀬!? おい、しっかりしろ!?』

 

「………あいつは一体何やってんだ?」

 

 

 その場で前向きに勢いよく転んだ所で何故か跳躍ユニットを吹かし、穴に向かって直進して絶賛犬〇家の状態になっていた。

 何やってんだあいつマジで?

 

 

『ど、どうしたのですか!? 何か物凄い音が…』

 

「気にしないで下さい、神宮寺軍曹」

 

 

 まりもちゃんがおっかな吃驚して聞いてきたけど、霞ちゃんがさらっと流しちゃった。

 

 

「何であそこで跳躍ユニットを噴かせるのよ」

 

「戦術機があの格好をするのは…シュールだな…」

 

「芸達者だなぁ、あいつ」

 

「アンタが言うなッ」

 

 

 おおう、夕呼博士に突っ込まれちまったぜ。

 その間に速瀬を救出すべく、二機が片足ずつ両手で掴んで持ち上げたりと、今までの戦術機ではスムーズに出来ないほぼ人間と同じ動作をヴァルキリーズは無意識のうちにこなしていた。

 そんな中、速瀬だけはまた管制ユニットの中で目を回して気絶していた。

 おっかしいなぁ、跳躍ユニットを噴かす操作は見えなかったんだが…バグか?

 まさか、俺が3回もチェックしたのに?

 

 

―――ピピピッピピピッ

 

 

「あらピアティフ、どうしたの? …そう、わかったわ」

 

 

 何やらピアティフ中尉から通信が来たみたいだが、どうしたんだ?

 

 

「帝国技術廠への物資を送り終わったそうよ」

 

「おいおい、このタイミングでか」

 

「不知火のバグやエラー取りも向こうでやることになりそうだな…霞がいないと作業が遅れるなぁ」

 

 

 確かに、俺達が機体を組み立てていく時に出てくるエラーを霞ちゃんが即効で修正してくれているからあれだけの短時間で撃震改は出来上がったんだ。

 俺と武だけじゃあ最初の二倍は時間掛かるし、あの処理は整備班や技術者が3人体制でも出来ないさ。

 

 

「社は連れて行かせないわよ。前回の記憶があるからといって、社には他にもしてもらうことがあるんだからね」

 

 

 霞ちゃんはウサ耳を垂れさせてしょんぼりしちまった…

 仕方ねぇ、機体が組み上がり次第横浜基地(ここ)に送って霞ちゃんにエラー処理をして貰うか。

 その方が早く終わりそうだし、博士から指摘点があればデータさえ送ってくれれば俺で処理するし。

 

 

「まぁ、終わったってんだから行くしかないだろう。訓練兵達の講義の時だけこっちに戻ってくればいいだけの話だ」

 

「アンタ、ここから帝国技術廠までドンだけ距離があると思ってんのよ? 車で2時間以上は掛かるわよ?」

 

「んなもん俺達が走れば30分以内に着くさ」

 

「呆れた…」

 

 

 車が通る道じゃない森の中とかをショートカットすれば、20分以内には着くさ。

 さて、引越しの準備をチャッチャと終わらせて明日の朝には出発するかな。

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

次回からは帝国技術廠に移ります!

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