Muvluv 生命の源の申し子   作:ユニコーン

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大変お待たせいたしました!
相変わらずの難産ですが、何とか投稿です!
そして、武達のとんでも設定です!
それでは、どうぞ!


第三十一話

帝都城

 

 

 

「何て事してくれたのよアンタはぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!」

 

「ぶごふっ!?」

 

 

 帝国軍の滑走路から逃げる様にして俺達は横浜に戻り、先生に事情を話した。

 先生はいつかは俺達について会談が設けられるのは予想してたみたいだけど、まさかこんなに早くとは思わなかったらしい。

 それも、殿下を半分誘拐も同然な事をしてからの話し合い…此方からは何も要求出来ず、斯衛から落とし前として技術を要求をされても断れない立場だ。

 話し合いを不利な形で設けた賢治に対して先生は怒りのジャイロハイヒールキックを額に食らわせ、現在に至る。

 先生の性格からして、今回の会談は得るものはなく、搾られるだけだから怒るのも仕方ない。

 でも俺としては会談は置いといて、殿下があんな腹黒いのを持ってたのにびっくりだ。

 前の世界でもあんな殿下見たことなかった…何があったんだ一体…

 

 

「ち、今までの戦術機改修とあんた達の功績を盾に不知火なり整備士なり搾り取ってやろうと思ってたのに、こっちが接収されてどうするのよ!」

 

「でも先生、明日の会談は殿下主催になってますし、公の会談ではないんですからこちらが譲歩出来る物をリストアップすれば…」

 

「そんなことは当の昔に考えたわよ! あたしが言ってるのはこっちに旨みが全く無いことよ!」

 

 

 あ~ダメだ、完全にキてるぜ先生…ん?

 扉に人の気配…また怪しいオッサンか。

 

 

「おやおや、何やらいつも以上に荒れていますね」

 

 

 キーロックの解除音が鳴った後に炭酸の抜ける音がしてスライドした扉から、鎧衣のオッサンが相変わらずの出で立ちで入ってきた。

 俺が記憶する限り、このおっさんは常に同じ格好だ。

 このおっさんは着替えも全部同じのしか持ってないのか?

 

 

「ふん、こいつらは毎回アタシの逆鱗をぶっ叩く程の失態をするからよ」

 

「と言いつつも、今まで化粧で補っていた青白い肌は今では美しい桜色を出し、足元もしっかりとしてる様子ですが?」

 

 

 と言ってるが、血色が良くなったのは確かだ。

 前は気にしてなかったが、先生からしてた化粧の臭いが薄くなった気がする。

 血色がいいのは俺が既に因果粒子理論の完成版を先生に渡したからだろう。

 行き詰まってイライラしていたのはソレが一番大きかったし…

 図星を突かれた先生は青筋を浮かべてそっぽを向いていた。

 あれ、てっきりおっさんを銃殺するかと思ってたんだけど…弾切れか?

 

 

「それで、何しに来たのよ?」

 

「明日の会談に出席される方々の報告です。五摂家からは斑鳩大佐、帝国からは巌谷中佐、国連からは珠瀬事務次官、そして榊総理大臣です」

 

 

 ぶっきらぼうに聞く先生に対して、おっさんは変わる事もなく静かに答えた。

 

 

「な、なんでそんな重鎮が非公式の階段に…?」

 

「その要因は君達にあるのだがね、白銀君?」

 

 

 俺達…ああ、戦闘に介入したことか。

 

 

「あの介入がもし戦術機でならばここまでの重鎮が揃うことはなかっただろう。遠目で見られるか、すれ違い様に話しかけられるぐらいだ。しかし、君達は生身で大立ち回りをしたから無視せざるおえないのだよ」

 

「自業自得よ白銀」

 

「うぐっ」

 

「それでは私はこれで。後、私も明日の会談は出席しますので」

 

 

 …あれ~、おっさんは任務完了とばかりにトレンチコートを棚引かせて出て行ったけど、毎回俺達にあれやらこれやら関係ない話をしてこっちを焦らしてから本題に入ってたのに今日は無かったなぁ。

 賢治にぶつけられた殺気で引っ込めたのか、それとも前半先生にグウの音を出させてたから言ったのと同じ…なのか?

 まぁそういうことにしとこう、うん。

 それにしてもまさかタマと委員長の親父達が参加するとは…委員長の親父の場合は、委員長と彩峰の上司である俺達を直接見たいって感情もあるのかな。

 

 

「とにかく、明日の準備よ。ほら黒崎を早く起こして!」

 

 

 当の本人は霞に膝枕されて伸びていた。

 恐ろしいまでクリーンヒットしたもんなぁ…霞が手厚く介抱してたが、大丈夫だろう。

 霞に優しく起こされた賢治は額を抑えながらも起き上がり、霞の頭を撫でてヨロヨロとこっちに来た。

 撫でられてた霞が目を細めて気持ちよさそうに受け入れていた。

 霞は賢治によく攻撃してる割には懐いてるんだよな。

 賢治の持つ独特の雰囲気が緊張を解いたんだろうか…いや、賢治を観た方か。

 そして話し合いの結果、俺達の目指す今後のプランと、それに向けた戦術機改修、建造プランは話していいと言われた。

 それと、ハンガーが急ピッチで進み、明後日には出来るとのこと。

 そして賢治の注文した什器も同時刻に搬入、設置が終了予定と。

 早え~、おかしいぐらいに建造が早いぞ。

 まだ七月にも入ってないのに…それ程技術に飢えていたのか皆さんは…

 

 

 

 

 

――帝都城――

 

 

 

 

「へ~ここが謁見の間かぁ。城の中とか書物とかでしか見たことねぇなぁ」

 

 

 会談の日になり、今朝正門に向かうと、霞が台車に麻袋を三つ乗せて待っていた。

 賢治は土産だと言って中身を教えてくれなかったが、ギッチリ詰まってて1袋50キロぐらいはあった。

 走って帝都城近くまで向かい、門を潜れば、巌谷中佐と鎧衣のおっさんが待っていた。

 本来は帝都城に仕える者が案内するのだが、非公式の会談で公にするわけには行かないから殿下に迎えをと言われたらしい。

 既に主要人は揃ってるらしく、謁見の間に着いたら周りは重鎮達が既に座っていた。

 五摂家の青の斯衛服を着る斑鳩閣下と、巌谷中佐、鎧衣のおっさん、珠瀬国連事務次官。

 それと…さっきからこっちを探る様に見るスーツの人は恐らく、榊の親父の榊総理大臣。

 何故はっきりしないのかは、俺は一度、それもチラッとしか顔を見たことがないからだ。

 何故なら…あの時、クーデターで沙霧が総理大臣の頭をテレビに晒した時の一度だけだからだ。

 …くそ、胸糞悪い…だが今回は…っ、でもその前に。

 

 

「ところで賢治、それ何だ? さっきから気になってたんだが…中でジャラジャラ鳴ってたぞ?」

 

 

 ハイヒールキックを額に食らい、痕がクッキリと残ってる額を包帯で隠してる賢治の隣に置いてる麻袋がどうも気になってしょうがない。

 謁見の間に入る前に巌谷中佐が聞いてきたけど、賢治は土産だと言って中身を明かさなかった。

 

 

「ただの土産だ。大物との謁見に手ブラで来るわけには行かねぇだろ?」

 

「いやその土産をここに持ってくる自体逆に警戒心を強めさせるだけだからな? これ以上俺の心臓と胃に負担を掛けないでくれ」

 

「お前んなヤワじゃねぇだろ?」

 

「精神面の事言ってんだよこのドアホ!!」

 

 

 額をぶつける勢いでこんなやり取りをしてると、陽気な笑い声が聞こえてきた。

 声の主を見ると、肩を上下に動かしていて心底楽しそうに笑っていた青い斯衛服の美男子、斑鳩閣下。 網膜投影越しじゃない本物を見るとやっぱり迫力があるなぁ。

 

 

「ハハハハ、其方達は面白いな」

 

「ん、誰だっけお前さん? いつか会ったっけ?」

 

 

 思わず出たいつもの賢治の軽い口調。

 ああ、そういや賢治は斑鳩閣下と話した事無かったなって馬鹿野郎!

 何がお前さんだ!

 目上の方にタメ口聞いてどうすんだ!

 

 

「クハハ、其方は肝が据わっておるな。我は『斑鳩 崇継』其方が月詠と遊んている時に合間見えた者だ」

 

「…ああ、あの時いつの間にか居たあの青い武御雷か。いや俺一方的にヤられてた被害者なんだが?」

 

「たわけ、生身で武御雷を戦闘不能にした者が被害者面するでないわ」

 

「おおぅ、こっちでもツッコミを喰らうとは…」

 

 

 俺が賢治を止めようとしたが、斑鳩閣下は逆に賢治に好印象を持ったようだ。

 間髪入れずジト目でツッコミを入れる斑鳩閣下、ツッコミも心無しか楽しそうに聞こえる。

 榊の親父は閣下が笑ってるのが珍しいのか、はたまた武御雷を戦闘不能にしたのに驚いてるのか顔には出してないけど目がそう物語ってる。

 鎧衣のおっさんは相変わらずのポーカーフェイスで閣下の隣に座っている。

 

 

「賢治、頼むから殿下に敬語を使えよ? いくら本人とタメ口で話してるとはいえ、今は他者が居るんだからな?」

 

「分かってるって、流石に主要人がいるのにいつも通りにはしないって」

 

 

 小さな声で俺は賢治に頼むと、賢治もこの場では殿下に対して敬語を使う意識をしてるようだ。

 お、扉のところに気配が3つ。

 その内の一つが…かなり大きいぞ、誰だ?

 謁見の間の上座の横にある装飾の整った重扉がゆっくりと重い音を立てながら開いていく。

 ええっと、確か殿下が入られる前に面を下げて、面を上げよと言われて対面だよな。

 周りも面を下げてるから俺も急いで下げたけど、賢治は『何しよん?』な顔してたから頭ひっつかんで強引に畳に押し付けた。

 その際賢治から『ブッ!?』と奇声が聞こえたが、何の抵抗も無かった。

 

 

「面を上げて下さい」

 

 

 装飾の掛かった扉が閉まると、殿下から許しを得て俺達は面を上げる。

 上座には正装に身を包んだ殿下と赤い斯衛服を身に纏った月詠大尉、そして筋肉モリモリで形容し難い髪型をしたおっさんが腕を組んで現れたって、ちょっと待てあの髪型どっかの世界で見た覚えがあるぞ!?

 

 

「待たせてしまいましたね、二人共」

 

「いえ、多忙な殿下の執務の時間を割いての会談を設けて頂き、ありがとうございます」

 

 

 驚きを隠す様に先ずは形式上の挨拶から。

 と言っても殿下は実質かなりの政務が有る筈。

 その多忙な殿下が、あの時誘導したとはいえ会談を開くのに時間を割いて下さってるんだ。

 この期を逃すことなく、この世界の未来の為にも、先ずは日本が動いてもらわないと…

 

 

「その方、面を上げぬか」

 

「ん?」

 

「黒崎、どうしたのです?」

 

 

 筋肉モリモリのおっさんが面を上げろと言って来て首を傾げたが、殿下が賢治を呼んだので賢治の事だと今更気付いた。

 殿下の声で賢治を見てみると、胡座をかいて手を組み、頭を畳に押し付けてる状態で沈黙していた。

 

 

「頭から煙を出しているが?」

 

 

 斑鳩閣下が言って俺は気付いた。

 あ、そういえば賢治、額は大怪我したままだった!

 やべぇ、こいつこっちに来てもう何回死にかけてんだ!?

 

 

「おい賢治おい賢治! 目を覚ませ!」

 

 

 襟を引っ掴んで引き上げると、賢治は煙を上げながら白目を向いてた!

 おおおおおお、やべぇやべぇやべぇやべぇ!!

 直ぐ様額の包帯を引っペがして持って来た冷ペタを貼ると、賢治は目を覚ました。

 

 

「テメェは俺を何回三途の川に送れば気が済むんだゴルァ!?」

 

「元はお前が礼節守ってりゃならなかったことだろうがボケェ!」

 

「くっそなんだってんだよこの踏んだり蹴ったりは!!」

 

「…何があったのか無性に気になるのだが、聞いてもよいか?」

 

「夕呼せんせ…香月副司令に先日の不届きの制裁を受けただけです」

 

「コレがその時の写真です」

 

 

 俺のかなり省いた説明を聞いて冷や汗をタラリと流す斑鳩閣下。

 その会話にシレっと入り込んできた鎧衣のおっさんは、賢治が先生に蹴られた決定的瞬間の写真を人数分配った。

 このおっさんは先生の執務室にカメラ設置してるってのか…

 殿下は写真を見てクスクス楽しそうに、斑鳩閣下は興味深そうに笑い、榊総理大臣と珠瀬事務次官は顔を引きつっていた。

 痛みが治まった賢治が笑ってる殿下をジトりと見ると、隣にいるおっさんに気付いた様だ。

 

 

「え…なんじゃあの髪…どっかで見た様な気が…」

 

 

 賢治も俺と同じことを言った。

 それにしても…こんなインパクトある人、前の世界で居たか?

 あのおっさんからは尋常じゃない迫力を感じる。

 今まで訪れた世界の中でも人間の中(・・・・)では上位に入るかもしれない風貌…かなり年齢いってる気がするのに肌が衰えを全く感じさせない。

 こんな人が居たなんて…これもまたイレギュラーなのか?

 

 

「さて、それでは始めましょう」

 

 

 殿下の一言に、謁見の間の空気が凛とした空気に変わった。

 斑鳩閣下とはまた違う、おのずと背筋が伸びる様な緊張…

 そうか、これが政威大将軍に選ばれし者のカリスマか。

 

 

「自己紹介は済ませましたか?」

 

「いえ、私が今日新たに知ったのはそこの斑鳩と言う者だけです。後はそちらの背広のお二人と殿下の隣に控える方は存じ上げません」

 

「ふむ、では儂から時計回りに自己紹介をして行こうか」

 

 

 突然仕切るようにズズイっと殿下より前に現れた筋肉モリモリのおっさん。

 うん、まずこのおっさんの名前を知らないとずっと筋肉モリモリのおっさんと呼ばないといけないから先に聞くのには賛成だ。

 

 

「儂は斯衛軍中将『紅蓮 醍三郎』斯衛では赤を纏い、殿下の護衛を仕っている」

 

 

 なるほど、年齢をパッと見で判断しても中将でおかしくない風貌だ。

 それに加えて殿下の護衛か…

 でも斯衛服を纏わず道着を纏ってるんだけど…ああ、斯衛服のサイズが無いのか。

 まあ、斯衛服は動きにくいし、道着の方が自由に身体を動かせれるだろう。

 

 

「ふむ、では次は私だな」

 

 

 今この謁見の間の配置として、俺達から見て上座の左から時計回りに月詠大尉、殿下、紅蓮 醍三郎、斑鳩閣下、鎧衣左近、巌谷中佐、榊総理大臣、珠瀬国連事務次官だ。

 そして真ん中に俺と賢治だ。

 

 

 

「私は斯衛軍第16大隊隊長『斑鳩 崇継』、階級は大佐であり、五摂家の内の斑鳩家現当主でもある」

 

「…ん? 五摂家ってことは煌武院家を除いて後三家あるのか。斑鳩家だけ出席を?」

 

「他の五摂家は先の大戦で当主は殉職した。今は名ばかりの家となり、肝心の当主は争いの最中で決まっておらぬ」

 

「このご時勢に御家争いとは、状況把握能力が無いのね…」

 

「フハハハ、全くだ」

 

 

 俺は斑鳩閣下は何となく先生と同じ匂いを感じ取った。

 斯衛は特に階級や身分にうるさかった筈だ。

 それなのに、さっきから賢治はタメ口こいて話してるのに斑鳩閣下は怒るどころか、寧ろ好感を持って話してる様に感じる。

 この人、もしかしたら先生の様に改革を模索してる人なのかも知れないな。

 

 

「既に自己紹介は済ませていますが、改めて致します。私は『鎧衣 左近』帝国情報省外務二課の課長を務めております」

 

「私も改めてしよう。私は『巌谷 榮二』帝国軍技術廠第壱開発局副部長を務めている」

 

「私は『榊 是親』この国の内閣総理大臣を務めている」

 

「私は『珠瀬 玄丞斎』国連事務次官を務めている」

 

「…私は帝国斯衛軍『月詠 真耶』大尉、煌武院悠陽殿下の側近だ」

 

「月詠、何をむくれているのです? 私は『煌武院 悠陽』です。この国の政威大将軍を務めております」

 

 

 月詠大尉はそっぽを向きながら自己紹介をした。

 賢治にやられた事、まだ根に持ってるんだ…

 

 

「では今度はこちらが。私は『黒崎 賢治』肩書きは中佐、国連軍横浜基地『香月 夕呼』副司令直属の部下です」

 

「同じく国連軍横浜基地所属香『香月 夕呼』副司令直属の部下『白銀 武』階級は中佐です」

 

「自己紹介に感謝を。二人には先の戦いで我が国の兵を護ってくれたことを、心より感謝を申し上げます。そして黒崎」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

「どうか私に対する口調は先日のままでお願い致します」

 

 

 

 

『『『!?』』』

 

 

 

「で、殿下! それは!」

 

「其方との対面で既にその口調が定着しており、今更変えられても違和感しか感じません。それに其方、その口調以外は苦手でしょう?」

 

 

 月詠大尉が異を唱えようとしたが、殿下がそれをピシャリと止めてしまった。

 賢治が敬語を喋ってたのはまりもちゃんとピアティフ中尉に一度だけ話したぐらいだ。

 

 

「…いいのか? ここには他にも人が居るんだぞ?」

 

「他の者がいる場ではそうは行きませんが、ここ非公式の場では構いません。それに其方、斑鳩に同じ口調で話していたではありませんか」

 

「そうかい…」

 

 

 笑みを浮かべながら言う殿下に対し、賢治は敬語を辞め、諦め気味に答えた。

 周りの反応は鎧衣のおっさんを除いて驚愕の二文字だった。

 まさかこの場でタメ口で話せなんて誰が思うよ。

 月詠大尉なんて顎が畳に着く勢いで口開けてたし。

 

 

「ところで黒崎、そこにあるのは何ですか?」

 

「ああ、これは土産だ。ああ…俺が持ってっていいのか?」

 

 

 殿下は紅蓮中将と月詠大尉に目配せをし、賢治は近付いて来た紅蓮と月詠大尉に見せるように麻袋の紐を解いて中身を見せた。

 紅蓮と月詠大尉は『これは』とか『こんな』とか驚いて殿下の下に運んでったけど、何なんだ土産って?

 

 

「見ての通り『もち米』と『小豆』、そして『砂糖』だ。今日の夕食後には、甘味が出るかもな」

 

 

 賢治はニンマリと笑って言った。

 

 

「お前それ横浜(ウチ)の遺伝子組み換えじゃねぇか、もう結果出たのか?」

 

「『100%問題無し』と結果は出た。天然物が出来るまではコレも高級品になるだろうが、ウチは既に量産してるから在庫にゃ問題ない」

 

「先生からの許可は…?」

 

「モチ貰ってる。あまりの収穫量で横浜難民キャンプに『おはぎ』と『ぜんざい』を配ろうと考えてるぐらいだ」

 

 

 なるほどな。

 BETAに蹂躙されてるこの世界の日本じゃ甘味は超高級品だもんな。

 合成食も米は有っても『もち米』は無いし、豆の生産国もBETAに蹂躙されてるから手に入る事はまず無いしな。

 賢治め、気が効く土産じゃねぇぁ。

 

 

「良いのですか、こんなにたくさん…」

 

「問題ないさ。博士からもOK貰ってるから持って行ってくれ」

 

「其方の気遣いに、感謝を…」

 

「ふむ、天然とは行かずともここまで食材を賄う技術を有するとは…先の緑茶も貴様が発案したものか?」

 

「まぁな。調合を変えただけでより味が近くなっただろ?」

 

 

 貰えると知ってから、殿下は顔を綻ばせて目を輝かせていた。

 砂糖すら急高騰してるこの世界では超高級品だ。

 そんな中、僅かでも慣れ親しんでる甘味を口に出来るなら顔を綻ばせるのも無理はない。

 緑茶も好評の様だ。

 賢治の狙い通りかは分からないけど、いい印象を抱いて貰ったのは確かだ。

 

 

「では、先ずはこちらから言いましょう」

 

 

 佇まいを正した殿下は、本題に入った。

 

 

「其方達が先の戦で見せたあの動き…私達は其方達の正体を知りたいのです」

 

「正体…ですか?」

 

「左様、貴様らの戦い振りはそこの鎧衣より観せて貰った」

 

 

 紅蓮中将が殿下の後に続いて言った。

 鎧衣のおっさんの方を見ると、いつもの笑みを浮かべて軽く会釈をした。

 

 

「戦車級をいとも簡単に切り裂くだけでなく、要撃級、突撃級、はたまた要塞級を生身で滅ぼした人間と知れば、興味を抱いても無理はあるまい?」

 

「そして私を抱えて軽々と跳躍した事により、報告が偽りでは無い事を証明しました。ですが其方達の情報はあの戦いで初めて知り、そして素性を調べればMIA、そして存在しないの二つだけ…どういう事です?」

 

「如何に情報隠匿していたとはいえ、噂すら流れぬのは怪しすぎる。説明して貰うぞ」

 

 

 正体か…てっきり技術とかの話をした後にしてくると思ってたのに、初っ端からか…

 でもそれも、先生と既に打ち合わせしてある。

 俺達は、打ち合わせ通りに説明すればいいだけだ。

 

 

「…俺達は、ある計画遂行の為に、表に現れた存在です」

 

「何?」

 

「そう、俺達は地球を護る為に、遥か昔から計画されていた任務を遂行する為に、香月副司令の下に参上したのです―――――」

 

 

 

 

 

 

 

―――――遥か遠い星 太陽系第五惑星 木星から

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
主人公達の設定は次話で改めて説明することになります。
まぁ、木星となればねえ…主人公達の規格外の力を説明というよりも、ごまかすにはコレがいいと思って設定しました。
そして、あと1~2話でまたBETAと戦う予定です。
感想、アドバイス等をお待ちしております!
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