Muvluv 生命の源の申し子   作:ユニコーン

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第三十三話

賢治side

 

 

 

「モノ好きだね~巌谷中佐、資源回収にまで付いてくるなんてよ」

 

「何、今後の発展と資源確保の為に知識と経験を積まねばな」

 

 

 俺達は今、帝国軍の輸送機のフルスロットルに揺られて北九州に向かっていた。

 俺は新OSの告知をした後、善は急げと悠陽にライセンスの発行を急いでしてもらった。

 仮のではあるが、悠陽直筆のライセンスを受け取った俺は早速悠陽に帝国軍の全輸送機と戦術機20機を借りて工業地帯の一つ、福岡県北九州市に向かった。

 何故北九州なのかと言うと、本州と四国は最近観測されたが、BETA上陸後は一回も九州を観測(・・)していないからだ。

 重慶ハイヴ、鉄原ハイヴの防衛線となる九州戦線に出動はしているみたいだが、空と海からの移動ばかりで陸は使ってはいないらしい。

 ということは、産業で栄えた北九州の産業用ロボットや溶鉱炉等の産業資源がまだ僅かながら残ってるかもしれない。

 そう思って北九州を選んだ…まぁ他にもあるんだが。

 本州と四国の工業地帯には夕呼博士に回収部隊を編成し、難民達を大量に雇って回収に向かって貰う様に武に伝言を頼んだ。

 輸送機に乗る時、巌谷中佐が艸場中尉と飛鷹中尉を連れてバタバタとやって来た。

 今回の資源回収の話を巌谷中佐が二人に話したら『手伝いたい』と言って駆け付けて来たみたいだ。

 資源回収と言っても実際はかなりの重労働だ。

 終わりの目処なんてほとんど無いし飽きも来るだろう。

 しかし戦術機と外骨格を動かせれる飛鷹中尉と巌谷中佐の補佐をしている元オペレーターの艸場中尉。

 この二人がいれば指示とかがスムーズに運べるのと部品の説明等である程度作業者達の気分を紛らわせられるだろうと思い、同行をお願いした。

 うまく回収出来たらいいんだけどなぁ…これまでイレギュラーが立て続けに起こってるから何か起きそうな―――

 

 

 

 

 

 ―――――――!!

 

 

 

 

 

「…は?」

 

 

 おい、どういうことだよ。

 何でこっち(・・・)から感じるんだよ…ッ

 

 

「どうした、賢治君?」

 

「…BETAだ」

 

「何ッ?」

 

「巌谷中佐、今すぐ全輸送機と戦術機を沿岸沿いの更地に着陸させてくれ!」

 

「わ、わかった!」

 

 

 巌谷中佐が直ぐにコックピットに向かった直後、輸送機は着陸態勢に入った。

 

 

 

 

―――海響館跡地

 

 

 

 『海響館』

 そこはかつて山口県の観光には欠かせない水族館であった。

 海響館で有名なのは約100種以上展示していたフグと、シロナガスクジラの骨格。

 そしてイルカショーのプールの中を見ながら食事が出来るレストラン。

 しかし、先のBETA上陸による軍の展開に伴い閉館。

 展示していた魚達は海に全て還した。

 周りには小さなテーマパークともうひとつの観光名所、下関名物『唐戸市場』があった。

 この二つもまたBETA上陸による軍の展開に伴い閉館。

 その後、BETAが本州上陸を果たしてしまい、海響館も唐戸市場も、そして本来存在していた商業ビルも全て崩壊されてしまった。

 それにより、俺達の輸送機13機と戦術機20機は十分の距離を確保して緊急着陸が出来た。

 輸送機の貨物室に俺達は陽炎の望遠機能で今の北九州をモニターに映し出して見ていた。

 

 

「何てことだ、まさか九州にBETAがいるとは…」

 

「見たところ、大きいのは戦車級の様です。しかしこいつらは何故九州にまだ…」

 

 

 そう、BETAは確か消化器官を持たず、食事もしないためハイヴの反応炉でエネルギーを補給して活動してると武と博士から聞いた。

 にも関わらず、門司港でウロチョロとしてるのは何でだ?

 港でまだ食い終わってないナットとかをチマチマと食ってるのか?

 

 

「ちっ、産業資源回収の予定だったから歩兵部隊は最低限の武器以外は所持していないぞ。戦術機も武装は僅かだ…どうする賢治君?」

 

「先ずは奴らがどれだけいるかだ。この感覚だと数は少ないと思うが…海の中にざっと200と門司港と新門司含めて300ぐらい…か?」

 

「なッ、500もいるという事ですか!? 無茶です! ましてや海の中となればどうやって対処すれば!?」

 

 

 …そういえば今日本に居る若手は西日本は京都しか認識していないのか。

 なら気付かないのも仕方ないか…寂しいなぁ(・・・・・)

 

 

「―――ここ本州と九州を繋ぐのは、何もここから見える関門橋だけじゃない」

 

「え…?」

 

「―――関門海底トンネル。山口と九州を繋ぐ大きなトンネルは、海の中に作られている。そしてすぐ下にあるトンネルは関門トンネル人道だ。まぁBETAの気配は海の中と大雑把にしか分からないから近くまで行かないとわからないな」

 

「…ヤケに、詳しいんだな賢治君?」

 

「…訳有りだ、それで納得してくれ」

 

 

 そう言って俺達は関門トンネル人道入口までやって来た。

 試しにトンネル内のライトを守衛室で操作が出来ないか部隊にやらせてみたが、守衛室は管制ではないみたいでダメだった。

 守衛室に行ったついでにBETAが居るか人道入口のエレベーター口から気配を探ったが…いなかった。

 歩行者4列で歩いても肩が当たらない広さだから兵士級か闘士級がいてもおかしくないんだが…あるとしたら監視カメラと通風孔だけだからここは除外したのか?

 居ないと分かった俺は直ぐに関門海底トンネル入口に移動した。

 本来なら関門海底トンネル内を照らすナトリウム灯のオレンジ色のライトが連なって点いているんだが、当然BETAに変電施設を破壊されて灯は点いていない。

 …暗闇でも俺は見えるから別にいいんだが、空気が通ってない可能性が高いから換気扇『ジェットファン』を動かして暫く時間を置かないといけない。

 関門海底トンネル入口のライトは一緒に連れてきた部隊に近くの変電所を弄らせたところ、ジェットファンと運良く無事だった灯が点々とだが中を照らすには十分の灯が点いた。

 さてと…おうおういるいるいるいる、すぐ近くから奥までワラワラと。

 

 

「居るかい?」

 

「ああ、結構いるな…戦術機20機は関門橋と関門海底トンネルと山陽本線入口それぞれに待機させてくれ」

 

「さっきの人道には居なかったのですか?」

 

「ああ、さっき探ったらいなかった。理由はわからんがその変わりこの関門海底トンネルに集中してる…さて、換気は十分だろう。そんな長くトンネル内にいるわけじゃないし、ちょっと掃除してくる」

 

「正気ですか!? せめて強化武装兵―「いや、彼に任せよう」―巌谷中佐!?」

 

「忘れたのか? 黒崎中佐は生身でBETAを三桁葬ったんだ。戦術機を無闇に失えない以上、彼を信じよう」

 

 

 巌谷 榮二は歴戦の衛士であった。

 ならば当然、戦場が変われば戦い方も変わることは熟知している。

 黒崎 賢治が生身で戦場に介入したのは空の下である荒野だ。

 密閉空間のトンネル内で果たして彼が同じように戦えるのか定かではないが、何故か彼なら出来ると確信していた。

 

 

「向こうが片付いたら呼ぶ。それまでは任せたぜ、巌谷中佐」

 

「わかった、健闘を祈る」

 

 

 巌谷中佐の激励に後ろ手を振って、俺はトンネルに入って行った。

 トンネルを歩きながら俺は考えた。

 今BETAが北九州の…門司港にいるということは、恐らく港の倉庫やコンテナに保管されている大きな物資は食われているだろう。

 当然この世界は俺が居た世界じゃないし、歴史も違う為町並み全てが一緒ではない。

 現に門司港レトロの建物跡が遠目から見ても無かった

 となれば俺の覚えてる町工場や鉄工所は存在しないか、場所が違うか…これは探すのに苦労しそうだ。

 そしてトンネルを800mを進んだぐらいだろうか、時間にして8分ぐらい歩いてやっとBETAに遭遇した。

 

 

「何だよ、ウジャウジャ居ると思ったら小型ばっかりじゃねえか」

 

 

 居たのは兵士級と闘士級。

 細々とした鉄片や液体の跡が残るトンネル内で遭遇したのが何故か兵士級と闘士級。

 戦車級はまだ奥に居るのか、はたまた突然動き出したジェットファンを喰らっているのか…

 しかし何かを破壊する音は聞こえない…その線は無いか。

 そして、俺を認識したBETAが一斉に動き出した。

 

 

「密閉空間だから一気に行くぜ! 空破特攻弾ぁぁぁん!!」

 

 

 山口と福岡を結ぶ関門海底トンネルの距離は約3.5km。

 その内海底部分は780m。

 海底部分は水圧に耐える強度を誇る作りではあるが、俺の力では容易に崩壊する。

 加えて炎を使う技もトンネル内で爆発の恐れがある為除外。

 800mぐらいならば未だ海底に入ってはいない。

 初擊の空破特攻弾で密集して来たのは片付き、次いで擦れ違う様に切り伏せる通常コンボから舞斑雪→幻竜拳→崩蹴脚→空牙衝→砕心脚を繰り出していくが、こっちに向かってくるのとまだ徘徊している兵士級と闘士級が疎らで技が使いづらい…

 今はもう夕方に近いから残された時間も少ない…ここは()を解放するか。

 

 

「ゲッター線を使わない秘奥義はこれで三回目(・・・)だ」

 

 

 俺は今まで秘めていた力を一部だけ解放した。

 俺から発する闘気にトンネルの壁が悲鳴を上げて軋み始める。

 強度は長く耐えれそうにない、一気に決める!

 

 

「せぃやぁぁッ!」

 

 

 格闘秘奥義を使う為に邪魔になるトマホークを双針乱舞でトンネルの先まで投げる

 トマホークの風圧により一直線に道が開いた! 

 

 

「力を借りるぞ、『ソフィ』!」

 

 

 両手を構えて闘気を目に見えるまでに集気し、風圧に負けて硬直したBETAに解き放つ!

 

 

「勝負を決める!」

 

 

 目の前の兵士級共に闘気を爆発させて塵にし、視界が広がる。

 後続BETA認識!

 

 

「風と共に―――駆け抜ける!!」

 

 

 四肢に力を伝わせ碧の軌跡を描いて風を超える速さで駆け抜ける。

 俺の速さにBETAは反応出来ず、すれ違い様に俺が発しているソニックウェイブで僅かな肉片を残してBETAは絶命して行く。

 

 

「奥義―――『シャドウ・モーメント』ォォッッ!!」

 

 

 距離にして1km。

 秘奥義を放ち双針乱舞で放ったトマホークに追いついた俺はそのままトマホークを掴み、勢いを活かして獅子戦吼、爪竜連牙斬、空破特攻弾等を駆使して一気にトンネルを抜けた。

 

 

「到着!」

 

 

 トンネルを抜けて出てきたのは北九州市門司区。

 トンネルの周囲にある筈の民家は…もう跡形も無い。

 おっと、俺の存在に気付いて待ち伏せしていたのか戦車級?

 俺が飛び出て着地した場所を中心に和になるように戦車級と兵士級が展開していた。

 俺を喰おうとしてるんだろうが、俺にとっては好都合な展開の仕方だ。

 残念だったな、ここからは俺の一方通行(ワンサイドゲーム)

 今日までで僅かに溜まっていったゲッター線を少しだけ使おう。

 そして―――

 

 

「―――俺の故郷を滅ぼした報いを受けるがいい!!!」

 

 

 

 

巌谷side

 

 

 

 

『こちら山陽本線トンネル入口、BETAの反応無し』

 

『こちら関門橋、関門橋上にBETA無し』

 

『こちら関門海底トンネル入口、震度2を計測、BETAの視認無し』

 

「了解、引き続き警戒せよ」

 

『『『了解』』』

 

 

 賢治君がトンネル内に入ってから我々は海響館跡地に戻った。

 無線に届いた知らせを聞くに、ここから離れている山陽本線トンネル内を探る探知機を取り付けた機体を配置したが、山陽本線のトンネル内にはBETAはいないようだ。

 関門橋は戦術機の望遠機能で直ぐに確認出来る。

 関門海底トンネルは赤外線とセンサーで確認。

 しかし暴れているであろう賢治君がいる関門海底トンネルで震度2か…

 ここまで地響きを感じるから、余程の力で暴れているな。

 それにしても…賢治君が関門海底トンネルのことを説明する時の声に深い何かを感じた。

 根拠は無い。

 しかし説明するにあたって、先の会談や私に戦術機について説明してくれた時にはその何かは感じなかった。

 本人はワケ有りと言っていた…木星から来たのに九州に思い入れがあるのだろうか?

 彼の両親や木星移民第一世代が九州の出なのか…わからん。

 

 

「大丈夫でしょうか、黒崎中佐」

 

「震度2を確認したということは賢治君が暴れている証拠だ。信じよう」

 

 

 未だにこの二人は賢治君のことを心配し、何度も大丈夫かと呟いていた。

 …特に飛鷹少尉はBETAに食われかけた恐怖からか、身体を震わせている。

 安心したまえ、君を喰らおうしていた戦車級を葬ったのは彼だ。

 それに突撃級も要撃級も彼一人で葬れるんだ。

 彼の無事を信じようじゃないか。

 …ん? さっきまで門司港に居たBETAがいつの間にか消えた?

 

 

『こちらアローズ1、九州側関門海底トンネル入口方面に向かって戦車級が移動開始』

 

 

 山陽本線トンネル入口で待機していた部隊が私が見失った戦車級を見つけてくれた。

 しかし移動…?

 何があったんだ?

 二人も訝しげな顔で考えている。

 

 

『こちらアローズ1! 九州側関門海底トンネル入口に黒崎中佐発見! 戦車級に囲まれています!!』

 

 

 囲まれている!?

 まさかBETAは黒崎君が出てくるのを感知したのか!?

 アローズ1から送られてくる映像を見ようと他の兵士もモニターに詰め寄った。

 

 

 

 ―――しかし、この時私は忘れていた

 

 ―――彼はどうやって我々に合図を送るのかを

 

 ―――そして

 

 

 

 

 

 

『―――”ゲッタァァーーーーーサイィクロォォォォーーーーン”!!』

 

 

 

 

 

 

 

 ―――その咆哮と共に、関門海峡の先で竜巻が観測された

 

 

 

 

賢治side

 

 

 

 

「で、言い訳はあるのかしら?」

 

「いやぁいい位置でBETAが展開してたもんでつい広域奥義を…」

 

「お前それで『ゲッターサイクロン』出したらいかんだろ! 竜巻が観測されてから各基地が大騒ぎだったんだぞ! せめて『朧月』で対処しろよ!」

 

 

 ”月夜に沈め!”ってか?

 それなら俺は『断空剣』を使うぜ。

 自分の故郷が蹂躙されて知らないうちに高揚していた俺は調子に乗ってトマホークを頭上で高速回転させて放つ『ゲッターサイクロン』を繰り出した後、衛星が竜巻を観測したとのことで全世界の基地が蜂の巣を啄いた様にバタバタしたみたいだ。

 内閣と斯衛軍で俺たちのことを知ってる奴らからは『何してくれてんだコラァ!!』的なクレームが来たらしく、ラダビノット司令がどうにか対応に動いてくれたらしい…

 やっべ、基地司令をクレーム処理に動かしてしまった。

 ていうか俺司令と会ったこと無いんだけど、司令はいつも何してんだ?

 

 

「で、収穫があったのはいいけど…まさかこんなモノ(・・)も出てきたとはね…」

 

「ああ、完璧に予想外だ」

 

 

 あの後、巌谷中佐達を北九州に上陸させて関門橋から左右に分かれるように部隊を展開し、資源回収に動いた。

 酷い有様ではあったが予想よりも遥かに資源は残っており、工場の巨大な煙突や小さなタンク等が無事で持って帰れば直ぐに使える状態だった。

 そして俺が思った通り、北九州は下請け企業が数多く存在していた為、小さな町工場や崩壊した工場からボルトにナットにビス、セメント等、大量の物資が残っていた。

 これには整備に関わりが無い歩兵部隊も戦術機を駆っていた衛士も大喜びで回収に動いて作業が予想よりも遥かに捗り、帝国軍と斯衛軍、そして横浜(ウチ)からも次々と輸送機と輸送船を要請した。

 だが、俺はBETAが北九州に居たのがどうしても気になり、他に停止していたBETAが動き出してないか気配を探ると…BETAとは違う何かの脈動を感じた。

 そう、機械の動力の音ではなく、生物の心臓の脈動の音が…場所は関門橋から続く道をずっと行った先。

 まさか新種が居るのかと焦った俺はそっちに向かうと…大きな洞窟が八窪山に出来ていた。

 八窪山に出来た洞窟の中から気配を感じた俺が向かって見ると…

 

 

「反応炉…それも超小型ね」

 

「こんなものが九州にあっただなんて…」

 

 

 そう、洞窟の奥に存在していたのは反応炉だった。

 だが大きさはウォールクデータで出た反応炉の10分の1も満たない。

 流石の俺も対処がわからない為、巌谷中佐に網膜インカムで輸送機と一緒に呼んだ。

 輸送機は高速道路に何とか着陸させた。

 巌谷中佐達が洞窟の奥に到着した時は全員がフリーズしたなぁ…まさか反応炉を肉眼で見れるとは思わなかっただろう。

 だが反応炉はどうやって停止すればいいかわからなかった俺は光ってるところを片っ端からぶっ壊していくと勝手に脈動が停止した。

 後は輸送機に乗る様に小さく砕きながら大きさを整えて乗せ、横浜基地に持って帰ってきた。

 反応炉の事はよくわからんから博士に聞いた方がいいだろう。

 

 

「このことは他には知らせていないの?」

 

「呼んだ輸送機は横浜のだから口止め料として特上寿司と米10キロで手を打った。巌谷中佐にも悠陽達には明日俺達が直に伝えるし情報も纏まってないから言わないでくれと言っといたから、大丈夫だと思う」

 

「明日? ああ、富士教導隊とヴァルキリーズの対戦ね」

 

「そそそ。それで武、霞ちゃん。前の世界で小型の反応炉の存在の有無は?」

 

「あるわけねぇだろそんなのッ」

 

「一度も耳にしてません」

 

 

 今居るのは俺のハンガーで、メンバーは俺、武、霞ちゃん、夕呼博士。 

 なので堂々と前の世界の矛盾について話が出来る。

 武は本当のイレギュラーに興奮しながら返答した。

 

 

「悠陽に話をした後は、一度俺が西日本を周ってみようと思う。北九州にあるってことはBETAに飲まれた他県にもある可能性が高い」

 

「アンタにはこれからかなり大掛かりなプロジェクトのトップになるのに西日本を周る時間は無いわよ? その気配ってのは輸送機からは感じなかったの?」

 

「俺が脈動に気付いたのは北九州に上陸して注意深く探ってようやく気付いたんだぜ? 輸送機からは確実に無理だ」

 

 

 クソ、これから製造業全般を横浜ブランドで始動しようってのにこんなイレギュラーが起こるとは。

 これじゃ桜花作戦までの予定が全部狂っちまう。

 どうしたものか…明日悠陽に帝国軍と斯衛軍に九州を確認して貰う様に言うしかないか?

 …結局悠陽だよりになるのか、ライセンス貰ったってのに役に立たねぇ~…

 

 

「何にせよ、反応炉(こっち)の方はあたしが調査するわ。G元素が確保出来た事は大きな成果よ。00ユニットの情報漏れ対策に宛てれるから凄乃皇用のG元素を消費しなくて済むからね」

 

「はい、純夏の情報漏れの対策が万全になれば世界に公表して米国の権力を削ぎ落とせますし、凄乃皇が二機とも稼働すれば戦力は大幅にアップします!」

 

そういう(・・・・)のはアタシの仕事よ、アンタ達は戦術機とアイツ等の訓練、そして製造業全般の始動に着手しなさい! 社、すぐに準備しなさい」

 

「はい、博士」

 

 

 おうおう、まさか博士が『アタシの仕事』だなんて言うとな…武も驚いてるぜ。

 備え付けの電話で連絡してる博士と今ある機器をセットしてる霞ちゃん。

 ここから先は俺達じゃ何も出来ないな。

 

 

「なら言われた通り、俺達はアイツ等の訓練に移りますか?」

 

「…ああ、そうしよう」

 

 

 嬉しそうな声色で武から返答。

 こりゃ御剣と彩峰は今日、かなり進歩するかもな。

 よかったな武、これでお前が目指すハッピーエンドに大きな一歩を踏み出せたぜ?

 そして、もう少しだけ待っててくれ『鑑 純夏』ちゃん。

 もうすぐお前さんを窮屈なシリンダーから解放してやるからな。

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
今回はイレギュラーとして反応炉を出してみました。
この後もオリジナル展開はドンドン出現していきます。
感想、アドバイス等をお待ちしております!
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