それでは、どうぞ!
武side
ピアティフ中尉の案内を受けて、一先ず宛がわれた部屋に着いた俺達。
俺の部屋の位置は、二度目の世界と同じ場所だった。賢治はその右隣。
これからどうするかとピアティフ中尉に聞かれたけど、今日は検査だけで5時間も時間を喰って今は夜9時過ぎ…今日のところは賢治と話し合うぐらいにするか。
「ところで、俺達の待遇はどうなるんだ? ここで衛士としているのなら、階級は必須だろ?」
「そのことについては明日、副司令が直接お二人に言い渡されます」
「あいあいわかりました。ああそれと、明日外出許可を取る事は出来るか?」
「外出…ですか?」
「ああ、ここから距離はあるが、ここに来るまで寝床に使ってた場所に所持品を置きっぱなしにしててな…何分、今日は予想外に時間が掛かってしまったから今から行くにはちと厳しいからな」
ああ、そういえば武器を目にしてからそのまま出てきたから、部屋の荷物纏めてないな。
賢治から貰った武器のデータや設計図も置きっぱなしだし、それに運が良ければ缶詰とかの保存食があるかもしれないし、明日は一旦家に戻るか。
「分かりました。でしたら明日の予定は、外出をした後に戦術機の適性検査でよろしいですね?」
「それで頼むわ」
これを皮切りにピアティフ中尉と別れて俺達は俺の部屋に入った。
「にしても、今日はマジでエレェ目にあったなぁ…検査って5時間も掛かるもんだったか?」
「いや、前回は2時間弱で終わったけど、今回は何故かこんなに時間が掛かったんだ…もしかして、ゲッター線でパワーアップした影響が出てるのか?」
俺達は、ゲッター線が充満するエンペラー艦の中に長い時間…特に賢治は俺よりももっと長く居た為、ゲッター線の影響がモロ現れている。
早乙女博士が言うには、『ゲッター線は進化の源。ここ【未来永劫時の狭間】ではゲッター線が充満しており、ゲッター線に選ばれた者は何らかの恩恵を授かる』って言っていた。
その中で俺と賢治はゲッター線に選ばれ、身体能力が格段に上がり、俺達はゲッターに乗ってインベーダーと戦っていた。
まぁ、戦いの最中に別の世界に何回も二人で落っこちて、その世界で力や技術を伝授しても貰ったり盗んだりしたけど。
だとすれば、俺達の身体数値の異常さでこれだけ時間が掛かったのか?
「俺はエンペラー艦に乗ってから何度か外に出たは出たが、普通の人間ってカテゴリーに当てはまる奴と出会った事がなかったから比べようがないな。確かにゲッター線と外の世界での修行で身体能力が格段に上がった事で、一般人より数値が高くて医者達が再検査を促したのは目に見えてるが…」
魔法を使ったり、血を浴びただけで死んでしまったりとSFの様な世界ばっかりだからな。
「あそこでは地球の常識が通用しないからなぁ…エンペラーの外はインベーダーとデブリ以外は殺風景で
だから【時の狭間】なんだがな、と賢治は苦笑いしながらいった。
話は変わるが、前回は先生と霞は護衛無しで正門に来たのに、今回はまりもちゃんと伊隅大尉が付いて来ていた。
確か、前の世界で先生が『イレギュラーが介入すれば何らかの歴史の変化が起こる』って言ってたな。
それが、クーデターとBETAの横浜基地襲来…一回目では起きなかった事が二回目では事が起きた。
でも、だからといってこのまま指を咥えて本来の未来通りになんてさせはしない…!
「ところ話しは変わるがよぉ、近い内に確か、BETAが新潟に上陸するんだったっけか?」
「ああ、今日が10月22日で、BETAが上陸するのが11月11日だから…一ヶ月無いな」
この時の出撃でヴァルキリーズの三人の脱落と引き換えに、BETAを複数、先生の指示で捕獲するんだけど…
その使い道は、12月にここ横浜基地で開催されるトライアルの時にダラけきってるおめでたな奴等の目を覚まさせ、オルタネイティブⅣの計画を有利に進める為だ。
正直俺はこの計画には反対だ。
この時に俺のせいで、まりもちゃんは…ッ
「…抱え込むなよ武、お前は俺達と共に戦って強くなった。そして何より、今回は俺が居る。俺達二人がいれば、被害は前回に比べて格段に抑えれるさ」
賢治はそう言って勝ち気な笑みを浮かべた。
俺の所為でお前を巻き込んでしまったのに、すまない。
「俺を巻き込んだと思うなら気にするな。さて、今後の大まかな予定を建てて行こうか。まずは、この世界の機体のスペックの把握と搭乗訓練、それに合わせて使えそうな武装を設計・製作だな。BETAの情報はお前が持ってたディスクで確認はしたから、あとは実際に戦ってみるぐらいか」
訓練か…前回は身体検査当日に適性検査をしたから直ぐに機体のOSとかの制作に取り掛かれたんだけど、今回は検査に時間が掛かり過ぎたからなあ。
…適正検査の前に俺達がどういう存在なのかを先生と霞に説明して信用を得ないと、また銃を突きつけられるぜ。
当たりはしないけど、先生に突きつけられるのは精神的にキツい。
丁度いい、その時霞に何で俺達の事を最初から信じきっていたのか聞こう。
夕呼side
外出から戻って来たあの二人を強化装備に着替えさせ、シミュレータールームにてあいつらの適性検査を行っているところ…なんだけど。
『何だ、検査ってこれだけか?大したことねぇなぁ』
「………」
二人は何であんなにケロっとしているのかしら?
初めて戦術機の適性検査を受けた奴は軽くても必ず眩暈や吐き気などの軽い体調不良を起こすのに…
あの身体数値の異常さが今ここで証明されたわね。
『次は何をするんだ?』
『次は操縦訓練だ。操縦方法は昨日俺が教えた通りだから、大丈夫だよな?』
『ああ、確か強化装備のヘッドセットを介した間接思考制御により戦術機の操縦をバックアップする思考と操縦桿とペダルで操縦するんだよな。まぁやってみるとするか』
このアタシを無視して勝手に進むなんて…いい度胸してんじゃない。
今あいつ等が居るのは市街地…それに一人は完璧に素人…フッフッフ、見てらっしゃい!
賢治side
「お~、これが網膜投影かぁ。まるで自分が機体になった様な視線だなぁ」
一先ず思考で軽く仮想で乗っている機体『不知火』を操縦して手を握ってみた。
ふむふむ、微妙に時間差が生じたか。
次にその場を足だけで跳躍し、地面に着いたところで走り出そうとした時に事が起こった。
「うごっ!?」
次の動きに移ろうとしたらそのまま三秒硬直し、倒れそうになった。
なるほど、これが武が言っていた
硬直から解放され、走ってみたり、細かい足運びをしてみたり、背中にマウントされてる長刀を両手で構えて独自の型をしてみたりした。
…まったく思い通りに動かん。
「…感想は?」
「…操縦できないって訳じゃないが、硬直時間が長過ぎだ。これじゃまともに戦えない上に格好の的になる」
「…賢治もそう思ったか」
当たり前だ。
着地したその場で二秒以上硬直なんざしてたら格好の的だ。
それに戦術機自体に対した耐久性もないし、この不知火って機体のバッテリーが積まれている肩も幅が広いから俺の動きには邪魔だ。
「じゃあ次は、模擬戦を―――――」
―――ドゴォォォォォォオン!!!!!
「「!?」」
武のセリフを遮るように突然、BETAの大群が砂煙を上げて現れた。
その数、目視でザッと500体…何故に?
「あれ…? これ、シミュレーターだよな?」
「…夕呼先生めorz」
武が器用に『不知火』で跪いてるが、そうしている間にもBETAの大群は押し寄せてきた。
…え? これ、やるっきゃないの?
感想、アドバイスをお待ちしております!