Muvluv 生命の源の申し子   作:ユニコーン

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今回は戦闘描写が入ります!
といっても、それほどでもないのですが…
それでは、どうぞ!


第五話

賢治side

 

 

 

 

 突然沸いて現れた見渡す限りのBETAの大群。

 俺達が呆然とその光景を見ていると、バストアップした博士が素敵な笑顔で網膜投影に現れた。

 

 

『さ~て、あんた達の実力を見させてもらうわよ~』

 

「おいコラ! これはどういう事だ!?」

 

「先生! 何するんですかいきなり! こっちはまだ調整中なんですよ!」

 

『うっさいわね~、あんた達の実力を手っ取り早く測るにはこれが一番なのよ! あたしを無視して先に進んでるくせに生意気言うんじゃないわよ!!』

 

「「それが本音だろうがアンタのぉぉぉーーー!!」」

 

 

 どうやら俺達が博士に指示を仰がず、勝手に操縦訓練に移った事が気に喰わなかったみたいだ。

 

 

『状況開始~』

 

 

 博士の淡々とした声と共に、今まで沈黙を保っていたBETA達が一斉に突っ込んできた。

 

 

「「ノォォォォォォォォォォオオオ!!!」」

 

 

 

 

まりもside

 

 

 

 

 午後にシミュレータールームに来る様にピアティフ中尉から言付けを与って来たけれど、肝心の本人は何処にいるのかしら…?

 シミュレータールームに入って私を呼び出した夕呼を探していると、本人は管制のところに立っていた。

 珍しいわね、夕呼が管制をしてるなんて。

 

 

「あぁ、やっと来たわね、まりも~」

 

「はっ! して、何の御用ですか副司令」

 

「ちょっと観て欲しいのがあるのよ。それとまりも、今はアタシとアンタの”二人”だけよ?」

 

「!? で…ですが!」

 

「ふ・た・り・だ・け・よ?」

 

 

 もう、社少尉が居るのに二人だけを強調して…はぁ。

 

 

「もう…わかったわよ。それで、どうかしたの? 私はこれからB分隊の座学があるのよ?」

 

「そんなの時間残してでも出来るでしょ~。今丁度ね、昨日の二人がシミュレーションしているところなのよ」

 

 

 

 昨日の二人がシミュレート中?

 確かにシミュレーターが二台稼動している…

 管制の設定を覗いてみると確かに01と02が稼動している…え!? 武器は長刀二本だけで支援も補給も無し!?

 

 

「ちょ、ちょっと夕呼! いくら本人達が規格外な身体をしてるからってシミュレーターでこれはいくらなんでも!」

 

「…そのセリフ、今のあいつらを見て言えるかしら?」

 

「え?」

 

 

 夕呼に言われてモニターに目を向けると―――――

 

 

『チクショー! 武器が長刀だけに加えてまともに動かねぇ機体でこの数はねえだろぉぉぉ!!』

 

『先生の鬼ぃぃぃぃぃ!!!』

 

 

 ―――――そこには文句を言いながらも戦術機とは思えない俊敏な動きでBETAを切り崩している二機の不知火が映っていた。

 

 

「まず01に乗っているのは黒崎、02が白銀よ。BETAの数は5000と難易度はSSに設定してあるわ。にも関わらず、30分間ずっとあの立ち回り様よ…まりも、あんたなら同じ機体と条件であれだけのこと、できる?」

 

 

 難易度SS…本物のBETAの動きを想定した最難易度。

 BETAの死骸は消えることなく残り、不意をついて死骸の中からも攻撃を仕掛けてくる予測不可能の難易度…

 そ、その中を長刀二刀だけで戦っているあの二人は、いったい…

 

 

 

 

武side

 

 

 

 

 くそ、今までゲッターで戦っていたからどうしてもそっちの操縦をしてしまって機体がスムーズに動かない!

 …それでも前回の旧OSの時よりは動きがいいんだけどな。ちょっと複雑な気持ちだ。

 

 

「せりゃぁ!」

 

 

 賢治はBETAとの戦い方にもう慣れたのか、ヤケクソに声を張らせながらもゲッター1の様な動きを再現して戦っている。

 所詮、ジグザグに動きながら冷静に急所を狙って切り伏せていってるが、これが先ず難しい。

 普通、BETAと初めて対峙しただけで大抵の人間は錯乱を起こし、銃を乱射して自滅したり、視野が狭くなって横からの攻撃に気付かず絶命するパターンが多いが、それ以外にもあんな化け物の急所らしき場所が初手でわかる筈がない。

 しかし、賢治はインベーダーと時に生身でも戦ってきたので、今更BETAぐらいでは大した事ないし、長年化け物の中の化け物と戦い続けていたから直ぐに相手の急所を見抜けるようになった様だ。

 でもシミュレーションだから果たして本当に急所をやられてBETAが崩れているのかはわからないが…

 それにしても、ゲッターとはスペックも操縦方法もまったく違う機体で、もうあんなに動かせれるのか…さすがは旧ゲッターを土壇場で乗りこなしたという偉業を成し遂げただけのことはある。

 かくいう俺も、次々と迫ってくるBETAをどんどん切り倒して行っている。

 50メートルはある要塞級の触手と触角、16メートルの要撃級のサソリの様な両腕はとても脅威ではあるが、インベーダーの攻撃に比べれば遅いし隙が大きいので最小限の動きで避けてしまえば簡単に倒せる。

 突撃級は只突っ込んでくるだけに加えて先頭だけしか武器にならないから上からでも横からでも容易に交わして攻撃できる。

 小型種の戦車級は、噛み付かれるのと数が厄介だがインベーダーの侵食に比べれば引っぺがせれるし、他二種の小型種と同様に脆いから大・中型との戦闘に巻き込んでしまえばいい。

 BETAよりも厄介で数にキリがないインベーダーと戦っているこの辺が、俺達にとって大きな利点だろう。

 特に俺はBETAの相手は二回(・・)も経験しているから攻撃パターン等はある程度わかっているし。

 ああ、再生と分裂と浸蝕の恐れが無いから、精神的に楽だぁ。

 

 

「ダァーッちくしょう! 肩が邪魔だこのっ!」

 

 

 賢治の駆る不知火が突然下がって【ウガーッ】と腕を上げたと思ったら、右腕で左肩をおもむろに掴み、そのまま引き千切りって右肩も左腕で引き千切った、ッておい!?

 

 

「ぃようし! これで動きやすくなった!!」

 

「お前アホか! 肩にはバッテリーが搭載されてるんだぞ!?」

 

「うるせぇい! ロックオンと索敵にしか使わないバッテリーなんざ今必要ねえだろが! 中途半端に長いこの肩は近接戦闘時に邪魔なんだよ!」

 

「耐久性の問題もあるだろこの馬鹿!」

 

 

 賢治の駆る不知火は引き千切った肩パーツを小型種の群れの中に向かって蹴り飛ばした。

 

 

 

 

夕呼side

 

 

 

 

 さすがに01が肩のパーツを引き千切ったのは予想外だわ。

 まりもは呆然とだらしない格好でモニターを見て固まっているし、アタシと同じ事思ってるんでしょうね。

 …でも、確かに近接攻撃のスピードは上がったわね。

 肩が無くなった分視野が広くなったってところかしら?

 01がBETAを切って行ってる時に、とうとう一刀目が根元から折れた。

 

 

『ちっ!』

 

 

 折れたにも関わらず、冷静にその折れた長刀を押し寄せて来るBETAに向かって全力で投げて牽制し、突っ込んでいく突撃級に向き合ってどっしりと構えた。

 

 

『ふんっ!』

 

 

 01は突撃級の突進力を利用し、まだ存続しているかもわからない合気道の要領で突撃級を仰向けにひっくり返し、そのままその背後に回り込み頭部をBETAの大群に向け直した。

 …まさか、冗談、よね?

 

 

『これでも食らいやがれぇ!! Aaaaararararararai!!!』

 

 

 01は見事にあたしの期待に答えて突撃級を跳躍ユニット最大出力で押し出し、除雪車の如くBETAの大群に勢いよく突っ込んでいった。

 

 

「えぇぇぇぇえええええええええええええ!!?」

 

 

 隣で見てるまりもはこれでもかと言うぐらいに目と口を広げて悲鳴を上げていた。

 かく言うアタシも、隣にまりもがいなければ同じようになっていたかもしれない…

 社は元から表情には表れない子だから注意しないとわからないけど、今はウサギ耳もピンと立たせて驚いた表情をしている。

 …あの二人を知っている素振りをしていた社もこれは想定外のようね。

 

 

 

 

賢治side

 

 

 

 

「どっせぃ!!」

 

 

 武がラストの要塞級の肩と思われる二箇所を切り落とした後に首を切り落とした。

 それからBETAは出てこなくなったから恐らく設定した数のBETAは駆逐できたんだろう。

 

 

「あぁ~終わったぁ…くそ、次々と沸いて出て来やがって…明らかに3000以上は斬ったぞ?」

 

「よく長刀二刀だけで残れたよな、俺達」

 

 

 見渡す限り見えるのはバラバラにされたBETAの屍累々。

 大半のBETAの死骸は、要塞級は首と両腕…になるのか? その部分を胴体から切り落として絶命。

 要撃級はサソリの両鋏とピット気管を切り落として胴体を真っ二つに。

 突撃級は軟らかい胴体を上下真っ二つに斬り離し、小型の戦車級と闘士級、兵士級はそのまま踏まれたり大、中型のBETAに巻き込まれたり、除雪車もどきの攻撃に巻き込まれたりで原型がなんだったのかもわからない状態だ。

 俺達の機体は全身、BETAの返り血で元の塗装である青色が分からなくなっているが、俺の駆る不知火の肩の損傷以外はほぼ無傷で終わった。

 

 

「はぁ…やっと終わった。1時間もぶっ続けだぜ?」

 

「さすがにこんな今にも折れそうな長刀じゃあ続行不可能だ」

 

 

 事実、二本あった長刀の内一本は三回折れて破棄、今持っている一本は刃の三分の二が折れている。

てか、刃こぼれもこんな忠実にシミュレーターで再現するとか、すげぇな。

 

 シミュレーションが終わり、まだ出れないのかと話していたらいきなり場面が真っ暗になった。

 一瞬シミュレーターの故障かと思ったが、突然画面が明るくなり、どこかの洞窟のようなところに立っていた。

 ご丁寧に機体と武器は新調されているが、武器はまた長刀だけだった…え?

 

 

「…あれ? ここどこ?」

 

「洞窟? …まさか、先生…」

 

 

 またもや博士が網膜投影にデカデカと現れた。

 

 

『…まさかあんた達があの状態で生き残るとは思わなかったわ。それじゃあ次は、ハイヴの攻略と行くわよ~』

 

「おい待てコラ! またしても武器は長刀だけか!? いくらなんでもこれはねぇだろ!?」

 

「突撃砲とか下さいよ! 長刀だけとかどんだけ無茶させるんですか!! ていうか休憩挟んで下さいよ!」

 

『うっさいわね~、二人とももう機体に慣れたから平気でしょう? これの結果で処遇が決まるんだから文句言わずにさっさとやる!』

 

「「ふざけんな!!」」

 

『はいはい聞こえな~い♪ 状況開始~♪』

 

 

 先生の楽しそうな声と共にBETAが待ってましたと言わんばかりに突撃してきた。

 

 

「「ちくしょぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!」」

 

 




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