化物語・暦扇シリーズ 短編集   作:黒狼@紅蓮団

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おうぎフィッシング

 前話がこのおうぎフィッシングの長いアバンだと言う事は途轍もなく驚愕すべきことだが、今は置いておこう、ひたぎにあの後、土下座で自ら説明を行い、許しを請い、これだから阿良々木君はゴミなのよ、違うわね、萌えないゴミだったかしら、仮にも、いえ、ちゃんとした、私という彼女がいる身で、自分の分身の様な赤ん坊を惚れさせるとか、人としてどうかどころか、蟻以下ね、蟻に謝りなさいよ蟻々木君、それとも、意図してやったのかしら、だとしたら私は仮にも彼氏であるあなたを貴方の親に説明して私がついておきながらこんなド変態の屑ペドロリコン野郎にしてしまい申し訳ありませんでしたと謝りながら突き出さなきゃいけないのかしら?と罵倒を受けながら背中に爪でかなりきつくワタシノと書かれたことは可愛い嫉妬と言う事で受け止めるとした。

 

「おやおやー?どうしました阿良々木先輩、そんな彼女がいる身で六股目の浮気相手に延々と引っ付かれて彼女さん自身に酷く憔悴させられたような顔をして」

 

「人をナチュラルに最低野郎にするんじゃあない!そしてその発言!絶対分かっていたか見ていただろう!どこかで!」

 

「おやおや酷い人ですねぇ阿良々木先輩は、こんなにあなたを慕ってくれる可愛くて健気な後輩をストーカーの様に悪しく言うなんて、私は傷ついてしまいました、謝罪を要求します、急用に要求します、つきましては貴方のその口を吸わせてください、ベロちゅーで良いですよ」

 

「そうか……ちょっとキツかったかなごめん、って謝罪の求め方が神原になっているぞ!そして傷付いている奴はそんな謝罪の仕方を要求しない!したらひたぎに殺されるわ!」

 

「ちぇっ、この程度では引っかかりませんか、昔は無駄に後輩や妹にこの手で譲歩を引き出されていたのに、というか、二人きりの時じゃなくてもひたぎって呼んじゃっていますね、油断大敵ですね」

 

「む……それは確かに油断したけど、というか、後輩や妹に譲歩を引き出された覚えはないぞ僕」

 

「やれやれ、本当に愚かなんだから阿良々木先輩は、良いですか、貴方自身は引き出されていないと感じていても私や戦場ヶ原先輩、譲歩を引き出した側は、それで譲歩を引き出せたと感じているのですよ」

 

「そこまで言うなら僕が何でそんな風に譲歩したか言ってみろよ、反論してやる」

 

「具体的には老倉先輩の時に羽川先輩のおっぱいで私じゃなく羽川先輩を選んだこと」

 

「その節は誠に申し訳ありませんでしたぁ!」

 

 譲歩した理由にはちゃんと訳があるが、羽川本人自身がおっぱいで僕を釣れたと判定しているために言い訳の余地もない、反論できない事実がそこにあった、悲しい事に、多数決での正義ですらない、客観的な事実によって反論を封じられてしまった。こうなってしまうと、勝てないため、分かっていてこの事実をこの後輩は持ち出してきたのだろう。

 

「ふふふ、冗談ですよ、阿良々木先輩は恨んでいません、羽川先輩はともかく」

 

「君、なんかナチュラルに羽川への当たりが強くないか?メールでもかなりの喧嘩を売ったらしいし」

 

「仕方がないですよ、だって私は、元をたどれば、羽川先輩への警戒心などが形になった貴方なのですし、その点、この程度で済んでいることをむしろ感謝して欲しいくらいです」

 

 確かに、僕の中には羽川を尊敬する気持ちと共に、この後輩の言う様に有能さへの危険視や警戒心が全くないわけでは無かった、むしろ、有能であるからこそ、その警戒は有能度へ応じて多大になっていた、つい最近も、頭脳を売ったという事実に羽川はやはり、有能すぎて理解できない、その行為は危険ではないのかと言う気持ちは大いにあるのだった。

 

「まぁ、そんな先輩の事はどうでもいいのです、勝てない勝負に真正面から挑んで木っ端微塵に失敗してしまった哀れな先輩のことなど、それよりもです、そんなに警戒心のない阿良々木先輩に受験後の息抜きを持ってきたのですよ」

 

「待て、何故もう行くことが決定しているんだ、というか、僕が受けている所業を大凡見受けているであろう状態で、何故誘う事が出来る、後、羽川への扱いが酷すぎる、鬼なのか君は」

 

「やだなー、先輩はなんだかんだ言って可愛い後輩の頼みを無下には出来ないでしょう?例え、私が戦場ヶ原先輩という彼女に呆れ果てられて振られたときにゲットする計画を立てていたとしても、それに怪異絡みの事で先輩を頼りたかった、というのもありますから、それと鬼なのは貴方ですよ、阿良々木先輩」

 

 この後輩は、恐ろしい計画を立てている事を憚りもせず、なおかつ当然のように言い張り、僕自身が亡き者になる可能性の高い計画を僕自身が確かに断れない理由を付けて、最低限彼女に申し訳が付くよう、悪辣な策謀を建てていた、元"くらやみもどき"時の手腕を十分に発揮して僕を釣りへと誘うのだった

 

「で、相談したい怪異絡みの事って何なんだ?」

 

「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ阿良々木先輩、釣りはのんびりしながら行うものですよ、まぁ、釣りに来ていることが無関係とは言いませんが」

 

 そこから相談された事実は少し珍しく感じる事柄であった、あの忍野メメが、対処だけを姪となった忍野扇に教え、そこからこの僕、阿良々木暦を頼り、この事件を仮にも姪を名乗るなら解決しなさい、本当は僕自身が対処したいんだけど、臥煙さんに止められてしまった、と、なんでも姪である事を認めて存在を確立したこと自体はセーフだけど、念のために、それに足る理由付けを一応しておかないといけない、だから姪である君に、お仕事を依頼せざるを得ない、安心しなさい、お小遣いとして仕事料には色を付けて上げよう、万が一の為の補助は阿良々木君ならきっと何とかしてくれるさ、彼はもう、自分自身の幸せの為に戦える、立派な大人なんだから、と、そう言って任せてくれたらしい。その事に関しての嬉しさがこみ上げると共に扇ちゃんを守らなければならないと一層に気合を入れ、はや壱時間が経つ

 

「怪異としては、海に関する怪異で、何ら珍しい物ではないそうです、昔から海は多くの怪異を生み出してきましたからね、未知が怪異を生み出すのであれば、未だ、人間は怪異を海から見いだせてしまいます。まぁ、それでも今回の怪異は私にとって結構厄介なので阿良々木先輩がいてくれて嬉しいですよ。」

 

「で、その怪異が君にとって厄介ってどういうことなんだい?忍野から対処法は聞いたんだろう?」

 

「えぇ、聞きました、けれどこの怪異、居恋鮫(いこいざめ)は面倒な事に恋をしている人間の恋しい気持ちを利用して、胸を苦しくさせ、帰りたくないと思わせ、この波打ち際に延々と居続けさせます、一昔前の撫子ちゃん特効みたいな怪異ですね、誰かが声をかけてくれれば問題ないそうですが、位置が問題でして、ここは釣りスポットとしては有名ではありませんし、あまり人気もない場所です、カップルとして成立しているなら問題ないのですがね」

 

 なる程、確かに今の扇ちゃんには厄介な怪異だと思える、先日、僕に一方的な告白をして返事も聞かずに去っていき、僕に熱烈なアプローチをし続けている以上、扇ちゃん単体では、この場にかなりの期間居続けてしまうだろう、だが、戦場ヶ原ひたぎという彼女がおり、カップルとして成立している僕であれば問題はない、逆に、羽川翼や、千石撫子、神原駿河、ではこの場所はかなりの危険地帯だと言う事になるし、頼れるのは消去法の結果的に僕しかいないと言うのは間違いないのだろう、戦場ヶ原ひたぎに関しては忍野扇が今遭遇すればどうなるのかはわからないので割愛するものとする。

 

「あ、見て下さいよ先輩、結構大きいのが釣れました、鯛ですかね?釣りスポットとしては有名じゃないのに結構つれますねーここ」

 

「僕としては仮にも元僕である君の以外な才能にびっくりだよ、こっちは坊主なのに何でもう10匹も連れているんだ、そして忍、それを捌いて生で食べるのは毒があるかも知れないから止めておくんだ」

 

 僕の影から扇ちゃんの釣った魚を抜け目なく持って行き食べようとしている僕の元主人にしてロリ奴隷に念のための注意をしつつ僕らは未だに釣りで怪異を待っていた、果たしてこれで怪異を待ち受けていることが正しいのだろうか、そう考えが一瞬よぎった瞬間、扇ちゃんの影の背中に鮫の様な尾っぽが見える事を確認し、忍に僕はすぐに指示を出したのだった。

 

「忍!」

 

「全く、我が主様は相変わらず便利に儂を使うのぅ、帰ったらミスドの新作を3個は要求するぞ」

 

 その返答と共に忍は扇ちゃんの影に手を突っ込みエナジードレインを行ったのか扇ちゃんの影から鮫の尾っぽはなくなった、その後、いつものように影に沈んでいったのだった。

 

「おっとー?どうなされま、あぁ、今やっと取りつかれていたんですね、なるほど、自覚無しに居たくなると言うのはこう言う事ですか、ありがとうございます、阿良々木先輩、おかげで助かりました。」

 

「結局、どういう対処法を忍野から聞いていたんだ?扇ちゃん」

 

「さて、なんでしょうね、内緒です。」

 

 結局の所、怪異に対する対処法とやらを拝見することは出来ず、これで良かったのかどうかすら僕にはわからない結果だったが、後に扇ちゃんから愚かなる阿良々木先輩は、あの後、どうなったのかの些末を私以上に気にしていらっしゃるでしょうので、伝えておくと文句なく合格だそうです、これで私は忍野扇であり、忍野メメの姪であり、その存在理由を確立するに足ると認められたという事です。ご協力に感謝しますよ阿良々木先輩。追伸、そんな事だから警戒心が足りてないんですよ、この愚か者。と何故か罵倒された

 

―後日談、というか今回のオチ―

 

「なぁ、羽川、なんでか一時帰国してるみたいだから聞くんだが、なんで扇ちゃんは対処法を教えてくれなかったんだと思う」

 

「うーん、そうだねぇ……あっ、阿良々木君にかなり言いたくないわねコレ、特にあの娘が相手だと思うととてもムカムカしちゃいそうというか多分してる」

 

「何かわかったのか羽川?」

 

「ん~、あまり言いたくないけど言っちゃうか、彼女が居るのに無警戒な阿良々木君にも分かる様に。簡単な事だよ、阿良々木君、扇ちゃんは貴方をあそこに呼ぶことこそが対処法だった、ってだけの話だよ。」

 

「それは……そんな事が対処法になるのか?」

 

「思い出して、阿良々木君、居恋鮫(いこいざめ)は恋をしている人間の恋しい気持ちを利用して帰りたくないと思わせるんでしょう?だったら、最初から恋しい人が目の前に居れば、恋しい人が帰ろうと思ってその人に喋りかける時には、一緒に帰ろうとするはずだよ、退治の為の対処法は分からないけど、捕らわれない為の対処方は阿良々木君と居る事だった、そういう事なんでしょうね、全く、ひたぎちゃんの彼氏を……」

 

「お、おぅ、落ち着け羽川、猫耳が生えているぞブラック化直前だ」

 

「にゃにゃ!?それはまずいにゃ、落ち着かにゃいと……落ち着いたわ」

 

「あっれー?阿良々木先輩、彼女がいる身で羽川先輩と密会ですかー?いけないんだー、戦場ヶ原先輩に言っちゃおーと」

 

「貴方、分かってて言っているでしょう……」

 

「まて、冗談でも止めるんだ、その携帯を降ろして文章を見せろ、さもなくば僕が死んでしまう」

 

「まぁ、そんなことはどうも良いんですよ、羽川先輩が阿良々木先輩と友情を深めようとしている内に私は恋愛ゲージを高めに来ましたから、負けヒロインの方はどっか行っちゃってください」

 

「ふ……ふふ、さすがの私も少し限度を越えちゃうよ、貴方が一番言いたくないであろうことも言っちゃおうかと思うくらいには」

 

「さて、何のことでしょうか、私はただ、阿良々木先輩に助けてもらっただけですよ」

 

 その後、羽川がオッパイを揉ませてあげるから今後この娘とは関わりを断っちゃいなさい!ちゃんとひたぎちゃんからは許可を取ってさせてあげるから!こんな恋愛関係に毒そのものを振り撒いているみたいな相手と付き合っちゃダメでしょ!等と暴走しながら阿良々木先輩ならいつでも私の生足を触っていいんですよー、そんな巨乳先輩とこそむしろ関わっちゃダメでしょふらりと転げちゃいかねませんしと扇ちゃんが密着したり、羽川がそれを必死に引き剥がそうとしたり、それを見た迎えに来たひたぎが浮気なら切っちゃいましょうかとハサミを持ち出して恐怖を感じるといったかなり恐ろしい目にあった。もう何も考えたくない

 

「それで、そこでミスドの新作を約束の2倍以上で食べている僕の元主人、羽川が言っていた扇ちゃんの一番言いたくない事って何か分かるか?」

 

「それを聞いてどうする気じゃお前様や、儂とて乙女なんじゃから他の女の話題をあまり出さないんで欲しいんじゃがのぅ」

 

「あ、悪い、気遣いが足りてなかった、いや、本当に気になっただけなんだ。今までの一連の流れで何か言いたくないようなことがあったかなって」

 

「やれやれ、鈍いのうお前様や、全てあの猫耳娘が言っておったであろうに、居恋鮫の事で考えれば分かるじゃろうと、まぁ仕方あるまい不甲斐ない主様の為に言ってやるか、要はお前様の声を掛けられればいいんじゃろう?お前様自身が行く意味はあったのか?今の世の中には便利なそのお前様も今持っている"けいたい"があるじゃろうて」

 

 あ!?という思考の驚きと共にだから追伸にあのような罵倒を書かれてしまったのかと気付いた、それと同時に忍野メメの姪としての合格基準にも今気づく、それは推測になってしまうが、忍野扇が問題に当たった際、僕自身を動かせるかどうか、といった内容だったのだろう。確かに、これは愚か者だと言われても仕方ないと思いつつ、僕はあの後輩のしたり顔を思い出すのだった。

 

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