化物語・暦扇シリーズ 短編集   作:黒狼@紅蓮団

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ひとまずの更新は次話、おうぎトラッピング、次々話、おうぎモルフィまでを予定しております。
それ以降に続くかは未定な予定な未来ですね。


おうぎクラス

 世の中には怪異が存在し、人間の手ではどうにもならない事が存在する、勿論、どうにもならない事全てを怪異のせいにして被害者面をしてはいけない事は分かっている、それは僕にとっても許せない事ではある、しかし、僕の今現在の状態は、僕にとって、かなり不都合な状況をどうしようもない事で生み出されていると言っても過言では無かった。時は、今から1時間ほど前に遡る。

 

「……あの、扇ちゃん?僕は君がまた、謎の空き教室があると言ってたから確かにソレは確認しに行くべきかと思って確認に来たのに、何で、こうやって教室の入り口に着いた瞬間背中を突き飛ばされて君に馬乗りにされているのかな?」

 

「やだなぁ、阿良々木先輩、確認するかと言って、そのまま10分も20分もそこに居たらそれこそ日が暮れちゃうので背中から押し倒しちゃいました、私は悪くありません、悪いのは貴方の意気地です、阿良々木先輩」

 

 確かに、この少女にまた閉じ込められやしないかと考えて、自分が思っていたよりも、長い時間の間、謎の空き教室の入り口で茫然と立っていたことは否定しない、しかし、彼女が僕、阿良々木暦をこの教室へと突き飛ばしたのはどう考えても何らかの意思を持って突き飛ばしたとか思えなかった、何故なら彼女は、可愛らしい声でえいと言って突き飛ばしたからである。

 

「疑り深い愚か者ですねー、何か良い事でもありましたか?例えば、漆黒の様なきらめきを放つ美少女に馬乗りにされて背中をマッサージされたりとか」

 

「僕の背中には全てを飲み込むような暗黒の少女なら乗っているよ、後それマッサージだったのかよ、触り方がいやらしくてそわそわしていたよ。扇ちゃん、神原化が進んでないか?」

 

「はっはー、あの人もあの人で尊敬する先輩ですからね、阿良々木先輩の尊敬精神が現れているのでしょう、っと、教室の戸が開いているか確認して来ましょう、確認は大事ですからね」

 

 そういって扇ちゃんは僕からぴょんと立つと教室の戸を結構力を入れて開けようとしている様に見受けられたが、残念ながら開くことは無かったらしい、それが演技ではないかと一応失礼ながら疑いを掛けつつ、僕自身も戸を開こうとしたが硬くて開くことは出来なかった。

 

「さてさて、困ったものですねー、阿良々木先輩、どうやら何かしないと開かないみたいですよー」

 

「あぁ、そうみたいだな、で、扇ちゃんの事だから、僕を呼ぶ前に事前調査ぐらいはしているんだろう?」

 

「はい、一応知っています、何でも、この教室では学校に思い残したことを行えば出られるのだとか、人にとってほぼ害はない怪異の筈ですが、一応の確認をしようと思いまして、阿良々木先輩が居ないと思い残した事なんて1年生の私にはいまだに無いので」

 

 その理屈は確かに、今年転校してきたばかりであるという設定のこの少女、忍野扇には確認できない事であった、それと同時に、僕自身がこの学校でやり残したことは何かあるだろうかと思う、学生生活に関しては羽川や老倉、ひたぎのお蔭で充実したしたので、特に思う所はない、筈である。だが、出れないと言う事は、何か、僕の思い残しはあるのだろうか……

 

「あるとするなら、学校でちょっとエロいとか、女の子にされてみたい事、みたい感じじゃないですかねぇ、青春や、問題に関しては私のお蔭で解決しているんですし」

 

「女の子が簡単にエロい話を振って来るんじゃあない、そしてそんな心残りは無い……無いと思う、無いはずだ、多分ない、きっとない、恐らくない、無いはずなんだ」

 

「自分でも信じ切れてないじゃないですかぁ、それで一体誰を騙せるって言うんですか、こう、例えばないんですか?女の子がこんな風にストッキングを自分の席からスススっと脱いでいる姿を間近で見つめたいとか、こんな風に阿良々木先輩を膝枕して顔がくっ付きそうなほど近づいてキスされたいとか、あるいは、もっとすごい事を……してみたいんですか?」

 

 こう、なんというか、今までのあけすけな感じではなく、最後の少し恥じらいながら、顔を背けて内股になりつつ僕の手を取った動作は以前、見た事がある、千石撫子の恥じる動作の可愛らしさ以上に僕自身の嗜好に胸を打ったのだった、さすがに元自分だけあって僕の性的嗜好に直撃する動作を行った恐ろしい刺客に僕は屈するしかないのだった。

 

「したい!」

 

 即答だった、上記の嗜好の思考を秒単位で終わらせて答えてしまっていた、彼女がいる身でありながら、完全に欲望に負けている。こんな事がばれたらひたぎに殺されて後を追わせてしまうであろうことは想像に難くない、だがしかし、それでも、男には逆らえないであろう状況というのが確かにある事だけは記させていただくとする。

 

閑話休題

 

「ふふふ、阿良々木先輩は変態さんですねぇ、私のストッキングの中に片手を突っ込みながら、私の心臓の音を聞いて私のお臍を穿りたいなんて、いや、本当に何でこんなことをしたかったんですか、神聖な学び舎で、私、元貴方の筈なのにこの嗜好は本当に訳が分かりませんよ、変態すぎます。」

 

 罵倒を甘んじて受け入れざるを得なかった、我ながら神聖なる学び舎で、女子生徒のストッキングに手を突っ込みつつ、臍を穿り、その恥ずかしさからくる心音を聞いて女子の心臓が激しく脈動し、興奮していることを感じ取りたいなど、変態性の極致であった、眼球を舐めるのと同等クラスには変態であると自覚はしている、しかし、それでもしたいものはしたいのだ、僕はキメ顔でそう思った。

 

「10分経ちましたよ、いったん終わって戸を開けてみましょうか」

 

 そういって、扇ちゃんの服と体から手を抜き、扇ちゃんが戸を開けようとするがまだ動かない、恐らく、これは学校に思い残している事とは別の事だったのだろう、個人的には、とても満足する時間ではあったのだが、だからと言って閉じ込められたままで良いわけがない、さて、何かあっただろうか

 

「あぁ、そういえば一つ思い出しました、阿良々木先輩、私の膝枕に頭をのせて下さい」

 

「あ、あぁ、そのくらいなら構わないけど……何かわかったのかい扇ちゃん」

 

「これは、私の思い残したことだってことですよ、阿良々木先輩、あの時、"くらやみ"に飲まれる直前、腕を犠牲にして、戻らない可能性があったにも拘わらず、助けてくれて、本当にありがとうございます」

 

 先程まで、少し茶化した雰囲気だった彼女は、その雰囲気を一気に荘厳にし、その上で、僕に、あの時の忍野扇が"くらやみ"に飲まれる直前の礼を改めて行った、僕はそんなことは良い、以前にお礼はもう貰っているよ扇ちゃん、僕は、僕自身が君を助けたかったから助けただけで、そんな自己満足にお礼を言う必要はないと言おうとする前に言葉が続けられた。

 

「そして、この1年間、お疲れ様でした、他の誰が褒めなかったとしても私だけは今までの阿良々木暦という存在を褒めて差し上げます、良く頑張りましたね、阿良々木先輩、青春が終わっても生活は続くのです、だから、大学に上がる前の一時位は気を抜いても良いんですよ、他ならぬ私が許してあげます。」

 

 それは、僕が今まで、受けた事のない言葉だった、お礼や感謝や謝罪は今まで幾らでも受けてきた、しかし、僕の青春の終わりを、僕の今迄の努力を、一時でも荷を下ろしていい、気を抜いていいと言われたのは初めてだった、その事に気付くと共に、何故か、肩が軽くなったような気がした、今まで無理をしていたような、あるいは、気を張っていたような感覚が、落ち着いたような、そんな気分にさせてくれた。

 

「扇ちゃん……君……」

 

「そして、あわよくば私を今後の人生のパートナーに選んでください、羽川先輩どころか、戦場ヶ原先輩どころかその他大勢より尽くす自信がありますよぉ?忍ちゃんに関しては許容してあげます。」

 

「今までの荘厳な雰囲気での真面目な話が台無しだよ!なんて事を急に言い出すんだ君は!そんなに僕を亡き者にしたいのか!ここで答えたらひたぎや羽川どころか、その他大勢に殺されるわ!そして忍との関係がとても上から目線だ!何様なんだ君は!」

 

「その答えの、その他大勢の時点でこの愚か者は殺されるべき事を普段から無意識にしているという発言を自覚しないんですかねぇ、まぁ、あまり気にしないでください、元貴方からのエールの様なモノです、自己否定精神の塊からの自己肯定とか、かなりレアですよぉ?」

 

「あぁ、レアだな、かなりレアだったよ、レジェンドレアくらいの価値だったと思うけど、そのレジェンドレアを君の手でノーマルレアにされた気分だよ!元僕だけあってネタとしてのオチはしっかり掴んでいるけれどオチを自分で付けるんじゃあない!台無しだよ!君の可愛さと真面目さが!」

 

「おや、可愛いとは思っていただけたのですね?これは良い事を聞けました、路線は間違っていなかったようです。まだまだアプローチは続けていきますので覚悟してくださいね、阿良々木先輩」

 

 そういって、微笑んだ彼女は、思わずドキリとするくらいには可愛かったが、果たして、彼女は僕の今の表情を見て、何を思ったのか口元を綻ばせて、僕の顔に物凄く彼女の顔を近寄せ、愛してますよ。と言ったあと、教室の戸へと向かい

 

「あ、空いてますね、それじゃ、今日はここまでです、また明日会いましょう、阿良々木先輩」

 

「あ……あぁ……」

 

 そういって戸を開けて出て行こうとした際に、扇ちゃんは振り返って、僕に向かって意地の悪い顔をした後、その黒い手袋に包まれた手をゆっくりとスカートの裾に持って行き、少しスカートの内側を見せようとして僕の視線を釘付けにし、その後、僕の方をにんまりと笑い

 

「視線が簡単に取られてる上に、丸わかりじゃないですかこの愚か者、でも、そんな変態な先輩も好きですよ、怖い人が来ているのでそれでは」

 

 見事、僕は釣られてしまったのだった、とはいえ、あんな行動で視線をじっくりと持って行かずに見ずに居られる男子高生は居るだろうか、いや、いない、僕はキメ顔で

 

「こよみ、これは、どういうことなのか説明して貰えるのかしら、それとも、私を捨てて、自分自身を選ぶと言う高度なプレイを選んだのかしら、だとしたら私は貴方を五体を引き裂いた上で、屋上で燃やして灰を飛ばさないといけないのだけれども」

 

「待て!そんな事をすれば以前お前に説明した初代怪異殺しみたいになってしまうじゃないか!本当にその殺し方だけはやめるんだ!僕はただ、怪異絡みの説明を受けてこの教室に同行しただけであって決してやましい事は……あっ」

 

「あっ、て何よ、あっ、て思い当たる節でもあるのかしら、やっぱり切り取って、子孫に関しては養子になってしまいますがと阿良々木君のご両親やお父さんに言わないといけないのかしら私」

 

 その後、僕がどういう目にあったのかに関しては、大方ご想像の通りだと思うので割愛する。どう許しを請うたかと言えば、扇ちゃん以上の事を次のデートで私にしなさいと言われたので、その通りにすることとなった。

 

―後日談、というか今回のオチ―

 

「で、何で君がここにいるんだ、君のせいで大変な目にあったんだけど僕」

 

「それはそれは、ご苦労様です阿良々木先輩、私の膝枕で癒されます?体布団でも構いませんよ」

 

「それと、神原、なんでお前が今ここに居る!戦場ヶ原にでも僕の監視を指示されたのか!」

 

「そんなに怒らなくても良いじゃないですか、怒られた遠因は確かに私ですが、明日会いましょうと言ったからと言って、今日会ってはいけない訳じゃないでしょう」

 

「確かに扇後輩の言う通りだな!阿良々木先輩は細かい事を気にし過ぎだな、そして私が来た理由は確かにそれもあるが、どちらかというと火憐ちゃんと遊びに来たのが主目的だ!」

 

 いかん、それもあるがと言われていると言う事は、本当に監視を指示されてひたぎからの信頼がレッドアラートだと言う事だ、これは非常にまずい

 

「それと、万が一、扇後輩と行為に及びそうになった時は、私の体を使って誘惑してでも止めろと言われている、エロ奴隷的にはバッチこいなシチュエーションだな!」

 

「だからお前は自分を安売りし過ぎだ!なぜ自分をそんなに大切にしない!そして、そこで僕の布団に入ろうとしている扇ちゃん!君もダメだからな!こんな夜遅い時間に男のいる部屋に来るんじゃあない!」

 

「安心してください、エロ本の趣味を神原先輩と先ほどまで確認してました。こういうのが好みなんでしょう?一緒に寝ましょう、阿良々木先輩」

 

「うぉおおおおお、待て、今、少し見えたその状態でその布団をめくるんじゃあない!R-18でもないのにその描写をさせられたらこのSSが消されてしまう!」

 

「はっはっは、扇ちゃんのメールで分かっていたが、中々積極的だな、だが結ばれるのは戦場ヶ原先輩だと私は信じているぞ、阿良々木先輩!というわけで私はここで持ってきたBL小説を読ませてもらおう!」

 

「お前は今これを止める立場のはずだろ!指示はどうした!」

 

「いや、だって扇後輩がどうしようと、阿良々木先輩が今の状態なら裏切らないだろう?」

 

 その後、非常に疲れて、神原と扇ちゃんが布団に寝る事を了承しつつ、僕自身は床に来客用の布団を敷いて眠るのだった。

 

 

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