今回の話は難産でしたが扇ちゃん愛でかき上げました。
砂糖を吐かせられればうれしいです。
この僕、阿良々木暦が唯一、誰にでも誇れる行った事としての成果がある、それは八九寺真宵という少女を、この北白蛇神社へと神様として誘致で来たことである。これは、決して恥じることなく、こう出来てよかった、そう思う事だ。八九寺を地獄から救ってしまったが、そもそも彼女は彼女自身の不注意ではなく、運転手の不注意による交通事故で死んでしまったのであって、地獄に落ちるようなことをしていない、理不尽な目に合っていたのだから、これは正当な扱いと言えよう、そんな八九寺を助けられたことは僕にとってかなり嬉しい事であると同時に間違いや失敗ばかりの僕の行ってきた事の歴史の中でも誇れることである。今日は、そんな小さくて幼い、可愛い少女が神として居る神社にお賽銭を入れに来たのだった。
「まぁ、もう居ること自体には驚きはしないよ、君が僕をストーキングしていたとしても、もう僕は諦めた、それで、何でここにいるんだい扇ちゃん」
「やだなぁ、阿良々木先輩、ストーキングなんてしてません、私は単にお賽銭をそろそろ入れに行く時期だろうなと阿良々木先輩の行動を予測しただけです、ついでにお小遣いの金額から1000円と500円で悩んで、結局けち臭く500円を選んだことも知ってます」
「君は僕のやることは何でも知ってるな、扇ちゃん」
「何でもは知りません、知っているのは阿良々木先輩です」
もはや、彼女のフレーズとして固定化されてしまっている台詞を吐きながら、彼女は、僕と共に二礼二拍一礼を行い、お賽銭を入れ、願い事をしたのだった。
「あ、忘れてた、ついでに巨乳先輩が阿良々木先輩へ未練がましくメールすることが減りますように」
「口に唱えたら、その事は叶わないって事知ってるかい、扇ちゃん、そして羽川の事をどれだけ嫌っているんだ。おかしい、僕は羽川を尊敬しているはずなのに扇ちゃんの羽川の扱いが信じられないくらい酷い、これでは、僕が本当は羽川を嫌っている様に受け止められてしまう。」
「やだなぁ、叶わないから本当になって欲しい事を嫌われないように言えるんじゃないですか、私は貴方の暗黒面みたいなものですし、貴方が羽川さんに意地悪したい気持ちと、羽川さんを警戒する気持ちが融合してしまったからこうなってしまったんですよ」
「本当にどうしてこうなった!融合した結果が意地悪な警戒心じゃなくて意地の悪い警戒心になってしまっている、融合じゃなくて事故を起こして暗黒融合のコマンドでも使ったというのか、だとすればBボタンでキャンセルをしたい気分だよ!」
「事故ならぬ自己批判ですねー、心が洗われます、私の心が現れているだけに、さて、そろそろ本題に入りますと神様になった八九寺ちゃんを見に来たんですが、阿良々木先輩に気を遣っちゃって私からは隠れちゃいましたかねぇ?」
「いえ、さっきから、ずっとここに居ます、神々木さんがなにやら私に阿良々木さんを奪い合うライバルとして以前に宣戦布告しに来た不気味な方と楽しく漫才してらっしゃったようなので私はスススっとこのまま退散しようかと思っていたところです」
「まて、楽しく漫才はしていない、追及はしていたが、それと……会いたかったぞぉおおお!八九寺ィイイイイ!この玉のようにすべすべの肌も!回せば回すほど回したくなる体躯も!狂おしいほど愛らしい眼も!見れば見るほど八九寺だー!触れば触る程八九寺だー!抱きしめれば抱きしめるほど八九寺だー!そして僕を天上に住まう神々かご神木の様な名前にするんじゃない!僕の名前は阿良々木だ!」
「うぉうわああああ!何時までも簡単に遊ばれる私だと思わないでください!とぅっ!失礼、噛みました」
僕が八九寺を先ほどの台詞と共に撫でまわし、もみくちゃにし、ベアハッグをし、可愛がっていたら、遂に学習してしまったのか、僕の動きを全て見切り、抜け出すと同時に僕の頭を踏み台にした後、新体操の選手の様に10点満点の着地を行い、いつものフレーズを喋るのだった
「違うわざとだ」
「かみまみた!」
「わざとじゃない!?」
「私、神になりました!」
「以前の様に否定できない!ハッ!?もしやこれはあの時の高度な伏線!?」
そうやって八九寺と戯れていると、扇ちゃんがじとーっとした目で僕を白眼視しつつ、携帯のカメラで高速でパシャっていることに気付き、僕が撮られていることに気付くと、にんまりといやらしい笑みを浮かべながら彼女は僕を脅迫し始めた
「阿良々木先輩、今、私の携帯は特殊な加工をしております」
「そ、それがなんだと言うんだい扇ちゃん」
「具体的には怪異が映る様にしてあります」
「へ、へぇ……それで?」
「私は先ほどまで撮影した一連のこれを貴方の家族親友知人彼女へ送る用意があります」
「待て、交渉をしようじゃないか扇ちゃん、一体何が要求なんだ!」
「私に阿良々木先輩の耳を耳かきさせていただきたいと思いまして、歯磨きや散髪はまた今度と言う事で」
「なんだ、その程度で良いのか……助かったぜ」
「阿良々木さん、今の、何時ぞやあなたが話してくれた妹と歯磨きを行った会話の交渉を再現されてしまっていませんか?家族の血というものは分かりやすい物なんですねぇ……」
「あ、八九寺ちゃん、八九寺ちゃんも後で阿良々木先輩をセクハラしても良いですよ」
「扇さん!あなたの事を不気味な人だと誤解してて今まですいませんでした!あなたは最高の友人ですね!ひゃほー!」
僕の関わっていないところで僕の人権が売られていく、しかし、先ほど八九寺を可愛がった代償であるために僕に抵抗権は無く、何かを言う権利もない、これが気楽に少女を可愛がることも出来ない鬱屈した社会構造かと思うと現代の歪さに悲しみが募るのだった。
「はっはー、阿良々木先輩、何やら世を儚んでいるようですが、他の誰かが見ている……いえ、神原先輩なら問題ないですね、羽川先輩だと怒られる程度でしょうし、まぁ、それ以外の他の誰かが見ているときに八九寺ちゃんにセクハラを働いてしまうからこんなことになるんですよぉ、油断大敵にして警戒心が無さすぎです、この愚か者ー」
「まぁ、いつも私にしている所業を見られればどうなるかという良い例ですよね、偶には懲りればいいんですよ阿良々木さんは、してもらえない方が悲しい事ではありますが、二人の秘め事を他者に見せたいとは思いません、忍さんに関しては仕方ないと思いますけどね」
閑話休題
「それじゃ耳かきをしていきますね、あ、耳かき用のグッズはこの前高級店のを買ってきたのを今作り出しました、便利ですねコレ」
「そこまでその能力を自由な使い方をしたのは多分お前が初めてだよ、僕の元主人ですら流石に、耳かきする為だけに物を今作ったりは多分しないよ」
「それじゃ始めますよー、あ、八九寺ちゃんは気を遣ってくれたのか、結構離れた所に行って隠れてくれたみたいですよ。愛されてますねー、阿良々木先輩」
「八九寺は優しいからな、正直、僕が知っている知り合いの中で一番大人じゃないかと思うぐらいにはあいつは割り切って幸せをつかんでいるよ、ところで扇ちゃん、結構恥ずかしいなコレ」
以前僕が阿良々木火憐こと、妹を歯磨きしたときの様に、体内の穴を異性に見られると言うのは、結構恥ずかしく感じるものである、そんな中、優しい感触の耳かき棒で僕の頭を膝枕に乗せながら、僕の体内の内側である耳の穴をかり、こり、と僕を慕う美少女が器具を用いて手ずから少しずつ削っていく感覚は少し気恥ずかしいと言うか、癖になると言うか、何とも言えない感覚が背中からゾワゾワ上って来るが快感に負けぬ様、僕は気を引き締めた。
「どうしました、阿良々木先輩、そんな舐めてかかったら思ったよりも心地よくてそのまま悶えそうな顔をして、そんなに気持ちよかったですか?」
「扇ちゃん、僕がまるで」
「おっと、喋らずにじっとしててくださいよ、せっかく綺麗にした耳に耳垢が落ちちゃうじゃないですかぁ、阿良々木先輩は何も考えず、ふわふわとした感覚の中で私の手の内で弄ばれていればいいんですよ」
こいつ、僕の反応を意地悪く楽しんでいるな?先ほど言われたであろうことは事実なんだろうけど、僕を窘めたあと、わざと感覚が分かりやすい耳穴の外側や、耳の穴の内の浅いところ、ゆっくり、ゆっくりと耳の穴の中を丁寧に、丁寧に、そこまで時間を掛けずに良いところを過剰なまでに手を掛けて綺麗にしていく、時に弱く耳の内側を撫でるような動きをさせたり、普段出していない手を出して耳の外側をそりそりと撫でるようにしながら耳かきをする、かつてここまで倒錯的に耳かきを行われたことはあっただろうか、そう思っているときに不意に梵天側を使い、今まで感覚を高めた所を擽っていく、擽りを耐え、耳かき棒を僕の耳から離していき終わったかと思った瞬間、扇ちゃんが僕の耳に顔を近づけて来た、何をするつもりなのか警戒と期待を抑えつつ待っていると。
「ふー」
「おわぁああ!」
心臓が爆発するかと思った、というか、完全な不意打ちだった、というか、油断の極致であった。この後輩が意地悪な事をとっくに知っているはずなのに僕は何も考えずに身を任せてしまったのだ。
「こっち向いてください、反対を耳かきしますよ」
反対側を耳かきすると聞いたとき、僕はしまった、また嵌められた!と気付いた、何故ならば、彼女の体側に視線を向けてしまう事になる、表情や視線は隠せるが女子の内股で、女子の太ももに挟まれながら、耳かきをされる、こんな特殊なシチュエーションで、僕にとって変態的な状況を生み出されてしまった。これでは、また弄ばれてしまうが、耳かきされることを了承した以上、抵抗することは出来ない、完全に扇ちゃんの策に嵌まっていることを分かっていながらこの状況を知り合いに見られない事を祈った。
「さっきとは違った趣向で耳掃除しましょうか、まずはこの美容液で阿良々木先輩のお耳をマッサージと掃除させて頂きましょう、そういえば、耳の形は人それぞれ違うと言いますが阿良々木先輩と私の場合、一緒だったりするんですかね?それとも、違うお耳なのでしょうか、今じっくり見ておいて今度私のと比べましょう」
彼女はその、暗黒の様な手袋を片手だけ外し、白く、あまりにも白すぎて、透明にも感じるような、その、陶磁の様な指を艶めかしく、僕の目の前に一度ひけらかし、その後、僕の耳を指の一本一本でまるで川の水流の様な優しさで、もみ込み、刷り込み、撫でつける、もはや、耳掃除でも何でもない、ここまでくると性的な行為ではないかと怪しんでしまう程の動きで僕の耳を弄び、僕の体の力が完全に抜けた後、先ほどの様に耳穴を掃除しつつ、布で拭き、仕上げを行ったと思いきや先ほどの様に顔を僕の耳へ近づけ
「はぷ……んちゅ……れろ……んに……はむ」
「ななななな!なんてことをするんだ扇ちゃん!いや、嬉しい!嬉しいけど!急に耳を舐めまわして甘噛みするとかどんなご褒美プレイなんだ!本当にありがとうございます!」
「動揺し過ぎて、本音っぽいのが漏れてますよー、阿良々木先輩はもっとすごい事を他の娘にいつもしているはずなのに、自分がされると弱いんですねぇ、ふふっ、これは良い事を知りました。」
そう言い終えると、僕の傍から立ち上げりくるりと体を翻して扇ちゃんは僕の顔にかなり彼女の顔を近づけると、キスをしようとし、さすがに今までの経験からそれを読んで僕は避けた、と思ったのだが、扇ちゃんは予想通りの様な顔をし、その後こう言った。
「ふふ、残念、キスじゃありません、期待しちゃいましたか?そんな私の期待通りの少し可愛らしい反応をした阿良々木先輩に問題です、私は何時から此処いたでしょう?そんなんだから簡単に罠にはまっちゃうんですよ、あ、八九寺ちゃん、阿良々木先輩を好きにしていーよ、それでは」
そういって、八九寺ちゃんを呼んだあと、どこからか自転車を取り出し、扇ちゃんは階段を駆け抜けていった。
―後日談、というか今回のオチ―
あの後、八九寺に舐められ揉まれ、回され飛ばされ、鯖折りを喰らい、さんざんに弄ばれながらキスの雨を降らされたりプロレス技を一通り喰らったり、色々されたが、やっと落ち着いたのか鼻息荒く、僕を見ていたが、耳を噛むことで落ち着いた。
「ふー!ふー!落ち着きました、阿良々木さんに普段されているせいでついついセクハラの心が」
「何だろう、最近扇ちゃんと言い、お前と言い、なんだか神原化が進んでいないか?女性として大丈夫なのか?いや、普段の僕が言えたことではないんだろうけど、さすがに心配になって来る」
「大丈夫です!阿良々木さんが何時まで生きるかはわかりませんが彼女さんが老衰でお亡くなりになった後、うちの夫婦神の夫として迎えますので!貰われてください、ひょっとしたらそんな事なく大学時代に分かれてしまっているかもしれませんが、具体的には5回ぐらい」
「不吉な具体例を出すんじゃない!僕と戦場ヶ原が分かれる可能性が零とは言わないけど、そんな不吉な予言を神様からされたら絶望するだろ!そして八九寺と僕の夫婦神とかロリコンの変態扱いされるわ!」
「いや、阿良々木さん、あなた、ロリコンの変態は流石にもう否定出来ないでしょうに……まぁ、私でも有り得そうだけど笑えない冗談は止めておきましょう。また明日会いましょうねー」
そういって八九寺が去った後、僕は帰路に付き、火憐ちゃんに歯磨きをねだられ、歯磨きをした際、月火ちゃんに何時ぞやの様に見られ、命乞いなどを行ったあと、翌日、月火ちゃんに八九寺と扇ちゃんが何時から居たのか分かるかをそれとなくぼかして聞いてみると
「うーん、つまり、その子は、お兄ちゃんに耳かきするために参拝する神社で脅迫したんだよねぇ?だったら、最初からいたんじゃないの?何時行くかはお兄ちゃんを知っていれば時間の予想位はなんとなく付くだろうし、それにその脅迫もお兄ちゃん以外なんだかどっちも得してるから、グルだったんじゃないの?」
「なる程、最初から居れば、八九寺と口裏を合わせて計画を立てられるな……」
つまり、扇ちゃんは最初からこの僕、阿良々木暦を罠に嵌めるつもりで、事前に八九寺の神社に向かい、僕を耳かきするために、八九寺と計画を立てた、今思えば、怪異を映る加工をした携帯が、実際にされていたとしても、都合よく僕が八九寺を襲うときにされているわけではない、最初から、釈迦の手の平に居た孫悟空の様に僕は扇ちゃんに弄ばれていた事に気付いたのだった。