PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-01 「目覚め」

 全てが始まるよりも以前、そこには何も無かった。いや、()()であるというように指し示すものなど無かった。

 

 ―だが、ある時に()()が突如として発生した。  

 

 存在という概念が存在し得ない虚無にただ、ただ純粋に白いモノ。いや、空間というべきものの概念が与えられた。

 

 そして、その空間には黒き点が落とされ、それは瞬く間に広がっていき空間を染め上げた。

 

 黒という色を与えられた空間は自らに星というものを創り出し、それは後に星々となった。

 

 ―そう、これが始まりの始まり。宇宙(そら)というものが生まれた日。

 

 故に、宇宙は全ての存在の故郷でもある。

 

 知能という万物を得た生命がこの宇宙へ至った時、全てにおいて満たされたと感じるだろう。

 

 ―だが、同時にそれは恐怖を感じるはずだ。

 

 悲しさ...虚しさ...それがどのような形であるのか、知り得ない、知ることはない。

 

 だから、この場所、この時において、ひと時に目を閉じてみて欲しい。

 

 宇宙を想像すれば、貴方の願う限り漂うことになるだろう。

 

 ―貴方は何を見ることができたのか、知ることができたのか。それを知り得ることは、できない。

 

 それは変異とも取れる可能性、「未来」というもののように.....

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 男の人?が自分の身の丈もあるだろう剣を持ちながら何かに向かって叫んでいる。いや、訴えかけている...?

 

 その男の人?の隣には杖のような武器を持った女の人が居て、辛そうな顔をしている。

 

 次の瞬間、男の人?は覚悟を決めたのか歯を食いしばって構えを取るとその何かに向かって切りかかっていった。

 

 その時、隣に居た女の人はさっきよりももっと辛そうな表情に変わっていて、気が付いた時にはとても眩しい光が辺りを包み込んでしまって.....

 

 

 

 

 「........あっ!予定の時間、過ぎてるじゃないか!さっきまで一度は起きていたはずなのに。」

 

 僕は慌てて時計と時刻表を照らし合わせて無駄にも再確認をした。

 

 「駄目だ...急いでいくよりも弁明する言葉を考えて行く方が賢明そうだよ....」

 

 そう考えると急かしていた手をゆっくりにして、一般員用の服を着用してから簡易携行食のストローを口に咥えたまま部屋の自動ドアを開けた。

 

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 『識別カードを挿入してください。.....認証中です。』

 

 「急いでもしょうがないんだけど無駄に焦るよね....相変わらず認証に手間取るなあ。」

 

 コンベア式の移動機器にカードを通しながらちょっとだけ毎回思う。

 

 『....認証完了、ロックを解除します。場所を指定してください。』

 

 「本当ならテレポートサービスが使えれば良いんだけどな....一般員には無理か。」

 

 叶うことのないことを想像しながらシートに座ると装置は普段通り動き始めた。

 

 「....それにしても最近変な夢ばかりだ。」

 

 体を揺られながらも今朝のことを、僕は思い返していた。

 

 「男の人.....男のような人か、僕から見てもかっこいい人だったなあ。アークスの人が着ているスーツだったからアークスの人なんだろうな。でも、どうして見たこともない人が夢になんか出てきたんだ....?」

 

 昔、夢というのは自分が経験したことしか見ないということを聞いたことがあるのでそう思ったけど、あくまでもそれは科学的に考えた場合だから一概にも言えないのかもしれない。

 

 「それに、あの女の人も見たことがない人だった。忘れているだけなのかもしれないけど、あの人が着ていた服はアークスの着ている物とはどこか違ったし普通じゃない雰囲気だったしな....」

 

 確かにあの女の人はアークスでも、一般員でもなさそうだった。武器を持っていてあの男の人と居たってことはあの人もアークス?....余計に分からなくなってきた。

 

 「...まあ、夢のことを気にしたってあの人たちと会えるわけでも話せるわけでもないしな。第一に話す内容も無いのにどうするんだ。」

 

 『一般区画、ワークセンターに到着しました。お気をつけて。』

 

 考え事をしていて景色が見えていなかったからか気が付いた時には目的地に着いていた。

 

 「ここには初めて来たなあ....まあ、普通何度も来るところじゃないから当然か。」

 

 周りには僕と同じような人や職員の人が特に慌てるまでもなく普通に歩いていた。

 

 「....周りの雰囲気に流されそうだけど遅刻している身だったね。早く行かないと。」

 

 そのことを思い出した僕は足早に入り口のゲートに向かった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「全く、事前に時刻の方はそちらに連絡しておきましたよね?遅れてくるだなんて考えてもみませんでしたよ....」

 

 「....本当にすみませんでした。」

 

 結論を言うとかなり怒られた。

 

 自室を出る前に弁明を考えるとは言ったけれどもいざというときには出てこないものだなあ....

 

 「....まあ今回は後が詰まっていませんでしたから時間調整だけで済みましたが次回からは、次は無いですよ?」

 

 「返す言葉も無いです....」

 

 「はあ、取りあえずこの後は直ぐに適正検査がありますから検査衣に着替えて指定の場所まで行ってください。わかりましたか?」

 

 「分かりました。」

 

 そう、今日は適性検査があるんだ。個室ロッカーで着替えながら再度頭の中で繰り返す。

 

 少し前に指定教育レベルを完了した僕は3日前ほどに適性確認テストを受けて、更に細かい検査を行うためにここに来たんだ。

 

 「....?何だかこの服、検査に使う服と言うよりかはアークスの人が着るみたいな服だな。」

 

 服を着ている最中にそのようなことに気が付いた。

 

 確かにこの服には一部は省略されているもののサポーターが取り付けられていて、他にも何かを接続する為のソケットの跡のようなものも残っていた。

 

 「気のせいだと良いんだけど。それとも過剰なくらいのコストの削減なのかなあ....」

 

 最近ではそういったところには予算が回らないとも噂が立ってるしあり得ることだろう。そう思いながらも着替えを終えて指定されている部屋へと向かった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「すみません、検査室はここで合ってますか?」

 

 部屋のドアを開けて、目についた白衣の男の人に声をかけてみた。

 

 「?確かに合っているが連絡が来ていたのは君だったか。」

 

 「はい、そうだと思います。あの人が間違ってなければですけど....」

 

 確認の為に取りあえず身元が分かるように識別カードを渡した。基本的にこれに情報は記載されるからこれを見せれば多分だけど分かるはずかな。

 

 「....確かにそうだな、表記通りだ。では、早速検査に取りかかる。そこのロックを外すから中に入って待機してくれ。」

 

 「分かりました。」

 

 「おい、4番のロックを外すから準備しておいてくれ。後の作業もつかえているんだ。」

 

 少し奥にある操作盤に居た白衣の人が反応して準備をしていた。

 

 「ああ、そうだった。次の指示はその服に着いている通信機で行うから聞き漏らさないように良く聞いておいてくれよ。」

 

 「そんなものが着いてたんですか?」

 

 「そうだ。まだ電源が入っていないだろうから首、ここの辺りだな。押してみてくれ。」

 

 言われた僕はその人が差した首の位置を探した。するとスイッチ?のようなものが引っ掛かったので試しにそれを押すとノイズのようなものが一瞬走った。恐らくこれだね。

 

 「でも、検査をするのにこんなものが要るんですか?」

 

 その時、前から気になり始めていたことをその人に思い切って聞いてみた。

 

 「なんだ?聞いていなかったのか。この検査は君の身体能力を調べる検査だ、適性確認テストの返答を確認していれば分かるはずだぞ。」

 

 「テストの返答....あ、確認してない!」

 

 「....まあ今確認したところで変わることも無いしな、後からでも確認すると良い。」

 

 普通の適性検査だと思っていたけど、やっぱりおかしいわけだ。じゃあ、このテストは何だって言うんだ....?

 

 「ちょっと待ってください!この検査の目的だけでも教えてくださいよ!」

 

 「何と言われてもな、君がアークスに適するかどうかの検査だよ。まあ、頑張ってくれ。」

 

 それを聞いた瞬間頭の中が一瞬だけ真っ白になった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 『....よし、機動力の検査はここまでで大丈夫だ。次の検査に移るからしっかり聞いておいてくれよ。』

 

 あれから僕は混乱しながらも指示通りに検査を受けていったんだ。

 

 走らされたり、障害物を飛び越えたり、吹き飛ばされたりもした。まあ、吹き飛ばされるのは攻撃を受けた時に体を受けられるかどうかの検査なんだけどね.....いきなり一般員にさせるものじゃないでしょうよ。

 

 「はあ、機動力の検査の次ですか。分かりました。」

 

 そんなこともあって基礎的?な検査はここまでで終わりで次の検査になるらしい。

 

 『じゃあ、次に行くぞ。今、武器をそっちに出すから手に持ってくれ。』

 

 そう言われると部屋の壁にあった小さな扉が開いた。

 

 「.....銃、ですか?」

 

 先程言われたようにその武器、銃を手に取ってみたんだ。想像より、かなり重くて驚いたけどね。

 

 『そうだ。その銃はアークスで用いられている汎用型のライフル銃だ。まあ検査用に調整してあるから経験がなくとも扱えるはずさ、構えてみてくれ。」

 

 「合ってるか分からないですけど、これで良いですかね。」

 

 何処かで見たように見真似でストックを肩に当てて、それから照準をする場所の直線上に目が来るようにして構えた。

 

 『ああ、構え方はそれで大丈夫だ。少し旧式なのが不安だが....じゃあ指示を出すぞ。』

 

 どうやら構えだけは出来たのかな、そう思って安心していると少し離れた場所に的?が出てきたんだ。

 

 『今目の前に標的を出した。位置はその場所からで良いから撃って当ててみてくれ。遠慮は要らないから思い切りな、分かったか?』

 

 「わ、分かりました。」

 

 そう言われた僕は標的に向かって銃を構えた。

 

 『弾はもう入っているから安全装置を外して、コッキングレバーを引いてくれ。まだ弾は装填されていないからな。安全装置は握っている部分の直ぐ上にあるぞ。』

 

 言われた通りにして安全装置?を外すと軽い音が鳴って、レバーを引くと金属の音が響いた。レバーはかなり重かったかな。間違えて指を挟み込んでしまえば怪我しそうだ。

 

 そうして、取りあえず弾を込めることができた僕は試しにその引き金を引いてみた。

 

 「っ!しまった!」

 

 引き金を引くと乾いた音が部屋に響いた、それと同時に考えていなかった衝撃がいきなり来て銃の照準を思い切りずらしてしまったんだ。おまけにその反動で顔にストックが当たって少し擦ってしまった、痛い。

 

 その1秒もしない時間が流れた後、すぐさま部屋の壁を弾が跳ねる音が聞こえた。

 

 『....まあ、最初は誰でもそんな感じだ。今ので大体その武器の勝手は分かっただろう?その状態でもう一度撃ってみてくれ。』

 

 「は、はあ。」

 

 少し動転していたけれど、それでは当然テストにならなくなってしまうから気を取り直してもう一度僕は構え直した。

 

 「集中して、集中だ。そう、集中....」

 

 そうして僕はもう一度引き金を注意して引いた。

 

 『なるほどなあ....』

 

 再び銃の乾いた音が部屋に響き渡って、その弾は飛んで行った。的には.....

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「.....ということだな。まあ、お疲れ様。検査はこれでおしまいだ。今日のところは自分の部屋に戻って休んでくれ。結果は後日転送しておくから見忘れないように。」

 

 「はあ、分かりました....」

 

 「検査服はロッカーに入れておいてくれれば大丈夫だ、それではな。」

 

 取りあえずのところは検査は終わった、のかな?検査を終えて話を聞き終わった僕はロッカールームに向かいながら考えていた。

 

 結果を言うと失敗続きだった。

 

 最初の銃を扱うまでの検査までは僕なりに普通に出来たと勝手に自負はしているけれど、その後は散々だったな....

 

 まず剣の扱い、大剣?という武器は振り回すことはおろか持つのが困難で他の刃が付いている武器は持つことはできても散々な扱いで終わった。

 

 「大体あれで戦うったって凄い近く、目の前にまで敵が居るのに武器なんてまともに振れそうにないなあ....」

 

 ちょっと悔しくて言い訳みたいなことを言ってしまう。

 

 「....それに敵、エネミーと言っても生き物に刃物を振るなんて出来ない話だな。全く、どうして僕に適性があるなんて診断したんだろうな。」

 

 いよいよ着替え終わった僕はため息をついて、ここには無い適性検査の機械に文句を呟きながらロッカーを後にした。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「そういえば彼、何て言う名前の子?」

 

 「?なんだ、別に知ってもどうでも良いことだろうよ。」

 

 白衣の男はそう返した。

 

 「何だかあの子、最近にしては珍しく素直な子だなあ...なんて思ったからよ。純粋に気になったの。」

 

 助手の女は言う。

 

 「?良くわからないことを言うのが君は好きなんだな....まあ、言っても減るものではないしな。えっと、彼の名前は――――ノアだ。」

 

 

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