PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742 作:Begew Garand
「.....はあ。」
暇つぶしにコンソールで調べ物を続けていたけれど....今のところ知りたいと思うようなことが無くなってしまってその作業をする手も止まっていた。
「飲み物でも取って来よう....」
そう考えた僕は机のコンソールの電源を一旦落としてから椅子を立ち上がった。朝駐在所に来てからというものずっと椅子に座り続けていたせいか立ち上がると少しだけ目眩がした。
「うっ、酷いな...」
少しだけ吐き気を覚えながらも取りあえず息を深く吸ってから気分を少し落ち着かせた。
「こういうのを貧血とかって言ったっけ....おかしいな、既定の食事はしっかり摂っているはずなのに体調不良になるなんて。」
誰も居なくなった部屋で部屋で僕は誰かに言い聞かせるように文句を呟いた。ちなみにバーンズさんは数時間前に入った連絡で現場に向かっていてここに居るのは僕だけだった。
「食べている物じゃなくて別の要因があったりして....また調べなきゃいけないことが増えたな。」
C.R.S.Fの暴動からかなりの時間が経ったけれどあの組織は次の行動を直ぐには起こさないのか数日ほど経過していた。普段ならあまり大々的に報じられたりはしないけれどあの暴動は珍しくかなり大きく広まったようで艦内は一般員もアークスも含めてとても警戒心が高くなっているみたいだ。それで、そのことが問題でちょっとしたいざこざに発展してしまってM.Sが呼び出される...こういうことが最近は多くなってきているかな。ちなみにバーンズさんはそのタイプの問題で現場に行っている。
「それにしても大きな問題が起こらないのは良いけれどこうやって意味もなく小さい問題が頻発するようになるのはあんまりだな。いざという時に動けないじゃないか。現にバーンズさんが居ないしこんな状態で事態が起こったら.....なんて考えたら駄目だな。」
そうして考え事をしながらも僕は駐在所の直ぐ横にある自販機で普段の精製水を買って、取り出し口から商品を取り出していた。
『.....』
「....?なんだろう、一瞬だけノイズが聞こえたような。」
キャップを開けて精製水に口をつけようとした時、無線が入った時に聞こえる独特なノイズが聞こえてきた。
「もしかしてバーンズさんから連絡、だったとしたらしっかりと受信できているはずか。ここなら電波は悪くないはずだし....」
基本的に僕に入る連絡はバーンズさんからしか入らないからそれ以外の人物からっていうのは普通なら無いはずなんだけどね、ここなら電波が妨害されるような場所じゃないし上手く受信できないなんてはずは無い。でも、だとしたら....?
「....取りあえずあっちで何も起きていないか一応連絡しておくかな。」
それで僕はバーンズさんに向かって連絡を飛ばした。するといつもの通り無線は普通に使うことが出来た。接続時のあの音が聞こえる。
『どうしたノア君、いきなり無線なんて飛ばして....何かあったりしたのか?』
普段しないようなことをしたせいか不思議そうにバーンズさんは話してきた。通信自体は問題なく出来るのか。
「い、いや、無線の調子が悪いみたいで....もしかしたらそちらから連絡が入ったような挙動をしたのでそれで確認の為に連絡しました。」
『?そうか、まあこっちの方は特に問題は無いぞ。大して大事でも無いから普段通り直ぐに戻れるさ。』
「何もなければ良かったです。じゃあ、こちらも待機状態を維持しますね。」
『ん、宜しく頼む....っておい!やめろお前ら!こんなところで殴り合っても何もないぞ!この....』
「.....は、はあ。」
そこで連絡は切れた。
「....一応バーンズさんからじゃないことは確認できたけど、そうだとしたら僕に連絡を入れることのできる人物は居ないぞ?」
確認することはできたけれど逆に謎は深まるばかりだった。こんなことは今までなかったから少し不安だな...
「連絡先も持っているのはバーンズさんを除いてレピカちゃんしかいないし、流石にあの子が連絡を飛ばしてくるなんてことは無いはずだしな。まったく.....」
取りあえず外で突っ立っていても仕方が無く思った僕は駐在所に戻った。
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「.....やっぱり無線機にも問題は無さそうだな。何処も故障していない、とは思うけど。」
あれから待機室に戻った僕は椅子に座り直すとコンソールの電源を再び入れ直して、それで自分の使っている無線機のマニュアルを調べ出して故障をしていないかどうかを調べていた。
「やっぱり僕の知識量じゃ理解するには限界があるな。本当に壊れていないかも分からないや....」
けれど僕の知っていることでは限界があって詳細までは分からなかった。壊れると困るんだけどな....
『.....通信を受信しました。ファイルデータのダウンロードを開始します。』
「ファイルデータ?.....って不味い!ウイルスか何かか!?」
無線機が壊れているかどうかあらかた調べ尽くして疲れた僕はコンソールに前にうつ伏せになっていると突然コンソールからアナウンスが流れてきたんだ。ファイルデータのダウンロード?
「ど、どうしよう、作業進行が止まらないぞ....」
コンソールの画面に表示されているダウンロード作業中と表記されているタブをいくら閉じようとしても閉じることが出来なかった。かなり強引なプログラムが組まれているみたいで普通には閉じられそうにない。
『ダウンロードが完了しました、通信を終了します。』
そうこうしているとダウンロードは終わったようでコンソールの画面からはダウンロードの画面が消えて一つのファイルデータが表示されるだけになった。
「....何も起こらないけど、一体何のファイルが送られてきたんだ?」
ダウンロードは終了したけれど特にコンソールに何か動作不良を起こすということも無くて機能も普段通りだった。
「開けてみようかな...」
普通ならここでファイルを開けるなんてことはしないはずなんだけど...僕の場合は好奇心の方が勝ってしまってついそのファイルを開いて見てしまったんだ。
「これは....この艦の地図か。一部しか映っていないけど...地図の番号がフェルノートの物だから見当は付くな。」
ファイルを開けてみるとそれにはこの
「?この部分だけ何か印が付いてるな、何だろう。」
そうして地図をゆっくり眺めていると一つだけ気になるところがあったんだ。そこには赤く印がつけられていてカーソルで調べることが出来るようになっていた。
「押してみるか。これが何なのか分かるかもしれないし....」
それで僕がその印を調べてみると地図の表記されているタブの上に重なるようにして文章が表示されたんだ。文章は短く一文だけですぐさま表示された。
「えっと、救助要請、記載の地点にまで合流を願う.....って救助要請!?」
その文章は助けを求める文章だった。
「こんな方法で連絡を受けるのは初めてだな...というよりもこれってM.S宛に送ったというより僕個人に当てて送ってきたのか?」
普通ならこういったことはM.Sに連絡をするものだけど、これは明らかに僕個人に向けて送られた物みたいだ。
「マニュアルにもそういったことは書かれていないし、これに答える義務はないみたいだけれど放っておくのもな....」
M.Sのマニュアルでは基本的に支部を経由して送られてきた連絡に対して対応をするように。そうやって表記されているけれど直接個人に送られてきたものに対しては何も書かれていなかった。
「.....バーンズさんに連絡をして現場に向かおう。何かは分からないけど....ここには何かあるはずだ。」
こうして僕は連絡を改めてバーンズさんに飛ばした。
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「地図によればこの辺りのはずなんだけど....」
端末にコンソールに送られてきた地図のデータを映しながらも僕はその地図が指し示す場所を探していた。
「おかしいな、廃墟のビルがあるだけじゃないか。」
けれど、その指し示す場所は今は使っていないビルの位置でとてもじゃないけれど人が居そうな気配はしない。
「大通りからも離れているし路地だから薄暗いし...どっちが救助して欲しいか分からないじゃないか。」
文句を漏らしながらも僕にデータを送りつけてきた人物がいないかどうか探し続けていた。だけどやっぱりその地点の周囲には誰も居なくて無駄に時間が過ぎるだけだった。
「....想像はしたくないけどこのビルの中じゃないよね?」
僕は嫌なことを想像しながらも目の前にそびえるビルを見上げた。
「かなり古い建物だな、人の手も全く入っていないし...随分前から使っていない気がする。」
入るつもりは今のところ無いけれど、取りあえず僕は建物の入り口に向かった。
「ドアは...流石に機能してないよな。電気も通じてないみたいだし。」
自動ドアの前に立ってみたけれどドアが開くどころかセンサーすら反応していないみたいだった。まあ、これだけ埃だらけなら見た目から分かるか....
「仕方ないな....バーンズさんに連絡をかけてから駐在所に戻ろう。やっぱりいたずらか何かだったんだ。」
そうして踵を返して帰ろうとした時だった。
『助けて......助けて下さい......私は、私はここに.....』
「!?」
その時、僕の無線機にノイズが走った。あの時と同じだ!
「ま、待ってください!貴方は、貴方は一体.....」
『.....』
返答を聞こうとしたけれど、その声を聞くことなく連絡が切れてしまった。
「くそっ....やっぱり中に入るしかないのか?」
私はここに、そう聞いた僕はその時まで中に入ることなんて考えていなかったけれど...意を決して中に入ることにした。
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「げほっ、げほっ.....やっぱり埃が酷いな。マスクの一つでも持ってくれば良かったよ....」
自動ドアを無理矢理手で押して何とか開けることが出来た僕は暗い室内に持っていたライトで照らしながら進んでいた。だけど埃が歩く度に床から巻き上がってむせていた。
「見たところ普通のビルの受付みたいだけど、まるで人が踏み込んだような形跡が無いな。」
今までのことから考えると唯一の入り口である自動ドアは閉じていたしこの建物の床は埃だらけだから歩けば跡が付くはずだけど....
「これは探すのが大変だぞ....?」
それで探すことが難しいということに気が付いて少し落胆していると電気の通っていないはずの建物の中に光る何かを見つけたんだ。
「緑色の光.....おかしいな、ここには電気が通っていないはずだぞ?」
その光に向かって歩いて行くとその光っている場所が見えてきた。ライトの光ではっきりと見える。
「キーロック付きの扉か、ここだけに電気が通ってるのか?」
それはドアの横に鍵のシステムが取り付けられている一般的な扉だった。だけど、どうしてここだけに電気が通ってるんだ.....?
「鍵を持っていないから開けられないか....って、開いてる?」
鍵を持っていないけれど、一応確認の為にドアを手で押してみると簡単にそれは開いてしまったんだ。
「...ここまで来たら中に入るしかないよね。」
そうして僕はドアを開けて中に入っていった。
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「凄いな....ここだけはまだ電気が通ってるのか。」
あれから建物の中にあった扉に進んで行った僕は中にあった施設の中を捜索していた。
「どんなことをする為の機械なのか分からないけれど、何かを作っていた場所みたいだな。」
施設の中はさっきまでのビルとは全く違って電気が付いていて明らかに生きている場所だった。だけど人気を感じないのは変わらなかった。
「さっき連絡をくれた人が居るのならここに間違いは無いはずだけど...気配すら感じないのは何か怖いな。」
配管を潜り抜けながらも数回階段を下りて施設の内部をくまなく捜索していた。だけど肝心の連絡をくれた人は見つからなかったんだ。
「何処かに人が居そうな場所があれば良いんだけど......」
そうして電機は付いているけれど微妙に薄暗い室内にライトを照らしながらそう言った場所を探していた。
「.....?あそこだけ周りと何か違うな。」
すると他の場所とは違う雰囲気の場所を見つけることが出来た。
「あれはカプセル.....?何なんだろう。」
そうして近づいた僕は恐る恐るカプセルの中を覗き込んだんだ、するとそこには....
「こ、これは......」
そこには、女の人が横たわっていた。