PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742 作:Begew Garand
「おい!カプセルを発見したぞ!こっちだ!」
「!」
パーツの換装が終わって少し息をおいていると不意に部屋の入り口の方からノイズ交じりの低い声が聞こえてきた。さっき遭遇したキャストの人達の仲間か?だとしたら....
「確かにカプセルはあるけれど、中身が無いじゃないの!」
高めの声が聞こえる。キャストの女の人も居るのか。
「しかし、聞いていたのはこの形状のだぞ?見ろ、3つのカプセルの内の一つじゃないか。」
「.....あのねえ、中身が入ってないって言っているでしょうが!」
どうやら僕の方が先に来てしまったみたいだ。あっちの方の作戦にも異常が出てるみたいだし....まあ、僕はM.Sだから悪いことじゃないんだけれど。
「はあ、取りあえず他の場所も探すよ、それはもう良いから。」
「分かったよ....」
どうやらここは保留にして他の場所を探しに行くみたいだ。今の状況としてはありがたいことだけど、あれが3つのカプセルの内の一つだって?一体どういうことなんだろう。
「.....行った、ようです。反応が遠く、確認できます。」
カプセルについて考えているとミィーンさんは突然そんなことを伝えてくれた。だけど、ここからだと見えていないはずなのにどうしてだ?
「反応って....そんなことも分かるんですか?もっと大掛かりなものが無いと正しく表記されないとか、聞いたことがあるんですけど。」
そう聞くとミィーンさんは一度頷いてから詳細を教えてくれた。
「正確に言えば、その通りです。ですが、私に装備されている、これは独自の物で、性能は少しは良いはずです。」
「そ、そんなことまで....」
ミィーンさんは目を閉じながら続ける。
「....まあ、より気を引き締めて行きましょう。見つかると想像の通り面倒なことになりますから。」
そうして僕とミィーンさんは装置のあった部屋からなるべく音を立てないようにしながらも急ぎ足で出た。
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「....本当に居ないですね。」
部屋の入り口の角から少しだけ顔を出して確認をしたけれど...ミィーンさんの言う通りそこには誰も居なかった。
「ですが、相手は何人居るのか.....察知出来なかった時は、ごめんなさい。」
「い、いえ、情報は多い方が有利ですからありがたい限りですよ。だから、謝らないで下さい。」
「....分かりました。」
ミィーンさんはそこからはしっかりと持ち直したようで顔を再び上げていた。
「取りあえずですけど、さっき通った道は行っても仕方が無いですから可能性の高い場所に行ってみましょう。ここだってそう大きくは無いはずですから。」
そう言いながら周囲を見渡す。
「えっと、まずは反対側に行ってみましょうか。」
「...はい。」
閉じてしまった出口の方へ向かう通路を通っても仕方が無い為に僕とミィーンさんはそちらとは逆の方向へ進んで行った。僕のブーツとミィーンさんの足のパーツが床に当たる音が静かに響く。
「何も無いと良いけれど.....」
警戒を怠らずに神経を常に尖らせ続けながら進んでいく。かなり疲れてしまうけれど見つかるよりはいい。
「.....ノアさん。」
その時ミィーンさんが突然後ろから何とか聞き取れるほどの小さな声で僕を呼んだんだ。それであまり声も出せないから僕は目線で返事を返した。
「今居る通路、正面突き当り右....反応があります。」
騒ぎを起こさないように静かにここを出ようと考えたけれど....どうやら誰にも遭遇せずに行くのは無理みたいだ。こればかりは仕方が無いと思って僕は咄嗟の判断でミィーンさんと別れて丁度死角になる部分にある通路の脇に身を潜めることにした。まだ気配とか足音とかが聞こえてきた訳じゃないけど、ここは待つしかないな。
「......」
さっきよりも更に音を立てないようにしながら通路脇で息を潜める。するとノイズのようなものが向こう側から何度か流れてきた。耳障りな音が広いとは言えない通路の壁を反響して伝わってくる。
「....おい、もう一回画像を確認しておけよ。何か間違いがあると困るからな。」
さっきとは違う男の声が聞こえてきた。画像って、さっきの人達と同じ物なら....C.R.S.Fか。
「だけどよ...こんなもの画像を見なくたって分かるぜ?馬鹿にするなよ。」
もう一人の方も男の人か。基本的にここに割当てられているのは2人組?で行動しているみたいで今まで遭遇してしまった人達もそうだった。その会話をしたところで一旦歩くのが止まったけれど、また動き出したみたいだ。女性用のパーツとは違って重厚な音が連なって近づいて来る。
「だからこそだ。こんな簡単なものを失敗なんかしてみろ、後ろから指を指されるぞ。」
「そりゃあ、ごもっともなことだけどよ....」
やっぱり、バーンズさんが言っていたようにC.R.S.Fはこのままだと更に過激な状態に入っていくのかもしれないな。僕の予想でしか無いけれど...多分この人、ミィーンさんを連れて行って何かをしようとしているんだ。それも、とてつもなく恐ろしいことを。
「....」
聞こえてくる会話から想像して思考を巡らせているとミィーンさんがこちらの方を向いて口ではなく目で合図を出してきた。もうすぐ近くまで来ているのか。
「あー....俺もこんなことしていないで
「...悪い知らせだが近いうちには無いぞ、少し前にやったのでかなりこちらも消耗して捕まった奴も少しばかり居る。そんな状況ではな。」
続けて歩く音が響く。このまま何も無ければ良いけど....深く呼吸をしながらそう思った時だった、僕の持っている端末が不意に鳴ってしまったのは。
「?今何か聞こえたよな。」
今思えばこんなことになるなんて全く考えていなくて....端末の電源なんて確認すらしていなかった。それから僕は慌てて端末の電源を落とした。事後で意味は無いだろうけど...
「こっちも今聞こえたが....ここには他の
「だけどよ、あんな音鳴らすのは一般員用の安物ぐらいだぞ?俺たちが正規じゃないにしても使うものは正規のアークスと同じ物だしな...」
くそ、変なところにだけは感が良い人だ。音で聞き分けるなんて....
「....確かに考えてみればそうだな、確認をする必要がある。音の聞こえてきた方は分かるか?」
ど、どうするんだ、こんな状況で一番の最適な答えなんて。一番良いのは今までやったことを再現してみることだけど、さっきと同じように済ませる.....には無理があるな。おまけにフラッシュバッチはあれからまだチャージが終わってない。ランプはまだ赤だ。
「少し奥に行った方の角からか?そこからだった気がするな。」
着実に近づいてくる足音が大きくなってくる。どうすれば.....
「.....」
手段は無いかと考えているとミィーンさんがもう一度こちらを向いて合図を送っていた。それも今度は目じゃなくて手で。僕はハンドサインには詳しくないけれどニュアンスで情報を読み取って....私が、前に出る、拳...は攻撃?だとしたらミィーンさんがやるのか?
「...!」
まだ起きてから幾分も経っていないミィーンさんに駄目だと合図を送ろうとしたけれど...既にミィーンさんは動き始めてしまっていたんだ。彼女は隠れていた場所から男の人達の居る通路に飛び出た。
「な、何だお前は!動くんじゃねえぞ!」
「待て!銃を下げろ、相手を良く見るんだ。情報にあった試験体にそっくりだろう?」
「.....確かにそうだが、パーツが違うじゃねえか。もっとこう...人工皮膚の露出が多かったはずだ。」
どうやらさっきパーツの交換をしたことはあっちにとっても想定外だったみたいだ。
「まあ良い、発見できたことには変わりは無いからな。俺が拠点まで連れて行く、残りはお前が....」
その言葉が聞こえた時、ミィーンさんは既に小銃を構えていた。
「馬鹿な、そんなに早く....」
男の人の言葉が出たと思えば間髪入れずにすぐさま凄まじい轟音が響いた。同時に発砲時の発火炎で通路が橙色に染まる。
「うわああああっ!!」
大きな発砲音に紛れて少しだけ叫び声が聞こえてくる。けれど、それも長くは無くて数分も経たないうちに終わった。僕はどうなったのか確認する為にミィーンさんと同じように通路へ飛び出た。
「ミィーンさん!大丈夫ですか!」
「は、はい....」
通路へ出ると真っ先に見えたのはさっきまで話をしていた人達でヘッドパーツの接続部分だけを綺麗に撃ち抜かれて床に倒れていた。ちなみにミィーンさんは大した攻撃は受けていないみたいだけれど通路の床に座り込んでいた。
「何処か怪我でもしたりとか.....」
「いえ、大丈夫です。少し、精神を....」
さっきまでと比べてかなり弱ってしまっているみたいだ。キャストなら
「....ごめんなさい。まだ、万全では。」
「万全ではないのは分かっています!だから、今みたいな無理はしないでください。僕が止められなかったのもありますけど...」
ミィーンさんはうつむいたままだ。こういう時にどうしたら良いのか知ってさえいれば....そう思った時だった。
「......駄目、みたいです。」
「へ?何がですか?」
「......」
「ミィーンさん?どうしたんですか?」
『本体の精神状態に異常あり。応急処置、スリープ状態に移行します。』
ミィーンさんが倒れてしまったのは。
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『No.02の確認が行えません。重重大な異常が発生していいいます。現状の復復帰を行ってください。繰り返しま
.....何度システムのアナウンスが繰り返し鳴ったのか分からないほどに時間が経過した後、ワタシはどれぐらいの時間か分からないけれどカプセルの中で目が覚めた。それで、強制的にカプセルから出ようとして何とかカバーを破壊した。偶然だけど、パーツが付け替えられたままの状態で良かった。破壊と同時にあのうっとおしいアナウンスが停止する。
「この感覚、もう一人のワタシに何か.....」
目覚めてから感じるこの感覚は...もう一人のワタシに何か起こっている知らせだ。なら、急いでいかないと....
「....そうだ、もう一人の方のワタシにも来てもらわないとね。」
急いで向かおうとしたけれど、まだもう一人の方のワタシが出てきていないことを隣のカプセルが閉まっていることで確認したワタシは同じようにしてカプセルのカバーを破壊した。今度は簡単だった。
「.....もう一人のわたしも感じたのですね。この感覚を。」
中を見れば以前と同じようにしてワタシと同じ姿形のワタシがそこに居た。
「そうね、だから早く行きましょう。もう一人の方のワタシ。」
そうして完全に起き上がることが出来たワタシはもう一人の方のワタシと一緒にもう一人のワタシの居る場所へと惹かれるようにして向かい始めた。
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「....駄目だ、スリープモードに入った時の対処法なんて知ってる訳ないじゃないか!」
ミィーンさんが小銃を放ってから数分後、僕は突然スリープモードになってしまったミィーンさんを抱えて途方に暮れていた。
「前にも同じようなこと、フィリンさんの時に同じようなことがあったけれど今とは状況が違うし。どうしたら良いんだ?」
確か前にフィリンさんが応急処置のスリープモードから復帰した時って何かの条件を満たしたから、だったかな。やっぱり規定の値にまで容態が回復しないと駄目なんだろうか。
「運んであげたいところだけど....と、とてもじゃないけどこれを持ち上げるのは、うっ。」
取りあえず運び出して適切な治療を、と思ったけれど上半身だけのフィリンさんでも相当な重さがあったっていうのにそれを次は五体満足のキャストの人を持ち上げるなんてことは到底できなかった。せめて後1人、いや2人居ても良いぐらいだ。
「ここだと通信機は使えないし、バーンズさんもか。僕だけで行動してスリープ状態のミィーンさんを連れていかれても困るし、ここからは動けないな。何か考えないと....」
助けを呼びに行こうとしてもミィーンさんは絶対に放置出来ないし...運びながら行動をしようとしても僕自身が抱え上げられないし一体どんな方法を考え付けば良いんだ?他にもC.R.S.Fが居るということもあって焦りを感じながらもその場から動けずにいた。
「うーん.....って、足音!?」
そうして悩んでいると何処からか走るような足音が聞こえてきたんだ。それも、かなり軽快な感覚で。
「ここで僕達以外に来ると言えば、C.R.S.Fしか居ない!取りあえず攻撃は出来るようにしないと....」
僕はその近づいてくる何かに備えるためにミィーンさんを抱えていた手を一旦放してからゆっくりと彼女を床に寝させると腰から急いで銃を取り出して残段数を確認した。