PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742 作:Begew Garand
「何だか、寂れた場所だったわね。もっとM.Sには人手があると思っていたのだけれど....」
M.Sの支部で備品の受け取りと諸々の説明を受け終わった私は次に指示された場所へと向かうために最寄りのコンベアへ向かっていた。
「まさかハイキャストしか居ないなんてね....人は全員現場に当てられているってことかしら。」
ちなみに支部では不思議なことばかりだった。だって、生きている人間が1人も居なかったんだから。居たのは汎用タイプのハイキャストだけ。何だか不気味だったわ。
「旧型艦なのが理由の1つだと思いたいけど、まあ気にしても仕方が無いことよね....」
基本的に重要度の高い艦、つまり比較的新しい艦の方が優遇される。まあ、人手が多く回されるってところかしらね。そう考えればこんな状態なのも理解できるわ。
『識別カードを挿入してください。』
「カードね、えっと....あったわ。」
ただ、最近の状態を見ればこの艦にも増員をした方が良いとは思うけれど...上には上の考え方があるのかしらね。
『認証中です。....認証完了、ロックを解除します。場所を指定してください。』
「行き先はさっき貰った地図の位置で、ここよね。」
考えたいことはあるけれど...私は目先のコンベアに行き先を的確に入力していった。
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「....この辺りね。」
私はコンベアから降りると端末で地図を確認した。
「それにしても、見にくいわね。物理端末なんて昔に少し使ったくらいよ。全く...」
ちなみに以前まで使っていた端末は回収されて、今は新しく支給された物理端末を使っているわ。正規のアークスでないとあれは所持できないから。
「それにしても静かな場所ね....こんな場所でM.Sが必要になることなんてあるのかしら。」
私は建物を探しながら周りの風景も視界に入れると人通りの少ない静かな通りが見えた。
「まあ、私のようなのを送り付けるには最適な
それにしてもこの辺りの風景に見覚えがある気がするのは気のせい.....やっぱり気のせいね、私の自室からは遠すぎるもの。
「....?あのマーク、M.Sのマークよね。」
そうして探していたけれど、ある建物が視界に入った時にM.Sのマークの入ったドアを見つけられた。私の眼の拡大機能がおかしくなければあっているはず。取りあえず私はその建物に近づいた。
「ここもあまり管理が行き届いていないわね....」
ドア越しに見える室内の様子を見ると清掃の行き届いていない床が見えた。人手が足りない影響は意外と大きいのかしらね。
「まあ、贅沢なんて言えないわね....」
それで、引き続けてドアの前で中の様子を見ていると不意に後ろから足音が聞こえた。
「あの、何か御用ですか?」
続けてその足音の主の声が聞こえてくる。
「御用も何も私は今日ここに配属にな....って、貴方は。」
返事を返すために私は振り向くと、見覚えのある顔がそこにはあった。
「あっ!フィリンさんじゃないですか。どうしてここに?」
この間のM.S、ノアって言ったかしら。出会ったときには不明瞭にしか顔を見ることが出来なかったからあまり覚えていなかったわ....
「どうしてって....私はここに配属になったのよ。貴方こそどうしてここにいるの?」
そう聞き返すと彼は困ったように返事を返して来た。
「いえ、ここは僕も配属になっているところですから....取りあえず中に入りましょうか。」
色々と言いたいことはあるけれど、私は一旦抑えて彼と一緒に建物へ入った。
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「一度来たけれど、あまり覚えていないものね....」
「まあ、あの時は落ち着けるような状態じゃなかったですから。」
中へ入ると何となく覚えている内装が広がっていた。やっぱり、完全には覚えてはいなかったけれど。
「少し飲み物を取ってから行きますから先に待機室で.....えっと、あの部屋ですね。先に行かれててください。」
「分かったわ、明かりのついてる部屋ね。」
指で指された方を見ると明かりが洩れている部屋が見えた。あそこが待機室ね。
「それにしても質素な作りね、駐在所の規模なら当たり前なのかもしれないけど....少し心細いわね。」
待機室、ロッカールーム、倉庫....本当に必要な部屋しかないわね。まあ、費用がかけられないのは以前から聞いていたけれどまさかここまでとは思わなかったわ。
「ここは、何となく覚えているわね。あの机の後ろだったかしら.....」
私は微かに覚えていた机の方を見た。あの時は椅子に立てかけられて....ここだけは記憶にあるわ。
「あ、そこの席の椅子は今は誰にもあたっていないものですから座られて大丈夫ですよ。」
そうして待機室を眺めていると用事を済ませた彼が待機室に入って来ていた。取りあえず私は言われた通り近くにある椅子を手で寄せて座った。しばらくは使っていない椅子みたいね....
「ここに配属になったということはこのうちのコンソール台の1つがフィリンさんに割り当てられるはずなんですけど....ちょっとバーンズさんに聞いてみますね。」
そう言うと彼は無線機を取り出した。バーンズ....もう一人いた方のM.Sだったかしら、彼よりも少し大きいぐらいの。
「あ、バーンズさんですか?少し聞きたいことがあって、はい。そちらの方に何か連絡とかって.....」
それからしばらく会話をして、無事に連絡を取ることが出来たのか無線機の電源を切ったのが見えた。
「....どう?連絡はとれたかしら。」
「まあ、一応はですか。バーンズさんの方には連絡が来てるみたいです。僕はまだ経験が浅いですからそう言った連絡はバーンズさんに行くみたいですしね。」
どうやら彼には連絡は来ていなかったらしい。まあ、教えることに適していないという判断なのかしらね。
「取りあえず、バーンズさんから簡単なことは教えておいて欲しいと言われたので軽く説明していきますね。」
「じゃあ、お願いするわね。私は貴方よりここには詳しくないから。」
そうすると彼はまず目の前にあるコンソール台の説明から始めてくれた。
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「....まあ、こんなところです。倉庫はそれなりの事態じゃないと滅多に使わないので使用頻度もですか。」
倉庫の方を見ながら彼は言う。
「あの倉庫にはそういう役割があったのね。」
「はい、良ければ後でお見せしますね。一応の確認は必要ですから。」
ここまでで彼は様々なことを教えてくれたわ。彼自身は経験が浅いと言っているけど...そんなことは無いように感じる。まあ、日が浅いってことなのかしらね。
「....ああ、そう言えばフィリンさんはもう備品の確認はしましたか?」
「備品...支部で貰った物?」
「支部で貰ったのなら多分それだと思うんですけど...少し見せて貰って大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、少し待ってね。」
そこで私は少し前に支部で貰った備品の入った箱を出して彼に見えるように机の上に出した。
「えっと.....ああ、僕が貰ったのと同じデザインですね。毎回違うものが使われるのかと思ってましたけど、どうやら違ったみたいです。」
そう言うと彼は自分の机の方?から自分の空になった備品箱を見せてくれた。それは確かに私の貰ったものと同じ物だった。
「ちなみに中はもう見ましたか?色々と入っているので目は通しておいた方が良いんですけど....」
「...いえ、まだ開けてないわ。」
そうして私は内容物を確認する為に備品箱を開けた。箱は特に何かで止められているわけでもなくすんなりと開いた。
「んーと、中身は特に変わってないみたいですね。マニュアルとか、書類とかがいくつか入っているだけなんですけど....」
彼の言う通り箱の大きさに反して数枚の書類と薄いマニュアルが入っているだけだった。マニュアルは端末で見れるようになっているけれど、実本でも用意されているみたいね。
「....あれ、これはなんだろう。」
中に入っているものを粗方取り出した私は1つずつ雑に確認をしていると彼は何かを見つけたようで机の上にあった物の1つを指で指していた。これがどうかしたのかしら。
「すみません、見せて貰っても良いですか?書類じゃなくてこれなんですけど...」
そう言うと書類を1枚捲って彼はその目当ての物を私に見せてくれた。
「....ステンシルシート?」
それはM.Sのマークの形に切り抜かれたステンシルシートだった。
「これ、何に使うんでしょうね。M.Sのマークの物とB2って切り抜かれてるのがありますけど.....」
「分からないわね....特に何か説明用紙がある訳でもないし、マークを付けることは分かるのだけれど。」
もしかして私のパーツに使えってことなのかしら。識別の為に付けるというのなら筋は通るわね。
「ちょっとバーンズさんに聞いてみましょうか。今無線機を....」
「いや、ノア君。その必要は無いみたいだぞ。」
それで彼が無線機で連絡を再度取ろうとした時、気が付くとそこにはバーンズと言う男が居た。
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「あれ、現場の方はもう大丈夫なんですか?」
「まあな、普段通りの小競り合いだよ。組織性が無いだけまだ良いところさ。」
あまり覚えてはいないけれど.....この人がバーンズね。
「....まあその、なんだ。こうなるとは俺も思っていなかったがよろしく頼む。」
「...こちらこそ、お願いするわ。」
そうして私はバーンズと手を交わした。
「...良し、挨拶はこのところに収めておいて俺の方からも説明をしておくぞ。」
そう言うとバーンズはさっきまで私とノアで話していたステンシルシートを手に取って説明をし始めた。
「これは俺の方から説明しておかないとな、説明書きも無かっただろ。」
「...そうね、このシートが入っているだけだったわ。」
私は備品の入っていた箱を手に取ってバーンズに見せた。
「これは何に使うんですか?印字するのに使うのは分かりますけど....」
「まあ、使い方は特に変わらないさ。問題なのは位置だ。」
そう言うとバーンズはシートを掴むと私の傍に来た。
「良し、少し付けさせてもらうぞ。直ぐに終わるから待ってくれ。」
するとまずは私の右肩にM.Sのマークのステンシルを張り付け、次に2枚目のB2と切り抜かれたシートを右の大腿に付けた。
「まあ君はキャストだからな、M.Sの制服を着ることが出来ないことを考慮して基本的にはキャストのM.Sにはこうしてマークを付けて貰うことになっている。嫌かもしれないが我慢してくれよ。」
「良いわよ別に、マークの1つや2つ....」
「...そうか、なら良いんだが。」
そうしてバーンズはシートの部分に向けて白色のスプレーを吹きかけた。
「一応消せるインクで塗り付けてあるから何かあれば消してくれても構わない。だが、仕事の最中は必ず付けるようにしてくれよ。」
「相分かったわ。」
塗り付けるのが終わるとバーンズは私にスプレーを投げ渡してくれた。
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「....まあ、コンソールはこの机のを使ってくれ。片方の机よりかはまだ綺麗な方だからな、もしあれなら軽く掃除してから使ってくれ。急な連絡でまだ掃除が済んでいないものでな、悪い。」
「良いわ、道具があるだけ良い方よ。」
私は自分にあてられた机の方を見た。少しだけ埃が積もっているけれど、隣の方のごみが散乱しているよりは良いかしら。
「ノア君からは聞いているとは思うが....基本的に動くことは少ないからな。気長に待機しておいてくれ。」
「大丈夫よ、待つのは慣れているわ。」
私はマークを付けた部分を触りながら答えた。落とせるインクだと聞いてはいたけれどしっかりと塗れるようね。
「そうか、じゃあ少し俺は倉庫の方に行っているから何かあれば呼んでくれ。」
そう言うとバーンズは通路の方に出て行った。
「....どうですかね。」
「どうって....何がかしら。」
そこですることが無くなっているとノアが話しかけてきた。
「いや、やっていけるかどうか、とかですか。」
やっていけるかどうか....まあ、まだ仕事を実際にしていないからまだかしら。
「まだ分からないわ、雰囲気は嫌ではないけどね。アークスなんかと比べれば....」
確かに現状のアークスと比べればまだ良い方なのかもしれないわね。
「まあ、貴方もよろしく願うわ。」
「あ...はい!」
そうして私はノアとも手を交わした。