PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-03 「新しい場所」

 「区画の場所は地図通りならこの辺りにあるはずだな...」

 

 先程の区画とは違って生活の音が響く場所に戻ってきた。

 

 「....ちょっとは落ち着けたかな。」

 

 あれから施設で備品の受け取りと手続きを済ませた後、新規に送られてきたメールに添付されていた地図を見ながら僕は配属になる駐在所に向かっていた。

 

 「この建物か?」

 

 目的地?の建物は特に変わり映えしない小さいビルで、その一階部分にはM.Sのマークが入った扉があってここだと分かることができた。

 

 「.....」

 

 だけど、建物にはさっきと同じで人気がなくて、酷いことに整備も行き届いていないようだった。ガラス越しに見える部屋の床が擦り傷と埃にまみれている。

 

 「電気も消えかかってるし、他にここに配属になっている人がもしかして居なくて僕だけで仕事.....そ、そんなことないよね。」

 

 最悪のケースを想像しながらも僕は建物のドアを抜けて中に入った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「....すみません!あの、今日ここに配属になった者ですが、どなたか居ませんか!」

 

 薄暗い建物に入った僕は早速確認のために他に配属になっている人が居るだろうと思って今居る部屋に響くぐらいの声で取りあえず呼んでみたんだ。

 

 「まさか本当に誰も居ないとかじゃないでしょう....?」

 

 けれど、僕の声には反応するものは無くて精々反応しているのは部屋の反響ぐらいだった。廃墟のような状態の室内に自分の声がただ響く。

 

 「き、きっと何かの仕事の最中で他の人は出払ってるんだろうな、そうだそうだ.....って、あそこの部屋だけ扉が開いてる?」

 

 呼びかけが無意味だと分かって、どうしたら良いか考えていると視界にふと扉の開いている部屋の入り口が見えた。他の部屋は物置だったりしてしばらく出入りが無かったように見えるけどこの部屋は普段から人の出入りが多いように見える。

 

 「電気も、この部屋だけ付いたままだ。こっちの中はどうなってるんだろう。」

 

 気になった僕は現状、出来ることがないのでその目に入った部屋に入ってみることにした。

 

 「さっきまでとは違ってこの部屋は眩しいくらいだ.....机も置いてあるしここが普段使う部屋なのかな。」

 

 そうして部屋に入ると先程の廊下のような場所とは違って、電気がはっきりと付いていて数人が事務作業を出来るような空間があったんだ。机にはそれぞれにコンソールが備え付けられていて余っているスペースには私物が置かれていた。

 

 「?この机だけ何も置いてないな。他の机と違って埃も被っていないし.....」

 

 だけど僕の気が付いたその机だけは他の机とは違って私物も埃も無く、要約すると生活感が無かったんだ。まるでつい最近整頓したばかりみたいに。

 

 「でもコンソールだけは何処からか持ってきたみたいだな、軽く見積もっても結構使いこんである物だし。まあ、新品を今すぐ用意しろ!なんて言える立場じゃないから仕方ないか....」

 

 そう思ってコンソールを近くで見ながら自分なりにどの位の程度の物なのか自分の知識の範囲内でそれを確認していると

 

 『システムを起動しました。』

 

 「うわっ、なんだ!?勝手に起動したぞ!」

 

 そのメッセージを皮切りにコンソールは勝手に起動し始めてしまったんだ。

 

 『セットされている音声データを再生します。現在読み込み....読み込みが終了しました。音声を再生します。』

 

 少し短い電子音が鳴るとその音声は流れた。

 

 『あー、あー。良し、録音は出来てるみたいだな。えーっと、俺の名前はバーンズ。今このメッセージを聞いているということは君がこの駐在所に無事到着したということだ、ここまでお疲れご苦労さん。』

 

 「は、はあ....」

 

 『まあ、挨拶はこの辺にしてだな。このメッセージをセットしたのには訳があってな.....事情はまあ後で話してやれるが少し手が離せない仕事になっちまって君が到着する時間にそっちに居れなかったって訳さ。普段はこんなことは滅多にないんだが、何が起こるかわからないこの情勢下では致し方ないな.....ああ、それで本当に言うことを忘れかけるところだった。』

 

 「?なんだろう。」

 

 『もし、俺が居ない間に万が一にだが何か連絡が入ったら対応するように努めてくれ。対応の仕方は事前に貰ってるマニュアルでまあ適当に流してくれて構わないさ....それと、これも限りなく起こることは無いと思うが現地急行の連絡が来たとしても待機していてくれよ。まだ君には武器も渡していないからな、取りあえずそう覚えておいてくれ。じゃあ以上、ロッカールームで制服に着替えてから待機するように、サイズは君にぴったりなものだ。初日だがそれなりに頑張るように、な?帰ってきたらまた話そう....』

 

 再生が始まる前に鳴った物と同じ電子音が鳴った。

 

 『音声データの再生が終了しました。』

 

 「誰も居なかったのはそういうことだったのか....まあ、取りあえずメッセージの通り着替えてから待機するしかないよね....」

 

 誰も居なかった訳を知ることが出来た僕は安心からどっと疲れが来てしまったので机に備え付けられていた椅子で少し休んだ。それからちょっとして一旦休めてから廊下に出てロッカールームに入ったんだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「明かりが付いてるとさっきの部屋と同じ位の明るさなんだな....」

 

 部屋に入った僕は手探りで照明のスイッチを探し当てて部屋の電気を付けた。明るさはさっきの部屋と同じ位だ。

 

 「ロッカーに名前が付いてるみたいだな。ということは僕の名前で探せばこの辺りに.....これかな?」

 

 見つけたそのロッカーには僕の名前が表示されていた。中に制服があると聞いたので僕は迷わずにロッカールームを開けて中身を早速確認することにしたんだ。

 

 「....検査の時に着た服よりも何だか安っぽい作りだなあ。」

 

 検査の時に着た服はアークスの着ているような強固な作りの物だったんだけどこの制服、M.Sの制服は限りなくコストの削減を行った結果が生み出したような程に安い作りになっていた。

 

 「アークスを押さえこむ時もあるはずなのに一般員の着る制服と同じぐらいの強度じゃこの間みたいになっちゃうじゃないか....」

 

 制服の内容としては薄手のシャツを下に着てその上からズボンを締めてジャケットを着る、という説明が無くても誰でも着れるような簡単な物だった。確かにこれだけなら本当に一般員の服とほぼ同じ性能かそれ以下になってしまう....だけど、服には装甲板を取り付けられる部分が所々設けられていて制服はこれだけで完成じゃないみたいだ。

 

 「...後は制服の着方で変なところがあればバーンズさんが今取りかかってる仕事から帰ってきてから色々と指摘してくれるだろうし、今はこんな感じで良いのかな?」

 

 そうして取りあえずマニュアルを数ページ分参考にしながら制服を着た僕は電気を再度消して、ロッカールームを出てさっきの待機室に戻って指示通りに待機することにした。

 

 「緊急で何か連絡が入らなければいいんだけど....」

 

 そう思いながらも僕は待機を続けた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 ...あれからどれ位時間が経ったんだろう。

 

 服を着替えてからのこと待機室でずっと待機を続けていた僕はふとそう思って時間を時々確認しながら待機を続けていた。

 

 「確かに何も起こらないのは自分的にも仕事的にも良いことなのかもしれないけど、することが無いのも困るな....」

 

 それもそのはず緊急の連絡はおろか連絡の一本もかかってこなかったので僕は椅子にずっと座っているだけで特に思いつくような出来ることも無くて.....時々コンソールのキーを弄りながらも仕事に全うしていた。

 

 そうして段々と眠気すら来かかったという時にドアが開く音とそれから少しして廊下から歩く音が聞こえてきた。バーンズさんか?そう思った僕は視線を部屋の入り口に向けていた。すると。

 

 「ふう....取りあえず戻って来れたな。」

 

 「あ、バーンズさんお疲れ様です。」

 

 僕の思っていた通りその音の正体はバーンズさんだった。まあ、これでバーンズさんじゃなかったらもっとも一番困るんだけどね.....

 

 「ん、君こそ待機お疲れ。今のところどうだ?何か連絡が来たりしたか?」

 

 「いえ、特に待機を始めてから今まで連絡は一つも入ってないですよ。取りあえず大丈夫でした。」

 

 「そうか.....まあ、何もないことには越したことはないか。まだ君には明確な仕事の内容を教えてなかったしその方が良かったのかもしれないな、ははは...」

 

 「はあ....」

 

 「それでだ、まだ面と向かって話せてなかったしな。もう一度ここでしておくよ。俺が同じ隊に配属になってるバーンズだ、宜しくな。」

 

 「僕の方はノアです、こちらこそお願いしますね。」

 

 お互いに手を差し出して握手する。

 

 何だかこうして挨拶をするのも久しぶりに感じるな....

 

 「取りあえず制服はしっかり着れたんだな。メッセージではああ言ったが時々上手く発注が通らなくてサイズがおかしかったりしてな....まあ良かったさ。

 

 「そうなんですか.....」

 

 「うん、まあ万が一後から合わなかったりしたら言ってくれよ、今に始まったことじゃないから支部も対応してくれるしな.....ってこんなこと話してる場合じゃなかったな。あれを渡しておいた方が良いか。

 

 「?」

 

 「いや、特に何か変な物じゃないぜ。君はまだ武器を持っていないだろう?今からそれを渡すから少し付いてきてくれ。案内する。」

 

 「分かりました。」

 

 そう言われた僕はバーンズさんに付いて行って、装備がしまわれている部屋へ向かったんだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「一応ここが武器、防具とかを置いておく部屋にはなっているがまあそれ程高い頻度では使わないものばっかりだな。それに、一部は劣化していて使えるのかもわからないんだ。」

 

 「な、なるほどです....」

 

 部屋にバーンズさんと入った僕は置いてある備品の説明を時折受けながら進んでいた。

 

 「まあ、この俺が持っているような武器、この銃はかなりの頻度で使うことが多いか。」

 

 「そうなんですか?てっきり武器はあまり使わないのかと思いました...」

 

 「いや、流石にな....まあ何処かで聞いているとは思うが俺たちはそれなりの頻度でアークスを鎮圧しなきゃならない。それを生身一つでやれというのも無理な話だ。だから武器も高い頻度で使うことも覚えてはおいてくれ。」

 

 やっぱりバーンズさんでもアークス1人押さえるのは大変なんだろうな。それと比べて僕の方が力が無いのに大丈夫なんだろうか....

 

 「それでだ、えっと.....これだな。かなり旧式になる物だが性能はそれほど差はない程度だ。ほら、持ってみな。」

 

 そう言うとバーンズさんは僕に武器を投げ渡した。少し気が抜けていたから落としてしまいそうだった。危ないな....

 

 ...まあそれで、バーンズさんから渡された武器は銃の中でもハンドガンに分類されるようなものだった。けれど僕の手には少し大きすぎる位でなおかつかなりの重さだった。

 

 「見た目の割には、結構重いんですね。」

 

 「仕方がないさ、それが作られた時には軽く作るなんてことは考えていなかっただろうしな。確か何処かで昔聞いたがそう言ったコンセプトじゃなかったはずだ。」

 

 バーンズさんはそう言うと僕の方に来て、僕が持っている銃を眺めながら話を続ける。

 

 「ああ、この銃....P1A2オートリボルバーって言うんだが、今からもっともっと以前からあった武器でな?それこそ皆が指定教育課程で教えられたあの5()0()0()()()よりも前、アークスという組織が発足されたばかりの時にフォトンを銃に応用できるかどうかのテストの為に作られたシリーズの一部なんだらしい。まあ、俺は当時の人間じゃないから昔の詳しいことは知らんがな。」

 

 「そんなものがあったんですね...一般員だと知らないことが多いみたいです。」

 

 一応掻い摘んでの歴史は一般員でも指定教育で学ぶけれど、当然そんなことは教わっていなくて....僕は初めて知った。

 

 「ああ、それが今ここにあるからな。でも流石にその当時使ってた物じゃなくてこれはその銃の改良型さ。だからな....銃のシリンダーの下辺りに印字が入ってるんだが型式番号でP1の後ろにA2って入ってるだろ?それがその銃がオリジナルの銃から2回改良を施したモデルということを表してるんだ。」

 

 そう言われた僕は渡して貰った銃のシリンダーの下を言われた通り見てみると確かにA2と文字が印字されていた。確か検査の時に使った銃にもこんな感じの印字があったかな.....

 

 「じゃあ、それ程古くは無いんですね。元になっている銃が昔からあっただけでこの銃自体はそれなりに最近できた感じですか。」

 

 「そういうことになるな。銃の機能自体もかなり上方修正されていて、その上OSまで積んでいるからな。見かけの割に上等な代物だぜ。」

 

 「OSが?特に制御するようなところはないような気がしますけど.....」

 

 そう思って銃を傾けたりしてそんな部分がないか探してみたりした。

 

 「確かに普通のリボルバーなら使うところはないな。だが、この銃は違う。」

 

 「違う?」

 

 「ああ、この銃はフォトンの連発弾を装填できてな....シリンダーは4発しか弾が入らないようになってるが最大で80発まで撃てる設計になってる。」

 

 「80発!?そ、そんなのサブマシンガンと変わらないじゃないですか!」

 

 自分の持つ物には到底似合わないような機能を聞いて、僕は驚いた。けれどバーンズさんは半ば僕をなだめるような形で更に話を続けてくれた。

 

 「まあまあ、出来るというだけで実際にはやらないさ。それで、その連発弾を使う時にこれのOSがなんだが弾の撃ち切りを判定して自動でシリンダーを回すんだ。勿論自分でもグリップに付いてるスイッチで回転させられるんだが...これは連発弾とウィークバレットを交互に使えるようにする為の物らしい。」

 

 「はあ、なるほど....」

 

 「取りあえず装弾数は凄いが...それ以外のスペックは普通よりも少し低いぐらいでな、だけど鎮圧にはそれが丁度良いらしい。まあ、壊さない程度に頑張って使ってくれ。」

 

 「わかりました。なるべく大事に扱います。」

 

 「じゃあ、待機室に戻るとするか。連絡が来ると困るからな....」

 

 そうして武器を受け取った僕は腰に銃を身に着けてからバーンズさんに続いて僕も待機室に戻った。

 

 

 

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