PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-33 「配置」

 あれから道なりにバーンズさんに付いて行くと先程までいた場所とは違って狭い廊下が続く。

 

 「バーンズさん、僕らの方はどうするんです?」

 

 そうしてしばらく進んでいるうちに聞きそびれたことを聞いた。まだ具体的なことを聞いていなかったからね。

 

 「フィリンさんやミィーンさんはキャストですから宙域でも無茶は出来るとは思いますけど....こっちは生身ですよ?」

 

 僕はバーンズさんの目前でヘルメットのバイザー部を軽く叩いて見せながら言う。するとバーンズさんは特に顔を変えずに言葉を返して来た。

 

 「大丈夫だ、俺達(ヒューマン)でも出来ることはしっかりとあるからな。こっちだ。」

 

 そう言うと手で指示した方の角に曲がっていく。

 

 「うおっ!?」

 

 それを見て真似するように僕も角を曲がろうと、そうした時だった。床への力のかけ具合を間違えた所為なのか大きく僕の身体は通路に投げ出されてしまった。

 

 しまった、ここだと重力が軽いのか!

 

 「おい、大丈夫か?」

 

 「あ、ああ、すみません...」

 

 けれど、そのまま飛んでいき壁にぶつかることは無くバーンズさんに足を捕まえられて事なきを得た。危なかった....

 

 「慣れないかもしれんが気をつけろよ、ここじゃ地に足が付かないからな。」

 

 バーンズさんは通路で軽く足踏みをするとそう言ってからまた進んで行った。

 

 今の今まで(フェルノート)から発ってからあの部屋から出ていなかった所為で忘れていたけど、ここにはほぼ重力が無いからな。気を付けないと。

 

 「....バーンズさんは慣れてるんですね、こういう所。」

 

 僕は慣れた動きで進んでいくその姿を見てそう呟いた。何も経験が無い僕と比べるのは少し違うのかもしれないけど遥かに上達したようなそれだったから。

 

 「まあ、宙域での作業が無かった訳じゃないからな。アークスって言っても案外色々な場所で動くんだぞ?」

 

 「は、はあ...」

 

 「そのうちにでもノア君も満足にここで動けるようになるはずだ.....って、一旦止まってくれ。ここだ。」

 

 そうして話しているうちにバーンズさんは通路に少し深く足を付けて止まった。どうやら目的の場所にまで来たみたいだ。

 

 「....よし。」

 

 続けて僕も不慣れな動きで立ち止まって、それから周りを少し確認した。

 

 そこは少し不思議な構造で目の前にある壁に備え付けられた扉、その反対側にも対照的になるようにして扉が配置されたいた。そういった作りからなのか通路はH型に、そして細く作られていた。

 

 「えっと、ここですか?」

 

 「ああ、ここだ。」

 

 そう言うとバーンズさんは扉の横に付けられているパネルを指しながら言う。そこにはRS-01の表記があった。

 

 「ここが今の状況下で唯一使える迎撃設備だ。ちょっと見てみろ。」

 

 続けて開閉のスイッチを押したのか駆動音以外の音を立てずに扉が開いた。僕は言われたように中を覗いてみる。

 

 「....?」

 

 けれど、僕にはその部屋?が何の役割を持つのかが分からなかった。少し考えてみても頭に浮かぶのはひたすらに疑問符だ。これは何だ?

 

 「船の構造図を確認して位置だけは把握しておいたが、あるかどうかは正直賭けだったからな。あって良かった。」

 

 するとバーンズさんは床を蹴ると狭い室内へ入り込んでその中に配置されていた椅子のような物に滑り込むようにして座った。器用だな....

 

 「特に問題は無さそうだが.....」

 

 そう言うと次にはその椅子のような物に取り付けられていたレバーを握って、それに付いていたいくつかのスイッチを入れるとバーンズさんは思い切りそのレバーを右に倒した。

 

 何に使うんだろう。....そう思っていると次の瞬間その椅子のような物と一緒に回転をする動きが目に入って来た。

 

 「ん、特に問題ないな。動作良好。」

 

 バーンズさんがそう言う時にはそれがこちら側、僕の方に向いていた。

 

 「バーンズさん、これって....」

 

 少し混乱しながらもそれが何であるかどうか、それを聞こうとして僕がそう言うとバーンズさんは僕がそう答えるよりも先にグリップの違うスイッチを押していた。

 

 .....その瞬間、銃声?のような音がその光景の後に自分の中に入って来る。けれど、それは普段から聞き慣れたような聞いたことのあるような種類のものではなくて余計に僕は混乱してしまっていた。

 

 「...これって銃なんです?」

 

 何とかして頭に浮かんできた言葉を上げてバーンズさんに言うと半分合っていて半分間違っている、と言うように言われた。どういうことなんだろうか。

 

 「惜しいな、確かにこいつは銃の一種だが...普段M.Sで使うような火器とは使い方はまるで違う。別物だよ。」

 

 「銃の一種...?」

 

 そう聞くとバーンズさんは引き続き機器の確認を進めながらも一言だけこう答えた。

 

 「そうだ、こいつは銃は銃でも対空用機銃だ。」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 対空用機銃。その言葉に聞き覚えのなかった僕は中々それを理解することが出来なかったけど、名前の通りの使い方だと言われてから少ししてそれがどういった用途なのかを段々と理解することが出来ていた。

 

 「まあ、急ぎで説明したがこんなところだ。本来ならAISを格納、運用するのがこの船の旨味なんだが...生憎この船にそういった物は積んでいないからな。これで場を凌ぐしか無い。」

 

 そう言うとバーンズさんは椅子からまた立ち上がって通路の方に戻ってきた。

 

 「えっと、大体のことは分かりましたけど...僕でも扱えるんですか?」

 

 戻ってきたバーンズさんに向かって僕はそう言った。だって、一切も訓練も講習も受けていないような武器を扱うんだからね。少しぐらいは心配するよ。

 

 「大丈夫だ、一度でも銃火器を扱ったことがあるのなら問題ない。ただ発砲音はスピーカーから鳴る補助音源だからそこだけは気をつけてくれよ。」

 

 そう言うと僕の方を軽く叩いて問題ないというような旨を伝えてくれた。そうであるなら良いんだけど....ここは信じるしかないか。

 

 「そうですか....」

 

 「ノア君にはそれなりに射撃の能力があると知ってのことさ。だから、あまり心配はしなくても大丈夫だ。」

 

 次にそう言うとバーンズさんはさっきここに立ち止まった時に見えた通路を挟んで反対側にある扉の方に飛んでいった。やっぱり、見慣れていないと凄いな...

 

 「ともかく、まだ何かわからないことがあった時には通信で言ってくれ。いつでも話が出来るように回線は繋いでおく、非常時用にな。」

 

 するとバーンズさんは自分の被っているヘルメットの無線を調節してからもう一度話し始める。さっきよりも明瞭に聞こえる気がした。

 

 「それほど長くはならないはずだ。しばらくの間、耐えてくれ。」

 

 そう言うとバーンズさんは反対側の部屋に入ると扉を閉めて、これからすぐの準備をし始めているようだった。

 

 「...何とかやってみるしかないか。」

 

 そうして僕も同じくしてさっきまでバーンズさんの居た部屋(RS-01)に入ると扉を閉めて、それから聞いた通りに準備をし始める。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「図の通りならこっちの方ね....」

 

 私は端末で船の図を確認しながら指示通りに左舷側の格納庫を目指していた。勿論、ミィーンさん達も一緒にね。

 

 「ここのエアロックを通って、それでもう一つの方を抜ければ目的地か。」

 

 後続のことを考えてあまり急ぎすぎず、それでいて遅すぎないようにもしながら進むようにしていた。ミィーンも私と同じで宙域での行動はあまり慣れていないしね。

 

 「ミィーン、大丈夫?」

 

 不意に後ろを向いて彼女達の様子を確認する。....特に何も無さそうね。

 

 「大丈夫です。まだ、精神力には、余裕がありますから。」

 

 「そう....あまり無理はしないでね。」

 

 私はそう声を掛けてからエアロックを潜り抜けた。

 

 「無理でも、ないです....私が少し弱い、だけですよ。」

 

 彼女達の方も続けてエアロックを潜り抜ける。今は1番目のオリジナルに近い彼女に同期されて動いているようで後の2人は表面には出てきては居なかった。

 

 「まあ、力の出し加減は自分が1番分かってることだと思うから貴方に合った方法で行くと良いわ。私が首を刺せることじゃ無いしね。」

 

 「いえ、お気持ちは、ですか....」

 

 先頭のミィーンは少し首を俯かせるとそう言った。

 

 「...そう、気を遣ってくれるのね。」

 

 やっぱり、この人も優しい人なんだな。

 

 ...ともかく、話しながらも私達は通路を進んでいく。

 

 「えっと、そろそろね。この辺りの扉だと思うけれど....」

 

 そうしてたわいもないことを話しながら進むと持っている構造図で言う左舷側格納庫へ繋がる最後のエアロック、その部分に着くことが出来た。ここの扉には通常の扉よりも注意書きが増えているように見える。分かりやすくて丁度良いわ。

 

 「恐らくですが、この扉のうちのいくつか、それが攻撃で破損....その様な状況に備える、だから扉が複数枚、ですか。」

 

 「なら、どの扉からでも良いの?」

 

 そう聞くとミィーンは首を縦に振って答えた。

 

 「じゃあここでも構わない訳ね、開けるわ。」

 

 そう言って私が扉の開閉スイッチを押すと音を立てずに扉がスライドして開く。

 

 「.....二重ロック?」

 

 けれど、そこには格納庫は無くあるのは中継として設置されたエア抜き室だった。

 

 「随分と丁寧な作りなのね、動くと良いけど。」

 

 そんなことを思っていると有無を言わさずに空気抜きの作業が始まった。室内に充満していた空気が勢いよく排出される音が響く。けれど、それも真空状態に近づくと聞こえなくなっていった。

 

 空気の排出が終了したことを振動の有無で確認した後、私はミィーンの肩を触る。こうすると自動的に通信回線が接続されるからだ。

 

 『あー、ミィーン?聞こえる?通信回線の周波数を合わせられるかしら。』

 

 『......あ、....大...夫です。』

 

 かなりノイズが混じっていたけれど通信は聞こえているみたいだった。それにしてもローカル回線でノイズ...?

 

 『もしかして何処か調子が悪いの?ノイズが多いけれど。』

 

 そう聞くとミィーンは首を横に振る。

 

 『いえ、ローカル回線を、切っていましたから....もう大丈夫です。』

 

 『回線の受け付けを切る.....まあ、これからはなるべく動く時には点けるようにお願い出来る?宙域だと困るのよ。』

 

 『....分かりました。』

 

 『じゃ、行きましょう。それなりに事態は急を要するわ。』

 

 そうして回線の接続を確認した後にエア抜き室の出口のロックを外した。扉が入口と同様に開く。そこで格納庫の内部を見た。

 

 『...想定はしていたつもりだけど、酷いわね。』

 

 けれど、そこは格納庫というにはあまりにも物が、設備が無かったの。

 

 

 

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