PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742 作:Begew Garand
『参ったわ...これじゃ厳しいも何もないわね。』
あまり床を強く蹴り過ぎないようにしながらも足を進める。
『使えるものが何処にあるのかは分からないけれど、そんなこと言ってる場合じゃ...』
そう言いながらも私はその辺りに散乱していたコンテナを手当たり次第に覗いてみる....けど、やっぱりどれも空き容器だった。開けても見えるのは何かの梱包材かフィルムばかり。
『全くゴミの整理位しなさいよ...ってどうしたの?』
そうして焦りを感じながらも辺りも見探しているとミィーンから声を掛けられた。呼び出し用のブザーの後に言葉が続く。
『このコンソール、呼び出しが、掛かっているみたいです。』
ミィーンはそのままコンソールにアクセスを始める。それにしても呼び出しって他に連絡を必要とするのが居たかしら?
『...分かった、私の方にも音声回してもらえる?』
『はい、やりますね。』
ともかく確認をするために私もコンソールの方に向かって少しだけ飛ぶ。...やっぱり慣れないわねこの感覚。
『えっと、場所は....艦橋の方から?』
コンソールの画面の方を見ると相手側が艦橋から回線を繋ごうとしているのが分かった。もしかして少し前に見たあの管理者かしら。
『そのようです。少し前からずっと、呼び出しが掛かったまま、ですか。来る時間が少し、遅かったみたいです....』
....確かに少し遠回りしたかもしれないわ。
『...繋がりました。あちらの画面、出します。』
『ん、やって頂戴。』
そう言ってミィーンに画面を出してもらうと映像は出ずに音声のみの状態で艦橋側と接続された。それから少し驚いたような様子でバーンズと同じくらいの声色の男の声が聞こえる。やっぱりさっきの管理者ね。
『あー....繋がってる?』
確認の為に向こうに声を掛ける。
『ああ、問題ない。そっちのコンソールは生きてたか?最近は確認していなかったんだ。』
『大丈夫、埃のベールが掛かってるけど無事に生きてるわ。遅れてごめんなさいね。』
指でコンソールのモニター周りを指でなぞってみるとくっきりと跡が走った。
『いや、慣れていないのなら仕方が無いさ。....で、話の本題に入るが良いか?』
『良いわ、待ってたぐらいよ。続けて。』
『分かった。じゃ、君たちにしてもらうことを説明する。良く聞いておいてくれよ。』
彼がそう言うと一呼吸置いてからこちら側にデータを送信してきた。これは...レーダー図かしら。
『今そっちに送ったが見えてるか?レーダーの状況なんだが...』
『ええ、見えてるわ。これがどうしたの?』
すると一旦咳払いをして、それから彼は詳しいことを話し始めた。
『まずだが、現状を君たちに伝える。この部分を見てくれ。』
『えっと、この準索敵範囲のところかしら。』
『そうだ。それで、その場所にはかなりの数の識別不能表示が出てるだろ?それが
画面に映る指定の部分に深く目を通す。かなりの数、
『....で、私達は何をすれば良いの?状況は飲み込めたわ。』
『ん...簡単な話だが、通常の索敵範囲内の宙域で準索敵範囲から漏れてきたやつを手が間に合う次第にやって欲しい。
『良いけれど、私達だけじゃお世辞にも手に負えない数よ?』
私がため息交じりに不満げな声で答えると少し間を置いてから思い出したように彼は言い始める。
『ああ、その点は大丈夫だ。バーンズと....えっと、あいつの部下の子が直に応援として簡易的な弾幕を張ってくれるはずだ。安心してくれ。』
あの時に二手に分かれたのはそう言うことだったのね。....ノア、何も無いと良いけれど。
『...そう、分かったわ。所で聞きたいことがあるんだけど、良いかしら。』
『ん、何だ?』
そこで武器が無いことを彼に伝える。さっきから困っていたことだしね、手段が無ければ計画を立てても無駄だもの。
『悪い、言い忘れてたな。そこの格納庫はAIS用の格納庫なんだが緊急時用にいくつか小銃を配備するようになってる。少し奥の方にロッカーがあるだろ?へこみだらけのやつ。』
『ロッカー?』
言われた私はふっとモニターから視線を外して格納庫の方を見てみる。さっきまで見てた場所にそんなものあったかしら....
『フィリンさん。あれじゃない、でしょうか....』
ミィーンが言って指を指した方を見てみるとそこには見つけにくいような色の傷んだロッカーがあった。あれしかないわね。
『まあ、それでだ。武器はあることにはあるんだが....詰まるところ質が悪いのしかなくてな。緊急時用の武装は元からあまり強くないがそれはそれと同等かそれ以下か....悪い、もっと頑張るべきだったな。』
『....大丈夫よ、どうにかしてみるわ。良くあることだもの。』
『...すまない、説明は以上だ。』
まあ、まともな武装が回らないのは普段通りの事だから....気にしないで上手くやることね。
『準備が出来たら、カタパルトの方に乗ってくれ。合図で射出する。』
『分かった、早急に準備する。』
『....頼む。』
そこでコンソールでの艦橋との回線が切れた。
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『...じゃあ、開けてみましょうか。』
『.....はい。』
艦橋との連絡を終えた後、ミィーン達と私は直ぐにロッカーへ向かった。
扉に手を付けて一つ一つそれを開けていく。
『ん、言うほど悪くない....のかしらね。』
手に取ってみて試しに一つを吟味してみる。確かに現行の物では無いけれどそれなりには使えるんじゃないかしら、このサブマシンガン。
『ミィーン、そっちの方は?』
少し視線を横に向けてミィーン達の方にも様子を聞いてみる。見てみるとあっちの方はどうやら違う種類のようで手に持っていた物のシルエットが自分の持っているのとは全く違った。
『一応、私達の分は何とか、ですか。』
試しにとオリジナルに近い方の彼女がそれのコッキングレバーを引いて見せてくれる。....あっちも問題は無さそうね。
『オイル切れは最悪起こしていないみたいだし、良いんじゃないかしら?』
肩をすくめてから私の方も引いて見せるとミィーンの方も少しだけ表情を綻ばせた。
『弾はそれなりに携行しておいて。途中で渡すことも出来ないし....連発弾だからそこまで心配は要らないと思うけど、一応ね。』
そう言いながら私は一緒に中へ置かれていた小振りの弾薬箱から連発弾を幾つか手に取って見せた。対人相手にはフォトン弾は弱いけど、ダーカーにはそれなりに効くはずだから大丈夫ね。
『....その、フィリンさん。』
『?』
それで、用意を済ませた私はカタパルトの方へ進もうとするとミィーンが後ろから声を掛けてきた。
『どうかした?もしかして何か不備が...』
『い、いえ、違います。....この後の行動で、後の2人を独立させて動かすので、混乱が起きないように....それで一応ですか。』
オリジナルでない方のミィーン。話したことは無いから少し不安だけれど....今は信じるしかないわね。
『分かったわ、教えてくれてありがとう。私の方も気を付けるわ。』
手に保持していた銃をより強く握りしめてから再び元の方に向き直る。そろそろ行かないとね。
そうして私はカタパルトの方へ向かった。
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『これで良いのかしら....』
私は脚部のカタパルトへの固定部分を見ながら試行錯誤をしてみる。特に規格は決まっていないみたいだから
『えっと、これで艦橋に合図すれば良いのよね。』
いつかの時のように定位置で物を構えながら艦橋へブザーで合図をする。多分これで間違ってはいないと思うのだけれど...
『.....』
ちょっとした緊張から一秒がとても長く感じる。一応だけれどカタパルトなんて経験したことが無いもの。
『........来た!行けるのね。』
そうして少しの間応答を待って待機すると数分後にブザーで返答が返って来た。準備が済んだのね。
『左舷カタパルトの射出準備開始、格納庫内の担当員は安全区域への退避要。対象軽量のレベルでの計測開始。』
回線を通してアナウンスが聞こえる。それと同時にカタパルト用の滑走路への道に繋がる隔壁がゆっくりと開く。
『フィリンさん。』
『?』
『後から直ぐに、向かいます。』
『ん、待ってるわ。』
『計測終了、カウント設定2で射出。カタパルト搭乗員は耐衝撃要。』
それが聞こえた私は少しだけ足を力ませる。2秒ね。
『....』
『カウント開始。....2、1、0。』
短いカウントが終了すると最初、強い衝撃が来た後に勢い良く滑るようにして滑走路を進む。意外ときついわね.....!
『くぅっ....』
そうして格納庫から外部に出ると最初よりも速度を上げて船首の方へ突っ込んでいく。もうすぐで滑走路が切れる!
『このっ!』
最後、カタパルトから切り離される瞬間に私は足のスラスターを更に吹かす。これで少しは遠くまで出れるはず...
『....はあっ、安定してきた。』
それで数秒くらい経つと速度も安定して衝撃もさして感じない程度にまで落ち着いた。距離で言えばこの辺りだし、計測がそれなりに上手くいったのね。
それから目的の場所の付近にまで到達すると私はブレーキを逆噴射で掛けて宙域に止まって周囲を確認する。すると黒い物体が見えた。
『あれが目標ね、意外と遅いじゃない。』
早速私はそれを補足すると既に構えていた銃で点射射撃をした。持っていたサブマシンガンの銃口から青白い閃光が走る。けれどそれは目標から大きく外れた。
『...照準が合わないわね。もう少し上!』
今確認したばかりの弾道を参考に少しだけ照準を上に上げて目標にもう一度弾を放つ。
『威力は問題ないみたいね.....次!』
フォトン弾が命中した
『フィリンさん、合流出来ました。』
そうしているとミィーンの声が聞こえた。早いわね。
『分かった、他の区域をお願いするわ。ここは私がやっておくから。』
攻撃をしながらも手短にミィーンに連絡をする。
『分かりました。何かあれば呼んでください。』
『ええ、後の2人にも言っておいて頂戴。』
私がそう告げるとすぐさまミィーンはスラスターを吹かして別の方向に向かった。私よりも出力が大きいのね...
『取りあえず、これならシークマーカーに辿り着くまで耐えられそうね....!』
それからはひたすらに漏れこんでくるダーカーに攻撃を続けた。