PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-35 「捕捉」

 「残段数....よし、レーダーの方も問題ないのかな。」

 

 銃座前に設置されたカウンターと小さい円形のレーダー図をもう一度見てみて確認する。カンターには104の表記が出ている。

 

 「104発....これって実弾なのかな。」

 

 そう思った僕は回線を繋げて聞いてみることにした。これでやり方も変わって来るしね。

 

 『バーンズさん、少し良いですか?』

 

 『ん、なんだ?』

 

 『この機銃、使っている弾は実弾でした?』

 

 すると少し間が空いてから答えが返って来た。

 

 『あー、言い忘れてたな。そいつは実弾じゃなくて連発弾だ、20発のな。元々ダーカーに対して使うために置かれたものだからそれくらいはあるさ。』

 

 『...ならかなりの時間使えますね。これなら持ちそうです。』

 

 『ああ。』

 

 1発が20発、それで換算するのならちょっとは余裕が出てくるのかもしれないな。気持ち的にも、攻撃でも。

 

 そうして僕は機銃のグリップを握った。サイズが少し大きめで握りづらいけど。

 

 「そう言えばフィリンさん達の方はどうなんだろ。もう動いてはいると思うけど....」

 

 試しに少し体を乗り出してみて宙域の様子を見てみる。

 

 「....いや、見える訳ないか。僕の眼にはスコープというか拡大できる機能なんて当然ないもんな。」

 

 けれど必然...と言うよりかは当然なんだけど肉眼だと何も見えなかった。少しでも様子が見られればと思ったけど...

 

 「って、こんなんじゃまともに撃てないじゃないか!肉眼じゃ遠くまで見えないのに....ど、どうすれば良いんだ?」

 

 確かにそうだった。ただでさえ目視で外のものを捉えるのが難しいっていうのにダーカーに攻撃が出来る訳ないじゃないか。

 

 「もしかしてキャスト専用.....なわけないよね。だとしたら何か補助するものが何かある筈なんだけど。」

 

 そう考えた僕は急いで何か無いものか銃座の辺りを見回してみる。そういったものならすぐ近くにあるって単純だけど思ったからさ。

 

 「何処だ、何処にあるんだ.....?」

 

 それで、まず正面を見てみる....当然だけど計器類しかない。次に僕は死角になっていた銃座の座席部分を手で探ってみることにした。時間も無いから手早くね。

 

 「ん、何だこれ。」

 

 少しの間そうしていると座席の左側には無い箱状の何かを見つけた。気になった僕はそれを右手で掴んでみて取れるかどうか試してみた。

 

 掴んでみるとそれは中々動かなくて....引っ張ってはいけないものだったかな?なんて思い始めた時にそれはぱっと動いた。

 

 「うおっ!?...びっくりした。」

 

 勢いよく出てきたものだからとても驚いた、けれどそれは良く見るとただのアームだった。どうやら長い間動かしていなかったからなのか可動部分が上手く動かなくなっていたみたいだ。それ以来動かしてみてもアームはそれなりにすんなり動く。

 

 「にしても、双眼鏡みたいだけど....これがそうなのか?」

 

 最初に触った部分、つまりアームの先に付いている箱状の物。その部分を良く見てみるとそれは双眼鏡のようになっていて覗き込むことが出来る作りだった。

 

 思った通りかどうか....それを確かめるために僕はそれを覗き込んでみた。

 

 「これは、照準器?」

 

 覗き込んでみるとそこには拡大率、角度の諸々の数値と共に宙域の方を映したカメラの映像が見えた。これで狙うのか。

 

 「拡大率の調整は横の絞りか....それにしても対象が何もないとやりづらいな。」

 

 絞りを回しているとそんな疑問が浮かんだ。確かに何もない宙域に向かって倍率を上げても何が何だか....そう思った時だ。

 

 「ん...?何かが早く動いた?」

 

 覗いていたカメラの画角の範囲で少し大きめの何かが素早く移動するのが見えた。それを確認した僕は偶然だけれど丁度良いと思ってそれに対して拡大をしてみて、それで大体の距離感を掴もうとした。そうすれば等倍の状態から直ぐにでも適した倍率で捉えることが出来るからね。

 

 だけど、試しに捉えようとしたそれは意外な物だったことに絞りを絞ってから気が付いた。

 

 「あれってもしかして....ミィーンさんか?」

 

 特徴的な黒に近い灰色に赤いライン、ミィーンさんのパーツの色に間違いなかった。あのフウリンカタイプ....フィリンさんが使っている物とは少し色味が違うから直ぐに分かるんだ。

 

 気になった僕は更に倍率を上げてみることにした。

 

 「あんまり早く動いていないみたいだから良かった、これで早過ぎたらカメラで確認できないしな。」

 

 感度の高い絞りを微妙に調節しながらその全貌を見る。....良かった、まだ被弾していないみたいだ。

 

 「ゴーグルを着けてるからオリジナルじゃない方のミィーンさんか。番号までは見えないからどっちなのか分からないけど.....あっ!」

 

 倍率の間隔を大体掴みきれて、もう練習は大丈夫だろと思ってミィーンさんから照準を外そうとした時だった。どうやらダーカーと接敵したみたいなのか....多分そうなのか銃を構え始めていた。

 

 不味い、こういう場合なら僕が援護を.....出来るのか?

 

 「間違えて当てないようにしないと、角度はこれか。」

 

 早速レバーを握ると照準をミィーンさんに被さらないように追従して動かす。持っているのは.....サブマシンガンか。なら、至近距離で戦うことは無いな。

 

 「そろそろなのかまだなのか分からないな.....でも照準は外せないしな、待つしかないか。」

 

 銃座がゆっくり回転するのが振動を介して伝わってくる。照準器の所為で上手く見えないけど、機銃の可動範囲外に出たらそれも不味いな。

 

 そこで僕は少しだけ照準器から視線を外して一瞬だけ銃座を確認する。良かった、まだ余裕はあるみたいだ。

 

 「ブザー音....レーダーか!」

 

 そうして警戒を続けていると不意に電子音が鳴る。事前の説明で聞いたけれど、これは通常の索敵範囲....それに識別の出来ない何かが入ってきたことを教えてくれている。

 

 試しに照準器の小さいモニターに表記されている小さいレーダー図を確認すると赤い点のようなものが浮き上がっていた。恐らくこれがダーカーだな。

 

 「そろそろだな。あのミィーンさんが撃ち始めたら、こっちも撃ち始めだ。」

 

 気を引き締めないと。そう思うととても緊張してきて、ヘルメットのバイザーの所為もあってか息が激しくなるのが分かる。変だな、寒いはずなのに汗が....

 

 「...あっ!光が、ってことはもう撃ったのか?」

 

 その時、いくつかの光が因子に赤黒く染められた宙域に走った。その後にも続けて5、6発の閃光が走る。

 

 それを確認した僕は急いで照準を合わせようとしてミィーンさんの周囲を探す。さっき光が走った方向を特に重視してね。するとそれほど難しくも無く対象(ダーカー)を発見することが出来た。

 

 「落ち着いてやるんだ、ミィーンさんに当てたりしたら.....駄目だ、考えないようにしよう。」

 

 発見すると僕は直ぐにそれに照準を合わせる。そこで、僕は初めてダーカーを見た。

 

 「違うな、今はそんなことを考えてる時じゃない。集中だ。」

 

 それで少し動揺したけれど、今はどうにかして忘れることに専念した。その為にかレバーのグリップを握る力が強くなる。

 

 「....ここか!」

 

 苦戦しながらもどうにかして正確に敵を補足する。ミィーンさんにも当たらない距離だ。行ける!

 

 僕はそう確信するとグリップのスイッチを迷わずに引く。スピーカーから補助音源の銃声が聞こえた。....現実味が無いけれど、これで撃ってるんだな。

 

 「す、少し逸れたのか?よし...!」

 

 今のでちょっとしたズレを理解してもう一度照準を合わせる。そうしてもう一度発砲した。続けざまに4、5発。

 

 「2発は当たったのか...?」

 

 照準器で補足していたダーカーを確認するとその大部分が今の攻撃で失われていた。感覚としては2発くらいが当たったと思う。その後直ぐにその動きの鈍くなったダーカーにミィーンさんがとどめを刺した。

 

 「ミィーンさんが移動した.....とにかく今の繰り返しだな。」

 

 そうして僕は続けて銃座の可動範囲内で警戒を続けた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「.....遅いな。」

 

 時刻を確認しながらそう呟く。確かに予定していた応援部隊の帰投時刻はとっくのとうに過ぎていた。

 

 「何かしら現場で予測できない事態が発生したのかもしれません。連絡を回してみます。」

 

 そう言っていると部下の一人がそう言ってくれた。...だが、この状況で繋がるかどうか。

 

 そうして連絡を回すように言おうとした時、勢いよく扉を叩く音が聞こえてきた。

 

 「何事だ!」

 

 部下がその音を聞きつけると扉の方まで向かって行った。一体何だ?

 

 「あ、その....フェルノートへ応援に向かっていた部隊から緊急の連絡が入ったので報告に....」

 

 「それは確かか?」

 

 「は、はい!」

 

 「....すまない、報告をしてくれ。」

 

 こちらが連絡するまでも無く来たか。よほどのことがあったとみていいな。

 

 「...報告します。連絡によればこの艦(シークマーカー)より派遣した応援部隊の内4割が壊滅状態にあり残存勢力は帰投が不可能な状況にある、以上が報告です。」

 

 「それは確かにフェルノートから回されたものか?」

 

 「はい、数分前に受信しました。」

 

 「.....分かった、お前は持ち場に戻れ。いつでも動けるようにな。」

 

 「了解しました。」

 

 そう言うと彼は元来た道を戻って行った。

 

 ...それにしても予測していたよりも相当な被害だ。一体フェルノート側で何が起こっているというんだ?

 

 「...副艦長、どうされますか?」

 

 部下も困惑した表情だった。他の艦からの連絡での規模の想定で行って、それでこれなんだからな。そうもなる。

 

 「ともかく、今はフェルノートから宙域を介してこちら側に向かってきているダーカーに対して防御策を取らなければならないだろう。あちら側からの退避者の一時的な収容もしなければならないんだからな。....緊急発令を出せ、今すぐにだ。」

 

 「分かりました。対空兵器も用意を進めさせます。」

 

 今回の事は謎が多い。この事態が収束してからになるがそれなりの調査が必要だろう。これ程の異常な速度での因子濃度の上昇、それによる強化されたダーカーの出現.....不可解だな。

 

 「今の事態では難しいが適任者を配置させてくれ。この対空防御で今後が決まる。」

 

 「了解しました。」

 

 そう言うとその部下は扉を抜けて足早に連絡に回っていった。

 

 

 

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