PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-37 「返答」

 「...少し、追いつかなくなって来たわね。」

 

 今しがた仕留めたダーカーが霧になって消えていくのを見て、それから少し顔を上げてフェルノート側の宙域を見た私はそう呟いた。

 

 少し前の初動の段階だとそこまで激しくは無くてまばらと言った感じだったけれど、今はそれの2倍....いや、3倍くらいなのかしら。

 

 「単体の強さが低くても、こうも数が多いと相手にしてられないわ。...早いところ目的地(シークマーカー)に着かないと。」

 

 そう思った私はスラスターを自分の身体が横回転するようにスラスターを吹いた。踏ん張りが効かないのも困るわね...

 

 「フェルノートからシークマーカーまでは目視で確認できない程遠くは無い筈なのに、霧の所為かしら。」

 

 調整を効かせながら後ろに回転した私は遠くに何も確認できない有様の宙域を見てそう思った。

 

 目の前に広がる血のように赤い霧....もとい、因子を確認して見て何か関係があるのかもしれないと少し考えた。さっきからこれで随分と見晴らしが悪いように感じるしね、気の所為じゃないかもしれないわ。

 

 「ともかくこんなところで死ぬわけには....!」

 

 状況の確認を終えて、それから元の通りの配置に戻ろうとした時だった。今さっきに最後に仕留めたダーカーの居た周辺に新たなダーカーが接近してくるのが目に入ったのは。

 

 それを確認した私は即座に銃を構え直す。

 

 「やっぱり来るのが早いわね、っ!」

 

 最初に撃った時のこれ(マシンガン)の癖を念頭において照準を合わせる。...よし、この位置なら。そう念じて引き金を引いた。

 

 「これでも当た.....え?」

 

 ....けれど、引き金を引いても一撃しか銃口から光が漏れない。

 

 「もしかして弾切れ?....噓でしょもう?」

 

 もう一度、もう二度と引き金を引いてみても何にもならない。...やっぱり弾切れね。

 

 ここで少し後悔した。振り返って確認した時にでも弾倉の残りくらい確認しておけば良かったなんて、もう遅いわよね。

 

 基本的に連発弾だと1回弾を給弾すると弾は中々切れることは無いから気が抜けると駄目か....

 

 「...ああもう!こっちの方じゃ間に合わないわ!」

 

 慌てて弾倉を交換しようとして余裕があるかどうか目の前の敵の位置を確認して見る。....間に合わないわね。

 

 そうして、私はそこまでの考えを変えることにした。ともかく手に握っていたマシンガンを素早く腰のスリットに滑り込ませる。

 

 「効くかどうかわからないけど、これしか無い!」

 

 次に空いた右手で普段使いのライフルのグリップを握って勢いよく反対側のスリットから引き抜く。

 

 ...正直な所、対人用で鎮圧に使うものでどうにかなる気がしないけれど。

 

 「構えるまでも....行け!」

 

 少しでも威力を高めるために一番距離の近い(ダーカー)に向かって数発撃ち込む。今度は問題なく閃光が飛ぶ。

 

 ...まあ、当然と言えば当然なんだけどさっきとは打って変わって安心感はあるわね。

 

 「....やった?」

 

 今までダーカーとは戦ったことが無い所為で性質とか強さとかパターンとか....そう言ったのが全く分からないからこの銃でどうにかできるかは今の一発で分かるかどうかだ。

 

 確認をするために私は目のカメラの倍率を闇雲に上げて様子を確認する。

 

 ダーカーには......それなりに貫通したみたい。試しに目のカメラで捉えた場所は吹き飛ばされるように消し飛んでいた。

 

 「...なら、こっちも行けるはずね。」

 

 そこで、ライフルの火力の効果に対する確証を得れた私は次の標的に目標を変えた。次に一番近い目標に。

 

 「宙域になればあっちだって、上手く動けないものなのかしら!」

 

 そうしてもう一度引き金を引く....ところだった。

 

 「!?」

 

 その瞬間、突然大きな光が私の前を走って行った。驚いて私は後出しでスラスターを吹かしてしまう。

 

 「な、何よ今の....船の方から?」

 

 光が撃ちだされた方向を逆算してその方向に首を向けてみる。そこには今のさっきまで乗っていた船の左舷側があった。

 

 「敵の攻撃...はあの色だと無さそうね。だとしたらノアかバーンズ?」

 

 今の攻撃が通って行った場所を見てみるとそこには破片のような物しか残っていなかった。

 

 「...これは普通の銃じゃないわね。」

 

 少し視線を下げて自分の手に持っているライフルを見て少し考える。

 

 確かに連発弾、フォトン弾なのは多分同じだと思うけれど...この威力はこんなのじゃ出せないわ。

 

 「....取りあえず今なら給弾しても大丈夫、か。」

 

 まだまだ色々と考えたいことはあったけれど、そんなことは後からでも良い。そう思って自分の気持ちを落ち着かせてからフェルノートの方を見てみる。.....少しだけ余裕があるわね。

 

 もしかしてそういうこと?なんて思いながら私は持っていたライフルを改めて腰のスリットに滑り込ませる。そして、入れ替わりにその手でさっきまで使っていたマシンガンの弾倉を掴んで引き抜いた。

 

 「全く、予備の弾倉が無いのも困るわね.....贅沢言ってられないけど。」

 

 早急に銃から空になった弾倉を引き抜きながら私はそう呟く。確かにこのマシンガンには交換用の、予備の弾の入った弾倉が一緒になって置いていなかった。...弾薬箱は気休めに置いてあったけど。

 

 多分、緊急時用の武器なのが要因なのかしらね。そうであるなら予備も火力も低くしてあるのは当然だわ。

 

 「...でも、確かこれは管理者が用意したものだからそう言うのは関係ないのかしら。」

 

 だとしたらどうして予備を用意していないのか....疑問だけど、恐らくは規則?が絡んでるんでしょうね。

 

 ...ともかく、そんなことを思いながら私は弾薬箱から取り出してきていた予備の弾を幾つか取り出して手に持っている空の弾倉に弾を入れていく。余裕が無いから早急にね。

 

 「ん、これでまたしばらくは持つわね。早いところこの弾倉が空になる前に辿り着いて欲しいものだけど...」

 

 そうして弾の込め終わった弾倉を元の通りにマシンガンに差し込む。

 

 音が聞こえないせいであまり良く確認はできなかったけど、振動からしっかり取り付けられたことが伺えた。

 

 「これが飛んで行ったら一大事だものね。しっかり付けておかないと....」

 

 弾倉を取り付けたのを確認してからコッキングレバーを軽く引いて初弾の連発弾を装填する。

 

 それから弾が問題なく入ったのを確認して、いざ次の敵に照準を合わせようとした時だった。

 

 「?」

 

 何やら黒に近いようなそんな色がシークマーカー側から見えて....いや、出てくるように見え始めてきた。

 

 「はあ、今度は何よ....もう!」

 

 とにかく先に近づいてきていたダーカーを仕留める。それが霧状になって消えて行ってからもう一度シークマーカーのある方を拡大して見ることにした。

 

 それは何処かで見たことがあるような...普段から見てる?ような色使いが確認できた。

 

 「もしかしてシークマーカー....なのかしら。」

 

 ほぼ同型であるフェルノートの全体図と照らし合わせながら同じ色があったかを思い出してみる。確かに、これはシークマーカー....というよりかはアークスシップなのは確かかもしれない。

 

 「....あ、連絡よね。」

 

 そこで私は何かを思い出したように回線を接続する。一応確認しないと....

 

 『あー....ミィーン?聞こえてる?』

 

 シークマーカー側に向かっていたミィーンに回線を繋げてみる。多分、同じものが見えているはずだろうから。

 

 『....い、..ィ..ん』

 

 『?』

 

 少しすると少し前に聞いたノイズが耳に走る。やっぱり調子が悪いのかしら...

 

 『...ミィーンさん、どうかされましたか?』

 

 それからまたして回線が安定する。どうやら待てば回復するみたいね。

 

 『えっと、シークマーカーの方向を確認して欲しいの。』

 

 『シークマーカーの方を、ですか?』

 

 『そう、船の進行方向側ね。少し確認してみて欲しいのよ。』

 

 そう言って確認を取って貰うことにする。まさかだけど私にだけ見えるなんてないだろうから。

 

 『分かりました。少し、待って下さい。』

 

 『うん、お願いするわ。』

 

 そうして一旦ミィーンが会話から離れるとしばらくの間無音が続く。

 

 少し長くなるかも....と思っているとすぐにでもミィーンから言葉が飛んで来る。それまでにはそこまで時間は掛かっていなかった。

 

 『フィリンさん。こちらでも、確認しました。黒いのですね?』

 

 『ええ、そうよ。あっちの方に見える黒いのよ。』

 

 さっき見たあの色を頭の中で思い起こしてみる。確かにあれは....

 

 『何処となくだけど、アークスシップに見えないかしら?』

 

 『アークスシップに?ですか。』

 

 『そう、あの配色から見るにね。』

 

 『少し、待って下さい....』

 

 それからまた沈黙が続く。ミィーンの方でもそれなりに詳しく確認しているのかしらね。

 

 『.....そうですね。』

 

 しばらくしてミィーンの声が聞こえてくる。

 

 『どう?アークスシップに見えなくもないでしょ、あれ。』

 

 『はい。あの色は間違いなく、ですか。因子の所為で少し、色の判定が、おかしいですけど。数値的には...』

 

 どうやら色を良く確認?していたみたいね。それで同じ型のアークスシップの同じ部分だと思う所と色の数値が同じかどうか.....なのかしら。

 

 『アークスシップ....いえ、シークマーカーに間違いは無さそう、なのかしら。』

 

 『...そうですね。』

 

 少し考えてからミィーンの返事が返ってくる。やっぱり、その見方で問題ないようだ。

 

 『なら、後少しの所ね。シークマーカーまで。』

 

 私はもう一度船の進行方向の方を拡大して見てみる。...長いようで短かったわね。

 

 『....霧が薄くなって見えているのならこの因子の霧の影響を受けないかもしれないわね。少しあれをやってみるわ。』

 

 『あれ...ですか?』

 

 『そうね、試しにだけどシークマーカーの周波数でかけてみるわ。少し待ってて。』

 

 『分かりました。』

 

 ミィーンがミュート状態になったのを確認すると私は向こうのアークスシップ、シークマーカー側に既定の周波数で呼び出しをしてみることにした。

 

 周波数はアークスだった頃に教えられていたから何処となく覚えているけど、どうかしら....

 

 『えっと、呼び出すときにはあの文章よね。』

 

 そうして呼び出しの周波数を合わせると何となくで覚えていた文章を少し変えて呼びかけてみる。

 

 『こちらフェルノート配属のM.Sです、シークマーカー応答願います。こちらフェルノート配属のM.Sです、シークマーカー応答願います。』

 

 それから5回ほど、それくらい呼び出しを続けていると私の方のセンサー系に反応が出た。

 

 それの周波数の数値を確認して見る。....すると、それはアークスシップ、シークマーカー側からの呼び出しを告げるものだというのが分かった。

 

 

 

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