PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742 作:Begew Garand
『.....よし、シークマーカー側から返答が来た。』
管理者の彼の声が回線越しに聞こえてくる。
『この後シークマーカー側の指定距離に突入すると俺達の援護の意味も含めて対空防御を張るらしい。この船よりも威力のある対空砲火でな、配備数が多いし。』
『....それで、続きは?』
『ああ、だからダーカーの勢いが弱まったタイミングで宙域に出ている4人には戻ってきて欲しいんだ。そのままだとダーカーと同じようにば...いや何でもない。』
『....』
『...とにかく、指定された範囲にまでは後少しで着きそうな位置だから格納庫の方に戻って来てくれ。それからはまた指示する。』
『分かった、きりが良くなったら戻るわ。』
『頼んだ。』
そうして艦橋の方との連絡は切れた。結構ここまで長かったわね。
『...ミィーン?今の聞こえてた?』
ともかく、艦橋の方と連絡をしていた間に声が聞こえなかったミィーンにも確認を取る。
『はい、聞こえていました。』
『ん...じゃあ、敵の勢いが弱まったら話の通り格納庫まで戻って。私はそろそろ行くわ。』
今の自分の居る宙域を軽く見回して見て判断する。....このくらいなら私が離脱しても問題無さそうね。
『分かりました。私も、直に行きますね。』
『待ってるわ。後の2人の貴方にも宜しくね。』
そこでミィーンとの連絡は切れた。
「....戻ろう。」
反射的に口から言葉が漏れる。少し疲れたのかもしれないわね。
「...」
キャストは、基本的に肉体的な疲れは来ないけれど精神負荷がそれなりに強くなる所為でそこまで楽じゃないわ。
確かにテクニックは基本的にキャストは使わないからそこまで過度に負荷になる訳ではないのだけれど、特に動いたりするときにフォトンを若干使ってスラスターの出力に回したりしているから疲れはするのよね。
「格納庫の方向は、こっちね。」
上と下の無い宙域で迷子にならないように注意深く格納庫の方向を見定める。これをやらないと着地地点が上手く定まらないから意外と重要な気がするわ。....初めてやるからあまり自信は無いけれど。
「全力で飛ばすとブレーキ噴射が追いつかなそうだから....少し軽めね。」
スラスターの出力の具合を上手い値で見切りをつける。あまり強く出し過ぎると顔から甲板に落ちることになるから細かくね。
「...よし、このくらいね。」
大体の見当をつけることが出来た私はゆっくりとスラスターに出力を集中させる。勿論、さっきまで考えておいた出力の大きさよ。
それからは武器はあくまでも形だけ構える状態で格納庫に向かって進んでいく。流石に遭遇することは無いだろうからスリットに入れても良かったのだけれど着地の邪魔になると面倒だからやめておいたわ。
「この距離になればもう吹かさなくても良いかしら...」
しばらくの間前進を続けていると段々と船に近づいてくる。それからは吹かしていたスラスターの出力を切ってブレーキが出来る状態にして飛び続けた。
「....」
段々と最初に飛び立ったカタパルトが足元に近づいてくるのが見える。そろそろね。
「変に動かないようにして....っ。」
慣れていないことで少し緊張しながらも、何とか無事にカタパルトに降りることが出来た。
少し跳ね返るかと思ったけど、船自体が持っている弱い引力のお陰でどうにか引っ張ってくれたみたい。
「....やっぱり
格納庫側に歩きながらそう呟いてみる。....確かに落ち着かないのは本音ね。
何と言うかこの、浮く感覚と言うか地に足が付かない感覚と言うか....あんまり好きじゃないわ。
今までアークスだった時に宙域での仕事が無くてある意味良かったのかもしれないわね....
「...さて、後はミィーン達が来るのを待つだけね。」
そうして格納庫に着くことが出来た私はミィーンの到着を待った。
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「ど、どうだ?出来たのか?」
弾を飛ばした方向を照準器で急いで確認する。....どうやら上手くやれたみたいだ。
「....駄目だ、落ち着く時じゃない。」
少し安堵、しようと思ったけれど気が緩むと思ってやめる。
敵は、ダーカーはこっちのことを考えてきている訳じゃないからね。油断はできない。
「次のは一体何処に.....?」
そうして次の標的を探そうとしていた時だった。ヘルメットの中でノイズが走る。
「もしかしてバーンズさんか?なら繋がないと....」
連絡が来たと思った僕はヘルメットの回線スイッチを入れた。
『...ノア君、聞こえてるか?』
スイッチを入れると聞き慣れた声が耳に入って来る。バーンズさんだ。
『どうしました?こっちの方は何も問題は無いですけど。』
特に今のところ僕の方から何も聞いたりしていなかったから何かと思って用件を聞いてみることにした。
『いや、今グレイドの方から連絡があってな。それで回線を繋げたんだが....どうやらシークマーカー側と連絡を取ることが出来たらしい。』
『そうなんですか?』
『ああ、距離も大分近い位置にまで来てるみたいだ。一旦照準器を外して外を見てみてくれ。』
『分かりました、見てみますね。』
どうやらシークマーカーにもうすぐ着きそうなみたいだ。ともかくそれを聞いた僕は言われた通りに照準器を一瞬外して外の宙域を眺めてみる。
すると、今まで攻撃をしていた方向とは少し離れた方向に大きい塊....要はアークスシップの端が見えた。
『...あんまりフェルノートと変わらないんですね。』
『まあ、ほとんど同型艦だからな。...それで話の方なんだが、照準器は取りあえず戻して良いぞ。』
『分かりました。』
視線から外していた照準器をまた元に戻した。
確かにシークマーカーは外観だけ見ればそこまでフェルノートとは違いが無さそうだ。
『どうやらこの後、この船が相手の方の指定した距離に入ったのを確認次第フェルノート側から俺達の援護もダーカーの排除もひっくるめて対空防御を張るらしい。』
『対空防御?何ですそれ?』
『まあ、俺達がやってることと変わりは無いな、規模の大きさと言うか言葉の綾というか...まあそんなところだ。』
『は、はあ....』
とにかく、方法はどうとして話の通りなら援護は受けられるみたいだ。
『だからまあ俺達は取りあえず休んでも良いってことだ。指定の距離って言うのももう近いしな。フィリン達も格納庫に帰投できたらしいぞ。』
『そうですか....まあ、全員無事で良かったです。』
『そうだな、俺達も付近のを片付けてから降りるとしよう。』
『分かりました。』
そうして僕は引き続き索敵範囲内のダーカーに攻撃を続けた。
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「....はあ、ひとまず区切りがついたのかな。」
後ろにある対空用機銃の配備室の扉をスイッチで閉めながら僕は疲れた息を吐いた。
「お、そっちの方も出てきたところか。」
通路を挟んで向こう側の扉からバーンズさんが出てくる。どうやら同じタイミングで終わらせてきたみたいだ。
「最後まで特に問題は無かったか?」
「はい、特に何も無かったですよ。」
「そうか.....まあ、とにかく俺達の仕事の山場は過ぎたところだな。フィリン達も部屋に戻っているだろうからノア君も行くと良い。」
「バーンズさんは艦橋の方に?」
「ん、グレイドと少し話すことがあるからな。到着までゆっくり休んでくれ。」
どうやらバーンズさんはまだすることがあるみたいだ。何だろう、さっきの攻撃の時に何かあったのか?
「分かりました。じゃあ、また後で。」
そう言って僕とバーンズさんは違う通路を進んで行った。
「フィリンさん達の方も何も無かったのかな.....」
今は取りあえずバーンズさんは特に何も無かったのは分かったけど、フィリンさん達の方はどうなのかが分からないままだった。
....まあ、フィリンさんもミィーンさん達も恐らく僕よりも強いだろうから大丈夫か。
「えっと、ここの角をこっちか。」
バーンズさんに案内してもらった道を思い出しながら通路を進んでいく。今度は飛ばないようにしないと。
「....あった、これで上に行けば部屋だな。」
そうして進んでいるうちに通路の突き当りの小さい昇降機に着いた。僕は扉を開けて中に入ると電源のスイッチを入れる。
「それにしても、フェルノートがあれじゃフィリンさんの言う通り原状復帰なんて難しいだろうしな。平常通りM.Sの仕事をするなんて不可能に近いし.....これからどうするんだ?」
フィリンさんがフェルノートのドッグで話してくれた原状復帰の話。あれが本当だとしたらまずは復旧作業よりも先にダーカーをどうにかしないといけないし、たとえそれが出来たとしても普段通りの仕事をするのには無理がある。
....取りあえず到着次第にシークマーカーの方の
「....駄目だ、少し休もう。考えがまとまらない。」
だけど、これからのことを考えると結局は疲れの所為でどうでも良くなってくる。さっきまで気を張り巡らせ過ぎていたのが祟ってなのか先が見えないのが原因なのかは分からないけど。
「...あ、着いてたのか。」
それからふと顔を上げてみると既に昇降機が到着したのか扉が空いた状態で止まっていた。
「今は、フィリンさん達と休むしかないか。これからのことはそれからだな。」
そうして僕は部屋の中に入って行った。