PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-43 「清掃」

 「....お、2人とも戻ったか。」

 

 昇降機の扉が開くとそこにはバーンズさんの姿があった。

 

 それにしてもバーンズさんがこの場所(元休憩室)に居るなんてどうしたんだろ。

 

 「今丁度ですね、戻ってきました。」

 

 ひとまず、目的の場所に着いた僕は手に持っている物を本能的に近くにあった机の上に置いた。.....机?

 

 「あれ、この机どうしたんです?」

 

 僕は手で机に触りながらバーンズさんの方に顔を向けて聞いてみる。ここの休憩室の跡には埃と仕切り以外何も無かったはずなんだけど....

 

 「そいつは今さっき俺が持ってきたやつだ。船の中に残っていたので使えそうな物を選んできてな。」

 

 バーンズさんは作業を続けながらも話を続ける。

 

 使えそうな物を持って来るって、ここを元の通りに休憩室にするのかな。

 

 「この場所を元の休憩室に戻すんです?何だか元々はそうだったみたいですけど。」

 

 そこで顔を上げてもう一度改めて辺りを見渡してみる。

 

 やっぱり、構造で見るなら休憩室にしか見えないな。仕切りの配置が良く見る形の物だしね。

 

 「いや、目的としては近いかもしれんが休憩室では無いな。」

 

 けれど、バーンズさんは少し笑いを口に含めながら違うと言った。だとしたらここをどうするんだろう。

 

 「...もしかしてだけど、ここを待機室にするつもり?」

 

 するとバーンズさんが答える前にフィリンさんがそう答えた。

 

 待機室.....確かにこの船を駐在所にするなら休憩室のあった場所を使うのは選択肢の一つかもしれないな。船の中で広い空間と言ったらこういう場所しかないみたいだしね。

 

 「良く分かったな。....まあ、ノア君。そう言うことだ。」

 

 どうやらフィリンさんの言った通り休憩室にするみたいだ。

 

 「....そうだ、帰って来て直ぐに悪いが手伝ってもらえるか?まだほとんどやり終わってなくてな。」

 

 そう言うと靴先で汚れの残っている床を軽く叩いた。

 

 「大丈夫ですよ、さっきまで休んでいてそこまで疲れていないですから。道具はあります?」

 

 「ん、道具はこれを使ってくれ。」

 

 すると壁際に立てかけて置かれていた掃除道具を1つ渡してくれた。勿論フィリンさんにも。

 

 「3人も居ればそこまで時間も.....」

 

 バーンズさんはそこまで言うとはっとした様子で言葉を切った。

 

 「そう言えばまだ昼、何も食べてないだろ。ほら。」

 

 近くに置いてあった物を取って僕の方へそれを差し出して見せる。

 

 いつも飲んでいるのとは少し見た目が違うけど、携行食みたいだ。

 

 「ミィーンも味満たしに要るか?」

 

 「....じゃあ、貰っておくわ。」

 

 ミィーンさんも味満たしに同じタイプの物を貰ったみたいだ。

 

 一応、キャストの人でも味覚機能が付いている人は精神的に来る空腹感を満たすために身体的な意味は無いけど食べ物を食べることが多いからね。

 

 「色々あって何も飲めませんでしたしね、頂きます。」

 

 そうして僕は携行食のパックにストローを刺して中身を吸い込んだ。

 

 すると、バーンズさんが少し遅れて言葉を付け足した。何だろう?

 

 「あ、中身はかなり濃いから気をつけた方が良いぞ。」

 

 そう言われた時には既に遅くて、直後に僕は激しくむせた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「大丈夫....じゃなさそうね。」

 

 気分が少し悪くなっていた自分を横目にフィリンさんが声を掛けてくる。それにしてもあの表現しにくい味は何だったんだろ。

 

 「フィリンさんは良く飲めましたね、あれ。」

 

 「それは....貴方があそこまでになるんだから味覚の感度の調整ぐらいするわよ。」

 

 「はあ、便利ですね全く。」

 

 どうやらフィリンさんは味覚の感度の調節でやり過ごしたみたいだ。

 

 「....このくらいで大丈夫かな。」

 

 そうこうしてフィリンさんと話をしている内に大体辺りを綺麗にすることが出来た。

 

 一応の確認の為にバーンズさんを呼んでみる。

 

 「バーンズさん!ここはこれぐらいで大丈夫ですか?」

 

 自分に割り当てられた部分を大体掃除することが出来た僕は確認の為にバーンズさんに声を掛けた。

 

 最初にここを見た時よりは大分良い方になったかな。

 

 「ノア君が良いと思ったらそれで大丈夫だ。区切りが付いたら一旦こっちに来てくれ。」

 

 「分かりました、すぐ行きます。」

 

 それを聞いた僕は掃除道具の柄の部分を持って道具を元の通りに壁に立てかけて、それからバーンズさんの方へ向かった。

 

 「...良し、終わったみたいだな。」

 

 「ちょっと雑かもしれませんけど、終わらせてきました。」

 

 そう僕が言うとバーンズさんは作業をする手を止めて話を続けた。

 

 「まあ、話と言っても場所の説明みたいなものだ。あそこの部屋なんだがな...」

 

 手で通路を少し進んだところにある部屋のドアを指して言う。

 

 「管理者のグレイドと話し合ってあの部屋を倉庫、ロッカールームとして使うことにしたんだ。ロッカーが元から置かれている部屋だったしな。」

 

 「そうなんですか?」

 

 「ああ、昔からずっと置いてあるらしい。」

 

 話だとあの部屋をロッカールームに使うみたいだ。

 

 さっきの部屋を待機室としてここにロッカールーム。距離が近いし物も既にあるなら丁度いい場所だしね。

 

 「丁度補給品も持ってきて貰ったところだからな。良い程度に分けて置いておいてくれ。」

 

 「分かりました。じゃあ、ちょっと行ってきますね。」

 

 「ん、頼んだ。」

 

 頼まれた僕は支給品の箱を取りに戻ってからロッカールームに向かった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「全く、どうしてここまで汚れるのか、知りたいわね。」

 

 要所要所に積もった埃を片付けていきながら口から文句が零れる。....まあ、前までいた部屋も大概だったけれど。

 

 「体が肉体的に疲れないのが唯一の救いね、こんなの生身だったら明日は大変よ。」

 

 そんなことを言いながらも私は掃除を続けていた。

 

 ...そういえばノアの方は支給品の箱を持って行ってから戻っていないけど、手間取ってるのかしら。

 

 「丁度終わりも見えてきたところだし、手伝いに行っても良いか。」

 

 そう考えた私は道具を片付けて、それからロッカールームの部屋の方に向かおうとした。

 

 「?」

 

 けれど、その時に背後から聞こえて来た昇降機の駆動音で私の意識はそっちの方に寄せられた。

 

 この船に上がって来るのなら...ミィーン?それとも管理者の彼かしら。

 

 「....まあ、ミィーンなら携行食を渡せるし彼なら挨拶が出来るもの。」

 

 ともかくどちらが来ても挨拶ぐらいはしておこうと思って私は昇降機が上がるまで待つことにした。

 

 それからしばらくして昇降機が今居る区画に到着してその扉が開いた。....けれど、そこにあった姿は何にも見覚えのない人物だったの。

 

 「貴方.....何の用?」

 

 そう私が声を掛けると動揺した様子で言葉を返して来た。

 

 「そ、その....ほ、補充員です!」

 

 「補充員?聞いていないけど....」

 

 「あれ....おかしいな...」

 

 補充で誰かが来る予定があるのなら何かしら連絡がある筈だから...来ていないとなると分からないわね。

 

 そうしてお互いに混乱していると後ろの方からバーンズの声が聞こえて来た。

 

 「フィリン、待ってくれ。俺が代わる。」

 

 「知ってるの?」

 

 「ああ、伝え忘れてたが近いうちに来るとだけ伝えられていたからな。この時間に来るとまでは知らなかったが。」

 

 そういうとバーンズが私の立っていた位置と変わる形で場所を入れ替わった。

 

 「君が連絡のあった補充員で間違いないんだな?」

 

 「はい、この船のあるドッグに向かうように言われたので....すみません、巡洋艦のブリュンヒルデで間違いないですか?」

 

 「ああ、間違いない。ここがその船だ。」

 

 「そうですか.....よ、よかった。」

 

 服を見る限りではM.Sではなくてアークスの人間みたいね。ただ、普通の制服じゃない所が少し気になるけれど....この制服は何の担当だったかしら。

 

 「まあ、詳しいことは左側面の格納庫に居る管理者の奴と話すようにしてくれ。この後の動きも伝えられるはずだからな。」

 

 「分かりました!じゃあ、行きますね。」

 

 そう言うと彼はもう一度昇降機のスイッチを押そうとした。

 

 「...ああそうだ。名前を聞いてなかったな。何て言うんだ?」

 

 丁度上がる寸前でバーンズが彼に向かって質問をした。すると彼ははっとした様子で口を開いた。

 

 「えっと....じ、自分はルイスと言います!整備員です!」

 

 「ルイスか。俺の方はバーンズ、こっちがフィリンだ。宜しく頼む。」

 

 ルイス、着ている制服で中々思い出せなかったけれど最後の言葉でようやく思い出せた。あれはアークスの整備担当員用の作業服だったわね。忘れてたわ。

 

 ...ともかく、これで何かあったとしても緊急の時にはどうにかなりそうね。

 

 

 

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