PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742 作:Begew Garand
「おい、戻ったぜ。」
中に居る人間に帰って来たのを伝えるために扉を数回ノックする。
しばらくすると隠してあるスピーカー越しに聞き慣れた声が聞こえて来た。
『....ナウラは?』
「ケーキ。」
そう言葉を放つと扉から作動音がしてロックが解除される。それからスイッチを押して中に入ろうとすると....
「今帰....うわっ!」
扉の向こうから飛び掛かって来る何かに思い切り倒された。一体何だって言うんだ?
「うぅ......あ。」
ちょっとした痛みに耐えながら腰を上げようとすると俺はそれと目が合った。....驚いたようなその顔は良く知った顔だった。
「ご、ごめん。今帰って来たって聞いたから。」
「何だお前か、驚かすなよ。」
取りあえずそれの正体が分かった俺は立ち上がって建物の中に入って行く。全くとんでもない出迎えがあったもんだ。
「ほら、早く来いよ。締め出しちまうぜ?」
「やめてよそういうのっ、もう...」
奴が入ったのを確認してから扉を元の通りに閉じる。するともう一度作動音が響いてロックが掛かった。
「...特に何も無かったの?」
「当たり前だろ、間接的な戦闘だったんだからな。怪我できるもんなら天才だな。」
短い通路を進みながらさっきまでしていた戦いについて話す。まあ、戦いと言ってもただ向かってくる的に向かって射撃するだけの練習みたいなもんだったけどな。
「なら良いけど....疲れてるだろうからゆっくり休んでね?」
そう言うと引き留めるようにして俺の腕を軽く掴んでから休憩室の方を指で指して来た。俺もそうしたいところなんだがな....
「生憎だが伝えなきゃいけないことがあるんでな。お前は先に行っとけよ。」
俺は掴まれた腕を軽く振りほどいて、それから軽く手を頭に添えてやってから奴に先に行くように伝えた。
「ん....分かった。早く済ませてよね?一応聞きたいことあるんだから。」
「はいはい、分かってるよ。」
そう言うと休憩室の方へ大人しく進んで行った。...まあ、普段無いことだから聞きたいことが山ほどあるんだろうよ。
「...ふう、取りあえずあのことを報告しないとな。」
ともかく、一息落ち着けてから俺は通路の突き当りにある部屋にまで進んで行って扉を叩いた。
「おい、入っても良いか?」
ノックを数回しながら確認を取る。居るのは分かっているがこれぐらいはな。
そうして少し待っていると扉の方から返事が返って来る。
「何か伝えたいことがあるんだろ?入ってくれ。」
「じゃあ入るぞ。」
返事を聞いた俺は特にロックの掛かっていない扉のスイッチを押して部屋の中に入って行った。
「.....ん、たまにはこういうのでも悪くないもんだな。」
「なんだ飯の時間か?」
部屋の中に入ると椅子に座って携行食のパックを飲む男の姿が目に飛び込んできた。
気になった俺は手を前に出して空中に端末のホログラムを出して画面を確認して見た。....確かにもうこんな時間か。
「なんだ、お前もまだ何も食ってないのか?ほら。」
そう言うと奴は同じパックを手に取って投げ渡して来た。俺は落とさないように慌ててそれを受け取る。
「あんまりこれ好きじゃねえんだけどな.....」
「お前はいっつもそうだな、たまにはこういう薄味の方が良いってもんよ。」
「だってこれ、一般員用の安物だろ?普通に
こういうのは基本的に非常糧食として飲むやつだからな。俺以外にもアークスでこれが嫌いな奴は多い、不味いからな。
「....まあ、そんなことは良いんだ。ほら。」
奴は手で椅子を指して、ついでに手に持っていたパックを飲みきったのか近場の籠に投げ入れた。
「いや、数時間座りっぱなしだったんだ。椅子ならもう良いって。」
「そうか?別に良いけどよ.....それで、話は?」
そこで、奴が話を聞ける状態になったのを確認した俺はここに来る途中で聞いた話を話す状態に入る。
聞いた話から俺達に有用な部分をその短い間で簡単にまとめて....それから俺は事の説明をし始めた。
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「....本当なのか?」
あらかた話をすると奴は疑惑の目を向けて来た。
「そうじゃなかったらしないぜ?こんな話。」
大して俺も語彙を強めて返す。....まあ、俺も
「じゃあ、本当に格納庫の警備システムが緩くなるって言うのか?」
「まあな。さっき教えた時間の間だけなんだが....こんなことは滅多にない話だぞ。」
そう、俺がその男から聞いた話。それは俺に、俺達にとってはとてつもないほどに有益な情報だったんだ。
それは格納庫の警備が手薄になるということで人員が足りないことと資材不足が原因らしいが....理由は何であれこれは好条件だ。
「確かにお前が言うなら信憑性があるけどよ、その男ってのはどういう奴だったんだ?」
「なんでもアークスの上層部に関わりのある人間らしくてな。ただ服装の所為で種族が分からなかったが....まあ見せてくれた識別カードでは普通の
男のことについて聞かれて奴に話しかけられた時のことが頭を過る。
あの時は頭が布で覆われている奴に突然声を掛けられて....それで何かと思ったが本当に有益な情報を言ってくれるだけだったしな。上層部の関係者だって言うのも顔写真付きの識別カードで証拠を出してくれたし。
「...んまあ、同じ種族の人間ならまだ良いところか。ちょっと待ってろ。」
そう言うと奴は一旦席を立って、それから何処かへ連絡をし始めたようだった。恐らく他の拠点の連中に話を繋げてるんだろうな。
...それにしても格納庫の警備システムが緩くなる、か。そうだとするならあの
そうしてしばらくの間椅子に座って考えながら呆けていると連絡が終わったのかもう一度さっきまで座っていた椅子に奴は座り直した。意外と話が短く済むもんだな。
「それでどうなったんだ?」
「いや、具体的な部分までは決まってないが....日程で1日目にあたる日に現場の確認作業、良くて日程2日目に実行ってところか。忙しくなりそうだな。」
1日目の状況でどう動くかどうかか....出来れば
「そうだな。.....じゃあ、俺は備えて少し休むぜ。」
「あ、おい!もう少し話したって良いじゃないか!」
「俺は疲れてんだまたな。」
そう言って俺は後ろから聞こえる声を無視しながら通路に飛び出るように外に出た。ああなるとあいつは話が長引くからな....
「....さて、
そうして俺は休憩室にようやく行くことが出来た。扉のスイッチを押して中に入る。
「なんだ、俺より早く寝てるじゃねえか。」
部屋の中に入ると既にあいつは寝ていた。あれだけ話を聞きたがってたってのに。
.....だけどまあ、取りあえず俺も疲れを取らないとな、今のところは。