PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742 作:Begew Garand
「うーん....この通りで合ってるんだよな。」
メンテナンス用のハッチの中を目で睨みながら思考を巡らせる。一応勉強した通りならこれで合ってるんだけど....
ともかく、中途半端ではいけないと考えた僕は端末でマニュアルを表示させて目の先にある配線と再び睨みあいを始めた。
「ルイス!どんな感じだ!」
集中をしていて突然声が聞こえて来た僕は慌てて声のした方を見る。
「あ、グレイドさん!」
そこには丁度作業を終わらせたグレイドさんが居た。気が付いた僕は直ぐに挨拶を返す。
それにしても手が上手い人だな....僕ならもっと時間が掛かるぞ。
「俺の方は方が付いたがお前の方はどんな感じだ?」
「僕の方ですか?....まだ5割くらいですかね。」
僕がそう言うとグレイドさんが道具を2つほど手に納まるようにして持ってこっちの方に来た。
「分かった、少し手を回す。ちょっと良いか?」
「い、良いんですか?」
「良いんだよ。恐らくお前の知識の範囲だとこのタイプは教育を受けても知らないだろうしな、ほら。」
「は、はあ...」
グレイドさんは手で少し退くように合図を送って来ながらそう言う。僕は端末を作業服のポケットにしまい込んでからその通りにメンテナンスハッチから離れた。
「良いか、ここの部分を見てみろ.....」
そう言われた僕は早速指で指された部分を良く見てみる。この部分は確かエネルギーケーブルか。
「これはお前の使おうとした測定器じゃ測れないんだ。少し込み入ったのが必要で、これだな。」
すると見たことが無いようで覚えのある形をした物をグレイドさんは僕に向けて見せてくれる。確かにこれは知らない道具だな...
....取りあえず、その物の正体を知るために僕の方からそれについて聞くことにした。
「それは何なんです?まだ見たことが無くて。」
「なに、焦らなくても今見せるさ。」
グレイドさんは話しながらその道具を慣れたような手付きで、それもそれなりに太いエネルギーケーブルに挟み込むようにして取り付けをした。エネルギーが流れてくる上方と下方に1つずつだ。
「これは特に言わなくても分かるだろうが、この部分でまずは電源を入れて作動させる。」
手で触れていた部分に付いている小さいスライドスイッチを滑らせて言う。ちなみにその部分に書いてあったような印字は擦れて読めなくなっていた。相当使い込んでるんだろうな....
「次に、マニュアルに書いてある通りに常時平均循環エネルギー量値を入れておく。この配線の番号は.....」
「そのエネルギーケーブルはMEのS5、65番だったはずですよ。」
「ああ、そうだそうだ。この位置ならそれだな。ありがとう。」
そうして何かを思い出すような仕草で今度は機器の小さいモニターに出ている数字の値を上げていく。
これは....これは見たことがある物だぞ。
「これ、かなり形が違いますけど状態確認用の測定器ですか?一応僕も持ってますけど....」
僕は試しに持っている支給品の道具で同じ役割だと思った物を1つ手に取って、それをグレイドさんに見せながら言う。
「確かに用途は同じなんだがな、ここのケーブルはこいつでないと駄目な箇所が多いんだ。それだと規格が合わなくてな?多分お前の方に満足に情報が回ってなかったんだろうよ。」
「な、なるほどです。」
「手が空いた時にでも追加で物品を申請しておけ、この船の手入れにはかなり使うからな。」
それを言われた僕は急いでまた端末を取り出してメモ書きだけを入力して残した。
....にしてもここに配属になる前にしっかり確認したはずなんだけどな。それとも聞き忘れ、なんて無いよな。あんまり考えられない事だけど忘れてたのか?
そうして考え事でぽっとしているとグレイドさんに名前を呼ばれて、それで驚くようにして頭の中がすっとした。
「大丈夫か?寝不足なら良く休んでおけよ。」
「いや、その、考え事ですよ!はは。」
「?」
当然ながらに良くの分からないというような顔をしながらもグレイドさんは近くに立てかけてあったメンテナンスハッチを手に取って、それを元の通りに嵌めこむ。
「まあ良く休んでおけよ。時間も丁度良いから昼でも食うんだな。ほら。」
そう言うとグレイドさんは自らの腰に着けていたケースから携行食のパックを投げ渡してくれた。
「わかりました。.....じゃあ、行ってきますね!」
「ん、転ぶなよ。」
返事を返してから僕は直ぐにエア抜き室の方に向かって行った。
「...っと、そうだった。ルイス!」
「どうしました?」
....けれど、どうやらまだ伝えたいことがあったのかグレイドさんに後ろから呼び止められた。何だろう?
「何かしら軽めの武器を作るのが得意だって聞いて面白いのを持って来たぞ。これだ。」
近くにあったロッカーに近づいて行って、一番右の方にあるロッカーをグレイドさんが開けるとそこには少し大きめの何かがあった。
ここからだと良く見えないけど....何だろ?
「少し前にお前の詳細情報が補充の話が来て回ってきた時にバーンズに相談したんだよ。その時にだな。」
「バーンズさんにですか?」
「そうだ、基本的にこの船は俺とバーンズの2人が最高責任者に近い役割だからな。」
グレイドさんはそう話しながら物を持って僕の方へ来る。そうして近くに来たことでその物の全容が見えて来た。
「ん、持ってみろ。」
言われた僕は特に何も思うことなくそれを持ってみた。.....ちょっと重い?
「これ、何です?左と右で形が違いますけど。」
それはUの字型で前の方に箱が付いているような見た目の物だった。それでいて金属なのかそれなりに重さがある。
「これはキャストのヘッドパーツ用武装の1つなんだがな。着脱式短機関銃とか言うんだがな....取りあえず応急処置で付けた電源があるだろ?入れてみな。」
そう聞いて手に持っている物に何か付いていないかを回したりして探す。....これか!
取って付けたような電源装置。それを見つけた僕は直ぐにそれを点けた。
断続的に切れるような電子音が鳴ると突然アナウンスが鳴る。驚いて落としそうになったよ....
『接続状態の再確認を開始しま、異常発生。接接続先がありりません。機能を機能を機有効化するにはパーツ本本体への取り付けを行って異常さい。繰り返ええします....』
「あれ、おかしいな。単独でも動くようにやったつもりなんだが....」
「何が起こってるんです!?」
そう言ってグレイドさんが僕の言葉を聞いて、それで答えを返そうとして口を開こうとした時だった。
何かと思うと突然それから鳴っていたアナウンスが切れて、またしばらく断続して電子音を出すと小さめな爆発音がしたんだ。
爆発音が響くと今度は壁を跳ね返る音が鳴る。
「...た、弾が入ったままじゃないですか!」
「あれ、おかしいな。しっかりと弾倉から弾は抜いておいたはずなんだが。」
グレイドさんは首を傾げるとその銃のようなもの?を僕の手の内から取って詳しく観察し始めた。
それで少し唸って考えた後、そういうことかと言って暴発の原因を説明し始めた。
「なるほど、薬室に1発入ったままだったんだな。これは気が付かなかったな....」
「危ないから気を付けてくださいよ....」
「仕方が無いだろ?武器の取り扱いは無知なんだからな。」
「は、はあ....」
それから、少し落ち着いてグレイドさんは言葉をまとめた。
「...まあ、あれだ。要はこれをキャスト用としてじゃなくてヒューマンでも装備出来るように手を加えて欲しいんだ。」
「これを頭に着けるんです?でもパーツに取り付けるのなら無理が....」
そう僕が言うといつの間にか被っていたヘルメットを脱いで、それを僕に見せて来た。まさかこれに?
「ほら、ここに丁度良いのがあるだろ。バーンズからこれも一緒に渡して貰ったんだ。」
「...本当にヘルメットに付けるつもりなんです?」
「ん、本来ヘッドパーツに取り付ける物だしな。これが良いだろ。」
ヘルメットを手の内で回しながら冗談のように言う。....一応、今感じれた反動の限りだと無理ではないと思うけど。
「正直、使えるかは微妙なところだがお前の技能を試すには丁度良いだろ?頑張ってみてくれよ。」
「やるにはやりますけど.....分かりました。」
「じゃあ、俺からの話は済んだからゆっくり休んでくれよ。」
そうしてグレイドさんは言葉と一緒にヘルメット、例の短機関銃を残して通路の方に行ってしまった。
....まあ、面白そうだからやってみるかな。