PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-47 「軽警」

 「...やっぱり何も無いな。」

 

 椅子に深く座りながら待機室で言葉を漏らす。

 

 「何言ってるのよ。何もない方がお互いに楽で平和でしょ。」

 

 すると机を挟んで向こう側に居るフィリンさんから言葉が返る。

 

 まあ、確かにそうなんだけどやっぱり役目が無いと気力と言うかやる気と言うか....そう言うのがなあ。

 

 「大体、ここだと私達はあくまでも予備みたいなものなんだから事態が起きてもね....そもそもよっぽどのことが無いと呼ばれないのよ。」

 

 「じゃあ何でわざわざこんな仮設の駐在所なんて、意味が無いじゃないですか。」

 

 「意味はあるわよ。私達がここに居ても良い口実が作れるもの。」

 

 「そ、そんなのってありなんです?」

 

 「.....ちょっとした冗談よ。仮説も含むけど。」

 

 「は、はあ....」

 

 ...そうして話で繋げて暇を潰していると気が付いた時には既に正午近くになっていた。暇をしてると時間も早く感じるんだな。

 

 「それで....どうします?昼食を済ませてから僕の方は直ぐに動けますけど。」

 

 手に2つ携行食のパックを取りながら話を続ける。

 

 この調子だと今日は丸1日何も無さそうだからね。掃除をするのには丁度良い配分だ。

 

 「掃除ね、良いわよ。私は昼食に時間が掛からないから。1つ貰える?」

 

 言われた僕は持っていた内の1つをフィリンさんに手渡した。僕はそれに合わせて言葉を返す。

 

 「じゃあ、飲み終わったら部屋の方で準備して来ます。それが終わったら僕の方から呼びますから。」

 

 「ん....分かったわ。適当に待機してるから。」

 

 そう言うとフィリンさんは自分の席の方に戻って行った。

 

 よし、早いところ飲み干して部屋の方に行かないと.....そう思って携行食のパックからストローを外しかけた時だった。

 

 『...区画、Fの4番で応援要請。一般区画、Fの4番で応援要請。軽度の警備レベルを要す為、付近のM.S予備部隊は直ちに急行を。繰り返します。』

 

 そのアナウンスが船内に響くとそれに続けて別の回線が繋がったようだった。一瞬ノイズが走る。

 

 『あー....今のはM.Sの支部から来たやつだ。』

 

 この声...確か管理者の人か。

 

 その人はそのまま話を続ける。

 

 『それで慌てて船内の方に繋げたんだが....ここは例の現場に近いドッグだからな。準備した方が良いんじゃないか?』

 

 そこまで言葉を述べるとその人は回線を切ったのかもう一度ノイズが部屋を走った。

 

 ...それにしても軽度の警備レベルってどうしたんだ?

 

 「ノア君、フィリン。今のは一応聞いてたな?」

 

 一連の流れをそうして整理しようとしていると後ろから声を掛けられる。バーンズさんだ。

 

 「一応と言うか軽く把握までは出来ましたけど....何があったんです?」

 

 「そうよ、お呼ばれなのは分かったけれど肝心な理由が無いじゃないの。」

 

 僕が事について尋ねようとするとフィリンさんも合わせてバーンズさんに問いを投げた。

 

 確かにフィリンさんの言う通りどうしてなのかの理由が無いな。一体何なんだろう....

 

 「いや、今回のは普段のと比べれば大したことじゃないさ。これを見てみろ。」

 

 そう言うとバーンズさんは特に焦るような顔1つも浮かべずに何かを表示させた端末を僕とフィリンさんの前に差し出して来た。僕はそれを良く見てみる。

 

 「格納庫からの器具及び機材関係の運搬に応じて軽度の警備レベルを要す為、予備部隊の現場への急行.....運搬?」

 

 その中でも理由になりそうなものを見つけて更に聞いてみる。もっとも、この時に僕がバーンズさんに聞いた言葉は運搬についてだったけど。

 

 僕がそう言葉を漏らすとバーンズさんはまた急ぐ素振りも無く話を続けた。

 

 「ん、そうだ。この間の戦闘で艦内の対空兵器の使用率が驚異的に跳ね上がったのが主な原因....だと俺は推測するがそれに対しての大規模な補給、基本的には弾薬であったり部品であったりを艦内の各持ち場に補給しようとしているらしい。」

 

 対空兵器....この船で僕も使った対空用機銃と同じ部類のやつか。僕は頭の中にあの機銃の姿形を思い起こした。

 

 確かに、あれをベースに考えてみると実際に使ってみた感覚として弾の速度には特に問題は感じなかったけれど弾薬数はそれなりに早く消費するのが印象的だったかな。

 

 ...まあ本来なら機銃のある部屋のすぐ近くにでも備蓄用の部屋があるだろうから問題にはなりにくいことだと思うけど。

 

 「それで簡易的にでも大掛かりなことをする兼ね合いで警備が必要になったわけだ。一応、弾薬類を多く運び出す訳だからな。」

 

 「...なるほど、そう言うことね。」

 

 僕が返事を返そうとするとフィリンさんの方が先に口を開いた。

 

 とにかく、理由としては補給品の運搬の警護?みたいなものをするみたいだ。バーンズさんの様子を見る限りそれ程大変じゃない仕事のように感じる。

 

 普段する仕事と言えばかなりの頻度で鎮圧作業があるからね....そう言うのと比べれば断然なんだろうな。

 

 「まあ、急ぐことには変わりはないんだがな。2人とも準備が出来たら甲板の方まで降りて来てくれ。俺は先に行っておく。」

 

 「分かりました。準備ができ次第に直ぐに降ります。」

 

 「良し、それなりに急ぐんだぞ。」

 

 そう言い残すとバーンズさんは昇降機に乗り込んで行った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「結局、掃除できなかったわね。」

 

 隣に立つフィリンさんが口を開く。確かにこれが無ければ今頃は掃除も終わって....なんて思ったりする。

 

 でも、話を聞く限りだといつかはしないといけないことだったみたいだし仕方が無いか。それに仕事だしね、これが。

 

 「今日はしっかりと眠れるかと思ったんですけどね....今日のところは別の策を講じてみますよ。」

 

 「そうした方が良いわね。だって今日の朝の貴方、酷い顔だったもの。」

 

 「は、はあ。」

 

 埃が酷いのなら口と鼻を何かで保護したりとかか。....辺りを見て警備を続けながらもそんなことを考えてみせる。

 

 そういえばここのところ大きめのコンテナが1つ来たくらいで大きい物品は通っていない印象だな。かなり小さい物、弾薬なのかは定かではないけどそういう大きさの物を荷台に詰め込んだのが数台通っていくだけだ。

 

 こんな調子だと運搬中に襲われるなんてことは無さそうな気もするけど....万が一のことだからやるしかか。

 

 「明日も仕事があるんだから今日みたいなだと大変よ?今回は軽い仕事だったから良かったけど......」

 

 そうして話をしていると突然フィリンさんの言葉が止まる。

 

 何だと思った僕は直ぐに辺りを見回してみるとそこには作業着の男の人が居た。

 

 「通行?」

 

 そうフィリンさんが言うとその人は聞き取れない声の大きさで返事をしながら会釈をした。どうやらここの作業員の人みたいだ。

 

 「じゃあ、識別カード貰えるかしら。確認が必要なのよ。」

 

 続けて聞くともう一度頷いて、それからポケットを探ると識別カードを手に取って差し出した。フィリンさんはそれを受け取って確認をし始める。....まあ、確認と言っても小型のカードリーダーでの確認と番号の照合だけなんだけど。

 

 それから少しして確認が終わったのかカードリーダーから電子音が鳴る。確認が終わったみたいだ。

 

 「....問題無し。通って良いわ、ほら。」

 

 カードを男の人へ向けて返却をしながら通用ゲートのバーを片手で上げる。そうすると男の人はゲートを潜ってさっさと歩いて行ってしまった。

 

 「M.Sの僕らよりも中の方が忙しそうですね...」

 

 男の人の急ぐ様を見て僕はそう呟いた。

 

 以前、と言ってもかなり前のことだけれどM.Sに配属が決まった時にM.S以外の役職の方が良い...なんて言ったけど他の役職にもそれぞれ忙しいものがあるから大して変わらないのかもしれないな。

 

 「多分だけど中身の仕分けで手間取ってるんでしょうね。この艦以外にも言えることだけれど格納庫なんて滅多なことが無いと使わない場所だもの、検品に手間取ってるんでしょ。」

 

 そう言うとフィリンさんは体の体勢を元に戻した。

 

 滅多に使わない場所、恐らくは500年前の頃にはかなり活発に動いていたんだろうな。交戦が多いってことは補給にも余念がないだろうし。

 

 ....まあ、その時代の人間じゃない僕が言ったところで何にもならないんだけど。

 

 「...はあ、後数時間頑張らないとな。」

 

 近くにある時計を見てそう呟いた。

 

 

 

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