PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-48 「観察」

 「......」

 

 気になって通って来た道を振り返る。.....どうやらばれてはいないみたいだな。

 

 ともかく、一瞬の山場を越えることが出来た俺はやけにうるさい自分の心音を落ち着かせる為に物陰に移った。

 

 「...れ、練習も無しに本番は冗談がきついぞ。」

 

 誰も居ないことを確認してから胸に深く息を吸い込むと安心感から言葉が漏れる。

 

 本来なら別の奴が向かう予定だったんだが本来の仕事(アークスの任務)が不規則に入った所為でなし崩し的に俺がか。まだ満足に休めてないってのに....

 

 「....取りあえず早々に目的を済ませて帰った方が良さそうだ。あの入り口に居たM.Sのキャスト、関わったら怖そうだからな。」

 

 そうして気持ちに余裕が出来始めて来た俺はズボンに付いている大きめのポケットに手を入れてある物を握る。そう、事前に用意しておいた撮影器具だ。

 

 別に持っている端末の機能で撮影は出来るがこれにデータを入れると自動的に共有化されることがあるからな。行動を察知されるくらいならこの手間も大したものじゃない。()()を施されるなんてもってのほかだ。

 

 「ここを...こうだよな。」

 

 ポケットから取り出した細かいパーツを手短に組み上げていく。特に難しい構成でもないからな、練習も要らない。

 

 それで少しして器具を組み立てることが出来た俺はそれを右の耳にかけるようにして取り付けた。

 

 「照準を目の焦点位置に合わせるようにして、見えないけどこの位置か。よし。」

 

 ようやく撮影器具の取り付けを終わらせられた俺は最初に入った物陰からようやっと出た。勿論、両方向からの人の流れも同時に確認済みだ。

 

 「それにしても噂は聞いてたが....ぼろばっかりだな。良くもまあこんなところから宝探ししようと思ったもんだ。」

 

 通路を進みながら横脇に無造作に置かれてシートを上から被せられた物を物色して行く。取りあえず今の所は中型の固定兵器用の交換パーツか弾薬ぐらいしか見えてないが....

 

 「ん?おい!何処の所属の奴か知らんが確認作業を手伝って貰えないか?」

 

 自分の方に声が聞こえてきて一瞬にして心臓が跳ね上がる。ばれて....はいないのか?

 

 ....だとしたら平静をか。ここで早速駄目にしたもんなら無駄どころじゃないからな。

 

 そうして言葉を頭の中で並べることが出来た俺は返事を少し遅れて返した。

 

 「あ、はい。今行きますから。」

 

 少し小さい声でそれに声を返した俺は迷いが無いように声のした方へ向かう。

 

 その途中でいくらかの整備員の奴の傍を通ったが....特に見られはしないな。どうせ気になりもしないんだろ。

 

 そうして道なりに歩いて行くと数人に囲まれている大きなシートに覆われた物のある場所に辿り着いた。

 

 「....見たことない顔だな。新人か?」

 

 特に疑うような感じじゃなく興味本位で聞いてきたような声色で男が聞いてくる。俺は無難に答えを返した。

   

 「はい、数週間前に教育を終えて。」

 

 「にしては...まあ良いか、取りあえず掛かるぞ。シートの端を持ってくれ。」

 

 言われた俺は周りに合わせるようにして近くにあったシートの端を掴む。...手触りが随分と埃っぽいな。

 

 「一気に行くぞ.....せいの、ん!」

 

 気になる手触りを気にしている内に声を掛けて来た男が掛け声をかけた。俺はすかさず出遅れながらも掴んでいたシートを持ち上げる。

 

 「よし、反対側はそのままこっちの方に持って来てくれ。」

 

 そう声が掛かると自分の前の方に居た4.5人程の男がシートを掴んだまま移動してくる。

 

 そろそろ中にある物が見えるんじゃないのか?そう思った俺は段々と見え始めてくるシートの内側に視線を向けた。

 

 「よし....これで全部だな。それぞれ自分の近くにあるハッチを開けて確認しろよ、余った奴は別の方の手伝ってやれ!」

 

 そうしてシートが剥かれると俺の視線が物のある場所に真っすぐ通る。その時には男の言っていることなんてどうでも良かった。

 

 「こいつ....」

 

 少し驚いて口から反射的に言葉が出る。すると俺が口に出すまでも無く隣に居る男がその名前を出した。

 

 「こいつ?このA()I()S()がどうかしたか?」

 

 「...い、いや、珍しいと思って、何でも。」

 

 「?変な奴だな。」

 

 俺は、ともかく状況を整理して...それから腕の方に取り付けていたスイッチを入れて撮影のシャッターを切った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「....なるほどな。ぼろばっかりだと思っていたが、思い過ごしだったか。」

 

 既に確認の終わっている大きなシートに覆われていた物、AISに手を置いて口を叩く。

 

 良くて軽機関銃、悪くて弾薬と言ったように当初の内には考えていたがこんな掘り出し物があるなんてな。かなりの間この艦に居たが....聞いたことも無いぞ。

 

 「第4世代の...初期型....道理で。」

 

 手を最初に置いた位置から指先を走らせて行ってシリアルコードを見つける。

 

 第4世代。.....の初期型は数十年前の代物だが性能で言えば現行でアークスが使っているのとほとんど変わらないものだ。唯一違うと言えば装甲の厚みが少し薄いとか,,,こじつけか。

 

 「ともかくもう少し観察が必要だな。他の連中もこれぐらいは既に見つけているだろうし。」

 

 そう考えた俺はAISがメインで格納されているエリアから離れることにした。長居をしても危険度が高まるだけだしな。

 

 そこで俺は元来た道で見ていない場所に重きを置いて見る為に通路へ向かった。

 

 「...少し奥に入るだけで静かなんだな。やっぱりAISか。」

 

 聞かれてない程度の大きさで独り言を言いながら道なりに進んでいく。確かに、あっちの方に集中している所為でこの辺りのがカモフラージュの為に置かれていると言われてもおかしくないくらいだ。....そうだと困るんだけどさ。

 

 しかし古いぼろばっかりだな。取って置くだけ無駄だが分かりきっているが、それだけコスト面で厳しいのは周知の所か。弾が錆びていないと良いけど。

 

 「ちょっと確認してみるか。」

 

 そう言って俺は小さい箱にかけられていたシートを一瞬だけめくって次々に確認して行く。さっきので大体分かったが整備員の連中には適当にはぐらかせば通じるみたいだしな、それなりに大きく動いても問題無いだろうよ。

 

 「....やっぱりまともなのが無いか。軽機関銃くらいは使えるか?」

 

 試しに1つめくってみると軽機関銃のLの頭文字が見え隠れする。隣には特殊弾のウィークバレットのケースが置いてあった。

 

 まあ、使えることには使えるけどな......撮影だけしておこう。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「もうじき終わりですかね?物の通りも少なくなってきましたし。」

 

 「そうかもしれないわね。今日だけでなくて明日も続くんだもの、分担なら丁度良い時間だわ。」

 

 そう言うとフィリンさんは首で時計のある方を指した。見てみるとかなり時間が経っているのが分かる。

 

 「中の人方もほとんど出たみたいですし、僕らももうじきですか。」

 

 僕が聞いてみるとフィリンさんは端末を取り出して何かを確認してから言葉を続けた。多分、これが始まる前に貰っていたデータを確認したんだろうな。

 

 「....ん、後10分くらいよ。そろそろ戻る準備もした方が良いかもね。」

 

 するとフィリンさんは通用ゲートの辺りを片付け始めた。僕も追う形で作業を始める。

 

 「ゲートのバーはこれで良いんですかね?」

 

 「広げた時と同じで良いのよ、ほら。」

 

 「は、はあ...」

 

 手で僕の持っていたバーを掴むと一段だけやって見せてくれた。....それにしてもこういう作業はフィリンさんは得意なんだよな。そういう所は少しだけ羨ましいな。

 

 ....ともかく、それから片付けを進めていると予定されていた定時時刻になっていた。さっきまで明るかった天板が暗くなり始めている。

 

 「定時ね。ゲート、閉じるわよ。」

 

 合図を聞いた僕は元居た通用ゲートの傍から離れた。ここだと扉に巻き込まれるしな。

 

 そうしてフィリンさんが僕が離れて安全が確認できたところで扉の電源を入れた。同時に大きく駆動音が響く。

 

 1、2、3.....全部閉まったみたいだな。

 

 「....良いわね。戻りましょうか。」

 

 「そうですね、バーンズさんも戻ってるでしょうし。」

 

 「何も無かったのが幸いね。明日もこうだと良いのだけれど。」

 

 そんなことを話しながらコンベアの方に歩いて行く。ここからはそこまで距離は無いけどずっと立ったままだったからね、ちょっと使わせてもらうよ....

 

 「...それにしても、また交戦するんでしょうかね。」

 

 道なりに歩きながらフィリンさんに聞いてみる。こういうこともフィリンさんの方が経験があるからね。

 

 「まだフェルノートの詳しい状況が分からない所為で詳しいことは分からないわ。.....だけど、何かしら余波がある筈だわ。」

 

 「余波ですか....」

 

 「途中ですれ違った応援部隊も戻ってきていないって所で状況もね。1人くらい戻れば詳しい検証が出来るような物だけれど、無理かしらね?」

 

 フィリンさんは冗談交じりに肩をすくめながらそう言う。確かに発生源の中心に近かった人物なら詳しいことが分かりそうだけど....駄目なんだよな。

 

 僕達がここの艦(シークマーカー)に来てからそれなりに経ったけれど同時期にすれ違いになった応援部隊、まだ戻ってきてはいないみたいだしね。時々端末でそういう情報を見たりしたけど....

 

 「...とにかく、今は出来ることを最優先にするべきね。後に起こることなんて分からないもの。」

 

 「そうですね...」

 

 コンベアに乗り込みながら返事を返すとそこからは会話は無かった。疲れているのもあったけれど....先が分からないのをどうしようもなく考えたりね。

 

 

 

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