PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-49 「終業」

 「えっと、ここの人数はこうだろ。こっちの方は4人足して...」

 

 1つ1つ口に出して確認をしながらコンソールにデータを打ち込んでいく。

 

 仕事終わり目前の最後の仕事、面倒だけどしっかりやらないとな。少しでも誤字があると直ぐにああだからなうちの上は....

 

 そうして考え事をしなが作業を続けていると部屋の扉が開く音が突然聞こえて来た。

 

 「....お、今日の仕事はもう終わったのか。」

 

 気になって横目で扉の方を見てみると、そこには見慣れた顔があった。

 

 それに気が付いて反射的に挨拶を掛ける。....見てくれだと相当疲れているのか?

 

 「俺が帰ってきたんだからそうに決まってるだろ、分かってくれよ。」

 

 顔に疲れがあるような状態で返事を返して来る。

 

 そこまで違いの無い近くの持ち場だったから忙しさは同じだと思ったんだが、どうやら様子を見る限りでは違うみたいだ。

 

 「悪い悪い....かなり大変だったのか?」

 

 「それはもう、言葉にできないもんだな.....よっと。」

 

 話しながら奴は部屋を進むとある程度進んだところにある椅子の前で止まって、それからゆっくりとその椅子に深く腰を沈めた。それと同時に大きな溜息が聞こえた。相当やられてたみたいだな。

 

 「....まあ、お前の方はただ単純に突っ立ってるだけで終わりだったろ?」

 

 「端的に言えばそうなるけどよ。なんだ、その様子だとそっちで何かあったのか。」

 

 「それはもう酷かったぜ。何だか格納庫の方で人手が足りないとかでよ、M.Sの無関係な俺まで手伝わされたんだぞ?」

 

 「関係のない仕事...荷物運びでも何かか?」

 

 今日担当を回された仕事の内容だとそう言ったのは無かったはずなんだが、突発的な物か。

 

 追加で細々としたことをやらされるのは大して珍しいことでもないからな。

 

 「確かに程度で言えば似たような物だけどよ...荷物運びなら少しは良かったかもな。」

 

 「?」

 

 そうして言われたことについて、荷物運びよりも面倒なことについて考えようとしているとそれをするまでも無く奴は端末を差し出して来た。落ち着いてそれの画面を覗き込む。

 

 「これは.....」

 

 「な?荷物運びではないだろうよ。全く。」

 

 息を捻りだすように口からそう言葉を漏らすと端末を近くのテーブルの上に雑に放った。

 

 なるほど、原因はあれだった訳だな。画面を一度見ただけでそう飲み込めた。

 

 「AISなんてあそこの格納庫にあったんだな。普段の仕事の時には全く分からなかったって言うのに、しかも第4世代だろ?」

 

 「良く分かったな....まあ、確かに第4世代のAISだよこいつは。」

 

 AIS、それが画面には映り込んでいた。

 

 まあ、ここの格納庫で見るのはほとんど無いくらいだから驚きもするんだけどさ。

 

 「それで、これを運び出すなんて事じゃないだろ?何をやったんだ?」

 

 そう言うと少し考えた後で言葉が返ってくる。

 

 「まあ、簡単に言えばこれの整備と各部分の確認だな。整備員の奴ら、マニュアルのデータをひとつ投げただけでかなり無理に俺のことを使いやがって。」

 

 「なるほどな....それにしても良く出来たな。」

 

 どうやら奴は整備員に混じってこのタイプのAISの整備をやらされていたみたいだ。道理で疲れる訳だな。

 

 おまけにその整備対象は数十年前に製造された少し古い型のやつで更に厄介だろうし、こっちはM.Sで整備がメインじゃないからな。

 

 「一応、分からないところはすぐに聞けたからな。完全に不親切とまではか。」

 

 「そうか....」

 

 「まあ、だからと言って二度とやりたくはないがな。こういうことは専門の奴がやることで知識も無い人間にやらせるくらいなら時間を掛けてでもやるべきだと思うぞ。」

 

 奴はそこまで話を続けると携行食のパックを手に取って、それから吸い始めると少ししてからこっちと同じ作業をし始めだした。仕事の後の報告の文章の作成だな。

 

 それからはお互いに特に話すこともなく静かに、順調に作業が進んでいく....と数分前まで思っていたがそうは上手くいかなった。

 

 それは自分がある場所のデータを参照していた時のことだった。 

 

 「.....ん?ここだけ数がおかしいな。」

 

 さっきまでから続けて同じデータを作成していた部分の周辺でデータがおかしいことに気が付く。

 

 このデータは格納庫内への通行人数と事前申請の数を隣り合わせている物なんだが....どうにも数が合わない。

 

 「なあ、これってどういうことだと思う?」

 

 気になった俺は同じく作業中の奴に声を掛けてみて聞いてみることにした。こういう時には意見交換した方が早いからな。

 

 「どうしたんだ?」

 

 「取りあえず見てみてくれよ。ここのデータなんだが....」

 

 コンソールを操作して例のデータの位置にカーソルを持っていく。....確かにここがおかしいな。

 

 「通行人数と事前申請者数の数のデータか。確かにかなりの人数がずれてるな。」

 

 「そうだろ?今までこういうことが無い所為で良く分からないが....連絡した方が良いのか?」

 

 そう言いながら自分の制服のポケットから端末を取り出そうとして手を入れる。すると奴は静止するようにして片手を出して来た。

 

 「いや、今の事態を考えてみると事前申請無しで人数が追加されたって言う見方も出来なくは無いぞ。今みたいにM.Sとかの関係のないやつまで手伝わされるんだからな。」

 

 「確かにそうかもしれないけど....それにしても多くないか?」

 

 奴の意見ももっともだけど、実際にその数を見直して見ると1.5倍くらいの人数のずれがあるように見える。だけどまあ、非常時だと考えればか....難しいな。

 

 「上に連絡を掛けるとなると事態が更に難しくなるし戻る時間もな。ここはそう言うことだと思った方が良さそうだな。」

 

 「そうか?」

 

 「ああ、実際にでも何かしらの被害が出てる訳でもないからな。事態の発生報告は格納庫周辺、内部でも一回も無かっただろ?」

 

 「うーん....」

 

 それから数分程度話し合いを続けて、それで決まったことをそのまま実行に移すことにした。

 

 その内容は勿論緊急で人員が急いで追加されたという判断だ。

 

 そうするとまあ、それなりに綺麗に収まるからな、結局は奴の意見通りにすることにした。今日の所は早く自室に戻りたいしな。

 

 「....よし、これで作成は終わりだな。そっちの方も出来たか?」

 

 コンソール越しに声を掛ける。

 

 「ああ、少し前に終わったよ。」

 

 「じゃあもう終わりにしても良い頃合いだな。そろそろ出るとするか。」

 

 そうして席から立ち上がると人差し指でコンソールの電源を落として、それから荷物を肩で抱えるとそのまま部屋を出た。

 

 今日のところは早々に帰って休もう。明日も同じく格納庫は忙しくなるからな....

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「あ、バーンズさん。丁度そっちの方も終わったところなんですね。」

 

 前に見えた見覚えのある人影を見つけて声を掛ける。

 

 「なんだノア君か。それにフィリンも。」

 

 「片付けが済んだのでコンベアで丁度戻ってきたところなんですよ。」

 

 ドッグの入り口を通りながら話を続ける。どうやらバーンズさんとタイミングが良く合ったみたいだ。

 

 「ノア君の方も今日は特に何も無かったか?」

 

 そう聞かれて今日あったことを少し思い返してみる。.....特に何も無かったか。

 

 「特に何も....普通でしたかね?」

 

 「そうか、なら良いんだが。」

 

 「何かあったんです?」

 

 「いや、今日のようなのは初めてだと思ってな。何か困ったことがあったかと聞いてみただけさ。」

 

 「今回はそんなに...通行の少ない出入り口でしたからそうでもありませんでしたよ。」

 

 確かあの通用ゲートだと大きな積み荷が4、5台と人がまばらに6人くらいだったしな。

 

 「まあ、それなら良いんだ。取り敢えず今日はこれで仕事の方は終わりだな。」

 

 バーンズさんは船に繋がる昇降機のスイッチを点けながら話を続ける。

 

 「ちなみに、明日も今日と同じ同時刻で良いのかしら?」

 

 後ろからファリンさんの通りの良い声が聞こえてくる。

 

 話の限りだと数日間でやることで連続する仕事とは聞いてはいるけど。

 

 「そうだな.....今日より3時間早くに現地に向かうように指示は出てる。なるべく早めに起きた方が良いな。」

 

 昇降機に乗り込んでから端末を取り出して確認をするとバーンズさんがそう言う。

 

 「一応、頭に入れておきます。」

 

 疲れで少しはっきりしない頭で返事を返す。だとしたら明日の朝は少し早めの方が良さそうだな。

 

 そうして話を続けているうちに昇降機は船内に入り込んでいた。

 

 

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