PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-50 「図面」

 「ノア君。報告書の方はどうだ?」

 

 「後少しの所ですかね。最後にもう一度確認して大丈夫ならもう直ぐですよ。」

 

 仕切り越しにノア君に声を掛けると少し疲れたような声色で言葉が来る。

 

 まあ、こういう仕事は慣れても疲れが来るものだからな。それの後に報告書を作るという形式作業も残っているんだから辛抱堪らないことだ。

 

 「フィリンの方も、それが終わったら後は自由にしてくれて構わないからな。」

 

 「大丈夫よ、自由時間が出来てもすることなんて無いんだから。その分綿密に書き込んでやるわ。」

 

 そう言うとフィリンはコンソールの方に再び意識を戻したようだった。

 

 それくらいしてやって上の方も少しは内部の細かいシステムを改善してくれれば.....いや、ある訳ないか。

 

 「....ふう。」

 

 そうして自分自身の方の作業を進めているといつの間にか報告書の方は片付いていた。無為意識にと言うか慣れと言うか出来るようになるもんだな。

 

 ...ともかく、一応の確認の為にもう一度文面に目を通す。

 

 上の段から、ここは普段通りだな。次の段からは今回の仕事の扱いでイレギュラーの文章が続く。普段やっている仕事は基本的に鎮圧や仲裁が主で既に起こっていることに対しての対処だからな。報告の内容もそれに合わせて変更が加わる。

 

 その中でも特に上げられるべきなのは事前に報告されている通過予定の積み荷と今日通過した積み荷の数の照らし合わせか。この部分が合わないと発覚した後にお叱りが来るのは一番下だからな。気が抜けやしない。

 

 「....」

 

 それにしても、やっぱりあの大きさの積み荷の正体はこれだった訳か。

 

 文面を読むために滑らせている目がある文章の項目の場所で止まる。例の積み荷の確認部分だ。...AIS、やっぱり使うつもりなんだな。

 

 確かに、その部分を読み返して見るとやはりAIS/GR4-FTの表記がある。データとしてキーボードで打ち込んでいた時には無意識で半ば飛ばしていたがやっぱりそうか。

 

 FTを含む型番、初期型のことなんだがここの艦(シークマーカー)の格納庫にはその型の物がかなりの数配備されているのが数字から分かる。一応、仕事の日数分の予定通過物の数のデータがあるからな、比べて見るのにはさほど掛からない。

 

 ....やっぱり、あの第3世代を曲がりかなりにも使える部分だけを微量に流用してテストベッドにしたっていうのか?

 

 その言葉が思考に入り込んだ瞬間、フラッシュバック的に関係のあることが次々と思い起こされていく。そう、あれは()()にあったんだからな。

 

 AISの第3世代、実用レベルには到底無いようなろくでもない代物だが.....標準装備の機動性能とエネルギー消費量軽減機能の点で考えられるのなら話は別だ。500年前に作られた最初期の第1世代、その後に作られた第2世代の双方の長所をそのままに精度を底上げしてある訳だからな。考えてみれば考える程技術屋からすればこれほどまでに適材は無いだろうさ。

 

 「バーンズさん、僕の方の報告書転送しておきますね。後でフィリンさんのと合わせておいて下さい。」

 

 「ん、分かった。後は自由にしてくれ。」

 

 「じゃあ、先に戻りますね。」

 

 「しっかり休んでおくんだぞ。今日と同じのがしばらくは続くんだからな。」

 

 「分かってますよ、それじゃ。」

 

 「......」

 

 ....だが、そんなことは今どうでも良い。本当に大事なことはあのAIS(第3世代)がまだあるかどうかだ。それがここだろうと違う場所だろうとあいつとの、イレノアとの最大で唯一と言えるかもしれない接点なんだからな。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「う....掃除しないと、やっぱり駄目だな。」

 

 軽く咳込みながらもベッドから起き上がると何とも言えない不快感が襲ってくる。結局、昨日はあの後疲れている所為で掃除もせずに寝ちゃったからな。今日こそはやっておかないとこれから酷いぞ....

 

 「....そろそろ起きないとな。」

 

 軋むように痛い体の首を動かして時計のある方へ向けると時間に余裕が無いことが分かる。まあ、現場の格納庫の方に行く時間はまだ先なんだけどそれまでの間の昼までの時間は普段の仕事....つまり待機をしないといけないからね。こうして寝ているわけにはいかない。

 

 ともかく、そう言うことだと頭に認識させると最初の内は体が動かなかったけれど段々と動き始める。仕事だと分かれば無理矢理にでも気だるい体を動かせるからね。

 

 「あんまり埃を立てないようにしてベッドから出るように...よ、よし。」

 

 そうこうしているとベッドから出ることが出来た。時間もそれなりにか。

 

 支度をしても少しだけ時間があるし....その間に携行食でも啜っておこう。

 

 そう考えた時には既に体は動き始めていた。気が付くと既に手は扉のスイッチに行っている。

 

 「取りあえず支度をしないと....」

 

 顔を洗って歯をゆすいで服を直して、これからすることを頭の中に並べながらも僕は扉のスイッチを入れた。低めの音を立てながらゆっくりと扉が滑る。

 

 「.....あっ!」

 

 「?」

 

 それから開いた扉をくぐって通路に出...ようとした時だった。死角の方から歩いてきていた誰かとぶつかってしまう。

 

 「み、ミィーンさんじゃないですか。大丈夫ですか?」

 

 「そちらこそ、大丈夫ですか?」

 

 当たってしまったのはミィーンさんだった。最近は自分の方が忙しいのとミィーンさんの方側もあまり動けない状態だったから話をすることが少なかったけれど....良かった、調子は悪くなさそうだな。

 

 「いや、僕の方は....ちょっと寝起きで体を痛めただけですよ。大丈夫です。」

 

 「そう、ですか....」

 

 冗談交じりに大丈夫だと言葉を返す。ミィーンさんはかなり心配する節があるからね、なるべくそうならないようにしないと.....まあ、僕の方は生身だから壁にぶつかった感覚で少し痛かったけど言うほどでもないしね。

 

 「じゃあ、ミィーンさんも味満たしが居るようだったら呼んでくださいね。携行食は人数分ありますから。」

 

 「分かりました。....頑張って、下さいね。」

 

 「ミィーンさんも体調に気を付けて、それじゃ。」

 

 そうして挨拶をしてから僕は洗面台の方に向かった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「おい、準備の方はどうなんだ?」

 

 休憩室から足早に飛び出た俺は奴に声を掛ける。

 

 「かなりのペースで事が進んでるが....まあ、何処もああいう情報を手に入れて来れば躍起になる訳だが。」

 

 「あれ(AIS)だろ?そら躍起にもなるさ。見せて貰えるか?」

 

 そう言って俺は準備が進んでいる作戦予定を見る為に奴の方にあるモニターに目を向けた。

 

 「良いぞ。後数時間で動くところだからどの道見て貰う所だったぜ、ほら。」

 

 「どれ.....」

 

 モニターの方まで近づくと次は地図の方を詳細に見てみる。ちなみにこれは俺が持ち帰った....だけでなく他の同時に動いていたうちとは違う人間が集めて来たデータをもとにマッピングしたデータだ。この艦のローカルネットワークから持って来た格納庫の図面に物の位置が細かく出ている。

 

 ちなみに俺が発見したAISの保管場所だが、他にもまだ2つほどあったらしい。あの場所だけでも相当な機体数が確保してあったがこんな辺境のアークスシップにどうしてここまでの数が、それも初期型の第4世代なんて.....今は考えても仕方が無いか。

 

 ともかく俺達の目的はそんなどうでも良い謎の解明なんかじゃなく格納庫から物を出来る限り奪取することだ。それもなるべく穏便にだ。ここではまだ事を大きくしたくないって言うのが総意だからな。

 

 「なるほどな。完成はしてるのか?」

 

 「後少しのところだな。別の場所の奴らとの話し合いが終われば良いかね。」

 

 「じゃあ、完成したら俺の方に送っておいてくれ。少し考えるからさ。」

 

 「分かったよ、なるべく早めに話が終わるようにやってみる。また後でな。」

 

 「ああ。」

 

 そう言って俺は部屋を後にした。まだ朝の飯も食べてないからな、吐き出さない程度に食べてくるか。

 

 「ん?なんだもう起きてたのか。」

 

 そうして部屋を出て待機室の前の通路に差し掛かった時にタイミング良く奴が出て来た。

 

 「貴方が起きるのが早いだけよ....ん。」

 

 「今日は忙しくなるからな。早めに意識戻しとけよ。俺は上の食堂の方に行ってくるからな。」

 

 「食堂?」

 

 「激しく動いても吐かない程度にだけどな、じゃあな。」

 

 「待ってよ!....直ぐ準備するから私も行くよ。」

 

 「....分かったよ。」

 

 振り切って一人で食堂の方に、と思ったが変なところで足を止められてしまった。こうなると無視した時が酷いからな....仕方が無い。

 

 それから俺は()()の間扉の前で待つ羽目になった。

 

 

 

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