PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-52 「発見」

 「.....?」

 

 椅子に腰を掛けて、それから少しして気配を感じないと思って横を向いてみると既にそこには誰も居なくなっていた。

 

 「ノア?」

 

 まだ近くに居るだろうと思って名前を呼んでみる。.....居ないみたいね。

 

 「何も言わないで何処かに行くなんて職務放棄....じゃないと信じたいわ。」

 

 座っていた椅子から立ち上がってもう一度辺りを見回して見てもノアどころか人の気配すらしない。仕事を放棄して何処かに、なんて最初は考えに浮かんだけれどそうは見えなかったもの。悩みも特に無さそうだったし。

 

 「そうだ、連絡すれば直ぐに分かるじゃない。疲れてて頭が回らないわね....」

 

 そう考えた私は腰のスリットのパックから端末を取り出して電源を入れた。

 

 「ノアのコード....繋がるとは思うけど。」

 

 そうして回線の接続画面でノアのコードを選択すると断続的に電子音が鳴りながら通信が始まる。

 

 そのままの状態で5、6秒程度待っていると無事に向こうの端末と接続できたようで電子音は鳴りやんだ。

 

 「ねえノア、今何処に居るの?」

 

 ....返答が無い。

 

 「聞こえてる?....聞こえてるわよね?」

 

 気になった私は端末の画面に目を通してみる。そこにはしっかりと接続状態が安定していることが表されていた。

 

 「....まさかとは思うけど。」

 

 普通に回線を繋げることが出来た....けれど、肝心な相手が出ないということは端末の近くに持ち主が居ないということ。もしくは何かしら出れない状況にあるか。

 

 とにかく何かの異常が起こっていると仮定した私は通信の相手側からの発信源を特定する為に自分のヘッドパーツの周波数を相手側、ノアの端末から出ている物に合わせた。

 

 「ん...久しぶりにだけど問題ないみたいね。」

 

 ノイズがヘッドパーツを介してなり始めると断続的に線を弾いたような音が断続的にそのノイズに交じって響く。こうすると周波数の強度が強くなった時、要は近づいた時に音の間隔が短く鳴るから探しやすいのよ。

 

 ....それにしてもこの間隔からするとそれほど離れてないみたいね。

 

 「方向的には、格納庫側?」

 

 電子音を頼りに方向を突き止めた私は入り口の簡易警報装置をセットしてから通用ゲートのバーを手で上げて中の方に入って行った。

 

 入り口には昨日にも立っていたけれど、中に入るのは今回が初めてね。フェルノートに居た時でさえも格納庫なんて一度も....

 

 「...それにしても薄暗いわね。」

 

 しばらく通路を進んでいるとそんなことが口から漏れる。確かに入り口の方から時々奥の方は目に入ることがあったけれど、まさかここまで暗いなんて...

 

 「はあ....ライトの方が好きなのだけれど、この際仕方ないか。」

 

 そうして私は眼球にある暗視装置の電源を入れた。視界がフィルターが掛かるようにして薄緑色に包まれる。

 

 激しい光に滅法弱くなるからあまり使いたくないんだけど...この際ね。

 

 「ノア?居るの?」

 

 音の反応を確かめながらも声を出して呼びかけを続ける。多分、ここまで反応が強くなるのならかなり近くに居るはずなのだけれど。

 

 「.....?」

 

 そうしてしばらく歩いていると通路の先に黒い塊が見えた。まだ暗視が慣れていない所為ではっきりとは見えないけど....

 

 ともかく、確認をするために私は黒い塊に向かって近づいた。

 

 「...なんだ、ただの箱じゃない。」

 

 手でカバーをめくって確認してみると格納庫内の物品なのが分かった。と言うことはここが突き当りね。

 

 「でも反応が、おかしいわね。」

 

 けれど場所が場所だというのにも関わらずに周波数の反応は相も変わらずに突き当りの荷物の方を示している。この先には部屋が無い筈だから向こう側って言うのも....どういうことなのかしら。

 

 「まさか....いやでも。」

 

 あり得ないとは思うけれど、私は一応の確認の為に目の前の大きな箱のカバーを払いのけた。

 

 ....一度雑にこじ開けた後がある。

 

 そこで何かがあると思った私はそこにあった箱を思い切り開けた。そこには。

 

 「......」

 

 ...そこにはノアが押し込められていた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「おい、あれで良かったのか?」

 

 隣に居る男が声を掛けてくる。...あの途中に会った奴か。

 

 「良いんだよ。直ぐにはお仲間のあのキャストの女も見つけられやしないだろ。」

 

 「...なら良いが。」

 

 こいつ、いきなり心配そうな声出しやがって。

 

 「....はあ、ここからはお互い別々に動くんだからしっかりしてくれよ?俺とあんたで役割が違うんだから。」

 

 「分かってるよ。」

 

 こんなのが他の場所でも起きてると思うとやっぱりまだ組織としては....今気にすることでもないか。

 

 そうしてしばらく通路を進んでいるといよいよ道が分かれることになったのか同行していた男とは別れることになった。

 

 「お互い違う場所のだけど...頑張れよ。」

 

 「ああ、出来るだけ上手くやるさ。」

 

 ...ここからは1人だな。

 

 「......」

 

 位置の確認の為に一度物陰に入ってから手を空に出して端末を表示させる。地図上で確認すると簡単に見えるが実際に現地に行くと意外と分からなくなるもんだな。

 

 指で地図を動かしながらマーキングされている位置を確認する。...道中で銃を拾ってから行ったほうが良さそうだ。

 

 「軽機関銃の位置は、この間の所ので良いか。」

 

 目的地を定めた俺は物陰から出て通路に戻る。機能の時点で見つけておいた少し古い軽機関銃と特殊ウィークバレットの場所はAISの保管場所に向かう道中にもあるからな。

 

 それから俺は道なりにライトで所々照らしながら進んで行った。通路の程度によっては所々照明が完全に切れてて分かりづらいからな。気を抜くと足元の配線か細いパイプで躓いてひっくり返りそうだ。

 

 「使う頻度の少ない場所は低コストで管理か。場所が場所なだけに予防のよの字も見当たらねえな....ん?」

 

 そうして進んでいると光の先に見たことのある文字が見えた。軽機関銃の箱だ。

 

 俺は簡単に辺りを確認して、それから箱の方に近づいた。どうやら昨日のままの状態みたいだな。

 

 「中の方は....問題なさそうだな。」

 

 箱の蓋をロックを外してから取り除くと中には緩衝材に埋め込まれた銃があった。容器を縮める為に簡易的に分解してあるな。

 

 それを手に取って本体に銃身を嵌めこむ形で銃を完全体にする。引き金もコッキングレバーにも問題は無い雰囲気か....ハンマーはしっかり動いてるから大丈夫だよな?

 

 「....まあ、使わない方が良いことだし仮で持ち歩いておけばいいか。」

 

 取り敢えずで弾を最大の装弾数まで込めてそれを肩に背負うと残りの弾の方は腰のパックにしまい込んでその場から立ち上がった。少し重いくらいか。

 

 「ん、後はAISの方にある車両にか....時間は余る方が良いからな。」

 

 そのままの足で俺はAISのあった方に向かった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「.....あれ?」

 

 「気が付いた?」

 

 床に安静させて傷口を軽く拭いていると気が付いたのかノアは目を開けていた。

 

 「軽い擦り傷程度で良かったわね。出血が多かったらあの箱が貴方の棺桶だったところよ。」

 

 そう言って私がノアの押し込められていた箱を指で指すと少し驚いた様子だった。

 

 「まあ、そんなことは良いの。格納庫の方に入ってから一体何があったの?」

 

 「えっと、物音がしてそれを確認する為に.....それでそこに居た人に声を掛けたら、これですか。」

 

 「....じゃあ、貴方が邪魔になるような人間が来たってことね。動ける?」

 

 少し立ち上がってから手を差し出すと特に問題なくノアはしっかりとつかみ返して来た。怪我もそこまでじゃないみたい。

 

 「大丈夫ですよ、ちょっと気絶したくらいですから。それよりも追わないと。」

 

 「そのつもりよ。警報装置は入れて来たから私も行くわ。」

 

 そうしてノアと合流出来た私は目星を付けて一緒に行動することにした。手分けして探したいところだけれど相手が相手ね。難しいわ。

 

 「そう言えばライトはある?私持ってないの。」

 

 「ああ、ありますよ。一応普段から持ち歩いてるんです。これで助かったこともありますから。」

 

 そう言うと彼はジャケットから小型のライトを取り出して通路を照らした。

 

 「.....ノア、言い忘れてたんだけど少し消してもらえる?」

 

 「どうしました?」

 

 「暗視装置を入れたままなのよ....前が、前が見えないわ。」

 

 「あ、その、すみません!」

 

 慌てたようにノアが言うとライトを切ってくれたのか視界が元の通りに安定した。全く、説明不足は致命的なことを引き起こすわね....

 

 それから私は遅れて眼球の暗視機能を切った。視界から靄が取れたように明瞭になる。やっぱりこっちの方が良いわ。

 

 「大丈夫。こっちが説明してなかったのがいけないもの。気にしないで。」

 

 「は、はあ...」

 

 「....しばらく使いたくないわね。」

 

 「?」

 

 「何でもないわ....」

 

 ...とにかく、ノアもライトも確保できた私は格納庫の中でも一番重要度の高い物が保管されている場所を目指して慎重に進んだ。

 

 

 

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