PHANTASY STAR ONLINE 2 :A.P.742   作:Begew Garand

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E-53 「座席」

 「....お、ここにあったか。」

 

 暗がりの中で手探り状態になりながらもライトで照らしながら辺りを見回していると事前に目星を付けておいた車両を見つけることが出来た。ここの荷物を搬出する為に使っているやつらしい。

 

 早速俺はそれの運転席の扉を覗き込む為に近づいてみる。

 

 「特別何処か変わったようなところはないみたいだな....」

 

 中を確認して見てみると目新しい物は特に無いようで他の車両にも多く見られるような普通の作りだった。

 

 左ハンドルのオートマチックトランスミッションか....運転、下手だから少し助かるな。

 

 「よし、後は鍵を弄ってやって....ん?」

 

 そうしていよいよドアを開けるために窓下の方に手を伸ばして、それから開閉フラップに指を試しに掛けた時だった。

 

 「おいおい....鍵を開けたままなのか?」

 

 特に指先に引っ掛かりを感じなかった俺はそのままフラップを思い切り引いてみた。....やっぱり開いてるな。

 

 「酷いもんだな、ここまで悲惨だとこっちまで心配になって来るぞ。」

 

 まあ、こっち側としたら都合が良いんだが....何ともな。

 

 そのまま俺は車内に入ると運転席の方に腰を下ろして諸々の確認をし始める。やっぱりエンジンの方の鍵も解除したままか。

 

 一応、まさかとは思いつつもメータパネルの方を確認してみたがエンジンを掛けたままでは無いようだった。燃料の残量も6割程度か。流石にそこまでは雑にやっていないよな。

 

 「これならすぐにでもやれそうだな....よし。」

 

 そこで俺は状態の確認が終わったところで仲間の方に連絡を送る。一応サインは出しておいた方が動きが円滑になるからな。

 

 連絡を送り終えると俺は助手席に置いた銃をもう一度取り直してから車内から出た。いよいよ肝心の積み荷の積み込みだ。

 

 最初から大型の物を積み込むと荷台から落ちる可能性を考慮しなければいけないことを頭に置いておきながら行動を始める。道中で見つけた機銃は道なりに積んで行けばいいだろう。

 

 「...まずは、この一番を持っていくとするか。よし。」

 

 そうして俺はAISのある方に小走りで向かって行った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「操作系統はアークスの教習でやった通りで行けるよな。」

 

 AISに掛かったシートを剥がしながら過去の経験を思い出してみる。操作系統が変わってなければそのままで行けるとは思うんだが...

 

 「転送機能はここだと使えないからな。物理ハッチの開閉は何処だったか....」

 

 一応、AISには基本的に登録と接続が済んでいる転送装置から機内に直接乗り込む方式があって非常時の緊急脱出を容易にする役割があるんだが...それはそうとしてここには転送装置が無い。そう言った時にはどうするかと言うと物理的に取り付けられているハッチから乗り込む方法だ。

 

 正面の機体臀部の辺りに強制展開のスイッチが用意されていて、それを作動させることで胸部の装甲板が開いて乗り込むことが出来る。まあ、これは何かしらの理由で転送装置が使えなくなった時の為の物なんだけどな。初期型でも変わらないみたいだ。

 

 そうして手を滑らせながらスイッチを探しているとそれらしいものを見つけて、それをそのまま押すことにした。

 

 「違うスイッチだったか...?でも、見える場所にあるスイッチであれ以外のは.......うおっ!?」

 

 押してから数秒程間が合った事でスイッチを間違えたか?なんて考えてハッチの前で考えを巡らせていると回転といくつかの作動音がなった瞬間勢い良く胸部のハッチが展開された。俺は驚いてAISの上から滑り落ちそうになった。この高さは痛いぞ....

 

 「お、驚かせやがって。放置の影響で動作が鈍ってるのか?困るぞ。」

 

 文句をこぼしながらも俺は機体の座席の方に進んで行った。座席に座る.....と言うよりかは横になるの方が近いか。機体が横に置かれている影響が来てるな。

 

 「....まあ良いか。肝心なのは動くかどうかだからな。マニュアルで電源を入れるのはここだったか?」

 

 座席に横になって固定用ベルトを体に取り付けると俺はまず機体の電源を次に探した。幸いにも外の展開用のスイッチと同じように教習を受けた時の知識が使えたお陰で大体の目星は付いていた。

 

 その場所の付近をライトで照らしながらしばらく手で探っているとそれらしいものに辿り着く。他のスイッチは...今は関係が無いものだな。取りあえず待っていることも無いことで俺は迷わずにそのスイッチを点けた。

 

 「ん.....電源は入ったか。」

 

 機体の各部に電源が接続されていく音が機体内部で響きながら備え付けのコンソールが明るくなっていく。良かった、特に死んでる部分は無いみたいだな。

 

 「だけどこっちの方の起動に時間がか、待つしか無いな。」

 

 コンソールの計器類をふと見てみると操縦補助用のOSの起動に時間が掛かっているようだった。もしかして無理矢理新しいバージョンのを捻じ込んだのか?

 

 「...取りあえず他の部分でも見ておくか。足りない部分は無いとは思うが。」

 

 試しに視線を下の方に下げると操作用グリップが右と左に1つずつ見える。少しだけ形が現行のと違うが....まあ動作には差し支えないか。

 

 「それなりに久しぶりに乗ったしな。少し心配だが....慣れさせながらやるしかないだろ。」

 

 俺はコンソールでOSの起動が済んだことを確認してから左右のグリップを深く握りこんだ。後は動かすだけだな。

 

 まずは体にも機体にも動きを慣れさせる為に横になっている台から左足を下ろすようにした。自分の足元にあるペダルを踏み動かすとそれに追従して動き始める。

 

 「....こんなもんか。」

 

 そうして次には右足を台から下ろして両足が台から降りて立ち上がれるような状態になる。後は上半身を起き上がらせるだけだな。

 

 時折操縦席から少しだけ顔を出して位置の確認をしながら上手くバランスを調整して行く。今はハッチを開けた状態だからな。コンソールでモニターを見れる状態ならもっと楽に出来るんだが.....今は別に良いことか。

 

 それから俺は確認を終えて、機体が安定したのを見計らってから右のグリップを思い切り前に倒した。

 

 「!」

 

 けれど安心感からかかなり大幅に操作を誤ったのか機体の上半身は想像しているよりもかなり大きく、そして素早く動いてしまった。かなり激しく動いた影響で座席から弾き飛ばされるような反動が来る。

 

 幸いにも座席の体の固定用ベルトを強めに締めていたお陰で機体から勢い良く飛び出るまでにはならなかった。....代わりにかなり旨と腹の辺りが強く締め付けられるような形になって痛みは来たんだがAISの乗り心地はこんなもんだしな。期待したところでだ。

 

 「....少しだけ感度を軽く設定した方が俺には合ってるな。とにかく立ち上がるか。」

 

 少しだけコンソールの方で操作系統の反応感度の数値を調整しながら最後に立ち上がる準備をし始める。今は既に段差に腰を下ろしたような状態になっているから後は手で機体を押し出しながら勢いで立つだけなんだけどな。

 

 機体からもう一度顔を出しながらグリップを深く握り直すとそれに付いているスイッチを押し込んで先程のように機体の腕と手を理想の位置にする。

 

 「次はなるべく穏便に済ませないとな.....よし。」

 

 今度は少し可動域に余裕を持たせながらゆっくりと機体を押し出していく。徐々に視線が天井に向かっていた物から壁側を映すようになっていった。しっかりと立ち上がれている証拠だな。

 

 それに合わせて出力の方を安定させていくとしっかりとした直立の状態に持っていくことが出来た。やっぱりこういうのは継続してやらないと鈍るな。

 

 「後は荷台の方にまた寝かせるだけだな。さっきまでの応用で行けるだろ。」

 

 そうして俺は機体を車両の方にまで向けて進ませた。

 

 

 

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